ペイバックタイムの意味や特徴をわかりやすく紹介!

ペイバックタイムの意味や特徴をわかりやすく紹介!

脱炭素経営のために太陽光発電を導入する際は、運用に伴う環境負荷の低減効果を分析するのも大切です。ペイバックタイムは、太陽光発電をはじめとしたエネルギーに関する指標の1つで、脱炭素経営・環境経営の実績を公開していく上で重要な内容でもあります。しかし、ペイバックタイムはわかりにくい側面もあるため、困っている方もいるかと思います。

そこで今回は、ペイバックタイムの意味や目的、太陽光発電におけるメリットや環境負荷低減につながる運用方法を詳しくご紹介します。ペイバックタイムの意味や活用方法のわかりやすく解説を探している方などは、参考にしてみてください。

ペイバックタイムとは?

太陽光発電など、再生可能エネルギー発電設備の性能を評価する基準の1つに、エネルギーペイバックタイム(EPT)があります。

エネルギーペイバックタイムとは、発電設備の製造からはじまり、運転期間を終了し設備が解体・破棄されるまでの全てのライフサイクルを通して、消費されるエネルギー量と同等のエネルギーが、その発電設備を運転することで回収されるまでの期間のことです。

設備のライフサイクルで消費されるエネルギー量を回収するまでの期間が短ければ短いほど、効率・性能の良い設備といえます。

再生可能エネルギーごとのペイバックタイム

地球温暖化が世界規模で問題となっている今、二酸化炭素を排出しない再生可能エネルギーが注目されています。

しかし、再生可能エネルギー発電設備の製造・建築・運転にエネルギーが多く消費されていては意味がないため、ペイバックタイムをより短くすることが求められているのです。太陽光発電など再生可能エネルギーごとのペイバックタイムは、下記のようになっています。

再生可能エネルギー発電設備 エネルギーペイバックタイム
バイオマス火力発電(森林) 1.9〜5.3年
水力発電 0.60年
地熱発電 0.97年
風力発電(寿命20年) 0.56〜0.79年
太陽光発電(最新技術) 0.96〜1.9年
太陽光発電(旧来技術) 1.4〜2.6年

再生可能エネルギーの発電設備は、ペイバックタイムを過ぎると二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーを発電し続けることが可能です。

太陽光発電においては、年々技術が向上するにつれてペイバックタイムが短縮しており、今後もさらに短くなっていくと予測されています。

引用:再生可能エネルギー源の性能

CO2ペイバックタイムの特徴

ペイバックタイムと同じように発電設備を評価する基準に、CO2ペイバックタイムがあります。CO2ペイバックタイムの特徴について説明します。

ペイバックタイムと異なりCO2に関する指標

ペイバックタイムとCO2ペイバックタイムは、どちらも環境に対する評価の指標ですが、対象が違います。ペイバックタイムは、製造・建築・運転など発電設備のライフサイクル全てで消費されるエネルギー量が対象です。

それに対しCO2ペイバックタイムは、発電設備のライフサイクルで排出されるCO2が対象となっています。

発電設備のライフサイクルを通して排出されるCO2の量を、その発電設備を運転させることで削減できるCO2の量で相殺できるまでに必要な時間が、CO2ペイバックタイムです。

太陽光発電に用いられる太陽電池ごとのCO2ペイバックタイム

太陽光発電で用いられる太陽電池には、シリコン系・化合物系・有機物系など、メーカーや製品により素材が異なります。同じ太陽光発電設備であっても、CO2ペイバックタイムは用いられる素材により下記のように期間が違います。

多結晶Si 単結晶Si a-Si / 単結晶Siヘテロ接合 薄膜SHi CIS系
住宅用 基本ケース 2.63年 3.48年 2.80年 2.42年 2.08年
リサイクル効果考慮ケース 2.29年 3.08年 2.46年 1.84年 1.52年
リサイクル促進ケース 1.92年 2.68年 2.12年 1.67年 1.32年
公共・産業等用 基本ケース 3.33年 4.17年 3.41年 3.46年 2.98年
リサイクル効果考慮ケース 2.64年 3.43年 2.77年 2.37年 1.98年
リサイクル促進ケース 2.28年 3.04年 2.43年 2.20年 1.78年

