こんにちは、石橋です。
まだまだコロナ自粛の世の中ですが、皆さまいかがおすごしでしょうか。
ワクチン接種が本格的に進んでいるので、この騒動もまもなく終わると思われますが、この騒動は私たちに多くのことを投げかけましたね。
騒動が終わってヤレヤレではなく、ここから気づいたことにはしっかりと向き合い、検証するべきだと思います。
さて、今回はアンモニア発電の話をさせていただきたいと思います。
アンモニアときくと「おしっこ」のイメージが強いと思いますが、このアンモニアは脱炭素エネルギーとして注目され、すでに実用化に向けて研究が進められていることをご存じでしょうか。
しかもこのアンモニア発電の技術が日本が世界に先行しており、世界初の脱炭素エネルギーであるアンモニアは日本で実用化されるかもしれません。
アンモニアは、水素と窒素でできている物質です。それに対して石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料には炭素が含まれているため、これらの燃料を燃やすとCO2(二酸化炭素)が発生します。炭素が含まれている物質を燃やすと二酸化炭素が発生するのは、当然ですね。
それに対してアンモニアには炭素が含まれていないので、これを燃やしてもCO2は出ないのです。これは水素をエネルギー化するのと同じ考え方で、そもそも炭素が含まれていないものを燃やしてもCO2は出ないので、燃料から脱炭素を目指そうというわけです。
先ほど「おしっこ」の話をしましたが、実は尿にはアンモニアは含まれていません。体内で安全な尿素と物質に変換され、その尿素は体外に排泄されたあとで再びアンモニアに戻る仕組みになっています。体内をめぐって排泄されるまでは安全な物質にしておくというのが、人体の神秘ですね。
一時的に体内に存在するような物質なので、アンモニアは安全性が高いとして輸送や保管が簡単です。それでいてすでに化学製品の材料として広く使用されているので、低コストです。
CO2が排出されず、低コストで安全な脱炭素燃料。まさに夢のエネルギーだと思えてきませんか?
先ほどアンモニア発電の研究は日本が先行していると述べました。世界で初めて100%アンモニアによる燃焼実験に成功し、液化アンモニアの燃焼実験にも成功しています。一部の民間企業ではアンモニア発電の研究が進められており、天然ガスとアンモニアを混合した燃料でCO2排出を6割削減する技術も実用化目前のところまできています。
日本は2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言していますが、それが単なる宣言だけでなくアンモニア発電の研究からも本気であることが窺えます。これが実現すると、日本は世界に冠たる脱炭素エネルギー先進国となります。
もちろん地球のため、人類全体のために資する研究であるべきですが、それが日本から誕生し、世界に先駆けて実用化されていくことは日本の地位向上にもつながるので、とても素晴らしいことだと思います。これを成長戦略と呼ばずして何が成長戦略なのかと思えるほど重要な研究なので、国も積極的に後押ししてもらいたいと切に思います。
当記事の内容は、「専門家Profile」で詳細を書き綴っています。アンモニア発電研究の具体的な事例などもご紹介していますので、ぜひそちらもお読みいただければと思います。