国内でも脱炭素化や環境経営が求められていることから、自家消費型太陽光発電の導入を検討している企業は多いのではないでしょうか?しかし、「太陽光発電の自家消費について何となく理解しているけど細かい特徴は分からない」、「太陽光発電の自家消費って何?」といった疑問があるため、なかなか準備を進められないケースもあるかと思います。
そこで今回は、自家消費型太陽光発電の特徴や種類、メリットやデメリットについてご紹介します。
自家消費型太陽光発電とは何?
太陽光発電の自家消費には、全量自家消費と余剰売電型の2種類に分かれています。企業の場合は、前者の全量自家消費を検討するのがおすすめです。
それでは、まず自家消費型太陽光発電の意味と種類について確認していきましょう。
発電した電気を自社で活用
自家消費型太陽光発電とは、発電した電気を全てもしくは一部売電せず、自社のオフィスや工場で消費していく運用方法のことです。従来の投資型太陽光発電とは異なり売電一択ではないため、FIT制度の事業計画認定の申請や、電力会社への連携負担金も発生しません。
全ての電気を消費する全量自家消費型
全量自家発電型(完全自家消費型)とは、太陽光発電で発電した全ての電気を自社で消費できるように設計・配線されたシステムのことです。全量自家消費型太陽光発電を運用する際は、電力会社へ売電しないため、固定価格買取制度(FIT)の事業計画認定の申請は行う必要がありません。
自家消費しきれない電気を売る余剰売電型
余剰買取型は、太陽光発電で発電した電気を優先的に自社内で消費します。自家消費しきれず余った電気については、電力会社へ売電される仕組みです。特に太陽光発電で作った電気を全て使い切るほどの消費電力量ではない場合は、余剰買取型を視野に入れるといいでしょう。
なぜ自家消費型太陽光発電に注目が集まっている
続いては、自家消費型太陽光発電に注目が集まっている理由について紹介します。
固定買取価格の下落
自家消費型太陽光発電が注目されている背景には、発電した電気の買取価格下落と関係しています。
たとえば、2022年度の固定買取価格は、以下の通りです。
出力 | 1kWhあたりの買取価格 |
---|---|
出力10kW未満 | 17円 |
出力10kW以上50kW未満 | 11円 |
出力50kW以上250kW未満 | 10円 |
出力250kW以上 | 入札制度によって決定 |
2012年度の固定買取価格と比較した場合、20円以上値下がりしています。自家消費型太陽光発電は、FIT制度に左右されないということもあり、太陽光発電投資家や企業が注目しています。
一部太陽光発電に自家消費必須という項目が加わった
2020年、FIT制度の「自家消費型の地域活用要件」が一部改正され、これから新規で出力10kW以上50kW未満の中規模事業用太陽光発電を設置し、FIT認定を受けるには、以下の条件を満たさなければいけません。
- 自家消費率が30%以上あること
- 停電時等に自立運転ができること
これから出力10kW以上50kW未満の事業用太陽光発電を運用していく企業は、自家消費型を前提とした事業計画を建てていく必要があります。
電気料金高騰の傾向が続いている
国内の電気料金は、さまざまな影響を受けながら値上がりし続けています。
電気料金は、基本料金と電力量料金、再エネ賦課金と燃料費調整額の4種類で構成されています。中でも再エネ賦課金と燃料費調整額は、電気の使用料にかかわらず毎月変動しています。
特に燃料に関するコストは燃料費調整額と呼び、以下の理由から高騰し続けている状況です。
- ロシアによるウクライナ侵攻
- 新型コロナウイルスによる自粛から世界的な経済活動再開による急激な燃料需要上昇
そこで多くの企業や太陽光発電投資家は、自家消費型太陽光発電で電気料金の削減を検討しているということです。
災害リスクへの関心が高まっている
太陽光発電は、ガソリンなどの燃料を必要とする発電機と異なり、太陽光があれば毎日発電し続けられます。自家消費型太陽光発電は、災害時に非常用電源として活用できることから、BCP対策の一環として注目されています。
