コラム

太陽光発電の「保証」は何を保証される?保証内容の見方と比較検討方法

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太陽光発電には、さまざまな保証があります。ひと口に保証といっても何を保証してくれるのか?保証内容でメーカーや施工会社を選ぶにはどうすればよいのか、イマイチ分からないという人は多いと思います。

そこで当記事では太陽光発電の保証について、その内容やメーカー間の違い、さらに保証という視点でメーカーや施工会社を選ぶ方法について解説します。

太陽光発電の保証って、何を保証しているの?

太陽光発電の保証には、いくつかの種類があります。どんな保証かによる分類だけでなく、誰が保証するのかという点でも違いがあるので、それぞれの保証について個別に解説します。

太陽光パネルの出力保証

出力保証は、太陽光パネルメーカーが設けている保証制度です。出力とは、太陽光パネルで生み出された電力の「量」のことです。出力が高いほど、多くの発電ができていることになります。

太陽光パネルメーカーは自社の製品がどれだけの出力があるかを性能として公開しています。施工会社や利用者はそのスペックをもとに太陽光パネルを選ぶわけですが、それが看板倒れでカタログスペック通りになっていなければ「話が違う」となってしまいます。そうなった時にメーカーが保証をするのが、出力保証です。

この出力保証はJISによる基準が決められています。その基準は、以下の通りです。

  • 太陽光パネルの表面温度が25度
  • 日照量が1平方メートルあたり1,000W
  • 太陽スペクトルAM(エアマス)1.5

少々分かりづらい点もあります。日照量のWは明るさの単位であるワットのことです。室内の照明では100Wだとかなり明るいですが、JISの基準はその10倍にあたる1,000Wです。

3つ目の太陽スペクトルAM(エアマス)というのは、太陽光が通り抜ける空気の量のことです。垂直に太陽光が降り注ぐ場合は最短距離で太陽光パネルに到達しますが、斜めに太陽光が入るとそれだけ太陽光パネルまでの距離が長くなり、通り抜ける空気の量も多くなります。AM1.5というのは、垂直に太陽光が到達するのと比べると1.5倍の空気を通り抜けるという意味です。

この3つが揃っている条件でスペック通りの出力が得られなければメーカーは出力保証を適用します。

多くの太陽光パネルメーカーは出力保証の期間を25年としていますが、一部国産メーカーを中心に20年のところもあります。

システム保証(機器保証)

システム保証を簡単に言うと、太陽光発電システムに関連する機器類の初期不良や通常通りに使用しているのに問題が生じた場合などに適用する保証のことです。先ほどの出力保証は太陽光パネルを対象としたものですが、システム保証はパワーコンディショナーなど他の機器にも適用されます。なお、システム保証は「機器保証」ともいいますが、太陽光パネルの取付金具など機械ではないものも対象に含まれています。

多くの太陽光パネルメーカーは10年もしくは15年の保証期間を設けています。おおむねこのシステム保証で実際の保証が適用されるのは、パワーコンディショナーです。パワーコンディショナーは寿命が15年といわれており、15年の保証がつけられているメーカーの製品であれば保証期間内に新しいものに交換できる可能性があります。

自然災害保証

太陽光発電にとって最もリスクがある自然災害は、台風です。太陽光パネルは平面状をしているので風による影響を受けやすく、台風によって破損したり、飛んでしまったりといった被害が実際に発生しています。

自宅の屋根についている太陽光パネルが損傷してしまうだけでもかなりの損害ですが、飛んで行った太陽光パネルが他人の家に損害を与えてしまったとなると、影響は計り知れません。

そこで用意されているのが、自然災害保証です。台風による被害だけでなく、火災や雪の重みによって太陽光パネルが破損した場合なども適用されるのが大半です。

ただし、自然災害補償は施工会社が保険に加入していることが条件になっている場合があるので、すべてのケースが保証がついていると過信せずしっかりと確認しておきましょう。

独自のユニークな保証① 施工保証

太陽光発電システムは購入しただけでは使えず、設置工事をしなければなりません。そのため、パネルやコンディショナーなどの品質に問題がなくても、施工会社の工事がまずければ期待通りの性能を発揮できないことがあります。これだけなら施工会社選びがまずかったということで保証の対象にはなりませんが、問題は工事に問題があることで屋根にダメージを与えて雨漏りが発生してしまうような場合です。

そんな時に適用されるのが、施工保証です。これは太陽光パネルメーカーである長州産業だけが導入している独自の保証で、同社が認定している施工会社に依頼したものの問題が起きてしまった場合に適用されます。

独自のユニークな保証② 日照保証

メーカー独自の保証としてユニークなものに、Qセルズの日照保証があります。気象庁が発表している平均日照量を下回る日照量しか得られず、十分な発電ができなかった時に適用される保証制度です。

保証期間は1年間なのでそれほど長くはありませんが、最初からいきなり期待通りの日照量が得られなかったらどうしよう、という不安に応えてくれる制度といえます。

独自のユニークな保証③ 複合的な保証

ここまでの解説で、太陽光発電の保証にはメーカーによる出力保証やシステム保証があることが分かりました。これに加えて、施工会社の中には施工品質や発電の内容についての保証を設けているところがあります。

メーカーによる保証だけでは不安であるという場合は、施工会社が設けている独自の保証にも目を向けてみましょう。例えば、和上ホールディングスには「トリプル保証」といって、製品の10年保証、工事の15年保証、そして災害の10年保証が独自に設けられています。それ以外にも無料の定期点検を実施するなど、太陽光発電は設置したら終わりではなくそこから重要であるという考え方が制度化されています。

施工会社にはこのように独自の複合的な補償制度を設けているところがあるので、これも施工会社選びの判断材料とするのが良いと思います。

保証を受けられないことがあるって本当?

