太陽光発電事業を検討している方の中には、将来性や今後の制度について気になっている方もいるかと思います。太陽光発電事業を取り巻く環境は常に変化しており、時代や制度に合った運用方法が求められます。また、固定買取価格が下落していたとしても収益を伸ばすことは可能なので、今後の制度や対処方法について覚えておくのも大切です。
そこで今回は、太陽光発電事業の今後や個人で始めるメリットについて分かりやすくご紹介します。太陽光発電事業を検討している個人の方や太陽光発電事業を今から始めてもいいのか悩んでいる会社員の方などは、参考にしてみてください。
太陽光発電事業は今後も導入メリットのある設備?
まずは、太陽光発電事業の導入メリットがあるのかという点について確認していきます。
固定買取価格は下落傾向だが初期費用も下落している
太陽光発電事業の柱でもある「FIT制度」の固定買取価格は、年々下落傾向で更新されています。そのため、1kWhあたりの売電単価は、FIT制度開始当初の2012年や2013年と比較して安くなっています。
出力10kW以上の固定買取価格は、2012年度で1kWhあたり40円、2022年度1kWhあたり11円(出力10kW以上50kW未満)と29円も下落しています。そのため、太陽光発電事業への参入をためらう方もいるのではないでしょうか。
太陽光発電設備の初期費用は固定買取価格と同じく下落しているので、2022年から参入しても収支のバランスをとることは可能です。
経済産業省の資源エネルギー庁作成の「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」という資料では、2012年の初期費用(システム費用)1kWあたり42.1万円に対して、2022年の初期費用25.3万円と、15万円以上安くなっていることが分かります。
自家消費型やFIP制度など新たな運用方法にも期待
太陽光発電事業には、さまざまな種類や方法があります。仮にFIT制度の規制が強化されたとしても、卒FIT向けの売電サービス、FIP制度など新たな運用方法へ向けて準備を進めれば事業継続できます。
また、電気料金の削減効果を重視している方は、FIT制度の認定を受けず、自家消費型太陽光発電へシフトした方が良い場合もあります。
中古太陽光発電所の売電事業は収入面でメリットが多い
2022年から太陽光発電事業を始める場合は、中古太陽光発電所の運用を検討してみるのもおすすめです。中古太陽光発電所とは、過去に1回以上運用された太陽光発電のことです。新規設置と異なり、以下のメリットがあります。
- 過去にFIT認定を受けた年の固定買取価格が適用される
- 設置工事などの手間を省略できる
- 発電や売電収入、費用などのデータを確認した上で購入できる
弊社サービスのとくとくファームは、全国の中古太陽光発電物件情報を掲載しています。また、会員様には非公開の物件情報をお伝えしますので、焦らず物件選びを進められます。太陽光発電事業を検討する上で中古太陽光発電所にも関心を寄せている方は、ぜひ1度お問い合わせください。
太陽光発電事業は儲かる?
