最近では、太陽光発電の無料設置サービスについてテレビやインターネット広告、チラシなどでよく見かけるかと思います。しかし、太陽光発電は初期費用のかかるサービスなので、「無料設置ってどういうこと?何か怪しい」、「無料設置といっても本当は高額請求されるのでは」といった疑問や不安を覚えている方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、太陽光発電の無料設置にデメリットはあるのか、そして仕組みや特徴、強みについて詳しくご紹介します。初期費用の負担を抑えながら太陽光発電事業を始めたい方や無料設置の内容について気になっている方は、参考にしてみてください。
そもそも太陽光発電の無料設置とは何?
日本政府は、2030年までにCO2排出量を2013年と比較して46%削減、2050年までに実質排出量ゼロとする目標を掲げています。
目標達成のために、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの導入はますます促進されており、導入のハードルを下げるためのさまざまなスキームが開発されています。
太陽光発電を導入するためにネックとなるのが、まとまった金額の初期投資が必要となることです。
2021年に設置された10kW以上の太陽光発電システム費用の平均値は、AC(交流)ベースで1kWあたり25.0万円、太陽光パネル出力の合計を示すDC(直流)ベースでは16.1万円となっています。
例えば、屋根面に出力合計50kWの太陽光パネルを設置する場合の費用は、50kW×16.1万円/kW=805万円となります。
従来は、この初期投資費用を固定価格買取制度(FIT)による売電収入で回収し、収益を上げるスキームが主流でしたが、制度開始当初よりFITでの買取り単価が大幅に下がった現在では、なかなか投資回収ができないのが実情です。
太陽光発電 固定価格買取(FIT)単価推移
年度 | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
事業用太陽光(10kW以上50kW未満) 【期間20年】(円) | 13 | 12 | 11 | 10 | ||||||||
事業用太陽光(50kW以上入札対象外) 【期間20年】(円) | 40 | 36 | 32 | 27 | 24 | 21 | 18 | 14 | 12 | 11 | 10 | 9.5 |
住宅用太陽光調達価格(10kW未満)【期間10年】(円) | 42 | 38 | 37 | 33 | 31 | 28 | 26 | 24 | 21 | 19 | 17 | 16 |
太陽光発電を無料設置する方法
太陽光発電設備に掛かる大きな初期投資をゼロとする方法として、下記の3つのスキームが用いられています。
屋根貸しタイプ
屋根貸しタイプの太陽光発電は、所有する建物の屋根を太陽光発電事業者に賃貸して収益を上げるスキームです。
この場合、太陽光発電設備は発電事業者の所有物であり、発電事業者はFIT売電による収益を得ますが、屋根を貸した事業者の収益は屋根賃料のみです。
FIT制度が始まった当初の売電価格であれば発電事業者の収益も大きく、それに見合った賃料を得ることも可能でしたが、FIT価格が大幅に下落した現在では、新規に屋根貸し太陽光発電事業をおこなう事業者が現れることは考えにくい状況です。
PPAタイプ
PPA(Power Purchase Agreement)スキームは第三者設置モデルとも言います。
自社の所有する建物の屋根や遊休地を発電事業者に無償で貸与(使用貸借)し、発電事業者の負担で太陽光発電設備を設置します。
そこで発電された電力を、自社の自家消費分として購入する契約を結ぶものです。
一般的には15〜20年の長期の契約となり、契約期間終了後は設備の無償譲渡を受けるケースがほとんどです。
太陽光発電設備を発電事業者負担で設置でき、企業にとっては普段使用する電力の一部を投資無しで再生可能エネルギーに置き換えられるというメリットがあります。
コロナ禍やウクライナ情勢、急激に進行する円安などを背景にした資源価格の上昇を受けて電気料金が高騰しているため、PPAスキームで購入する自家消費電力単価との差額が広がり、経済的メリットが出やすくなっています。
リースタイプ
リース会社との契約により太陽光発電設備を導入し、経費としてリース費を支払い続けるスキームもあります。会計上、投資ではなく経費として扱えるため企業にとってはメリットが出るでしょう。
太陽光発電設備の減価償却期間は17年ですので、リース期間もそれに合わせて設定されます。リース期間終了後は、PPAスキームと同様に設備の無償譲渡となるケースが多いようです。
発電した電力はFIT売電することも可能ですが、買取価格が下がった現在では収益を上げることが難しくなっており、最近は自家消費用としての導入が多くなっています。
上記の3つのスキームを整理すると、下の表のようになります。
無料設置事業スキーム | 太陽光発電設備の所有者 | 発電設備の運用事業者 | 自社の収益 |
---|---|---|---|
屋根貸し | 発電事業者 | 発電事業者 | 屋根賃料のみ |
