太陽光発電の導入を検討している時に、「どこの太陽光パネルを選ぶべきか」は大きなポイントになります。事実、太陽光パネルメーカーによって特徴は大きく異なるため、最適なパネルを選ぶことは太陽光発電の成否に直結します。
当記事では主要な太陽光パネルメーカー7社を紹介し、それぞれの特徴を比較してみたいと思います。また、太陽光パネルメーカー選びと同じくらい重要な施工店選びについても解説しますので、これから太陽光発電を導入したいとお考えの方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
太陽光パネルのメーカー選びが重要な理由
太陽光パネルのメーカーは、主要なメーカーだけでも世界に数十社あります。日本国内で選びやすいパネルメーカーだけを見ても10社以上はあるので、どこを選べばいいのか迷ってしまいます。もちろん施工店によってもおすすめのパネルメーカーがあるので、提案時にはその施工店が代理店をしているパネルメーカーを勧められることが多いと思いますが、果たしてそれが正解なのか?と考えるとますます決めかねてしまいます。
太陽光発電を導入する際にパネルメーカー選びがなぜ重要なのか、その理由を4つのポイントで解説します。
パネルメーカーによって発電能力が違う
太陽光パネルは、太陽光線を電気エネルギーに変換します。これを電力にすることで自家発電が可能になるわけですが、太陽光パネルメーカーによって発電能力にかなりの違いがあります。後述しますが、発電能力がとても高いのは東芝です。発電能力が高い単結晶シリコンを採用し、特定の条件で集中的に発電能力が高まるようになっているため、条件選びを間違えなければ高い結果が得られます。
日光がある時間帯はすべてが発電時間なので、発電能力の違いは太陽光発電システムを長く利用すればするほど大きくなります。もちろん高性能パネルは価格も高くなるので、コスパ重視か?発電能力重視か?というのは、十分な精査が必要です。
パネルメーカーによって価格が違う
価格も、パネルメーカーによって大きく異なる部分です。おそらく比較検討をする際に最も気になる部分ではないでしょうか。1kWあたりの単価を見ると最も安いカナディアンソーラーは16万円台であるのに対して、サンテックは34万円台です。実に2倍もの差があるので、これが設置費用全体となると大きな差になります。
多くの場合、価格差は性能差に比例しているので、価格が高い=損というわけではありません。しかしながら太陽光発電に何を求めるのかは人それぞれなので、価格重視なのであれば安いパネルメーカーを軸に比較検討するべきです。
パネルメーカーによって重さが違う
太陽光パネルは一見すると同じに見えるかもしれませんが、発電を行うモジュール部分素材だけでなく、それ以外の部分の素材にも違いがあります。そうなると価格面だけでなく、太陽光パネル自体の重さにも違いが出てきます。
太陽光パネルの重さを比較検討する必要があるのは、屋根の強度に影響を及ぼすからです。最初から太陽光パネル付きの家を新築するのであれば、太陽光パネルの重さを考慮した設計になるため、あまり重さで比較検討する必要性はないかもしれません。
問題は、後付けといって既存の住宅に太陽光パネルを取り付ける場合です。屋根に重いものを載せる前提になっていないため、重量によっては屋根を破損したり家の強度に影響を及ぼす可能性があります。そのため、後付けで太陽光発電を導入する場合は特にパネルメーカーによって異なる重量を比較検討する必要があります。
パネルメーカーによって耐久性が違う
耐久性も、太陽光パネルの重要な比較項目です。長く使えることはコストパフォーマンスに直結するので、長く使える太陽光パネルほど優秀ということになります。太陽光発電の普及が進み始めた時期から現在で10年少々になるため、初期に太陽光発電を導入した家庭や事業所などでは寿命の到来が課題になりつつあります。寿命を迎えた太陽光パネルは発電効率が低下し、さらに年数が進むと全く発電しなくなってしまいます。これをいかに長寿命化するかは大きな費用差になるため、これから太陽光発電を導入する方は耐久性や寿命にも十分な比較検討をするべきでしょう。
寿命については各社競い合っているので、必ずしも価格が高いパネルでなければ長持ちしないといったことはありません。価格だけでなく寿命面も含めたコストパフォーマンスを精査しましょう。
編集部おすすめの太陽光パネルメーカー7社と比較ポイント
それでは、主要な太陽光パネルメーカーを7社紹介し、それぞれの特徴を比較していきたいと思います。
