防災対策として非常用電源や蓄電池の導入を検討している方の中には、CVCFという装置について気になっている方も多いのではないでしょうか。CVCFは、電圧と周波数の制御に関する装置で、災害時の停電対策として役立つ側面もあります。
そこで今回は、CVCFの特徴やメリット、活用シーン、長期停電時にオススメの設備について詳しくご紹介します。地震などで長期停電した際でも電気を使用したい方やリモートワークで停電リスクについて注目し始めた方などは、参考にしてみてください。
CVCFとは
まずは、CVCFの特徴についてわかりやすく紹介していきます。
周波数や電圧を一定に調整する装置
CVCF(交流無停電電源装置)は、大きな電圧・周波数の変動による瞬間的な影響を抑えるための装置です。より簡単に説明すると、常に一定の電圧・周波数で電力を供給できるよう制御する装置を指しています。
電力会社から供給される電力は、一定の電圧・周波数で保たれています。そのため私たちは、急な停電や変動による機器故障といった被害を受けることなく、照明や家電製品などを使用し続けられているのです。
しかし、災害や周辺地域の電気工事が交流電力の電圧・周波数低下といった事象につながるケースもあります。情報通信機器など電力の安定性が問われる設備や機器では、瞬間的な電圧低下や周波数変動でも性能に影響してしまいます。
CVCFを取り付けておけば、急激な電圧・周波数変動による情報通信機器・家電製品への影響を抑えながら、普段どおりに各機器を使用することができます。
周波数変換機能を搭載
CVCFには、周波数の変換機能も搭載されています。交流電力の周波数は、東日本と西日本で設定が異なります。東日本で供給されている電力の周波数は50Hzで固定されています。一方、西日本の場合は60Hzです。
たとえば、50Hzで稼働可能な電気機器を西日本で使用すると、本来の性能を十分に引き出すことができません。また反対の場合も同様の問題が発生します。
CVCFを導入すれば周波数を50Hzから60Hz、60Hzから50Hzへの変換できるので、電気機器の不具合などを防げます。
ただし、現在の電気機器の多くは50Hzと60Hzどちらにも対応しており、CVCFを導入しなくとも問題ありません。
UPSとの違いはあったものの同一の製品として扱われている
元々CVCFは、UPSと異なる製品として扱われていました。しかしUPSの機能が充実してきたこともあり、現在では「CVCF=UPS」として認識されつつあります。
UPSは、以下のような事象が発生した際に、接続済みの機器に安定した交流電力を供給できます。
- 停電によって交流電力の供給が止まる
- 瞬間的な停電
- 交流電力にノイズが含まれる
このようにUPSには、CVCFと同じく「電圧・周波数の安定供給」という機能が搭載されています。そのため、UPSとCVCFは同一の製品として扱われています。またUPSがあれば停電対策につながるため、CVCFの需要は少ない状況です。
CVCFの歴史
前段でも触れたように、日本の交流電力は東日本と西日本で周波数が違います。明治時代に輸入した発電所の仕様が東京と大阪で異なっていたため、現在でも東日本50Hz・西日本60Hzという設定になっています。
そこで各電機メーカーは、昭和期にかけて周波数変換、安定した電力供給に必要な機能を持ったCVCFの開発を行いました。
とくに電力品質の重要な工場やオフィスビルでは、CVCF搭載型制御システムが導入されています。一方、家庭用電気機器に関しては交流から直流変換された電力で稼働できるよう設計されているので、CVCFがなくとも問題なく家電製品や電子機器を利用できます。
CVCFのメリット
現代においてCVCFは、UPSと同様の設備として扱われています。そのため、CVCFの主なメリットはUPSのメリットと共通の内容です。続いては、CVCFおよびUPSの導入メリットについてわかりやすく紹介していきます。
停電による電圧低下の影響を抑えられる
CVCFは、停電や瞬間的な電圧低下による電子機器・電気機器への影響を抑えることができます。リモートワークを行っている方にとっては、とくに大きなメリットです。パソコン、プリンターなどは、停電や瞬停(瞬間的に停電すること)で電源が落ちることがあります。パソコンで仕事用の資料を作成したりソフトを使用したりしている場合、急な停電でファイルの破損もしくは保存されずに消えてしまう可能性もあります。
オフィスビルや工場は、企業側で停電対策を施しています。しかし住宅には、非常用電源や電力の安定化に関する装置などは設置されていません。
そこでCVCFやUPSを導入しておけば、万が一停電しても数分間~数10分間は電力を継続的に供給してくれますし、急な電圧降下やノイズによる影響も抑えられます。あとは、長時間電力を供給できる蓄電池へ切り替えれば、数時間以上パソコンなどを稼働することが可能になります。
蓄電池と異なり瞬停にも対応
CVCFは家庭用蓄電池や非常用電源と異なり、瞬停によるノイズや一瞬の電圧低下にも対応できるのが強みです。
落雷や飛来物などで送電線が切断された場合、一部の地域で停電してしまいます。電力会社は停電の発生場所を素早く確認し、停電から約1分後に別経路で再送電を行います。
このように、短時間の停電はどのような場所でも起こり得る現象です。また電力会社がスピーディに対応しても、瞬間的な停電は避けられません。
