エコキュートは基本的に電源を入れっぱなしにしておく給湯機器ですが、旅行などで不在にする場合はどうするべきなのでしょうか。その場合は電源を切るなどの対応をしたほうがよい場合もあります。さらに不在期間が長くなる場合には必要になる対応もあるので、当記事ではエコキュートの電源を入れっぱなしにしておくべき場面とそうでない場面、さらに不在期間が長くなる場合の対処法などについて解説します。
目次
エコキュートの電源を入れっぱなしにしておくべき?
「エコキュートの電源を入れっぱなしにしておくべき?」「電源を入れっぱなしにしないとどうなる?」「エコキュート以外の給湯器も電源を入れっぱなしにするべき?」、こうしたエコキュートや給湯器の電源に関する疑問にお答えします。
家に人がいるときは入れっぱなしにするのが基本
エコキュートは原則、電源を入れっぱなしにして利用する機器です。お湯を使いたい時にエコキュートの電源が入っていなければお湯が出てきませんし、深夜の安い電力を使ってお湯を沸かすこともあるので、夜間にお湯を使わないからと電源を切ってしまうと、新たにお湯を沸かさなくなってしまいます。
そのため、エコキュートは原則として電源を入れっぱなしにしておきましょう。よく言われているのが、電力消費の無駄を削減するために「都度消し」をしたほうがよいのではないかという説ですが、これは誤りです。お湯を沸かして貯めておく仕組みになっていない給湯器は別ですが、エコキュートはお湯を使う時、お湯を沸かす時の両方で電源が入っている必要があるので、入れっぱなしにしておくのが正解です
昼間の外出時に電源を切る必要はない
仕事や学校などで昼間の家に誰も人がいない場合は、使わないのでエコキュートの電源も切っておくべきかと考えるところですが、1日未満の外出であれば電源を切る必要はなく、入れっぱなしにしておいて問題ありません。
待機電力などを気にする人もいますが、一度エコキュートの電源を切るとタンク内のお湯が冷めていき、再びそれを利用しようと思った時に沸かし直しするとなると安い深夜電力を使ってお湯を沸かした意味がなくなってしまいます。また、電源を切ってお湯が冷めるとタンク内の水が不衛生な状態になる可能性もあるため、むしろ1日未満の外出であれば電源を切らずに入れっぱなしにしておく必要があります。
エコキュート以外の給湯器は電源を入れっぱなしにするべき?
エコキュート以外の電気給湯器で、機器内のタンクにお湯を貯める機能がないものについては、電源を入れっぱなしにしておく必要はありません。むしろ、電源を入れっぱなしにしていると待機電力を消費するため、この場合は短時間の外出であっても電源の都度消しをしておくべきでしょう。
逆に深夜の安い電力を使ってお湯を沸かし、それをタンク内に貯めておく仕様の給湯器は、エコキュートと同様に内部のお湯を万全の状態に保つ意味でも電源を入れっぱなしにしておくことをおすすめします。
エコキュートの電源を切るべき場面と注意点
前項ではエコキュートの電源を入れっぱなしにしておくべき場面について解説しました。ここで紹介するのは、エコキュートの電源を入れっぱなしにはせず、切る必要がある場面です。旅行などで家を不在にする場合は原則として電源を切るべきですが、その不在期間が長くなる場合は水を抜いておく必要が出てきます。
数日程度の短期不在のとき
数日程度の旅行や出張など、不在期間が短い場合はエコキュートの電源を切っても問題はありませんが、機器に休止設定がある場合は、その設定を利用することをおすすめします。
数日程度であっても家に誰もいないのであればエコキュートで沸かしたお湯を使うことがないので、それをお湯の状態で保つために電力を消費するのはムダです。その意味では電源を切っておくのが有効なのですが、電源を一度切ってしまうとお湯が使えるようになるまで時間を要するため、不在期間が短いのであれば電源を入れつつもお湯の沸かし直しを一時的に止める休止設定のほうが再開時にすぐお湯を使えるため、適しています。