続いては、太陽光発電事業の利回りや収支の内訳について紹介します。
利回り10%以上で儲かる可能性がある
太陽光発電の平均利回りは10%程度とされていて、比較的収益を確保しやすい事業です。
たとえば、出力100kWの太陽光発電は初期費用2,000万円程度なので、年間200万円程度の売電収入を得られる計算です。また、毎年200万円程度の利益を確保できれば、10年〜15年程度で初期費用を回収できます。
太陽光発電の収入源でもある日光は、晴れの日であれば確実に太陽光パネルから吸収できます。また、曇りや雨の日でも発電可能なケースもありますし、蓄電池の併用で効率よく発電と売電を繰り返すことが可能です。
初期費用と維持費用の内訳
太陽光発電の初期費用は、大きく分けて設備の設置工事費用と設備本体の購入費用などから構成されています。
設置工事費用 |
太陽光発電の施工業者へ支払う費用 ・2020年の平均費用:1kWあたり4万6,000円 |
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設備の本体価格 |
太陽光パネルやパワーコンディショナ、架台、配線、その他機器類の購入にかかる費用 ・2020年の平均費用:1kWあたり20.7万円 |
設計費用 |
太陽光発電設備の設計費用 ・2020年の平均費用:1kWあたり1,000円 |
合計費用:1kWあたり25.3万円 例:出力100kWの場合は2,000万円~2,500万円程度の初期費用がかかる計算 |
また、地盤強化などが必要な場合は、上記の費用に加えて造成工事も依頼します。造成工事費用は、1kWあたり9,700円です。(2020年度の費用)
※「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」(経済産業省)を加工して作成
- 太陽光発電の維持費用は、メンテナンスや修理工事に加えて、以下の費用を指します。
- 遠隔監視システムの通信料金
- 太陽光発電所の清掃や樹木剪定に関する専門業者への委託料
- 保険料(故障時の補償)
- 税金(固定資産税や所得税など)
- その他パワーコンディショナや周辺機器類の電気代
「令和3年度以降の調達価格等に関する意見」では、1kWあたり4,000円〜5,000円台で推移しています。
太陽光発電事業の主な収益
太陽光発電事業の収益や収益の考え方は、運用方式によって変わります。売電型太陽光発電を運用する時は、主に売電収入を収益源とします。太陽光発電の売電によって得られた収入の一部は、初期費用の返済に充てます。
売電収入は、FIT制度の固定買取価格に発電量をかけて算出します。発電量は、システム容量×日射量×損失係数(一般的に0.75で設定される)という形式で求められます。
システム容量は、出力10kWや20kWなどを当てはめます。設置予定地域の日射量は、NEDOの日射量データなどで事前に確認できます。
そして、自家消費型は売電収入を得られないため、電気料金の削減によって浮いた固定費を初期費用の返済に充てていくのが基本です。
太陽光発電事業を個人で始めるメリット
ここからは、太陽光発電事業を個人で始めるメリットについて確認してみます。
本業に集中しながら運用可能
太陽光発電の常時監視は不要で、負担の少ない副業や事業を展開したい個人にとってもメリットがあります。太陽光発電は、現地で常時監視したり作業したりなどの不要な設備です。さらにメンテナンスや修理、部品交換工事などは、太陽光発電の施工業者で対応してもらえます。
住宅用太陽光発電は毎月の電気料金を削減できる
資金や土地のスペースなど、さまざまな都合から出力10kW未満の住宅用太陽光発電しか選択できない場合でも、個人にとっては導入メリットがあります。
出力10kW未満の住宅用太陽光発電は、自宅の屋根に太陽光パネルを設置します。運用方法は、余った電力を買い取ってもらう余剰買取のみ選択できます。法人や太陽光発電事業を本格的に始めたい個人にとっては、収益を伸ばしにくい運用方式です。
ただし、電気料金の削減および家計負担の軽減を目指す個人にとっては、2022年現在もメリットの多い運用方式です。
個人も中古太陽光発電所の購入が可能
高単価で売電可能な中古太陽光発電事業は、法人だけでなく会社員などの個人でも始められます。また、購入に関する特別な資格取得などは不要なので、気軽に検討できるのが特徴です。
弊社サービスのとくとくファームでは、専任の担当者が依頼者様の要望を1つずつ聞き取った上で、物件の選定や提案を行います。さらに売買契約や登記代行、税務処理なども一括サポートしています。そのため、中古太陽光発電所の購入が初めての方でも、無理なく準備を進められます。
太陽光発電事業で失敗しないためには