パソコンなどの電子機器を操作している時に瞬停してしまうと、データ損失や破損のリスクにつながります。さらに冷蔵庫や電子レンジなどの家電製品は、瞬停やノイズで故障してしまうケースもあります。
CVCFは、大切な家電製品やパソコンなどのデータを守る上で、重要な役割を果たしてくれます。
落雷時の過電圧発生時にも機器を保護
CVCFは、過電圧による機器への影響を抑えてくれます。自宅周辺で落雷が発生した場合、雷の影響で電圧が急激に上昇してしまうこともあります。このような現象を過電圧と呼びます。
また過電圧が自宅のコンセントに流れてしまうと、許容電圧・電流を超える電力によって機器の故障につながります。
CVCFは過電圧発生時に電圧の調整を行ってくれるので、故障を防ぐことが可能です。
長時間の停電に耐えられる装置は蓄電池
ここまでCVCFの役割を理解した方の中には、「CVCF・UPSさえあれば問題ないということかな?」「長期間の停電に対応する方法は?」という疑問を抱いている方もいるかと思います。
大規模災害やその他原因による長期停電発生時には、家庭用蓄電池を活用するのがオススメです。そこで最後は、家庭用蓄電池の強みについて1つずつ確認していきましょう。
蓄電容量や接続先に応じて数日程度の電力を確保
家庭用蓄電池は、数時間~数日程度の電力を貯められます。一方、CVCFやUPSで貯められる電力は数分~数10分程度で、数日以上の停電の場合は機器を稼働し続けられません。
家庭用蓄電池は小型でも4kWhといった蓄電容量を持っているので、3時間程度のエアコン使用であれば3~4日程度持ちます。
また10kWhを超える蓄電池なら、エアコンや冷蔵庫、照明を同時に使用しても24時間以上連続稼働できます。
在宅避難中でも夜間に照明を使用したい、電熱器、ホットプレートなどで調理したいという方にとって、蓄電池はメリットの大きな製品です。
屋外や屋内設置に対応
家庭用蓄電池は、製品によって屋内や屋外設置に対応しています。リビングなどに設置スペースがない時は、庭や駐車場などに設置できます。また屋外設置型のサイズは、エアコンの室外機1~2台分と比較的コンパクトです。
庭などの屋外に設置可能なスペースがない時は、屋内に設置できる蓄電池を選びましょう。屋内設置型の場合は、エアコンの室外機1台分程度のサイズですし、軽いタイプで60kg程度、重いものでも150kg前後です。
設置場所に柔軟性があるのは、家庭用蓄電池の強みといえます。
200V機器に対応している蓄電池も販売
家庭用蓄電池の中には、停電時に200V機器に供給可能な蓄電池もあります。オール電化住宅に住んでいる方やエコキュート、床暖房、IHクッキングヒーターなどを導入している方には、とくにメリットといえる機能です。
住宅設備や家電製品は、通常100Vに対応しています。しかし消費電力量の多いIHクッキングヒーターなどの一部の住宅設備は、200Vの電源を必要とします。
停電時に200V機器も使用したいのであれば、100/200V対応の家庭用蓄電池を探してみることをオススメします。
なお、とくとくショップでは、200V対応の家庭用蓄電池も取り扱っていて、お客様のご要望に合った蓄電池をご提案いたします。
停電時には一部の部屋もしくは全部屋へ電力供給
家庭用蓄電池は、停電時にどの部屋へ電力を供給できるか調整できます。
全負荷型の家庭用蓄電池は、停電時に全部屋の住宅設備やコンセントへ電力を供給できるのが大きな特長です。停電中も必要に応じて各部屋の照明、コンセントから電気を使用したい場合に役立ちます。
一方、特定負荷型の家庭用蓄電池は、電力を供給したいコンセントや住宅設備のみに接続しておく方式です。停電時にリビングだけで電気を使用したい、冷蔵庫など生活に必要な家電製品のみに電力を供給したい方にとっては、メリットの多い接続方法です。
太陽光発電の併用や時間帯別プランで電気料金削減効果も
家庭用蓄電池は、太陽光発電と併用することでより効率よく電気を使用できます。
家庭用蓄電池単体で運用する場合は、電力会社から供給されている電気で充電します。充電の際は電気料金がかかります。しかし太陽光発電を併用すれば、充電にかかる電気料金を削減できます。
さらに停電時は、太陽光発電により継続的に電力を使用できますし、蓄電池に貯めた電気で夜間も使用し続けることが可能です。
CVCFはUPSと同じく瞬停などによるリスクを抑える装置!
CVCFは、交流電力の電圧・周波数を一定に保ったり周波数の変換を行ったりしてくれる装置を指します。2023年時点では、CVCF=UPSという意味合いで用いられることもあります。
停電や瞬停・過電圧は、パソコンや家電製品へ大きな影響を与えます。CVCFを導入した場合は、電圧の急激な変化やノイズによる製品への影響を抑えられますし、数分~数10分程度稼働できます。
しかし、長時間の停電には対応していないので、別途家庭用蓄電池を導入することをオススメします。
家庭用蓄電池専門のとくとくショップでは、特定負荷型、全負荷型の蓄電池や4kWh~10kWh前後の蓄電容量まで販売中です。また、蓄電池単品だけでなく太陽光発電やエコキュートとのセットタイプをお選びいただけます。
ご提案から設置工事、メンテナンスまで自社対応なので、正確な情報共有および高品質なサービス提供を実現しているのも大きな特長です。
家庭用蓄電池の導入をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。