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太陽光発電の分電盤は何のためにある?よくあるトラブルと解決策

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太陽光発電システムの導入において必須の設備に、分電盤があります。分電盤は太陽光発電の有無にかかわらず電気設備がある建物には必要になるもので、すべての建物に設置されているきわめて重要な機器です。

もちろん太陽光発電を稼働させるためにも欠かせない分電盤ですが、使用状況によってはトラブルを起こしてしまうこともあります。太陽光発電を導入している住宅で分電盤トラブルが起きると発電や売電に影響を及ぼすこともあるため、当記事では太陽光発電と分電盤の関係や役割、よくあるトラブルや対処法などについて解説します。

太陽光発電には分電盤が必要

太陽光発電は、電気設備の一種です。電気設備である以上、分電盤が必要です。それでは分電盤とは何をするための機器なのでしょうか。最初に、分電盤の仕組みや役割などについて解説します。

電気あるところに、分電盤

分電盤は、「ブレーカー」とも呼ばれる機器です。分電盤という名称だとピンとこない人であっても、ブレーカーと聞くと何となく想像がつくのではないでしょうか。

住宅はもちろん、ビルや工場、商業施設など建物の規模によって分電盤の規模や種類は異なります。その中でも住宅用の分電盤は最も規模の小さい部類に入りますが、だからといって不要になるわけではなく、電気を安全に使用するためには分電盤が欠かせません。

分電盤の仕組みと役割

分電盤の最大の役割は、漏電や事故の防止です。電気の使用状況によっては危険な状態になることもあります。そういった兆候を察知し、必要に応じて電気の流れを止めたり、調整をする役割を担っています。

そんな分電盤には、大きく3つの役割があります。その役割は、以下のとおりです。

  • 漏電ブレーカー
  • アンペアブレーカー
  • 安全ブレーカー

漏電ブレーカーは、文字通り、漏電が発生していることを検知したら電気を遮断し、それ以上の漏電を食い止めるためにあります。漏電は電気が漏れ出てしまう現象で、放置していると火災の原因になります。見えないところで発生している漏電が火災の発生原因になると火災に気づくのも遅れてしまうため、特に注意が必要です。

漏電ブレーカーはこうした火災や事故を防ぐためにあるもので、建物の重要な守り神のような存在です。

2つめのアンペアブレーカーは、「電気の使い過ぎ」を検知すると自動的に電気を遮断するためのものです。電力会社と結んでいる契約には、契約アンペアといって、使用電力量の上限があります。住宅内での電力使用量がこの契約アンペアをオーバーすると、分電盤が「落ちる」ことで電気の流れを遮断します。室内で電気を使いすぎると「ブレーカーが落ちる」という現象に遭遇したことがある人もいるでしょう。これは分電盤がアンペアブレーカー機能を発動しているからです。

3つめの安全ブレーカーは、個々の部屋に配置された分電盤です。住宅内で電気の使い過ぎが起きると、ある部屋ではブレーカーが落ちて、それ以外の部屋では落ちていないという場合があります。これは安全ブレーカーが発動した時に起きる現象で、個別の部屋で電気の使い過ぎが起きたらそれぞれの部屋に設置されている安全ブレーカーが電気を遮断します。個々の部屋で使用している家電が故障するなどの理由で大きな電流負荷がかかった時に落ちることが多く、安全ブレーカーの発動が頻発する場合はその部屋にある家電の故障を疑ってみる必要があります。

分電盤と配電盤の違い

分電盤とよく似た機器に、配電盤があります。どちらも「盤」という言葉が共通していることもあって混同されやすいのですが、似ているのは名称だけで、それぞれの役割は大きく異なります。

配電盤は住宅ではあまり見られることはなく、ビルや商業施設、工場など規模の大きな建物に必ず設置されています。こうした規模の大きな建物には、電力会社から高圧(電圧が高い)の電流が供給されます。それを配電盤が適切な電圧に変換し、建物の中に供給します。そこから先には個々の分電盤が設置されているというのが、一般的な構造です。