旅行などで長期不在にするとき
不在期間が数日よりも長い場合は、エコキュートの電源を切っておくほうがよいでしょう。その不在期間が1か月以上になるなど長期にならないのであればタンク内の水は、そのままでよいと思います。
電源を切るとタンク内のお湯は冷めて水になりますが、短期間であればそれを再び使用しても問題はありません。
しかし、不在期間が1か月以上に及ぶ場合は、対応が異なります。
1か月以上不在にするときはタンクの水も抜いておこう
不在期間が1か月以上になる場合は、エコキュートの電源を切るだけでなくタンク内の水も抜いておきましょう。その理由は、タンク内の水が不衛生な状態になることを防ぐためです。
花瓶に水を入れておくと、その水は新しいものに交換しなければすぐに腐ってしまいます。これは花を生けたことがある人であれば容易に想像がつくことだと思います。水は同じ場所に置いておくと腐ってしまう特性があり、それはエコキュートのタンク内にある水も同様です。花瓶の水は生け花から出てくる老廃物などの影響もあるため水が腐るのが早いですが、エコキュート内のタンクであっても水を長期間放置していると冷めた水に細菌が混入して増殖する可能性があります。
エコキュートのお湯を飲用にする人は少ないと思いますが、それでもシャワーや入浴などで使うと人体に触れるので、お湯は清潔な状態に保っておくことが基本です。
タンクの水を抜いた場合の注意点
1か月以上家を不在にする場合は、エコキュートの電源を切って水も抜いておくべきだと解説しました。それでは、自宅に戻ってきて再びエコキュートを使用する場合は、どうすればよいのでしょうか。
ここでは順序が重要で、最初にエコキュート内のタンクに水を貯め、その上でエコキュートの電源を入れるようにしてください。当然ですが、タンク内に水がなければお湯を沸かすことはできないため、エコキュートの電源を先に入れても意味がないからです。
また、タンクに水を入れてエコキュートのお湯が使えるようになるまでには少なくとも4~5時間かかります。すぐにお湯を使うことはできない点も留意しておいてください。
エコキュートの電源を入れっぱなしにしておくとどうなる?
家を不在にするのにエコキュートの電源を切らず入れっぱなしにしていると、どうなるのでしょうか。「うっかり」の場合も含めて、その場合に起きることは3つあります。
電気代が増大する
エコキュートが稼働しているときは、中のお湯をいつでも使えるようにするためにお湯を継ぎ足して沸かし続けています。タンク内のお湯は高温になると少しずつ蒸発するため、その減った分を継ぎ足しているわけです。これを繰り返すには電力を消費するわけですが、家に誰もいないのにこの動作をさせるのは無駄です。
「うっかり」も含めてエコキュートの電源を入れっぱなしにしていると、使わないのに電気代が増大してしまいます。
タンク内が不衛生になる
使用しないエコキュートの電源を入れっぱなしにしていると、中のお湯が使われることなく滞留することになります。その期間が数日程度であれば問題ありませんが、1か月を超えるような期間になると生温かいお湯が細菌繁殖の温床になってしまう可能性もあり、不衛生です。
湯沸しポットに入れっぱなしになっているお湯を久しぶりに使うとなると抵抗を感じる人は多いと思いますが、それと同じ感覚でエコキュート内に長期間入ったままのお湯はあまり使わないほうがよいでしょう。
十分な量のお湯を使えないことがある
3つめについては、エコキュートの機種や機能によって事情が異なります。エコキュートの一部機種には学習機能がついていて、その家のお湯の使用状況を分析し、それに合わせて最適なお湯の量を沸かす仕組みになっています。