続いては、太陽光発電事業で失敗しないために必要なポイントを紹介します。
事業の方向性を定める
太陽光発電事業を始める時は、まず事業の方向性や目的を定めておくのが大切です。太陽光発電と一言で表しても、設置場所や出力、蓄電池の有無、売電型or自家消費型などさまざまな点で取捨選択したりしなければいけません。また、FIT制度の固定買取期間終了後は、売電や自家消費、売却、撤去などの選択を迫られます。
太陽光発電事業に関心を持ち始めたら、どの程度の規模で何年間どのような運用を行うのか、そして予算などを含めた計画を立てるのが大切です。
実績のある業者を選ぶ
太陽光発電の新規設置もしくは中古太陽光発電の購入を行う時は、実績のある業者から比較検討してみるのが基本であり重要なポイントです。
太陽光発電に関する販売店の中には、相場を超える費用で見積もりを提示してきたり契約金をだまし取ったりなどの悪質業者も存在します。そのため、口コミサイトなどで評判を確認したり業者の実態を調べたりするのが大切です。
性能の高いパネルや周辺機器を購入
太陽光発電で効率よく発電を行うには、設置場所の環境はもちろん高性能なパネルやパワーコンディショナなどの導入も大切です。
太陽光パネルの発電効率は、メーカーや商品によって大きく異なります。そのため、性能の低い太陽光パネルでは、シミュレーション通りに発電できません。また、パワーコンディショナと太陽光パネルの出力および容量が合っていないと、全ての電力を自家消費や売電に充てられません。
各メーカーのカタログスペックで発電効率を比較したり、実績の豊富な施工業者へ発電効率やメーカーごとのスペックを相談してみたりするのがおすすめです。
維持管理の手間を惜しまない
太陽光発電事業を継続するためには、維持管理にかかるコストを削減しない点も重要なポイントです。
太陽光発電は、定期的なメンテナンスや周辺地域の清掃、部品交換などの必要な設備です。メンテナンスや清掃、修理交換などは、有資格者の在籍している専門業者へ依頼する必要があります。
しかし、維持管理にかかる費用を削減した場合、経年劣化に気付かず放置してしまったり修理故障を十分に行えなかったりしてしまいます。維持管理費用は必要な支出なので、削減しないよう気を付けてください。
太陽光発電事業の主な種類
最後に太陽光発電事業の主な種類を以下に紹介します。
太陽光発電の売電事業 |
太陽光発電で発電した電気を電力会社へ売電 ・出力50kW未満の太陽光発電は原則余剰買取 ・全量買取可能な設備は出力50kW以上 ・10年間もしくは20年間固定買取価格で売電可能 |
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自家消費型太陽光発電 |
太陽光発電で発電した電気を自宅もしくは自身の所有する設備へ供給 ・売電は行わない ・電気代削減効果を期待できる ・FIT制度の変更や規制に左右されず運用可能 ・初期費用は自家消費によって浮いた固定費から負担 |
中古太陽光発電の購入 |
過去にFIT認定を受けてなおかつ稼働した設備を購入および売電事業へ使用する ・高い固定買取価格を期待できる ・売電収入を伸ばしやすい ・過去に運用されている期間から固定買取期間を差し引くため、卒FITまでの期間は短い ・設置工事などの手間を省略できる |
PPA |
PPA業者所有の太陽光発電を自宅の屋根や私有地に設置 ・初期費用0円で設置可能 ・発電した電力は自家消費可能 ・自家消費分の電気料金をPPA業者へ支払う ・契約期間は10年~20年間 ・契約期間満了後は撤去もしくは無償で譲渡してもらえる |
リースモデル |
初期費用を分割で支払いながら太陽光発電を運用 ・発電した電力は売電と自家消費どちらも可能 |
PPAとリースモデルは、初期費用負担を抑えたい場合にメリットのある方式です。
電気料金の負担を抑えたい時は、自家消費型太陽光発電の設置もしくは蓄電池を併用しながらFIT認定を受けた住宅用太陽光発電で運用してみるのもおすすめです。
一方、売電収入を重視している場合は、中古太陽光発電もしくは出力50kW以上の太陽光発電を新規で設置してみるのが大切です。なお、余剰買取より全量買取の方が、利回りおよび初期費用の早期回収という点でメリットの多い買取方法です。
個人も太陽光発電事業を検討してみるのがおすすめ!
太陽光発電事業は、2022年も引き続き導入メリットのある事業です。また、個人でも住宅用太陽光発電や出力10kWや50kW以上の産業用太陽光発電を設置し、売電や自家消費を始められます。
太陽光発電事業に関心を持っている個人の方や太陽光発電事業で売電収入を得たい方は、今回の記事を参考に検討してみてはいかがでしょうか。
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