電気を使える状態にして建物内に配り、その先には安全を守る分電盤がある、というイメージです。

家庭用太陽光発電ではあまり関わりのない機器なので、「分電盤と配電盤は役割が違う」という認識があれば問題ないでしょう。

太陽光発電には極めて重要な分電盤

太陽光発電を設置している家庭には太陽光ブレーカーといって、専用の分電盤を設置する必要があります。太陽光発電システムは太陽光パネルとパワーコンディショナーが目立つためこの2つに注目が行きがちですが、実は太陽光ブレーカーも極めて重要なパーツです。

分電盤は漏電や電気の使い過ぎなどが起きたら電気を遮断することで安全を守っていることについて解説してきましたが、太陽光ブレーカーには「安全を守る」ことに加えて、太陽光発電から供給される電力を住宅内に供給し、余った分を送電網に流す役割もあります。

太陽光発電から供給された電力が余っている場合、それを売電することができます。売電をするためには、電力会社から電力が流れてくるというのとは逆の流れで起こす必要があります。これを、逆潮流といいます。太陽光ブレーカーは住宅内で電力が余っている場合に逆の流れを起こし、自家発電した電力を送電網に流します。

もうひとつ、太陽光ブレーカーには分電盤本来の役割である安全を守る重要な働きもあります。太陽光発電システムで何らかのトラブルが発生すると、漏電や火災といった重大な事故に発展してしまう恐れがあります。太陽光ブレーカーはこうしたトラブルも検知できるので、太陽光発電側で問題が起きた際には電気の流れを遮断し、事故を防ぎます。

太陽光発電には専用の分電盤

先ほど解説した太陽光ブレーカーは、逆潮流と安全の確保という極めて重要な役割を担っているため、太陽光発電を導入している住宅では通常の分電盤ではなく太陽光ブレーカーを設置する必要があります。

というのも、太陽光発電を後付けで設置する住宅には通常の分電盤しか設置されておらず、太陽光ブレーカーは設置されていないからです。個々の部屋単位で安全ブレーカーを設置している住宅は多いと思いますが、それらの分電盤の役割は安全を守ることであり、屋根の上で生み出された電力を逆潮流で流す能力はありません。

太陽光発電システムを導入する際、必ず太陽光ブレーカーが含まれています。これは必須の機器であることを認識して、導入時の比較検討をするようにしてください。

太陽光発電と分電盤にありがちなトラブルとの解決策

太陽光発電を導入している住宅で分電盤にトラブルが起きるケースは、おおむね共通している。ここでは、太陽光発電システムの一部として設置されている分電盤(太陽光ブレーカー)にありがちなトラブルと、その解決策を解説します。

分電盤にトラブルが起きると、どうなる?

太陽光発電の分電盤にトラブルが起きると、まず目につくのは発電効率の低下です。この場合はまだ機能が完全に失われたわけではなく、分電盤の機能が低下している状態です。

完全に機能が停止したり、安全装置が発動すると太陽光発電からの給電もストップしてしまいます。

いずれにしてもせっかく導入した太陽光発電のメリットをいかすことができないので、早急に原因を知り、対策を講じる必要があります。

異常高温によるトラブル

分電盤は屋外に設置されることが多いですが、近年の夏季の異常な高温によって機器が稼働を停止してしまうことがあります。パソコンの冷却装置がうまく動かなくなるとパソコンの内部が異常高温状態になり、止まってしまうことがあります。これは「熱暴走」と呼ばれる現象ですが、機械は許容できる温度を超えると稼働が止まってしまいます。

夏の暑い日、特に目立った原因がないのに太陽光発電からの給電が止まってしまったという場合は、分電盤やパワーコンディショナーが暑さで止まってしまっている可能性を疑ってみてください。

地球温暖化の影響で夏の暑さが殺人的なレベルになっていることはご存じかと思います。そのため、太陽光発電を設置する際には分電盤やパワーコンディショナーを冷却する仕組みを導入する事例が多くなっています。直射日光が当たらない場所に設置する、室内に設置するといった方法が有効で、屋外に設置しなければならない場合は冷却ファンを設置するなどの対策が取られています。

エアコンの室外機が高温になりすぎないように、タオルなどで日陰を作る方法があります。少々原始的ではありますが、直射日光が当たっているのであればそれを遮るだけでもかなり効果があります。

電気の使い過ぎによるトラブル

電気の使い過ぎが発生すると電流を遮断するのも、分電盤の役割です。これは太陽光発電を設置している場合であっても同様です。住宅内で多くの家電を使い、許容電流を超えた時にブレーカーが発動します。