リサイクルを行う場合には、さらにペイバックタイムを短縮することが可能です。CO2ペイバックタイムとエネルギーペイバックタイムという点において、太陽光発電設備には大きな開きはなく、環境にやさしい設備といえます。

引用:環境省 再生可能エネルギー設備の特性把握 太陽光発電システムのCO2 ペイバック・タイム

ペイバックタイムと同様に用いられているEPR

ペイバックタイムと同様に、エネルギー収支比(EPR)もエネルギーに関する指標の1つです。エネルギー収支比(EPR)について詳しく説明します。

エネルギーの収支を数値化したもの

エネルギー収支比(EPR)は、発電設備のライフサイクルで投入されたエネルギーと、その発電設備を運用することで節約可能なエネルギーとの比であり、エネルギー投資効率とも呼ばれています。

エネルギー収支比(EPR)は、数値が高いほどエネルギー効率がよい、環境に優しい設備といえます。

各再生可能エネルギーのEPR

再生可能エネルギーは、太陽光・風力・地熱など異なる自然エネルギーを活用するため、発電方法も違います。そのため、エネルギー収支比(EPR)も下記のような差があります。

再生可能エネルギー発電設備 エネルギー収支比(EPR)
バイオマス火力発電(森林) 5.7〜16
水力発電 50
地熱発電 31
風力発電(寿命20年) 38〜54
太陽光発電(最新技術) 16〜31
太陽光発電(旧来技術) 12〜21

しかし、再生可能エネルギーの設備はリサイクル可能なものが多く、エネルギー収支比においても化石燃料を使用して発電する火力発電などよりエネルギー効率がよいといわれています。

引用:再生可能エネルギー源の性能

他の再エネ設備よりペイバックタイムが長い太陽光発電は導入すべき?

太陽光発電を水力・風力発電と比較した場合、ペイバックタイムが長くなっていますが、太陽光発電の導入や設備投資は注目されています。他の再生可能エネルギーよりも太陽光発電を導入すべき理由について説明します。

風力発電などより初期費用が安い

太陽光発電は、他の再生可能エネルギーと比べると初期導入費用が安くなっています。技術の発達により、太陽光パネルの価格が徐々に下がってきているのが主な理由です。

風力発電はエネルギーの場合、太陽光発電と比較するとペイバックタイムが短く、エネルギー収支比の効率も上回っています。

しかし、規模の大きい風力発電を導入するには、設置する土地の確保に加えて多額の資金が必要となります。太陽光発電の初期費用が安いことは、導入のしやすさに繋がっています。

他の再生可能エネルギーより設置場所を自由に選びやすい

再生可能エネルギーはさまざまな自然エネルギーを活用して発電するため、設置場所が限られます。風力発電であれば、年間を通して定期的に風が強く吹く海岸線や山岳地帯などが適しており、また水力発電では河川やダムなどの水源が必要です。

しかし、太陽光発電は日光が十分に当たる場所であれば設置が可能なため、他の再生可能エネルギーよりも設置場所を自由に選択することができます。

たとえば、住宅・ビル・工場などの屋根、地上の空きスペース、水面上であっても、日光の届く場所であれば太陽光発電を設置できます。

さらに設置場所の形状に合わせてパネルを柔軟に設置することができ、小規模から大規模までさまざまな規模に対応可能です。

太陽光発電のペイバックタイムを短くするには?

