コラム

知っておきたい災害時の太陽光発電、蓄電池、エコキュートの活用方法

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2024年の元旦に能登半島を襲った地震が記憶に新しいところですが、災害大国である日本では頻繁にこうした地震や台風などによる被害が発生しています。災害はいずれも自然が引き起こすものだけに完全に防ぐことはできませんが、こうした万が一の事態においても太陽光発電や蓄電池、エコキュートなどがあると大活躍する事例が注目を集めています。

今や災害対策としても認識されている太陽光発電、蓄電池、そしてエコキュートの実力と、知っておきたい災害時の使用方法について解説します。

太陽光発電、蓄電池、エコキュートが災害に強いといわれる理由

太陽光発電や蓄電池、エコキュートはエネルギーの有効利用や電力の自給自足、売電収入などメリットがとても多いことで知られていますが、近年では災害時に大活躍していることが話題になり、注目を集めています。

これらの機器が災害に強いといわれることには、理由があります。最初にその理由を解説しましょう。

太陽光発電があれば昼間の電力を確保できる

太陽光パネルを導入している家庭には、「自宅発電所」があります。災害が起きたとしても太陽光発電システムにダメージがなく、日中に太陽の光が降り注げば自宅での発電を続けることができるため、そこ発電された電力を使用することができます。

今では蓄電池が普及しているためさらに災害に強い機器となりましたが、その前であっても東日本大震災などの被災地では太陽光発電を導入していた家では発電が継続し、近所の人にも携帯電話の充電などのために電力を開放したことが話題になりました。

蓄電池があれば夜間も電力を確保できる

蓄電池は自宅に設置する「巨大バッテリー」です。自宅に電力を蓄えておけば、災害時に停電になったとしても一定期間は電力を確保することができます。

しかも近年では太陽光発電とセットで導入する事例が増えており、発電所とバッテリーを組み合わせると発電しながら蓄電池を使用できるため、より停電に強いシステムが完成します。

エコキュートがあればお湯、水を確保できる

エコキュートは太陽光発電と組み合わせてお湯を沸かしたり、安い深夜電力を活用してお湯を沸かすことができる機器です。エコキュートの中には沸かしたお湯を貯めておくためのタンクがあり、その容量は少なくとも300リットル、容量の大きな機種だと400リットル程度です。これだけのお湯を清潔な状態で貯めておける機器だけに、災害時にはこの豊富な水(お湯)を生活用水として使用することができます。

水道が回復するまでの急場をしのぐためにも、この生活用水が大いに役立つはずです。

太陽光発電+蓄電池+エコキュートならより災害に強い家になる

先ほど太陽光発電と蓄電池を組み合わせると発電しながら蓄電池を利用できるため、停電が長引いても電力を使用できる期間が長くなります。さらにエコキュートがあると太陽光発電による電力でお湯を沸かすこともできるため、災害時であってもシャワーを浴びるなどのお湯を使える可能性もあります。

太陽光発電と蓄電池、エコキュートはいずれも災害に強い機器ですが、これらを組み合わせるとさらに災害に強い家になることを押さえておいてください。

災害時の太陽光発電使用方法

太陽光発電システムには、自立運転モードがあります。系統電力(電力会社からの電力)ではなく太陽光パネルからの電力で運転するモードのことです。災害時にはこの自立運転モードで急場をしのぐことができるので、その使用方法、手順を解説します。

自立運転モードに切り替えてパワーコンディショナーから電力を確保する

太陽光発電システムは主に、太陽光パネルとパワーコンディショナーで構成されています。パワーコンディショナーは電流を直流から交流に変換するなど、家電が使用できる電力に整える働きをしています。

このパワーコンディショナーには自立運転機能があるので、災害で停電になったらパワーコンディショナーへの操作で自立運転モードに切り替え、パワーコンディショナーに直結しているコンセントから電力を取るのが基本的な考え方です。

災害時に自立運転で使用する手順

災害時に自立運転モードに切り替える手順について解説しますが、ここでの解説は一般的な流れです。機種やメーカーによって細かい名称や操作方法の違いがあるため、具体的な手順はお使いの機器の説明書をご参照ください。