こうした機能がついているエコキュートの電源を入れっぱなしにして外出してしまうと、しばらく全くお湯を使わない状態が続きます。エコキュートはその状態を学習してしまい、「あまりお湯を使わないので沸かす量は少なめにしよう」と判断する可能性があります。そうなると外出から帰宅した時に十分なお湯を使えないことも考えられます。
エコキュートがある家庭での節電アドバイス
ここからはエコキュート自体の話ではありませんが、エコキュートを導入している人の多くは節電や光熱費の削減などを目的にしていると思われるので、エコキュート以外の部分で節電ができるアイディアを紹介したいと思います。
エコキュートを導入している家庭の電気料金プランは深夜の電力が大幅に安くなっているケースが多いので、いかに安い深夜電力を有効に使うかがポイントです。
タイマー設定で深夜に洗濯
洗濯機は大きなモーターを動かしますし、乾燥機もついている場合は乾燥機も多くの電力を消費します。洗濯機にはタイマー設定がついているので、洗濯機や乾燥機を使用するのは23時から翌7時までにするようにタイマー設定をするのが有効です。
朝7時までに乾燥も終了するように設定しておくと、低コストで洗濯をしつつ朝には洗いたての洗濯物を取り込むことができます。
アイロンがけも深夜がおすすめ
アイロンも発熱する家電だけに、電力消費量が高めです。さすがにアイロンはタイマー設定で使用することはできないので、使う人にとっては少々夜更かしになってしまいますが、可能であれば23時以降にアイロンがけをすることをおすすめします。
炊飯、煮込み料理もタイマーを活用して深夜に調理
炊飯器、IHクッキングヒーターも発熱する家電なので、多くの電力を消費します。幸いなことにこれらの家電にはタイマー機能がついているので、ご飯は朝の7時までに炊き上がるように設定しておくと電気代を節約しながら朝に炊きたてのご飯を食べることができます。
長時間の煮込み料理についても、IHクッキングヒーターのメモリ「2」以下にしてゆっくり時間をかけて煮込むと、朝にしっかりと炊き上がります。煮込み料理の場合は焦げ付きや空焚きが心配になるところですが、IHクッキングヒーターにはこうした問題を検知する機能がついているので、異常が起きた場合は自動的に停止します。ガスの火にかけたまま寝ることには抵抗を感じる人が多いと思いますが、IHクッキングヒーターはそういったリスクが低いこともメリットです。
IHクッキングヒーターはメモリ「7」まで
IHクッキングヒーターはガスの火と違ってエネルギーロスが極めて少なく、電力によって起きた熱が無駄なく鍋や食材に伝わります。そのためガスと同様の火力である必要はなく、IHクッキングヒーターの目盛りでは「7」程度でも強い火力を得ることができます。ガスコンロの感覚では中火程度に感じるかもしれませんが、IHクッキングヒーターではそれでも強火に相当する火力になるので、これも節約にいかしたいポイントです。
空調は23時を境に調節する
オール電化プランなど、深夜に電気料金が安くなるプランの場合、電気料金の単価が安くなるのは23時からです。
こちらは、関西電力のオール電化プラン「はぴeプラン」の電気料金単価表です。
引用元:はぴeタイム(関西電力)
デイタイムからリビングタイム、そしてナイトタイムと時間帯が遅くなるのにつれて電気料金の単価が安くなっているのが分かります。そして、このナイトタイムの時間帯が赤い下線を入れたように23時から翌7時です。
この「はぴeプラン」は2024年1月時点で新規受付停止中ですが、原子力発電所の再稼働が進めば受付再開になる可能性が高く、エコキュートの導入とともにオール電化にする場合は知っておきたい知識です。
まとめ
エコキュートは本来電源を入れっぱなしにして使用する機器ですが、入れっぱなしにしないほうがよい場面もあります。不在期間が長くなる場合は電源を切るだけでなくタンク内の水も抜いておく必要があるので、こうした点を理解した上で状況に応じた対応をとるようにしてください。それがエコキュートの快適な使用につながります。