高効率のパネルを選択すれば、さらにペイバックタイムを短縮できます。同じ量を発電するにも、効率の低いパネルよりも高効率のパネルの方が少ないパネル数で発電することが可能です。

パネルの導入数を低減できると、製造時に必要な消費エネルギーを削減することになり、ペイバックタイムの短縮につながります。

また太陽光発電は、設置する場所や角度などで太陽光の当たり方が変わり、発電量に差が出ます。適切に設備が設置されることで最大の発電量を得ることができ、ペイバックタイムを短くできます。

とはいえ、環境経営を考える上で環境負荷の軽減は非常に大切ですが、太陽光発電の初期費用は決して安いとはいえません。

そこで、ペイバックタイムを短縮できる効率のよい太陽光発電を非FITで活用することで、自家消費や売電により初期投資を早く回収することにもつなげられるでしょう。

非FIT型太陽光発電のメリット

太陽光発電を非FITにて活用するメリットについて詳しく説明します。

FIT制度の影響を受けずに稼働可能

FIT制度(固定価格買取制度)は、国が定めた期間内であれば電気事業者が固定価格で電気を買い取ってくれる制度です。しかしFIT制度の固定買取価格は年々下がり続けています。

さらに電気の需要と供給のバランスによっては、電力会社が発電事業者に対し発電量を制限することもあります。

非FIT太陽光であれば、このようなFIT制度の影響を受けることなく設備を稼働することが可能です。

環境価値のある電力を自家消費や売電可能

FIT制度の場合には電気事業者が電気を買取りますが、その費用は国民が再エネ賦課金として負担しており、国民に環境価値が与えられています。そのため、FIT太陽光にて発電された電気は再生可能エネルギーとして100%は認められていません。

しかし、非FIT太陽光で発電された電気であれば100%再生可能エネルギーとして認められるため、環境価値がより高いといえます。また、発電した電力を自社で消費することも売電先を選択することもできます。

サプライチェーン排出量削減といった効果を期待

サプライチェーンとは、製品の製造のための原材料や部品の調達から、生産・販売に至る物流なども含めたネットワークのことです。

環境経営を考える場合は自社のみではなく、サプライチェーン全体のCO2排出量削減を考える必要があります。

非FIT太陽光を活用することで、太陽光で発電した電気を製品の製造時のエネルギーに活用したり、発電した電気を使って電気自動車を利用したりするなど、サプライチェーン全体の排出量削減の効果を期待することができます。

非FIT型太陽光発電のデメリット

非FIT型を活用する場合のデメリットについても解説します。

売電を行う場合は個別に契約や系統接続が必要

非FIT型太陽光発電の場合、売電先を自由に選択できる代わりに、売電を行う際には個別に契約が必要です。また電力会社に売電する場合にも、個別の契約や系統接続を行わなければならず、手続きには時間やコストがかかります。

売電単価は市場の需給によって変動

FIT制度の場合には、一定期間は固定された金額で電気を買い取ってもらうことができます。しかし、非FIT制度では需要と供給のバランスなどにより売電単価が変動することが考えられます。そのため、売電での収益が不安定となるリスクが生じる可能性があります。

他の太陽光発電と同じく初期費用負担が発生

非FIT太陽光を導入する際、一番負担となるのは初期費用です。技術の向上により設備の効率は上がり、製品の価格も下がってはきているとはいえ、依然として導入費用は高額なため、補助金などを上手く活用することも大切です。

環境経営に適した非FIT型太陽光発電を検討してみよう!

エネルギーペイバックタイムの期間は、短ければ短いほど環境負荷の少ない性能・効率のよい発電設備だといえます。太陽光発電は寿命が長く、ペイバックタイムを過ぎたあとも長期にわたりクリーンな電力を発電し続けることができます。

太陽光発電の導入を検討している場合には、環境経営に適した非FIT型太陽光発電の導入がおすすめです。

とくとくファーム0では、非FIT型太陽光発電設備の売買仲介および運用サポートを行っています。非FIT型太陽光発電の導入には専任の担当者が太陽光発電用地の選定から、太陽光発電の設計施工、運用保守まで幅広く対応します。

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