①主電源ブレーカーを切る

自宅内にある、主電源ブレーカーを落とします。これで、外部から電気が流れてこない状態になります。

②太陽光発電ブレーカーを切る

次に、太陽光発電ブレーカーも落とします。これにより、太陽光パネルからの電流も流れ来ない状態になり、感電などの事故を防ぎます。

③自立運転モードへ切り替える

次に、パワーコンディショナーの操作パネルなどからの操作で自立運転モードに切り替えます。

④自立運転用のコンセントに家電を接続する

太陽光パネルで発電されている状態であれば、パワーコンディショナーから電力を確保することができます。自立運転用のコンセントに使用したい家電を接続して、使用します。

停電から復旧した時の回復手順

停電が解消し、元の状態に戻すための手順も解説します。こちらも一般的な流れの解説なので、具体的な操作方法はお使いの機器の説明書をご覧ください。

①自立運転モードを解除する

最初に自立運転モードを解除して通常モードに戻します。この状態ではまだ各ブレーカーが切られた状態になっているため、電流は流れません。

②主電源ブレーカーをオンにする

その次に、主電源ブレーカーをオンにします。ここで重要なのが、順序です。太陽光発電ブレーカーではなく、主電源ブレーカーを先にオンにしてください。

③太陽光発電ブレーカーをオンにする

主電源ブレーカーの次に、太陽光発電ブレーカーをオンにします。これにより、通常のように電流が流れる状態になります。

④通常モード(連系運転)になっていることを確認する

最後に、操作パネルやモニターなどで、通常モード(連系運転)になっていることを確認します。

災害時の蓄電池使用方法、手順

蓄電池が設置されている場合は、これも災害時に非常用電源として活用することができます。蓄電池にも自立運転モードがあるので、これによって蓄電池内に蓄えられている電力を使用できます。

停電が発生したら自立運転で蓄電池内の電力を確保する

停電になったら自立運転モードするという考え方は、太陽光発電と同じです。蓄電池の場合は操作が簡単なので、ほとんどの機種では操作画面の指示通りにステップを踏むだけで自立運転モードに切り替えることができます。

災害時に自立運転で使用する手順

災害時に蓄電池を自立運転モードにして、蓄えられている電力を使用する手順を解説します。こちらも一般的な流れなので、具体的な操作方法はお使いの蓄電池の説明書を参照してください。

①蓄電池のリモコンなどから停電の警告が発生

停電が発生すると、多くの機種では蓄電池のリモコンや操作パネルなどでエラーや警告が発生します。多くの機種ではこの警告画面から操作を進めます。

②自立運転モードに切り替える

リモコンや操作パネルなどの指示に従って自立運転モードに切り替えると、その時点からバッテリー内の電力を使えるようになります。

③自立運転用コンセントに家電を接続する

自立運転モードになると、自立運転用コンセントで蓄電池内の電力を使えるようになります。蓄電池に直接接続するものもあれば、自宅内のコンセントで蓄電池と接続されているコンセントもあります。いずれにしても、蓄電池につながっているコンセントであれば自立運転モードで家電を使用できます。

停電から復旧した時の回復手順

次に、停電が解消して蓄電池を自立運転モードから通常モードに戻す手順も解説します。

①停電から復旧すると通知が鳴る

ほとんどの蓄電池では、停電が発生した時と同様に停電が解消した際にも通知されます。その通知画面から復旧の操作を進めます。

②自立運転を停止する

「自立運転モードから切り替えますか?」といった主旨のメッセージが出るので、その指示に従って自立運転モードを停止すると、通常モードに切り替わります。

③数分後に連系運転が再開する

自立運転モードから自動的に通常モードに切り替わりますが、内部的には手順を踏む必要があるので、通常モード(連系運転)の再開にはおおむね数分かかります。すぐに切り替わらなくても故障ではないので、少なくとも数分を要することを踏まえてお待ちください。

太陽光発電+蓄電池が設置されている場合の災害時対応

太陽光発電と蓄電池をセットで導入するケースが増えているので、この2つを組み合わせて導入している場合の災害時対応についても解説します。この組み合わせはとても災害に強いので、その能力をフルに発揮させるためにも対応方法をマスターしておいてください。

太陽光による発電を続けながら蓄電池から電力を確保する

太陽光発電+蓄電池の組み合わせで災害時の対応をするには、太陽光発電には発電させて蓄電池に電気を送り、蓄電池から家庭内に電力を供給するという役割分担になります。

太陽光発電だけだと日中の太陽が出ている時間帯しか家電を使えませんし、使用できるのはパワーコンディショナーのコンセントに接続できる家電のみです。そして蓄電池だけだと停電前に蓄えていた電力を使い切ったらそれ以上は使えないので、長くても数日だといわれています。

太陽光発電+蓄電池だと、太陽光から蓄電池への充電も続くため、蓄電池内の電力が圧倒的に長持ちします。使い方によっては1週間から2週間程度使えるともいわれており、能登地震のように停電が長引くような事態になっても心強い存在となります。

