SDGsの影響もあり、近年太陽光発電の需要は増加傾向です。しかし、設置に関して不安になるのが屋根の傷みによるトラブルではないでしょうか?どんな設備でもリスクは付き物です。後悔しないためにも要因と対策を心得ておきましょう。今回は、太陽光発電で屋根が傷むリスクについて分かりやすく解説していきます。ぜひ参考にしてください。
太陽光発電設置で屋根が痛むリスクはある?
太陽光発電を屋根に設置するにあたって、屋根が傷むリスクはあるのかという点については、導入を検討する時に誰もが気になるはずです。結論からお伝えすると、太陽光発電を置くことによって、屋根が傷む可能性はあります。太陽光発電に使用されるソーラーパネルは、遠くから見ると一見薄く、軽い印象を持たれる方は少なくありません。
しかし実際には、セルと呼ばれる最も小さな部分でも、約14〜15kgほどの重量があります。そして、一戸建て住宅の屋根にそのセルを複数配置しますので、屋根へかかる重量としては、一般的に約300〜500kgにも及びます。
これほどの重量が常時、住宅の屋根に対してかかり続けることになりますので、どうしても屋根への負担は避けることができません。また多くの住宅は、建築時点において屋根へ太陽光発電の設置を前提していないことがほとんどです。
さらに、近年の建築資材は軽量化が進んでおり、太陽光発電に使用するソーラーパネルの重量に耐えきれない場合もあります。どうしても重い設備になりますので、地震の横揺れを直接受けることや、耐久性に問題があるというケースも考えられます。
もし住宅の屋根が、太陽光発電のソーラーパネルの重量に耐えきれないという懸念がある時は、補強工事をすることや、耐久可能な限度までのソーラーパネルを設置するなどの対策があります。そのような場合には別途で工事費用が発生してしまうほか、発電効率にも影響してしまいますので、よく検討した上で決定する必要があるでしょう。
また、太陽光発電は10年以上の長期運用をすることになります。これだけの長い年月の間、屋根に重量を加え続けますので、屋根が傷む可能性は十分に考えられるでしょう。
太陽光発電で屋根が痛む要因とは?
太陽光発電設備を屋根に設置することで、その重量により屋根が傷む可能性が高いということをお伝えしました。実際屋根が傷む原因としては、重量以外にも存在しています。
こちらではその要因について解説します。具体的には、以下の3つが挙げられるでしょう。
- 設置業者のミス
- 屋根材の劣化(古い住宅など)
- 設置であけた穴から雨漏り
それぞれ確認していきましょう。
設置業者のミス
太陽光発電のためのソーラーパネル工事は大規模となりますので、当然のことながら素人では不可能な作業です。そのため業者に依頼することになりますが、その業者のミスによって屋根が傷むというケースも少なくありません。
屋根に発電器具を取り付ける工事となりますので、「屋根に穴をあけて、取り付けのための金具を設置」する必要があります。実際、屋根に必要のない異物を取り付けることと変わりない工事となりますので、業者によっては屋根に対する知識不足から不必要な工事をおこない、結果的に屋根を傷めてしまう場合もあります。
全国チェーンで展開している企業は基本的に、工事自体は下請けの会社に依頼します。
そのため太陽光発電の知識が少ない場合や、施工実績自体が無いという場合もあります。
このような要因から結果として、業者のミスにより屋根を傷める原因となってしまうのです。
屋根材の劣化(古い住宅など)
そもそも屋根に負担がかかる太陽光発電の工事ですので、古い住宅などにおいて、屋根材が劣化している場合はより一層リスクが高まります。瓦屋根の住宅であり、なおかつ屋根材が劣化している場合は、工事が引き金となり、雨漏りが発生するなどの事態にもなりかねません。
対策としては、住宅自体を建て替える、もしくは屋根のリフォームをおこなうなどが挙げられます。しかし、それだけでも膨大な費用が発生してしまいますので、太陽光発電を設置するメリットと照らし合わせた上で、よく検討する必要があるでしょう。