パナソニック
総合家電メーカーとして知られるパナソニックですが、かつて太陽光パネルの圧倒的な開発力で名をはせた三洋電機を買収し自社の部門としていることから、その強みを引き継いでいます。
HITシリーズは今もなお高品質かつ高出力の太陽光パネルとして有名で、ひとつのブランド価値を確立しています。
ただし、パナソニックは2021年に太陽光パネル生産事業から撤退しました。撤退といっても販売やサポートなどをすべてやめてしまうのではなく、撤退するのは自社による生産だけです。引き続き外部業者で委託生産されたパナソニック製品は販売され、関連機器も購入可能です。パナソニックブランドは今後も健在なので、品質を求める人にとっては最有力の選択肢となるでしょう。
カナディアンソーラー
社名の通り、カナダに本社がある太陽光パネルメーカーです。同社自身もアナウンスしているように環境先進国であるカナダのメーカーだけあって、環境負荷の軽減やエネルギー問題の解決など、社会問題の解決を主目的としているところが大きな特徴です。
日本市場にも早くから参入しているので、すでに太陽光発電を導入している家庭のなかにはカナディアンソーラーの太陽光パネルを設置している事例も多いことと思います。変換効率が20%を超えている性能を発揮しつつ、低価格を維持していることも強みです。そのためコストパフォーマンスで太陽光パネルを選ぶ人から強い支持を得ています。モジュール変換率といって太陽光パネル内での電力変換効率も高く、悪天候の日でもしっかり稼働することにも定評があります。
Qセルズ
もともとはドイツの太陽光パネルメーカーだったのですが、2012年に経営破綻してしまいました。そのQセルズを韓国のハンファという企業グループが買収し、現在に至ります。世界的なシェアも高く、シェアの高さゆえにスケールメリットをいかしやすいことから価格の安さを売りにしています。
また、もともとドイツのメーカーであることが現在の強みにも通じています。というのもドイツは環境先進国ではあるものの年間の日照量が少ないため、太陽光発電には不向きなお国柄です。そんなドイツ国内で普及を進めるためにQセルズの太陽光パネルは悪天候の日など条件が悪い場合であってもしっかり発電ができるように設計開発されています。2012年の買収によって経営母体は韓国ハンファですが、今もQセルズの太陽光パネルはドイツ国内で研究が続けられています。この伝統的な強みにより、日本国内では日照量の少ない雪国などでの使用に適しています。
シャープ
シャープは太陽光発電との関わりがとても長く、その歴史は半世紀以上になります。日本の太陽光発電がまだまだ普及していなかった当時に先行してパネルや関連機器の開発を行い、一時代を築きました。太陽光パネルの開発歴が長いこともあって品質にも定評があり、今もそのブランド価値は健在です。
近年では中国など海外勢に押される形で知名度が若干低くなった感もありますが、太陽光パネルの生産は依然として続けられており、特に日本国内市場では品質面に加えて太陽光パネルの種類が豊富であることから日本家屋にマッチしたパネルを調達しやすいなどの強みがあります。
長州産業
「長州産業」という社名をあまり聞いたことがないかもしれませんが、太陽光発電業界では高いブランド価値を持つ「大手」です。パナソニックやシャープなどのように他の分野での知名度がないことから知る人ぞ知るメーカーですが、品質面や発電性能では業界トップクラスの実力を誇ります。
単結晶シリコンメーカーは他にもありますが、多くの太陽光パネルメーカーが製品を海外で生産しているのに対し、長州産業はすべての工程を国内でまかなっているため、純国産メーカーです。
変換効率は20%を超えているので、他社と比べても高い変換効率を有しています。国内生産ということで品質面での安心感が大きく、家庭用の太陽光発電での採用事例が多いです。
東芝
TOSHIBAの名称で世界的に知られる太陽光パネルメーカーです。太陽光パネル以外にも家電やパソコン関連、はたまた原子力発電所の製造も手がけるなど、とても広いラインナップを誇ります。
発電効率が高い単結晶シリコンの太陽光パネルを手がけ、発電性能の高さと耐久性が強みです。いわゆる「高級品」を担うメーカーなので価格は決して安くはありませんが、長期間にわたって高い発電性能を求めるのであれば有力な選択肢です。
京セラ