太陽光からの電気を蓄電池に流し、蓄電池を自立運転モードに

太陽光発電+蓄電池の組み合わせで設置している場合は、太陽光発電から供給される電力のうち余った分は蓄電池に流れる構成になっています。災害が発生して停電になったら、太陽光パネルからパワーコンディショナーに流れた電気を蓄電池に流すように設定しておきます。こうすることで、停電時には太陽光発電による電力を24時間無駄なく使用できるようになります。

そして、蓄電池には連系電力が流れてこないので、これについては自立運転モードにする必要があります。

事前に災害時に使用したい家電を決めて蓄電池と接続しておくと完璧

蓄電池は災害を意識した機器でもあるため、蓄電池の設置工事をする際には「災害時に使いたい家電」と接続しやすいように工事をしておくことを強くおすすめします。冷蔵庫や空調関係、調理関係、入浴関係などは生活のライフラインともいえるものなので、これらの家電が使えるようにしておくと安心度は高くなるでしょう。

ただし、これらの家電は電力を多く消費するものもあるので、便利さを追求するとその分だけ持続時間が短くなります。もちろん太陽光発電や蓄電池の規模を大きくすることで解決できる問題ですが、その分コストも大きくなります。この点についてはコストパフォーマンスを考慮しつつ最適なプランを構築するのがよいでしょう。

こうすることにより、蓄電池を導入するメリットを災害時に強く感じることができます。

災害発生時のエコキュート使用方法、手順

災害発生時、エコキュートは水やお湯の供給で威力を発揮します。それではエコキュートを災害時に活用する方法や手順についても解説しましょう。

災害発生時には太陽光発電や蓄電池でお湯を沸かす

エコキュートを単体ではなく太陽光発電や蓄電池と併用している場合、災害が発生して停電になっても、水道から供給さえあれば太陽光発電+蓄電池からの電力供給で普段どおりにお湯を使うことができます。

しかしながら、災害発生時には水道も被害を受けて断水になる可能性大です。そのことは能登半島の地震でも改めて証明されています。その場合は、エコキュートを水の供給源として活用できます。

水が不足した場合はタンク内の水を利用する

断水が発生すると、生活用水が不足します。人間は水がなければ生きていけないため、断水は停電や通信障害よりも深刻な問題です。災害発生時に自衛隊の給水車が被災地に急行するのも、水がなければ衛生状態が悪くなったり、脱水症状などによる二次的な被害につながる恐れがあるからです。

断水で水道が使えないとき、活用したいのがエコキュートの中に貯められている水です。エコキュート内にあるタンクには、300リットルから400リットルもの水が貯蔵されています。しかも清潔な状態で貯められているので、生活用水として利用可能です。

災害時にエコキュートの水を使用する手順

災害時にエコキュート内のタンクにある水を使用する手順を解説します。こちらについてもエコキュートの機種によって操作部分の名称や位置、方法などが異なるため、一般的な流れとして解説します。

①漏電遮断器のスイッチを切る

最初に、漏電遮断器のスイッチを切ります。このスイッチはおおむね、エコキュートのタンク本体の点検口にあります。

②給水止水栓を閉じる

給水止水栓を閉じます。これにより、エコキュートに外部からの水が入るのを止め、水質が悪化するのを防ぎます。

③逃し弁レバーを開く

エコキュートの内部にある「逃し弁」のレバーを開きます。この逃し弁は本来、内部でお湯が沸いた時にタンク内で膨張した水を排出するためにあります。「のがしべん」と読みますが、本来は膨張した分の水分、蒸気を逃すための弁です。

④コックをひねって水(お湯)を出す

逃し弁を開き、コックをひねると内部の水(お湯)が出てきます。この水を受けるための容器やホースなどをあらかじめ用意しておいてください。また、内部の状態によっては水ではなく高温のお湯のままであることもあります。高温のお湯をそのまま浴びてしまうと火傷の原因になるので、最初はコックを開きすぎず少し開いて様子を見ながら水を出すようにしてください。

まとめ

太陽光発電、蓄電池、エコキュートはそれぞれ災害に強い機器です。いざというときにその能力を発揮させるために知っておくべき基本や、一般的な操作手順の流れについても解説しました。災害が起きてからだと平常心で操作するのも難しいため、普段からの心がけで操作方法を簡単にマスターしておくことをおすすめします。

エコキュートの逃し弁など、通常は操作することがないような部分は場所も分かりにくいものです。お使いの機器の説明書を確認するなど、こういった疑問を普段から解消しておくと、万が一の事態でも冷静にこれらの機器を活用できます。

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