FIT制度に屋根設置が新設!買取価格の今後についても解説

FIT制度に屋根設置が新設!買取価格の今後についても解説

FIT制度の管理運営を行っている経済産業省では、2024年度の固定買取価格や制度に関する変更点などを2023年1月31日に発表しました。中でも注目すべきポイントは、太陽光発電の固定買取価格に関して新しい項目が新設された点です。屋根設置型太陽光発電を設置した上でFIT認定を受けた場合は、地上設置と異なる単価で売電を行うことが可能です。

そこで今回は、2024年度のFIT制度に関する情報や屋根設置区分の特徴、固定買取価格の値上げに関する可能性について詳しくご紹介します。屋根設置型太陽光発電の運用を検討している方やFIT制度の最新情報を把握した上で設備導入を判断したい方などは、参考にしてみてください。

2024年のFIT制度では屋根設置区分が新設!

経済産業省が発表した2024年度のFIT制度に関する内容には、新たに屋根設置区分という項目が追加される予定です。また、固定買取価格がこれまでの方針と異なり値上げされる可能性もあります。

まずは、2024年度のFIT制度における注目ポイントである、屋根設置区分と固定買取価格について確認していきましょう。

屋根設置型太陽光発電に適用される

冒頭でも触れたように2024年度のFIT制度では、屋根設置区分という項目が新規追加される予定です。具体的には、屋根設置型太陽光発電でFIT認定を受けた際に、地上設置型とは異なる固定買取価格を適用してもらえるというものです。

地上設置型太陽光発電(野立て太陽光発電)は、遊休地などの土地に架台を設置し、その上に太陽光パネルを固定させる方法です。一方、屋根設置型太陽光発電は、倉庫や工場、事務所といった建物の屋根や屋上に、架台と太陽光パネルを固定させる方式です。

屋根設置の場合、野立て方式より施工費用が高く、なおかつ自家消費メインということもあり、電力需給バランスを意識した設計が求められます。さらに、倉庫などといった消費電力が少ない建物であれば、太陽光パネルを多数設置させにくいという傾向もあります。

そこで、屋根設置型太陽光発電の固定買取価格が地上設置より高い水準になれば、多くの企業にとって導入しやすい環境へ変わります。

固定買取価格は値上げの方針

前段でも軽く触れたように、2024年度に屋根設置型太陽光発電の区分が新設され、固定買取価格が値上がりする可能性があります。

これまでFIT制度の固定買取価格は、毎年度下落方向で推移しています。また、出力10kW以上50kW未満の低圧太陽光発電は、住宅用太陽光発電と同じく余剰買取方式へ変わり、FIT制度のメリットが減りつつありました。

しかし、屋根設置型太陽光発電の固定買取価格は1kWh12円と、地上設置型(出力50kW以上)より3円も高い方向で検討されています。

出力100kWの太陽光発電なら、年間で30万円程度も売電収入に差が生じる計算になります。(年間の平均的な発電量1,000kWh(1kWあたり)と仮定した場合)

これは倉庫や工場を所有している企業にとって、大きなメリットといえる状況です。

FIP制度で変更点はある?

2024年度からは、出力250kW以上の地上設置型太陽光発電もFIP制度の対象となる予定です。

2023年度までに出力250kW以上500kW未満の地上設置型太陽光発電を導入している場合は、FIP制度とFIT制度を選択できます。しかし2024年度はFIP制度一択なので、FIT制度ではなくFIP制度への理解を深める必要があります。

FIP制度の買取価格は、卸電力市場の取引価格に連動した変動制で、インバランスコストも発生します。電力需要に合わせた発電量を維持しなければ、負担が増えてしまう仕組みです。

出力250kW以上の地上設置太陽光発電を検討している企業は、FIP制度の概要について確認しておいたり、屋根設置型へ切り替えを検討したりしてみましょう。

2024年度の買取価格はどうなる?

ここからは、2024年度のFIT制度に関する固定買取価格をより詳しく確認していきましょう。

出力250kW未満の買取価格

まずは、出力250kW未満の地上設置型および屋根設置太陽光発電に関する固定買取価格を紹介します。

太陽光発電の出力 2024年度の固定買取価格
出力10kW未満(住宅用太陽光発電) 1kWhにつき16円
出力10kW以上50kW未満 1kWhにつき10円
出力50kW以上250kW未満 1kWhにつき9.2円
屋根設置型太陽光発電:出力10kW以上 1kWhにつき12円

出典:経済産業省ウェブサイト

出力10kW未満の住宅用太陽光発電は、非常に小規模で個人向けの設備です。事務所など事業向けの設備規模は出力10kW以上なので、住宅用を除くと固定買取価格の中で屋根設置が高い単価です。

また、屋根設置型太陽光発電は全量買取の対象設備としてみなされる可能性があるので、低圧太陽光発電でも地上設置型より多くの売電収入を得やすいといえます。

出力250kW以上の買取価格

出力250kW以上の地上設置型太陽光発電は、FIP制度の対象設備としてみなされる予定です。

FIP制度の買取価格は、参照価格という市場価格をベースにした買取価格にプレミアム単価という補助収入が加えられています。プレミアム単価は、「基準価格-参照価格」という計算式で求められます。

基準価格は入札制度によって定められていて、1年に何度か行われます。たとえば、2023年の第16回入札制度では、1kWhあたりの基準価格は9.5円でした。

なお2024年度の基準価格は、今後実施される入札制度によって決定される予定です。

太陽光発電は自家消費すべき?

