コラム

今後、太陽光発電は損になるって本当?その真偽と今後のベストモデルを解説

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太陽光発電は普及が進んできたこともあって、「今さら始めても、今後は損なのでは?」と考える人が多くなっているように感じます。もちろんこれはあくまでも噂レベルの話ですが、実際のところはどうなのでしょうか?

当記事では今後の太陽光発電について、損なのか、トクなのか、今後導入するのであればどんなモデルが最適なのかについて、シビアに検証してみたいと思います。

これから太陽光発電を導入しようとお考えの方は、「こんなに時代は変わったのか」と感じること間違いなしです。ぜひ最後までお読みください。

「今後、太陽光発電は損をする」説の根拠

「今後は太陽光発電を導入しても損」と言われることには、いくつかの「根拠」があります。それぞれの根拠についてファクトチェックを行うとともに、取りうる対策についても解説します。

買取価格がどんどん下がっている

太陽光発電を導入すると、FIT(固定価格買取制度)による電力の買い取りが保証されています。その期間は、10年です。10年間は買取価格に「下駄」が履かされているので、高く買い取ってくれます。そのため、昼間に太陽光発電による発電量が家庭内の消費量を上回ると売電が行われ、それが収入源になります。初期の太陽光発電では、このFITによって導入コストをいかに回収できるかが注目されていました。

しかし、それは買取価格が高かった時代の話です。以下のグラフをご覧ください。

画像01

引用元:FIT制度のおさらいと卒FITについて(オムロン)

家庭用医療機器などでおなじみのオムロン社がまとめた、FITによる買取価格の推移です。ご覧のように、見事な右肩下がりです。最初は48円もあった買取価格が17円になっているので、半分以下です。

こんなに買取価格が下がってしまっていることに加えて、このグラフを見るとさらに買取価格が低くなると考えるのが自然です。そんなに買取価格が安くなるのだから、損に決まっているというのが1つめの根拠です。

FIT(固定価格買取)が終了するとさらに買取価格が下がる

先ほど紹介したFITによる買取価格は、10年間適用された後で期間満了となります。期間が満了すると「下駄」の分がなくなるため、買取価格はさらに低くなります。高くても10円、もしくはそれ以下という場合が多いので、ただでさえFITによる買取価格が下がっているのに、11年目からはさらに低くなるので太陽光発電を導入しても今後は損しかない、というわけです。

補助金がない

かつて太陽光発電には、国による補助金制度がありました。この制度は家庭用太陽光発電を普及させるのに大きな役割を果たしたことは間違いなく、その恩恵によって太陽光発電を導入した家庭は多いと思います。

しかし、すでにこの国による補助金制度は終了しており、現在は適用されません。すでに家庭向けの普及を促進するという役割を終えたというのが理由なので、今後も復活することはないでしょう。

補助金がないと自分の資金だけで導入することになるので、以前より損になるというのも、よく聞かれる声です。

これから設置する場所は不利になる可能性

これは家庭用だけでなく事業用の太陽光発電にもいえることですが、太陽光発電は立地が発電量を大きく左右します。日当たりが良いことが何よりも重視されるため、太陽光発電に適している土地にはすでに発電施設がある可能性が高く、今後新たに太陽光発電に参入しようと思っても不利な立地条件のところが多いのではないか、という意見があります。

それだと今後は導入しても損になるかもしれないと言われていますが、さすがにこれは言いすぎな部分もあると思います。日本全国、十分な日照量がある場所はほぼ無限にあるので、好適地がないというのはそもそも開発が進んでいないだけだと思います。

電力の使い方が太陽光発電を必要としていない

これから太陽光発電を導入しようとしている家庭の中には、そもそも太陽光発電との親和性が低い場合があります。極端に電力使用量少ない家庭は、太陽光発電によって電力の自給自足をしようにも「自足」がないので、オトク感が少なくなってしまいます。

これは「今後」という話ではなく、そもそも太陽光発電を導入するのに不向きなケースといえます。

施工店や販売店のなかには、こうした太陽光発電に不向きな家庭にセールスをかけて販売しようとする業者もあります。そういった業者の言葉巧みなセールスによって導入したものの、実は損だったというのはとても残念なことです。

損どころか今後も太陽光発電には多大なメリット

前章では今後の太陽光発電が損であるとする根拠を紹介しました。それぞれの根拠には一理がありますが、実際にはそれを上回る多大なメリットがあるので、次は今後の太陽光発電が損どころかメリットだらけである根拠を述べたいと思います。

電気代の上昇が止まらない

電気代の上昇が止まりません。理由はさまざまですが、大きな理由として挙げられるのはロシアによるウクライナへの侵略戦争によるエネルギー価格の不安定化、そして世界的に進行するインフレによる資源高などです。これらの理由はいずれも構造的なものだけに、一時的な影響だけで終わらないというのは識者の共通した意見です。

電気代が上昇し続ける以上、太陽光発電による電力の自給自足は強力な対策になります。最初に導入してしまえば、自宅で作られる電力は元手がタダです。太陽光は無料で利用できる無尽蔵のエネルギーなので、それを利用して買電分を減らすと、今後さらに太陽光発電のメリットは大きくなります。太陽光発電を導入している家庭と、そうでない家庭の格差は広がる一方です。

再エネ賦課金が上昇する見通し

電気料金には、再エネ賦課金が加算されています。再生可能エネルギーの利用・普及を促進するために徴収されるもので、これも電気代を高くする原因になっています。

しかも以下の表の表に、再エネ賦課金は年々上昇しています。

適用年 再エネ賦課金(1kWhあたり)
2019年 2円95銭
2020年 2円98銭
2021年 3円36銭
2022年 3円45銭
2023年 1円40銭

ご覧のように、再エネ賦課金は年々上昇しています。2023年だけ低くなっているのは、国による電気代高騰を抑制する政策のためです。この措置がなければ再エネ賦課金はこれまでと同様に上昇していたことでしょう。