設置であけた穴から雨漏り
業者のミスにも通じる内容ですが、太陽光発電の工事方法は多くの場合「屋根に穴をあける」という作業を伴います。そして、そのあけた穴から住宅へと雨漏りするケースが存在するのです。
基本的には、防水処理を同時におこないながら工事を進めて行きますので、適切な処理がされていれば雨漏りすることはありません。しかし、業者の技術不足や、場合によっては手抜き工事などにより、雨漏りが発生する事例は少なくありません。
また、瓦屋根の住宅の場合は、工事中に瓦がズレたり、割れたりすることによっても、雨漏りの原因へと繋がってしまいます。
【痛む必要なし】太陽光発電に向いている屋根
ここまで、太陽光発電による屋根へのリスクを説明してきました。
それでは、太陽光発電に向いている住宅や屋根はどのようなものが挙げられるのでしょうか。
太陽光発電に向いている屋根を知ることで、将来的に住宅の寿命を伸ばすことや、屋根へのダメージをリスクヘッジできます。
以下の3つの屋根を紹介しますが、それぞれ特徴があります。
- ガルバリュウム(雨漏りしない)
- スレート型(低コスト)
- 瓦屋根(高耐久性能)
実際に太陽光発電の導入を検討している方や、工事のために屋根のリフォームを考える際の参考にしてみてください。
ガルバリュウム(雨漏りしない)
ガルバリュウムという言葉は聞き慣れない方が多いかもしれません。これは屋根や外壁に使用されることが多い、鋼板とよばれる資材であり、「ガルバリュウムという合金でメッキされた鉄」のことです。
近年では建築資材として人気であり、2017年に建築された新築物件においては、ガルバリュウムを使用した屋根が最も多くなりました。
耐用年数も25〜35年と長く、メンテナンス次第ではさらに長期間使用できます。このように、一般的な住宅の使用年数は問題なく使用できる資材となっています。
またサビが広がりにくい上に、防水性が高いという特徴があるため、雨漏りに対して強い屋根と言えるでしょう。
スレート型(低コスト)
スレート屋根は資材、メンテナンス費用共に安価であることが最大の特長です。そのため、新築やリフォームの際に必要な出費を抑えることができます。また色やデザインも豊富に揃えられており、家主の好みによって選択することが可能です。
スレート型は軽く、耐震性が高いことも特徴ですので、こちらの多くの住宅に使用されています。しかし、10〜15年を目安に屋根の塗替えが必要となるので覚えておくと良いでしょう。
瓦屋根(高耐久性能)
昔ながらの住宅から、新築物件まで人気の瓦屋根は耐久性の高さから人気の資材であり、太陽光発電の設置にも適しています。実際、ソーラーパネルを導入する際には、瓦屋根に補強材を施すことで、重量にも耐えられるようにします。そのために瓦と土を取り除き、太陽光専用の屋根へと作り替えます。
雨漏りや結露対策も万全に施されますので、太陽光発電を導入することに適した屋根と言えるでしょう。また、築年数の経っている瓦屋根の住宅でも、同様の補強工事が可能ですので、物件の新旧を選ばずに、太陽光発電を設置することができます。
太陽光発電を屋根に設置する際の注意点
太陽光発電には光熱費の節約に繋がることや、発電した電力を販売することができるなど、多くのメリットがあります。また、この記事で解説してきたように、適切な屋根へしっかりと検討した上で導入することができれば、屋根へのダメージを抑えることができることもご理解いただけたのではないでしょうか。
それでは、ここからは実際に太陽光発電を屋根に導入する際の、注意点について解説していきます。
具体的には、以下の4点に分けて解説します。
- 設置業者を複数比較する
- 屋根が小さいと設置が難しい
- 住宅の向き(屋根の向き)
- 屋根の形状(勾配など)
それぞれご自身の中で理解していれば、実際の検討段階から施工開始までの工程で、非常にスムーズに失敗無く進められるはずです。
設置業者を複数比較する
住宅の工事全般に言えることですが、太陽光発電を導入するにあたっては、1社だけで進めること無く、複数業者を比較しておきましょう。
