最近東京で「スマートエネルギーWeek 2015」が開催されました。
このイベントでは、多くの大手の太陽光発電メーカーが、さまざまな研究成果を発表していました。
その中で、太陽光発電の従来のネックをメリットに変えることができそうなおもしろい展示がありました。
それはシャープの「PVサーマルシステム」です。
シャープ自体は、実は経営的にはかなりの苦境に立たされているようですが、それだからこそという新しい研究成果と言えるでしょう。
この「PVサーマルシステム」を簡単に言えば、サーマルという文字が示すように、熱システムで太陽光発電の弱点を利用したものです。
太陽電池は屋根の上や地面そのほかに設置される太陽光パネルを構成するもので、太陽光を吸収して電力を生み出します。つまり太陽光の中の電気エネルギーだけが必要であり熱エネルギーは好まざる来訪者なのです。
と言うのも、太陽光の熱は太陽電池に高温という悪影響をもたらすからです。
シリコンなどは高温に弱い性質があるので、夏場などには太陽光パネルの表面温度が70°以上に上昇すると、太陽電池はダウンしてしまい、発電効率が悪くなります。
この現象は自然が相手なので、太刀打ちするにも限度があります。
そこでこのシャープの発想に注目したいのは、それならその熱を回収してヒートポンプに送り、温水を作ればいいというユニークな着眼点です。
つまり、この種の太陽光パネルは電気を生産すると同時に温水を作り出すというわけです。
温水は、それを暖房にも使えますから、こうなると「PVサーマルシステム」の太陽光パネルが普及すると、太陽光発電で売電と同時に売湯?もできることになります(そういう仕組みは存在しませんが)。
家庭用ではある意味、エコキュートの代わりになるのですから、これが実用化されればかなり高度なスマートハウスが実現できるでしょう。
これは今回の「「スマートエネルギーWeek 2015」で出典された各種研究成果の一端ですが、改めてエネルギー分野でのたゆまざる研究のエネルギーを感じた次第です。
宇宙に存在するあらゆるものは、すべてが何らかのエネルギーを持っていますし、エネルギーを生産し、消費するサイクルを繰り返しています。
突然の飛躍ですが、このシャープの「サーマルシステム」から、「森羅万象」という言葉が頭に浮かびました。森羅万象すべてのエネルギーをうまく利用することができれば、エネルギー問題を根本的に解決できるという可能性を感じます。