太陽光発電に雑草は大敵?!その理由と対処法をわかりやすく解説

太陽光発電に雑草は大敵?!その理由と対処法をわかりやすく解説

はじめに

「太陽光発電パネルに雑草が生えてきたけど大丈夫だろうか?」と不安に感じていらっしゃるのではないでしょうか。「このまま放置しても問題ないか」と楽観的に捉えている方もいらっしゃるかもしれませんが、太陽光発電パネルに雑草は大敵なので、今すぐ対処する必要があります。そこで今回は、太陽光発電の大敵である理由や、雑草の対処法について解説いたします。ぜひ最後までご覧ください。

近年問題になっている「雑草対策問題」とは?

太陽光発電の雑草問題は、これまであまり注目されることはありませんでした。しかし、2012年に始まったFIT制度により急増した太陽光発電所が稼働から数年を経て、リスクが顕在してきています。以前は「雑草が問題になる」という認識すらもってない設置者が多く、建設時に何の対策も取られていない発電所も多くありました。その上、雑草が伸びてきてもギリギリまで見て見ぬ振りをしてしまい、ジャングルのように生い茂るまで放置する方も多かったようです。このように雑草が放置された太陽光発電施設の多くは、住宅地の近くに建てられています。雑草が生い茂った施設は近隣住民のクレームを呼ぶことの他にも、発電量の低下を招き、太陽光の熱による火災の可能性も出てきます。「社会との共生」という観点や安全面からも、雑草対策は今大きな問題となっています。

雑草が太陽光発電に与える影響は?

雑草対策を適切に行わないと、太陽光発電施設に様々な問題が起こります。これを「雑草リスク」と呼び、主に大きく3つに分けられます。雑草が太陽光発電に与える影響についてご紹介いたします。

1.設備運用リスク

雑草が伸びることによる光の遮断での出力低下や草刈り作業による誤った配線切断、雑草侵入によるパワーコンディショナー・接続箱の故障、不具合等があります。これらは、いずれも出力の低下や稼働停止等の実害に直結します。

2.環境リスク

特定雑草の温床や拡大、獣害・鳥害の根源、生息場所になる、施設周辺からの雑草害に対する苦情等があります。雑草が生い茂り、鳥獣の住み処となってしまうと、点検等の作業中にハチに刺されるといった事故を誘発します。また、ネズミや蛇が配線を噛み、漏電に至るケースも見受けられます。

3.管理リスク

年々増大する除草コストや草刈り作業による事故や怪我等があり、管理上予期せぬ問題やコストの増大につながります。
除草コストの増大は草刈りで顕著になりますが、一般的な年2回程度の草刈りでは「除草」という狙いとは反対に、むしろ強い雑草を育てる遠因となってしまいます。雑草は中途半端に刈られると年々太く逞しくなり、草刈りの回数を増やさざるを得なくなってしまうためです。業者によっては「危険作業と見なされ値上げを要求される」「事故により安く草刈りしてくれていた業者が撤退した」といった業者への依頼と値段を維持できないケースが予想されます。

雑草が太陽光発電に与える「悪影響」の詳細について

雑草が太陽光発電に与える「悪影響」とは具体的にはいったい何なのでしょうか。ここでは、詳しくご紹介いたします。「雑草が生えていても問題ないだろう」とお考えの方は、ぜひご覧ください。

パネル:ホットスポットの発生により、発電量が低下する

伸びた雑草の影が太陽光パネルの故障原因となる場合があります。特に、太陽光パネルの至近距離で雑草が影を作ると、影が電気の抵抗となり発熱します。
短期間であれば大きな影響はありませんが、その状態が続くと「ホットスポット現象(「発電していない部分が抵抗となって発熱する現象」」となり、パネル故障の原因となります。
ホットスポットになっているかどうかは、サーモグラフで撮影するか触れてみないとわかりません。さらに雑草が原因のホットスポット現象は、一般的なパネルメーカーでは製品保証の対象外となり、故障した場合の修理・交換費用は自己負担となります。

パワーコンディショナー:内部に雑草が侵入し、故障や不具合の発生原因になる

通常、パワーコンディショナーは水没や雑草の侵入を防ぐために地面から1~2mあたりの高さに設置されています。
しかし、雑草の中にはススキやセイタカアワダチソウのように1m以上の背丈になるものも珍しくありません。また、ツタやクズのようにツル性の雑草は、架台や柱を支えに伸びてパワーコンディショナーに辿り着きます。
排熱用のファンがあるタイプのパワーコンディショナーは、ファンから内部に雑草が侵入し故障や不具合の原因になるだけではなく、ショートして火災が発生する可能性もあります。施設の土地はもちろん、周辺の土地にもツル制の植物がないか確認しておく必要があります。見つけた場合は長期戦となるでしょう。

