今回は、近年増加していると言われる、太陽光発電を導入している方が後付けで家庭用蓄電池の導入を検討した場合に注意しておきたいポイントについてご紹介します。
太陽光発電については、家計にかかる電気代を大幅に削減できるだけでなく、売電収入を得られるということもあり、一般住宅でも導入している方が非常に増えています。しかし、2019年後半には、固定価格買取制度(FIT)が終了するご家庭が続出し、そういった家庭では売電価格が大幅に下落し、今までのような売電収入を得ることができなくなります。そのため、太陽光発電システムのみの運用を行っているご家庭では、家庭用蓄電池を導入し、発電した電力を全て自家消費に回すという手法に切り替えを検討している方が増えているのです。
太陽光発電は、太陽光エネルギーを電力に変換する仕組みとなっているため、日射のない夜間や悪天候時には発電することができません。したがって、太陽光発電をフル活用するためには、家庭用蓄電池の導入が必要不可欠になるのです。それでは、後付けで家庭用蓄電池の導入を検討した場合には、どういったことに注意すれば良いのでしょうか?
この記事では、既に設置している太陽光発電設備に家庭用蓄電池を後付けで導入する場合に考えられるパターンをご紹介します。
太陽光発電システムの現状とは?家庭用蓄電池の後付けの計画を立てよう
固定価格買取制度によって、高額な売電価格が補償される太陽光発電ですが、この制度は「10年間は固定の買取価格を保証する」というものです。そして今年は、「固定価格買取制度(FIT)」の前身となる「余剰電力買取制度」がスタートしてちょうど10年になる年なのです。
この制度がスタートした最初期に太陽光発電を導入した方であれば、売電価格「42円/kWh」という非常に高額な固定価格を保証されていたのですが、制度が終了してしまえば大幅に売電価格が下落してしまい、今までのような売電収入を得ることはできなくなってしまうのです。もちろん、一切売電ができなくなるという訳ではありませんが、大手電力会社が公表している卒FIT後の買取価格は、平均で8円程度となっており、この価格は買電価格よりもさらに安い価格となっています。つまり、卒FITを迎えるご家庭では、太陽光発電で作った電気を売電に回すよりも、全て自家消費して買電量を削減したほうがお得になると言われているのです。
しかし、太陽光発電システムとは、あくまでも「太陽光エネルギーを電気に変換する設備」であって、日射が無い時間帯には電気を作ることはできないのです。つまり、太陽光発電システムだけで、電力の自給自足は絶対に不可能ということです。そこで注目されているのが家庭用蓄電池なのです。家庭用蓄電池と太陽光発電を組み合わせると、昼間に太陽光発電で発電した電気のうち、余剰分を蓄電池に貯めて置き、それを日射のない夜間に利用するなどと言う生活が実現できるのです。つまり、住宅そのものが発電所の役割を担うことができるようになり、電力会社からの買電を無くし、電気代『0円』という生活も実現可能なのです。
2019年以降、毎年のように卒FITを迎えるご家庭が続出しますし、既存の太陽光発電に家庭用蓄電池を後付けする計画は今のうちに立てておいた方が良いと思います。
既存太陽光発電設備に蓄電池を後付け!