ここまで太陽光発電の保証について解説してきましたが、保証はあくまでも不可抗力によって不利益が発生した時に適用されるものであり、購入者の期待通りにならなかったら何でも保証されるわけではありません。

最初にこの点を理解しておかないと、適用される可能性の低い保証を当てにしてしまい、「こんなはずではなかった」ともなりかねません。

ここでは保証を受けられないケースについて解説していきますので、太陽光発電の導入前にしっかり理解しておきましょう。

保証期間が過ぎたら適用外

当然のことですが、太陽光発電の保証には保証期間が定められており、その保障期間を過ぎたら適用外になります。これがなかなか絶妙で、太陽光パネルメーカーの保証期間は問題が起きにくい期間になっていることがほとんどです。メーカーとして何でも保証していてはビジネスにならないので、統計的に問題があまり起きていない期間を保証期間としています。

もちろんこれは悪意のあることではなく、各メーカーが自信をもって性能を保証できる期間を保証しているわけで、この期間を過ぎたら自己責任で対応することになります。

出力保証が適用されるには条件がある

太陽光パネルメーカーが提供している出力保証には、先ほども解説したように適用の条件があります。この条件はメーカーが定めているのではなく、JISの規格として定めているものなので、ほとんどのメーカーはその基準に準拠しています。その条件を、もう一度確認してみましょう。

  • 太陽光パネルの表面温度が25度
  • 日照量が1平方メートルあたり1,000W
  • 太陽スペクトルAM(エアマス)1.5

これらの条件が揃っていることが出力保証の条件となります。これらの条件を簡単に言いかえると、太陽光発電の恵まれた条件です。これだけ恵まれた条件下であってもスペック通りの発電をしなければ、それは保証しましょうというわけです。

実際にこれだけの条件が揃って出力保証が適用された事例はあまりなく、ひとまず太陽光パネルメーカーが広告の一環として設けていると指摘されている部分もあります。

もちろん条件が揃えば適用されている事例もあるのですが、個人の購入者にとっては大きな問題があります。それについては、次項で解説します。

期待通りの出力が得られないことを証明する必要がある

先ほど紹介した、出力保証の適用条件。これを見て、「どうやって証明するの?」と感じた方は多いのではないでしょうか。実はこの部分が個人にとっては大きなハードルになっています。これらの条件が揃っていることを証明するには、第三者的な専門家に依頼する必要があります。それには当然費用もかかるので、個人が簡単に調査できるものではありません。

また、実際に太陽光パネルメーカーの落ち度によって期待を大きく下回る発電量になることはごく稀で、ほとんどは誤差の範囲に収まっています。そのため、わざわざ費用を払ってまで出力保証を求める人はあまりいないわけです。

しかしながら出力保証という制度は今後もなくなることはないと思われるので、著しく問題があると判断した場合は、専門家に委ねてでも出力保証の適用を模索するべきでしょう。

自然災害保証はメーカーによって対応が分かれる

台風に弱い太陽光発電では自然災害への備えも重要ですが、メーカーによっては自然災害保証が付けられているので、万が一の事態になっても保証が受けられる可能性があります。

ここで重要なのが、「メーカーによっては」という部分です。すべての太陽光発電メーカーが自然災害保証を無条件でつけているわけではなく、メーカーによっては無料である一方で、別のメーカーでは有償であることもあります。有償であるということは、購入者が意思表示をして必要な費用を支払わなければ台風によってダメージを受けても保証されることはありません。

これはとても重要なことなので、購入前からしっかりと有無や対応を確認しておきましょう。

施工会社の保証は良心に基づくサービスも

太陽光パネルメーカーの保証は明文化されているので、その条件に合致しなければ対象になることはありませんが、施工会社による保証はそこまで四角四面なものではなく、良心に基づく対応が期待できることもあります。

施工会社は購入者と最も近い関係にあるため、定期的な無料点検をしたり、出力の監視や遠隔地の太陽光発電所のメンテナンスを手がけているところもあります。こうした施工会社は太陽光発電を導入してからが重要であることを理解しているので、明文化された保証の対象外であっても良心に基づく対応をしてくれることがあります。

もちろんそういった対応は施工会社の判断次第なので強制はできませんが、誠意をもって相談をすれば、誠意ある対応が得られるかもしれません。

メーカーや施工会社の保証以外に備える方法

太陽光パネルメーカーや施工会社が設けている保証制度だけではすべてのリスクに備えられないと感じる方に向けて、それ以外の方法でリスクに備える方法についても解説したいと思います。

ここで軸になるのは、火災保険です。

火災保険

火災保険は損害保険の一種で、主に火災や地震といった損害を保証するためのものです。持ち家の方は自宅に火災保険を掛けていることが大半だと思います。屋根に設置されている太陽光パネルを含む機器類も住宅の一部と見なされ火災保険で保証を受けることが可能です。

火災保険は名称こそ「火災」となっていますが、実際にはさまざまな自然災害を含む建物への損害をカバーしています。

ただし、自然災害による損害はメーカーによる自然災害保証と重複することもあります。それだと保険料がもったいないので、メーカー保証が切れた時期から加入するなど、無駄のないように利用するのが良いでしょう。

まとめ

「太陽光発電には保証がある」ということは多くの人が知っているのですが、その内容やどんな時に保証されるのかといった中身まで理解している人は少ないのが現状です。しかし、保証は金銭的な利害に関わるため、あいまいな理解をしたままだと思わぬ不利益を被ってしまう恐れがあります。

当記事では太陽光発電の保証についてその中身や、保証されないケースについて解説しました。これらをしっかり理解して、「こんなはずではなかった」とならないようにしましょう。

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