太陽光発電を検討する際に悩むポイントは、売電・自家消費のうちどちらを選択すべきか、ということではないでしょうか。続いては、自家消費型太陽光発電を導入すべきケースについてわかりやすく紹介していきます。

固定買取価格が下落していれば自家消費メリットが大きい

固定買取価格が下落していて、なおかつ電気料金の値上げも続いていれば、自家消費型太陽光発電で経済的メリットを得やすい状況といえます。

電気料金は、2022年から始まったロシアによるウクライナ侵攻の影響などで値上がりし続けています。たとえば東京電力の高圧電力Aプランは、7月1日から9月30日までの夏季で1kWh17.4円、その他の季節は16.27円です。

出力50kW以上250kW未満の地上設置型太陽光発電は、1kWhにつき9.2円(2024年度)の固定買取価格なので、自家消費の方が効率よく電気料金の負担を軽減できます。

このように太陽光発電を検討する時は、1kWhあたりの電力量料金と固定買取価格を比較しながら、自家消費すべきか判断するのも大切です。

電気料金負担の削減には自家消費の方が効率的

太陽光発電の設置目的が固定費・電気料金削減なら、全量自家消費型をおすすめします。

売電型太陽光発電の場合は、発電した電気を使用せずに電力会社に買い取ってもらいます。そのため、電気料金を直接削減することはできません。

一方、全量自家消費型太陽光発電は、発電した電気を全て自社の倉庫や工場、事務所内で消費できるので、電力会社からの買電量を直接削減することが可能です。

太陽光パネルの設置枚数によって異なりますが、年間の消費電力量を50%程度削減できる場合もありますし、脱炭素という点でもメリットを得られます。

FIT制度で売電すべきケース

全量自家消費型太陽光発電は、自社の消費電力量に合わせて設計しなければいけないため、運用の難しい設備でもあります。FIT制度は、自社の消費電力量について考慮しなくとも発電・売電を継続できます。

そこで最後は、これから太陽光発電を導入するにあたって売電すべきケースを紹介していきます。

固定買取価格が値上げされた場合

固定買取価格が値上げされた場合は、売電型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか。

太陽光発電の利回りを上げるには、効率よく発電したり高い固定買取価格で売電したりする必要があります。しかし発電量や効率の改善には、最新の太陽光パネルを導入や設置場所の慎重な検討など、複数の対策を講じなければいけません。

固定買取価格が値上げされた場合は、同年度にFIT認定を受けることで売電収入を伸ばすことが可能です。

地上設置型太陽光発電に関する2024年度の固定買取価格は、据え置きもしくは0.3円/kWhの値下げなので、これまでのケースより値下げ幅が抑えられています。

2023年度と2024年度の固定買取価格を比較した場合、効率よく売電収入を得やすい環境へ変わりつつあるといえます。

屋根設置型太陽光発電を導入する場合

屋根設置型太陽光発電を検討している場合は、売電型へ切り替えるメリットを得られる可能性があります。

2024年度のFIT制度には屋根設置区分が追加される予定で、なおかつ地上設置型より高い固定買取価格です。さらに全量買取が認められれば利回りをアップさせやすく、売電収入を伸ばしやすい状況といえます。

2024年度以降に太陽光発電を設置する企業の中で建物を所有している企業は、屋根設置区分の固定買取価格や買取方式に注目しましょう。

中古太陽光発電を運用する

FIT型中古太陽光発電は、高い売電収入を期待できる設備です。

過去にFIT認定を受けた稼働済み中古太陽光発電の中でも固定買取期間の残っている太陽光発電は、購入後にFIT制度を活用した売電を始められます。

たとえば、2012年にFIT認定を受けて2018年に売却された中古太陽光発電を2023年に購入した場合、2012年の固定買取価格で14年間売電することが可能です。

また固定買取価格は下落傾向なので、2022年度より前にFIT認定を受けた太陽光発電の方が売電収入を伸ばしやすい傾向だといえます。

屋根設置型だけでなく土地付き太陽光発電も検討している場合は、FIT認定済みの中古太陽光発電も検討してみてはいかがでしょうか。

2024年度は太陽光発電の売電メリットが増える可能性あり!

2024年度のFIT制度は、太陽光発電に関して屋根設置区分が追加される予定です。また、出力10kW以上の屋根設置型太陽光発電は1kWhにつき12円と、出力10kW以上の地上設置型より高い固定買取価格で売電を始められます。

太陽光発電で収益を得たい方や土地付き太陽光発電についても関心を持ち始めた方は、今回の記事を参考にしながら中古太陽光発電物件を比較検討してみてはいかがでしょうか。

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