屋根が傷む原因においても解説しましたが、施工技術が未熟な業者や、最悪の場合は手抜き工事をおこなう業者も存在しています。このような悪質な業者に依頼してしまわないためにも、必ず複数業者を比較した上で、業者を決定しましょう。
目安としては、以下の3点を基準にすることをオススメします。
- 太陽光発電の専門家が在籍
- 提示価格の根拠が明確
- 検討する時間にゆとりを持ってくれる
太陽光発電の専門家が業者の中にいるか、いないかはとても重要な要素です。
同時に価格についても、疑問点や質問事項に対して、真摯に返答してくれる業者を選定しましょう。また、期間限定のキャンペーンなどを理由に、こちらの決定を急かす業者も適切とは言えないでしょう。
誠実な業者は、顧客が検討するための時間をしっかりと確保してくれます。専門家に質問できて、根拠のある価格を提示してくれる。その上で、検討する時間を十分に確保してくれるような、誠実な業者を複数の候補から選びましょう。
屋根が小さいと設置が難しい
太陽光発電のためのソーラーパネルは、当然屋根に取り付けることになります。この時、パネルを設置できるだけの屋根面積がない住宅の場合、設置自体が難しい場合があるでしょう。
もちろん、設置のための工事をすることで対応できることもありますが、余計な初期費用が発生してしまうことになってしまいます。また屋根が小さく、形状も複雑な場合においては、作業の難易度も上がってしまいます。
設置することでの費用対効果を含めて、しっかりと検討してから工事をやるか否かを決めた方が良いでしょう。
住宅の向き(屋根の向き)
太陽光発電はその名のとおり、太陽の光をソーラーパネルに当てることで発電します。そのため、住宅や屋根の向きが重要な要素となります。最もソーラーパネルの設置に適していると言える方角は、太陽の光が多く当たる南向きです。
もちろん、南向きでなくても設置は可能ですが、北向きの屋根などの場合は日当たりも悪く、効率よく発電することが難しいでしょう。西向き、東向きの屋根については、パネルの総量によっては、南向き以上の発電能力が期待できる場合もありますので、そこまで大きく気にしなくても大丈夫です。
このように、設置予定箇所の方角についても、良く確認する必要があります。
屋根の形状(勾配など)
日本国内において、住宅の最もスタンダードな形状は「切妻屋根」、通称「三角屋根」と呼ばれるものです。一般的に屋根と聞いて想像するような、本を開いてそのまま上に乗せたような形状の屋根のことです。
施工コストが比較的安く、シンプルでありながら雨風を防ぎやすいということで和風、洋風と形式を問わず、世界的にも人気の形状です。そして、切妻屋根はその形状から面積も広いため、大きなサイズのソーラーパネルの設置も容易に可能です。
また、方角について両方向に屋根が広がっていますので、万が一片方が北向きであっても、逆側は南向きとなりますので、設置に適した方角となります。東西を向いている場合でも、設置に適した方角ですので、この切妻屋根の住宅は比較的設置しやすい形状となります。
注意しなければいけない形状は、「片流れ屋根」と呼ばれる、片側だけに斜面が存在するものです。片流れ屋根で、北向きだった場合は、ソーラーパネルを設置するスペースが無いため、適していないと言えるでしょう。
他にも、屋根が極点に小さいなどの理由で十分なスペースが確保できない場合も、設置は難しくなりますので、十分に注意した方が良いでしょう。
【まとめ】太陽光発電の設置は屋根が痛むリスクを理解しておこう
太陽光発電の設備導入における、屋根へのダメージについて解説してきました。太陽光発電は、電力を自家発電できるなど環境面にはもちろん、家計にも優しい発電方法です。
しかし、今回の記事でもお伝えしたとおり、工事によっては雨漏りのリスクがあることや、長期的に考えた時に、屋根へ少なからずダメージを与えてしまいます。このようなデメリットも含め、導入後のメリットと比較検討した上で選択するようにしましょう。