コラム

NAS電池とは?特徴や課題についてわかりやすく解説!

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近年注目されている蓄電池の1つに、NAS電池があります。鉛蓄電池やリチウムイオン電池、ニッケル水素電池などと異なり、コンパクトかつ大容量の性能を持っているのが特徴です。しかし新しい蓄電池ということもあり、詳細についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、NAS電池の特徴やメリット・デメリット、導入実績や課題について詳しくご紹介します。産業用蓄電池の導入を検討している方や大容量の蓄電池を導入したい方などは、参考にしてみてください。

NAS電池とは何?

NAS電池(ナトリウム硫黄電池)とは、日本ガイシが開発した蓄電システムのことです。日本ガイシは国内の碍子(がいし)メーカーで、蓄電システムの開発も手がけています。(碍子:電柱や変圧器などに取り付け、漏電させないようにするための器具)

日本ガイシが開発したNAS電池は、世界初のメガワット級大規模蓄電システムで、既存の蓄電池より大容量・長寿命・コンパクトといった特徴もあります。

正極には液体硫黄、負極には液体ナトリウム、電解質にはファインセラミックスが用いられており、300℃程度までの過熱で作動する仕組みです。

NAS電池の開発経緯

NAS電池の開発自体はアメリカのフォード社やGE社などで行われていましたが、日本国内では1984年に日本ガイシと東京電力が共同でNAS電池用固体電解質の開発をスタートしました。1989年から電池そのものの研究開発を行い、1990年に日本ガイシが10kW級のNAS電池を開発したのち、少しずつ蓄電容量を増やしていきながら2003年に量産化を実現しました。

しかし、2011年にNAS電池の火災事故が発生してしまいます。日本ガイシは原因の究明と再発防止へ力を入れ、火災の原因(初期不良など)を発見します。その後は基本設計を見直し、2013年に現行モデルのNAS電池を販売していきます。

このように紆余曲折がありながらも実用化に成功した日本ガイシのNAS電池は、日本だけでなくアメリカ、カナダ、ドイツ、イタリア、台湾など、世界中の電力関連施設で活用されています。

NAS電池が用いられる場面

NAS電池の主な用途は、再エネ電力の安定供給とピークカット、非常用電源の3点です。

太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーは、二酸化炭素排出量を抑えた環境に優しい発電システムです。しかし太陽光は日中しか降り注がれませんし、風や水、地熱エネルギーなどは自然環境に応じて大きく変動します。

NAS電池があれば、メガソーラーといった大型の再エネ電源から発電された電気を充電でき、安定的な電力供給を実現できます。

他にも時間帯別プランを契約している企業は、夜間の安い電力をNAS電池に充電することで、電力使用量の多い時間帯に自家消費およびピークカットすることが可能です。(ピークカット:電力使用量の多い時間帯で電力を削減)

また自治体や医療機関、その他の企業にとっては、停電時のバックアップ用電源として活用できます。

NAS電池のメリット

ここからは、NAS電池のメリットについて1つずつ確認していきましょう。

既存の蓄電池より容量が大きい

既存の蓄電よりコンパクトかつ大容量という点は、NAS電池の強みです。NAS電池はメガワットクラスの蓄電容量を実現しています。一般的な産業用蓄電池は、コンパクトなタイプで10kWh台、大容量タイプで100や500kWh台です。いかにNAS電池の容量が大きいのかわかるでしょう。

また、NAS電池はメガワットクラスのシステムでありながら鉛蓄電池の3分の1というサイズで、従来の標準的な蓄電池よりコンパクトな設計です。

自己放電が少なく、持続時間が長い

高出力で持続時間が長いという特性が、NAS電池の強みでありメリットでもあります。

NAS電池の電解質は、一般的な蓄電池と異なり電解液ではなくファインセラミックス(固体)です。蓄電池は自己放電してしまうため、100%の充電量でも少しずつ減少してしまいます。固体の電解質を持つNAS電池は、電解液を用いた既存の蓄電池より自己放電の少ない性質を持っています。

長時間の充電を必要とする現場では、とくに役立つ仕様です。

スピーディなレスポンス

NAS電池はスピーディなレスポンスが特徴で、瞬時に充放電ができます。

日本ガイシのNAS電池は、太陽光発電といった発電システムから充電や放電といった信号を受けた際、ミリ秒単位で応答および調整できます。そのため、電力の安定供給を必要とする再生可能エネルギーと相性のいいシステムといえます。

また、高圧電力を契約している企業は瞬時にピークカットできるため、最大デマンドを抑えられ、基本料金の負担増加を抑制できます。(高圧電力:過去12ヶ月間の中でデマンド(30分間の平均電気使用量)の最も高い値を基準に基本料金を計算)