設備全体:景観が悪化し、周辺住民からクレームの可能性がある

雑草が生えっぱなしの太陽光発電所は、景観が非常に悪くなります。この景観が損なわれると、近隣や自治会から苦情が入ることも多くあります。
太陽光発電は20年間の長期事業なので、できるだけ近隣の方々とは良い関係を続けたいものです。
景観が悪くなるまで放っておくと、隣地に雑草が侵入して迷惑をかけることにもなります。
何より景観の悪化は、「人が立ち入っていない」証拠にもなってしまい、ゴミを不法投棄され、泥棒の被害に遭う可能性も高まります。

ケーブル:雑草がネズミや蛇等の害獣の住み処になることもある

雑草が膝丈ぐらいの高さになると、ネズミや蛇といった動物の住み処になってしまう可能性があります。
ネズミは、ケーブル等の配線を噛んで機器を損傷させることがあります。傷ついたケーブルは漏電や火災の原因となり非常に危険です。
蛇は特に茂みを好みます。ケーブルだけではなく、人が立ち寄った際にも足を咬むかもしれません。多くの蛇は無害ですが、そもそも咬まれる環境を作らないようにすることが大切です。

漏電:引火し火災の可能性がある

雑草が生えていると、万が一漏電した場合に引火し火災が発生してしまう場合があります。経済的な損失であれば取り返せますが、隣家等に燃え移って人的な被害が出た場合は取り返しがつきません。発生頻度は他のトラブルに比べて低いものの、一度起きてしまうと莫大な損害が発生します。絶対に避けなくてはならない悪影響です。

雑草対策にはどんな種類があるか知ろう

雑草が及ぼす悪影響についてご紹介いたしましたが、その雑草はどのように対策したら良いのでしょうか。ここでは雑草対策についていくつかご紹介いたします。

1.草刈り(機械除草)

2~3日で完了する広さで年4回程度の草刈りが苦にならない方は、草刈り機による除草が有効です。ただし、ケーブルの切断や架台の損傷には十分気をつけ、草刈り機は回転刃(ブレード)ではなくナイロンカッターを使いましょう。ご自身でされる場合には費用は発生しませんが、外注の際には費用が発生します。

2.除草剤散布

年2~3回程度の除草剤の散布作業が苦にならず、除草剤の使用で近隣からクレームから入る可能性が低い場合にはこの除草剤散布が有効です・その名の通り、使って雑草を除草・制御する方法です。除草剤にも様々な種類があり、目的や予算、雑草の状態に応じて使い分ける必要があります。

3.防草シート

ある程度初期費用がかかったとしても、その後の管理を楽にしたい・または定期的な管理が難しい場所に太陽光発電施設を設置している場合には、防草シートを使った雑草対策がお勧めです。
太陽光発電は20年もの間使える施設です。低品質な防草シートを導入して3年ごとに張り替えるより、高品質なシートを10年に1度張り替えた方が、トータルコストを安く抑えることができます。

4.砕石

砕石で雑草を制御する方法ですが、砕石だけでは雑草対策の効果としては低いといえます。砕石の間に飛来した雑草の種が発芽し、地中から隙間を狙って雑草が顔を出すためです。また、砕石の下に雑草の種が残っている場合でも雑草が生えてきます。

結局、どの雑草対策がベストなのか?

雑草対策の方法は「適材適所」が必要であるということを理解しておきましょう。代表的なものは防草シートですが、土地や周辺の状況、状態によって最適な雑草対策が異なります。
そのため、最初から防草シートのみの検討などの業者が推奨しているものだけで雑草対策を決めてしまうと、失敗してしまう可能性があります。
「自分の土地にあった雑草対策選び」を行うことで、雑草対策の成功率が格段と上がります。不安な際には詳しい専門業者と相談しながら慎重に決めていきましょう。

まとめ:雑草対策はこまめにする事で「最悪の事態」を回避できる!

定期的な雑草対策や除草は、太陽光発電で安定した電力を維持するために欠かせない作業です。自力で除草する方法もありますが、土地が広い場合や除草に時間をかけられない場合は外注を検討した方がいいでしょう。ケースバイケースですが、手間を省きたいなら「除草付き」のメンテナンスプランがお勧めです。
また、これから物件を購入する際には、土地の雑草状態を確認しておくことでより安定した収入につながります。このように、雑草対策はこまめにチェックすることで「最悪の事態」を回避できます。「たかが雑草」と侮らず、定期的な点検を欠かさないようにしましょう。

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