太陽光ブレーカーにも同様の機能があるため、アンペア数の高い(電力使用量の大きい)家電を同時に使うと落ちやすくなります。

ただし、太陽光発電を設置している場合は設定が間違っているという理由でブレーカー落ちが頻発することがあります。住宅内でメインとなる分電盤と個々の部屋に分岐している分電盤の設定は常にメインのほうが大きく設定されている必要があります。しかし、個々の部屋の許容量を大きくしたいということで設定を高くしたものの、メインの分電盤の設定をそのままにしていると矛盾が発生し、個々の部屋の分電盤でブレーカーが落ちることはなくてもメインのブレーカーが落ちることになります。これまであまり落ちなかったのにブレーカー落ちが頻発するようになったら、分電盤同士の設定が間違っている可能性があります。

湿度上昇による漏電トラブル

電気は水の中を流れる性質があります。この性質があるため、電気が流れているところに水が入り込むと漏電につながる恐れがあります。漏電は火災の原因になるため極めて危険で、早急に問題を解消する必要があります。

分電盤は内部に電気が流れているため、湿度が上昇して分電盤の内部に水分が入り込むと、それが漏電を引き起こすことがあります。

先ほど高温になると分電盤の稼働が止まることがあると解説しました。高温多湿になりやすい日本の夏では高温と高湿度が同時にやってくることが多く、2つの原因で分電盤トラブルを引き起こしやすくなります。

また、急激に気温が変化した時に発生する結露も漏電の原因になります。室内に分電盤を設置している場合であっても屋根から雨漏りがあると雨水による漏電が起きやすくなります。

漏電が疑われる場合は危険ですし、一般の人が対処するのは難しい問題です。早急に施工業者や電気工事業者などに依頼して原因を究明し、問題を解消するようにしましょう。

太陽光発電の分電盤トラブルを防止する対策法

太陽光発電の分電盤トラブル、その大半は未然に防ぐことができます。問題が起きてからでは手間やお金がかかることも多いですし、リスクも高くなります。

ここでは、太陽光発電の分電盤トラブルを未然に防ぐ対策法について解説します。

ファンによる送風で冷却

高温や高湿度の状態は、分電盤にとって劣悪な環境です。本来の性能を発揮しにくくなるだけでなく、故障の原因にもなります。分電盤で最も熱をもつのは負荷端子と呼ばれる部分なので、そこに冷却ファンを取り付けるだけでも大幅にリスクを軽減できます。

パソコン内で最も熱をもつのはCPUなので、そこに直接風が当たるように冷却ファンを取り付けるのが一般的です。考え方はこれと全く同じなので、最も熱をもつ部分に冷却ファンの風が当たるように設計すると高温と高湿度によるトラブル防止策になります。

湿気が溜まらないように工夫する

分電盤の付近が常に多湿状態だと、内部に水分が入りやすくなります。風通しの良いところに設置する、冷却ファンを設置するといった具合に湿気が溜まりにくいようにしておくと、分電盤の漏電対策になります。

定期的な計測で漏電を察知

漏電は目に見えないトラブルです。文字通り電気が漏れている状態なので、すべてが漏れてしまって電気が止まってしまわない限り、気づきにくいところが厄介です。

こうした目に見えない問題を可視化するためには、定期的な計測が有効です。本来の電流量がちゃんと来ているのかを計測して、それが想定よりも少ない場合はどこかで漏電が起きているかもしれません。

施工業者による定期的な点検やメンテナンスにこうした漏電に関する点検が含まれているかも、業者選びの判断材料になります。

まとめ

分電盤に限らず、定期的なメンテナンスは太陽光発電の安全かつ安定的な稼働に欠かせない大切な作業です。太陽光パネル表面の汚れや破損などに関心が行きがちですが、太陽光発電は電気設備の一種であり、電気的な問題が起きると本来の性能を発揮できないばかりか、火災など重大な事故の原因にもなり得ます。

施工業者による定期的なメンテナンスはもちろんですが、使用している人も「放ったらかし」にするのではなく、何か異常は起きていないかと関心を持ち、何か気になることがあれば施工業者に相談することを習慣づけるのが良いでしょう。

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