それでは、太陽光発電システムのみで運用している方が、家庭用蓄電池の導入を検討した場合に存在するパターンをご紹介しましょう。2019年問題などもあり、家庭用蓄電池への注目がどんどん高くなっている近年ですが、既に太陽光発電システムを導入している方が、後付けで蓄電池を導入する場合、以下の2つのパターンがあるのです。
- 蓄電池と蓄電池専用のパワコンを合わせて導入する
- 蓄電池とハイブリットパワコンを導入する
それぞれどういった導入方法になるのかを、もう少し詳しくご紹介しておきましょう。
パワコンはパワーコンディショナー略語で、直流の電気を交流に変換し、家庭用の電気機器などで利用できるようにするための機械。太陽電池やエネファーム、エコウィルなどの家庭用発電システムで発生する直流電力を交流電力に変換した上で、家庭内での利用、または蓄電池への充電、系統への売電などに適した、安定した出力に整える役割を持っている。
参考:環境ビジネスオンラインより
蓄電池と専用のパワコンを合わせて導入する
まずは、太陽光発電と家庭用蓄電池を組み合わせるため、蓄電池と蓄電池専用のパワコンを後付け導入するパターンです。太陽光発電システムには、発電した電気を家庭内の電気機器で利用できるよう、直流から交流に変換するためのパワコンも導入されています。このパターンでは、既存の太陽光発電用パワコンはそのまま使用します。
パワコンが2台体制となるため、設置のためのスペースが必要となるのですが、新しく導入するパワコンについては純粋に性能だけに着目して製品を選ぶことができるというメリットがあります。なお、太陽光発電システムのパワコンは、10~15年程度が耐用年数と言われていますので、既設パワコンの劣化症状によってはこのパターンがオススメできない場合もあります。あくまでも既設パワコンの経年劣化がまだ少なく、問題なく使用できる場合に限ります。
蓄電池とハイブリットパワコンを導入する
もう一つのパターンとしては、既設パワコンをハイブリットタイプのパワコンに入れ替え、蓄電池を後付け導入するという手法です。ハイブリットパワコンは、太陽光発電システムと蓄電池、両方のパワコンとして利用できるタイプで、このタイプのパワコンを導入すれば『太陽光発電+蓄電池』という運用方法でも、1台のパワコンで運用が可能となるため、省スペース化することができます。
上述したように、太陽光発電システムのパワコンは、10~15年程度が耐用年数と言われているため、「そろそろパワコンの買い替えタイミングかな?」と言った場合には、ハイブリットタイプのパワコンに入れ替え、後付け導入するのがオススメです。
このパターンで家庭用蓄電池の導入を進める場合には、以下のような製品がオススメです。
まずはオムロンが販売する家庭用蓄電池『KP-BU65-A』や『KP-BU98-B』です。こちらは既に太陽光発電システムを導入しているご家庭でも簡単に後付けできるタイプの蓄電池で、サイズも非常にコンパクトですので、設置スペースに困ることもないと思います。
シャープの家庭用蓄電池『JH-WB1711』もハイブリッドパワーコンディショナで太陽光発電と蓄電池の制御が1台で可能となります。この蓄電池は、非常にスリムな形状をしているため、クローゼットや階段下など、屋内の空きスペースに設置可能です。寒冷地や塩害地域などにお住まいの方は、外部環境の影響を受けにくい屋内タイプのこの蓄電池は、安心して後付け導入できると思います。
家庭用蓄電池の後付け導入して自家消費へ切り替えよう
今回は、既に太陽光発電システムを導入している方が、後付けで家庭用蓄電池の導入をする場合のパターンをご紹介しました。近年では、売電価格の大幅な下落もあり、太陽光発電を利用している方であれば、売電収入を期待するのではなく、発電した電力を自家消費に回し、家計にかかる電気代の削減に注目するという方が増加しています。
太陽光発電は、固定価格買取制度もあり、「どれだけ売電収入で得できるのか?」ということにばかり注目する人が多かったのではないでしょうか?しかし、最近では、太陽光発電に蓄電池を組み合わせ、発電した電力を全て自家消費に回すという運用方法が注目されています。一見すると、売電していた時みたいに、目に見える収入はありませんので、「得している感が少ない」と感じる方もいるかもしれませんが、今まで支払っていた電気料金が『0円』になる!?と聞くと、そのお得感は非常に大きいと言えるのではないでしょうか?
さらに、『太陽光発電+蓄電池』という体制を作っておけば、万一の自然災害による大規模停電が発生した場合でも、家庭の電気製品を利用することができるようになります。太陽光発電は、非常に優れたエコ製品であることは間違いないのですが、あくまでも「発電するための設備」ということを忘れてはいけません。蓄電池を組み合わせることで、初めて電力の自給自足や本当の意味での災害対策になるなど、より一層高いレベルでの太陽光発電の運用が可能となるのです。
現在、太陽光発電システムのみで運用している方で、「どういった手法で蓄電池を後付け導入すれば良いのか?」「どの蓄電池を選べば良いのか?」と迷っている方がいれば、お気軽にお問い合わせください。とくとくショップでは、経験豊富なスタッフが、現状の太陽光発電の状態や、今後の希望をしっかりとお聞きし、最適な機種選びのアドバイスからさせていただいています。