世界的なシェアはそれほど高くはないものの、日本国内では高いシェアと信頼性を有しているのが京セラです。太陽光パネル以外にもさまざまな家電関連、産業用電子機器などを手がけているので、会社としての信頼度も十分です。
太陽光パネルの種類がとても多く、あらゆる形状の場所であっても細かい敷き詰めることができるため、屋根の形状が複雑な家などの設置に適しています。
太陽光発電は「施工力」も比較しよう
当記事では太陽光パネルメーカーの比較をしたい方に向けて情報を提供していますが、実際に太陽光発電を導入するとなるパネルメーカーの比較をしただけでは成功するとは限りません。
買ったら後に自分で使えるようにできるのであれば問題はありませんが、太陽光発電は設置工事が必要です。せっかく優秀な太陽光パネルを購入したとしてもそれを正しく取り付けなければ性能を発揮できません。
そこで、太陽光パネルメーカーの比較と同様に重要な、施工店選びについて解説します。
優秀なパネルも施工力次第
太陽光パネルメーカーそれぞれに特徴があるように、施工店にも特徴があります。もちろん施工店によって得手不得手もあるので、依頼するのであればその分野に強い、そのメーカーを得意とする施工店を選ぶべきです。
それぞれの施工店には、取り扱いメーカーがあります。仮にシャープの太陽光パネルが気に入ったからといっても、シャープを取り扱っていない施工店に依頼しても意味がありません。取り扱っていないことから購入しづらいだけでなく、シャープの太陽光パネルの特性を理解していないと施工の品質も高められないからです。
太陽光パネルの性能をいかんなく発揮するためには、そのメーカーに強い施工店を選びましょう。
良い施工会社とは?
あるパネルメーカーを取り扱っていて工事を得意とする施工店があったとしても、その施工店が「良い施工店」であるかどうかは分かりません。
それでは、「良い施工店」とは、どんな業者のことを言うのでしょうか。施工技術や品質、仕上がりへのこだわりなど技術的な比較検討はもちろんのこと、やはり大切なのは誠意です。顧客目線で仕事ができるかどうかは何の商品やサービスについても同じだと思いますが、太陽光発電は取り付けてナンボ、使い続けてナンボなので、余計に施工店の誠意は大切です。
「誠意」をポイントに施工店の良し悪しを見極めるには、とにかく話してみることです。要望を伝えて、それに対してどんな提案があるかをしっかりと観察してください。なかには実現不可能な要望もあると思いますが、そんな時にどこまで寄り添ってくれるか、代替案を提示してくれるかといった点に注目していると、付き合うべき施工店であるかどうかが見えてくると思います。
長く使うほど品質の差が大きくなる
太陽光発電は長期間にわたって使い続けることで、そのメリットがどんどん大きくなります。特に昨今は電気料金の高騰が問題視されていますが、この傾向は今後も続くと見られています。
太陽光発電は無料で手に入る太陽光をエネルギーとして自家発電ができる仕組みなので、電気代が高くなるほどお得感は大きくなります。しかし、そのためには太陽光発電システムが自宅の環境に最適である必要があります。そのためには太陽光パネルのメーカー比較が重要ですし、パネルの性能をいかすための施工店選びが重要になるわけです。
特定のパネルメーカーしか取り扱っていないという施工店はあまりないので、それぞれの施工店が取り扱っているメーカーのなかで要望に最も合致するメーカーはどれなのかといった提案を受けてみて、その提案内容を精査するのも有効な方法です。
数字は嘘をつかない
数字は客観的なデータなので、最も嘘をつかない情報です。「お客さま満足ナンバーワン」というキャッチコピーがあったとしても、それは客観的な情報ではありません。「●●調べによる顧客満足度ランキングで1位」といわれたら、それは客観的データに基づく「ナンバーワン」です。
これと同様に、施工店選びでは客観的なデータである数字に注目してください。これまでの施工実績やリピート率、紹介率などはいずれも顧客満足度を示すデータなので、こうしたデータを提示してもらうのも施工店選びに有効な方法です。
もし、こうしたデータを出すことを渋るような施工店であれば、それは候補から外しても問題ないでしょう。
まとめ
当記事では太陽光発電の導入を検討している皆さんに向けて、太陽光パネルメーカーを比較検討する方法、そして太陽光発電の真価を発揮するための施工店選びについて解説しました。決して安いものではなく、ポケットマネーで購入できるものではないので、これらの解説を十分に理解した上で失敗しないメーカー選び、施工店選びに役立ててください。