こんにちは、石橋です。
3月20日、太陽光発電に関する大ニュースが世界を駆け巡りました。
そのニュースは、サンテックの破産です。
サンテックといえば、中国最大手の太陽電池メーカーで、世界シェアにおいても常にトップ争いをしてきた巨大メーカーです。
日本でも一部の販売会社が積極的に取り扱いをしているので、名前をご存じの方も多いと思います。
そのサンテックですが、近年はすっかり影が薄くなっていました。
その原因は太陽電池自体のだぶつきによって市況が悪化していたこともありますが、サンテックが抱えていた最大の爆弾は貿易摩擦でした。
安い中国製品によって欧米の太陽電池メーカーが大打撃を受け、それを問題視した当局によって反ダンピング法の適用によって高い関税をかけられるなどの措置を受けていました。
安いことが最大の売りである中国製品が、安くなくなるとどうなるか。
その答えは、ひとつしかありません。
サンテックも、その答え通りになりました。
サンテックと同じく世界でシェア争いを演じてきたドイツのQセルズもすでに破たんしています。
太陽電池メーカーのこうした破たん劇を見ていると、あまり儲からないのかなとも思えてきます。
もっとも、サンテックの場合は過剰な投資や極端な値引き戦略などが裏目に出た格好なので、経営戦略を誤ったという理由のほうが大きいかも知れません。
ところで、このサンテックは中国では無錫尚徳太陽能電力と表記されます。
経営者は施正栄という人で、なんでも中国ナンバーワンの大富豪だそうです。
それはそうでしょう、中国企業にして米国ナスダック市場に株式を上場して世界シェアを争っていたのですから、中国経済が世界を席巻する象徴のように見られていた時期もありました。
そうしたシンボリックな企業が債務不履行に陥ったのですから、この破たん劇は単なる太陽電池のビジネスモデル云々という話ではなくなってきています。
単に太陽電池が儲からないというだけなら、日本のシャープや京セラ、パナソニックなどがすでに破たんしていてもおかしくありません。
確かに赤字を計上して苦しんでいますが、サンテックのような運命をたどることはないでしょう。
中国経済のもろさが改めて浮き彫りになった形ですが、太陽光発電の販売施工会社を預かるものとしては、そんなことよりも気がかりなことがあります。
それは、日本国内でサンテックの太陽電池を購入した人たちのアフターサービスです。
サンテックは20年という、業界でもずば抜けた長期保証を売りにしています。
私はこの保証制度も含めてサンテックにはイマイチな印象があったので、和上住電でもあまりおススメはしていません。
取り扱いはありますが、現場での取り扱いはほとんどない状態でした。
それが幸いしたのか、和上住電のお客様にはあまり関係のないことですが、この長期保証がどうなるのかという懸念が現在生じています。
サンテックは日本に現地法人を立ち上げており、サンテックパワージャパンという会社が販売を行っています。
その会社自体は存続するので、今後も保証は継続するので心配ないということですが…それを額面通り受け取る人がいったいどれだけいるのやら。
確かにサンテックは安いので人気があるのは事実ですが、「安かろう悪かろう」というのは、いつの時代も変わらない真実です。
安くするということは、何かを捨てないと成立しないのです。
これまで私を含めて和上住電がおススメをしてきた太陽電池メーカーの中で、経営破たんをした会社はありません。むしろ、今も品質やアフターサービスにおいて評判の良いところばかりです。
太陽光発電という、決して安くないお買いものをするにあたっては、こうした見えにくい価値もしっかりと吟味して選びたいものです。