安全性の試験も行われていて品質管理も充実

日本ガイシでは、NAS電池に関するさまざまな安全性能確認試験を行い、徹底した品質管理に努めています。安全性や品質といった点でも、NAS電池は強みの多い蓄電池です。

安全性能確認試験は、以下のような内容です。

  • 外部短絡試験(外部でショートした場合の安全性チェック)
  • 落下試験(外から強い衝撃を受けた場合の安全性チェック)
  • 外部加熱試験(外部火災が起きた場合に安全性を保てるかチェック)
  • 水没試験(水没させた場合の安全性をチェック)

さらに15年間、4,500サイクル使用可能な性能を持っているので、長期間運用することが可能です。

NAS電池のデメリットと課題

NAS電池のデメリットについて1つずつ確認していきましょう。

コストが高い

NAS電池の初期費用は、1kWにつき24万円程度と他の蓄電池より高めです。初期費用の負担が大きいという点は、デメリットといえます。

以下に各蓄電池の費用を紹介します。

  • リチウムイオン電池:1kWにつき20万円程度
  • 鉛蓄電池:1kWにつき15万円程度
  • ニッケル水素電池:1kWにつき10万円程度
  • NAS電池:1kWにつき24万円

NAS電池の費用は、一般的な蓄電池と比較して高い傾向にあります。ただし、コストパフォーマンスという点においては、NAS電池の方が優れています。kWh単価では、NAS電池が2.5万円程度で、他の蓄電池の10分の1程度です。

電力の安定供給やピークカット、バックアップ用として長期間利用可能で、瞬時に放電可能な蓄電池を探している企業にとって、最適な蓄電池といえるでしょう。

ナトリウムや硫黄が危険物

危険物のナトリウムや硫黄が用いられており、内部の温度は300℃を超えるのもデメリットといえます。そのため、安全を確保できる場所に設置することが運用面で注意すべきポイントです。

日本ガイシでは、NAS電池の安全性や品質管理を徹底しています。さらに電池内部で断熱処理が行われていますし、稼働の安定性という点でも強みもあります。

ただし、300℃を超える高温状態で充放電が行われ、負極の液体ナトリウムは水を活用した消火剤で鎮火させにくい性質を持っています。

そのため、万が一の火災に備えて、安全を確保できる場所で設置運用したり消火設備などを設置したりすることが必要になります。

メンテナンスが必要

NAS電池はメンテナンスフリーではありません。運用管理の手間を省きたい事業者にとっては、デメリットに感じることでしょう。

日本ガイシでは、日常点検として運転中の目視点検や軽微な清掃といった作業を求めています。また、機能確認試験やファンとフィルターといった消耗品の定期的な交換が推奨されており、消防法で定められた法定点検が運用の際に必要です。

ただ、日本ガイシは運用管理に関するサポートとして、NAS電池の遠隔監視サービスや自動制御といったサービスを提供しています。専門スタッフによる常時チェック体制が敷かれているので、異常発生時にも安心です。

NAS電池の導入実績

日本ガイシのNAS電池は、これまで世界200か所以上に設置されています。国内では、合計51万kWの導入実績を記録しています。中でも工場の導入数が伸びていて、全体の50%以上を占めています。

導入事例の1つとして、電子部品メーカーの山一電機がNAS電池と太陽光発電システムを設置しています。山一電機は、2019年の台風によって3日間の停電と生産活動停止という損害を受け、BCP対策としてバックアップ用電源の導入を模索していました。

NAS電池と太陽光発電の導入後は、非常用電源としての役割だけでなく、発電した電気の効率的な自家消費によって25%程度の買電量削減を実現しています。また、脱炭素経営にも役立っていて、さまざまなメリットを得ています。

NAS電池は将来性の高い大型蓄電池

NAS電池は、既存の蓄電池と比較して長寿命かつコンパクトで、メガワットクラスの蓄電容量にも対応しています。口内では日本ガイシが業務用NAS電池の実用化に成功し、すでにさまざまな場所で活用されています。

なお、住宅向けの蓄電池を導入したい場合は、シャープやニチコン、オムロンなどから販売されている家庭用蓄電池を検討してみるのがおすすめです。

電気料金の削減方法を模索している方や災害対策として蓄電池や太陽光発電を導入したい方は、この機会にとくとくショップで比較検討してみてはいかがでしょうか?

とくとくショップは、自社施工の蓄電池販売サービスを提供しています。DMMのmake solarやネクストエナジー、シャープ、ニチコン、オムロン、京セラなど、さまざまなメーカー、蓄電容量・種類の蓄電池を取り扱っているので、お客様のライフスタイルやご予算に合わせてお選びいただけます。

また、2年に1度のメンテナンスサービスによって、蓄電池の品質を保ちながら長期間利用することが可能です。

サービス内容や蓄電池の種類などが気になる方は、お電話やWebフォームよりぜひお気軽にご相談ください。

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