この再エネ賦課金は1kWhあたり●●円として加算されるため、電力使用量が多くなるほど負担も大きくなります。太陽光発電による電力の自給自足を進めれば再エネ賦課金の加算分も少なくなるため、こちらも今後の太陽光発電における大きなメリットとなります。

太陽光発電システム価格が安くなっている

先ほど国による太陽光発電への補助金が終了したことについて述べました。これは確かに損ではありますが、実は太陽光発電システムの価格は以前と比べると大幅に安くなっています。

導入費用が安くなっているのだから補助金は必要ないというのも一理ある話で、今後の太陽光発電は補助金に頼らなくても十分高いコストパフォーマンスを発揮できます。

ちなみに、太陽光発電システムの価格が下落していることには、主に3つの理由があります。いずれも合理性のある理由なので、この傾向は今後も続くと見られています。

  • ・全世界的な普及によって大量生産が可能になり、コストダウン
  • ・製造技術が向上し、コストダウン
  • ・メーカーの規模が拡大してスケールメリットがより大きくなった

これまで設置できなかったような場所にも設置可能に

太陽光発電は世界的に導入が進んでいる再生可能エネルギーだけに、メーカー間の技術開発競争は依然として活発です。こうした競争の結果、これまで設置できなかった場所、設置しても満足のいく発電量が得られなかったような場所にも太陽光パネルを設置して発電が可能になりました。

立地や日照量などの条件で太陽光発電の導入を断念していた人にも、今後さらにそのチャンスが広がるでしょう。

営農スキームといって農業と太陽光発電を併用するモデルがありますが、これも従来の技術では不可能とされてきたものです。このように続々と技術革新が問題を解決しているので、今後さらにメリットの大きな太陽光発電が可能になると思われます。

発電効率の向上で生産性アップ

技術革新は、太陽光発電の発電効率にも多大な貢献をしています。発電効率とは同じ量の太陽光線があるなかで、より多くの電力を生み出すことができる力のことです。発電効率が高くなるほど狭い場所や条件の悪い場所にも太陽光パネルを設置できるようになるため、今後さらに技術革新が進めば意外なところが「発電所」になるかもしれません。

太陽光発電システムの耐久性が向上している

これも技術革新による恩恵として、太陽光発電システムの長寿命化が挙げられます。従来の太陽光発電システムはパワーコンディショナーが10年程度、太陽光パネルは20年程度とされてきました。

しかし近年ではこうした機器類の長寿命化が進んでおり、以前の太陽光発電にあったような寿命の常識が通用しなくなってきています。長寿命化はコストパフォーマンスの向上につながるため、今後の太陽光発電は30年、40年と使い続けることで経済的メリットがより大きくなります。

これからの太陽光発電で損をしない導入モデル

損よりもむしろメリットのほうが多い今後の太陽光発電について解説しました。しかしながら、太陽光発電であれば何でもよいわけではありません。メリットを最大化するモデルがあるので、ここでは理想的な導入モデルの考え方について解説します。

蓄電池の設置がメリットを最大化する

現在の太陽光発電は、蓄電池の設置が前提になっているケースが多く見られます。太陽光発電は文字通り太陽光がなければ発電をしないため、夜間や悪天候の日は発電しないことがネックになっていました。

それを補うのが、蓄電池です。太陽光発電によって生み出された電力を蓄えておいて、太陽光パネルからの電力供給が無いときは蓄電池にある電力を使用します。これにより、家庭内で電力の自給自足がより100%に近いものになります。

最初から自給自足を前提にした設計の家も登場しており、自給自足が完成すると電気代がどれだけ高くなったとしても全く影響を受けません。

FITに依存しない自家消費モデル

蓄電池を導入すると、「卒FIT」にも強い耐性が得られます。FITは家庭用で10年、産業用で20年の固定価格買取が保証されますが、それが終わってしまうと買取価格は著しく低下します。

近年では続々と卒FITを迎える家庭向けに蓄電池による自家消費モデルが推奨されていますが、このモデルはそもそもFITを前提としていないため、高い持続可能性があります。

11年目以降もFITの終了に全く影響されない自家消費モデルを最初から導入しておくことは、電気代高騰と卒FITの悩みから解放される理想の太陽光発電といえます。

自立運転で災害対策

東日本大震災では、太陽光発電が大きく注目を集めました。地震と津波によって送電網が壊滅的なダメージを受けてしまい、被災地は長期間にわたって停電を余儀なくされました。しかし、そんななかで太陽光発電を導入している家庭では引き続き電力を使うことができたため、最低限の利便性が得られました。

災害時に自家発電した電力を使うのは、自立運転モードといいます。自立運転モードでは太陽光が十分にある昼間しか電力を利用できませんが、それでも完全に停電してしまうのと比べると利便性は段違いです。そんな家庭が近隣の人のためにスマホの充電などのために電力を解放したことも話題になりました。

災害大国の日本においては、リスク管理の観点からも太陽光発電による発電能力を保有することは平時でも大きな安心感をもたらしてくれます。

まとめ

「今後はもう太陽光発電を導入しても損なのでは?」という疑問をお持ちの方に、損だといわれる根拠と実際のところはどうなのかについて解説しました。損であるといわれる根拠のほとんどは限定的なもので、むしろ今後さらに太陽光発電のメリットが大きくなることが必至です。太陽光発電を導入してからのメリットは長く続くので、早く導入するほどメリットの総和は大きくなります。

まずはご自宅にどの程度の発電設備を導入できるのか、そのためにはどの程度の予算が必要なのかといったように、情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。

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