自家消費型太陽光発電のメリット
自家消費型太陽光発電の意味や注目されている背景を把握したあとは、導入メリットについて確認していきましょう。
電気料金削減効果を伸ばせる
太陽光発電で作った電気をそのまま自家消費することで、電気料金を削減する効果が期待できます。自家消費型太陽光発電を導入した場合は、消費電力の多い時間帯でも太陽光発電で発電した電気を用いることができるため、ピーク値の更新を抑えられます。
余剰買取であれば売電収入を得られる
余剰買取型の太陽光発電を導入した場合は、自家消費による電気料金削減効果だけでなく売電収入を得られます。収益を少しでも増やしたい企業などには、特にメリットの多い運用方法です。
BCP対策につながる
自家消費型太陽光発電を導入しておくと、災害時や停電時でも発電した電力を使用できます。さらに蓄電池を併用した場合は、晴れの日に発電した電気を貯めておけますし、夜間や雨の日でも電気を使用し続けることが可能です。
環境経営につながる
太陽光発電は、火力発電と比較してCO2の排出が少ない「クリーンエネルギー」として注目されています。設備の製造過程ではCO2が排出されるものの、発電の際にCO2の排出はありません。
自家消費型太陽光発電のデメリット
続いては、自家消費型太陽光発電のデメリットについて確認していきましょう。
初期費用の負担がかかる
2020年現在でも、自家消費型太陽光発電システムの設置費用は、比較的高額です。工場や事務所、倉庫等に導入する場合、システムの規模によって数百万円~1,000万円の初期費用がかかります。
太陽光発電単体では電気を貯められない
前半でも少し触れていますが、太陽光発電で発電した電気を貯めておくことはできません。そのため、自家消費型太陽光発電で発電した電気は、その場で自家消費もしくは売電しなければいけません。
発電量は日照時間に左右される
自家消費型太陽光発電にかぎらず全ての太陽光発電は、天候によって発電量が変わります。
晴れの日が100%の発電量とした場合、曇りの日は30%~10%程度の発電量まで低下してしまいます。また、雨の日であれば、20%~5%程度まで低下する可能性があります。
維持管理費用の負担がかかる
太陽光発電は「メンテナンスフリー」ではありません。様々な部品や機材が複雑に組み込まれています。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。維持管理費用は出力1kWにつき5,000円程度なので、100kWなら年間50万円程度です。
太陽光発電は今後どうなる?
最後は、自家消費型太陽光発電を含む太陽光発電の今後について予測していきます。
売電収入を伸ばすには中古太陽光発電へシフト
売電収入を確保したい方は、中古太陽光発電へシフトしていきます。FIT制度の固定買取価格は、今後も下落傾向で更新されていくと予想されます。そのため、太陽光発電を新規設置したとしても、手元に残る売電収入は減少します。
一方、中古太陽光発電は、過去の固定買取価格で売電を始められるため、今後は中古太陽光発電へシフトしていくでしょう。
脱炭素化の流れが続くため需要は高まる
日本政府は、2050年までのカーボンニュートラルという目標を掲げました。さらにカーボンニュートラル達成へ向けて、CO2排出量実質0の街づくりや再生可能エネルギーおよび省エネ機器の補助金制度など、さまざまな支援策を実施しています。
自家消費型太陽光発電は、設置しやすく他の再生可能エネルギーより低価格といった強みもあるので、国の支援策と合わせて普及していく可能性があります。
自家消費型太陽光発電は災害対策や企業価値という点でもメリットがある!
自家消費型太陽光発電の導入は、電気料金削減効果につながりますし、余剰買取であれば売電収入も確保できます。また、脱炭素経営に活用できる他、BCP対策としても役立ちます。
弊社和上ホールディングスの自家消費型太陽光発電サービスでは、設備の企画設計から設置工事、設置後の保守点検まで一括サポートしております。
自家消費型太陽光発電に関心をお持ちの方や脱炭素経営を検討している方は、ぜひ1度お問い合わせください。