PPA(自家消費) | 発電事業者 | 発電事業者 | 系統電力料金とPPA料金の差額 |
リース(売電) | リース会社 | 自社 | 売電価格とリース料金の差額 |
リース(自家消費) | リース会社 | 自社 | 系統電力料金とリース料金の差額 |
太陽光発電の無料設置に関するデメリット
太陽光発電の無料設置の3パターンについて解説しましたが、それぞれのデメリットについても説明します。
屋根貸しやPPAの場合は売電できない
屋根貸しやPPAによるスキームの場合は発電事業者の所有、運用となります。
自社設備ではありませんので、FIT等で売電収益を上げることができないデメリットがあります。
リースによる売電収益は低くなってしまう
リースであれば自社運用が可能となりますが、売電収益からリース料を引くとほとんど利益は出ないか、あるいは逆ザヤとなってしまうのがデメリットです。
再生可能エネルギーの導入でCO2を削減するための設備と割り切るか、自家消費に充てて系統電気料金の削減を目的とする運用が、現在の社会情勢には適していると考えられます。
PPAは長期契約のリスクがデメリット
PPAは、太陽光発電を無料設置する条件として、一般的に15〜20年の長期にわたる電力の自家消費契約を結ぶことを求められます。
何らかの事情で中途解約をする場合、設備の残存価値に相当する違約金を求められるケースが多いようです。また、契約時に設定された年間の最低使用量を下回ったときの補填金を求められる場合があります。
PPAスキームでは契約期間満了後に発電設備は撤去せず、そのまま無償譲渡されて自社設備として運用できるようになりますが、15〜20年後に発電設備のコンディションが良好な状態で引き渡されるとは限りません。高額な改修費用の負担が発生しないように、適切なメンテナンスを実施できる発電事業者の選択がカギとなります。
太陽光発電の無料設置によって得られるメリットとは?
続いては、太陽光発電の無料設置により得られるメリットを確認していきましょう。
融資を組まずに導入可能
特に大きなメリットは、初期投資が抑えられることです。太陽光発電設備への投資で、金融機関に設定される融資枠を使う必要が無くなりますので、その分を他の事業投資へ回すことが可能となります。
屋根貸しやリースモデルなら収益を得られる
屋根貸しなら賃料収入、リース導入なら売電収入を事業の副収入として得ることができます。ただし、FIT等の売電価格が下落している現在の情勢が続く場合は、自家消費に回したほうが経済的メリットがあるでしょう。
初期費用を抑えながらPPAモデルで自家消費可能
PPAモデルでの無料設置であれば、初期費用を抑えて太陽光発電設備を導入し、さらにその電力を自家消費できます。
太陽光発電から得られた電力は再生可能エネルギーですので、発電に化石燃料を使用せず、CO2排出量もゼロとしてカウントされます。
省エネ法定期報告などで環境経営の指標を改善させたい企業にとっては、最もコストを掛けずCO2排出量を削減できる手法となります。
メンテナンスパックなどが組み込まれている
無料設置スキームによる太陽光発電設備は、いずれも自社の所有物ではありません。よって、設置期間中の設備維持メンテナンス費用の負担は発電事業者やリース会社の負担となり、自社負担は軽減されることも大きなメリットです。
ただし、契約期間中のメンテナンスパックなどの費用は、賃料・PPA単価・リース料などに組み込まれており、最終的には自社の負担になっています。
太陽光発電の無料設置がおすすめの事業者
ここからは、太陽光発電の無料設置がおすすめの事業者について説明します。
太陽光発電の設置が可能な土地や屋根を所有している
太陽光パネルの設置が可能な、大きな折板屋根を持つ建物や遊休地を所有する事業者は、無料設置ができる可能性が広がります。
ただしPPAスキームの場合は、ある程度広い面積で一定規模の発電量を確保しないと事業採算が合わず、契約に至らないこともあります。また、積雪地の場合は設置が難しいケースがありますので要注意です。
長期間の運用に対しての自然災害リスクのデメリットを十分に検討しておく必要があります。
初期費用に伴う融資の負担を避けたい
太陽光発電の導入には大きな初期投資を伴います。今回解説した3つの無料設置スキームを活用して融資枠を使わずに導入し、財務を安定させつつ環境経営を目指す事業者には特におすすめです。
太陽光発電の無料設置は怪しいサービスではない!候補に入れておくのがおすすめ!
ここまで、太陽光発電設備の無料設置が可能な「屋根貸し」「PPA」「リース」の3つのスキームについて解説してきました。
太陽光発電設備の導入は、FIT制度を利用した単なる投資案件の枠組みに留まらず、SDGs・ESG投資・カーボンニュートラル等、環境経営を目指す企業にとって大きな武器となります。系統電力料金の高騰を受けて、自家消費にて電気料金を下げるニーズの引き合いも急増しています。
環境投資としての側面に注目し、そこからビジネスチャンスが広がる可能性が大いにありますので、太陽光発電投資を一度検討してみてはいかがでしょうか?
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