日本には多数の太陽光発電所が設置されています。太陽光発電事業を予定している場合は、仕組みや設置方式、全国の設置ケースについて知っておくのも大切です。
そこで今回は太陽光発電所の仕組みや投資メリット、全国の太陽光発電所を調べる方法について詳しくご紹介します。太陽光発電事業を検討している事業者や個人は、参考にしてみてください。
太陽光発電所の仕組み
まずは太陽光発電所の仕組みや特徴を確認していきましょう。
光電効果を利用した発電
太陽光発電所は、文字通り太陽光をエネルギー源とした発電設備です。火力発電と違い二酸化炭素を発生させずに発電できるため、太陽光発電所では光を電気へ変換する太陽光パネルを使用します。太陽光パネルには複数の太陽電池が組み込まれており、それぞれ光電効果を持っています。
光電効果は光によって電子(-)と正孔(+)が発生します。電子は回路へ押し出され、起電力が発生します。すると電気回路に電力供給が行われるようになります。また押し出された電子は、正孔と結合します。
いわゆる乾電池のようにn形半導体が-極、p形半導体が+極となります。光が当たると発電し、光の当たらない状態では発電しない・電気の流れない状態という仕組みです。
太陽光パネルで発電した電気を交流へ変換する
太陽光パネルで発電した電気は直流電気のため、そのまま家電製品やその他電気機器へ電力供給できません。なぜなら多くの電気機器は交流電気で稼働するためです。そこで太陽光発電所を運用する際には、パワーコンディショナという変換器を使用します。
パワーコンディショナは、正方形もしくは長方形のような形状で、太陽光パネルなどと接続される機器です。また、太陽光パネルで発電した直流の電気は、パワーコンディショナへ流れ交流へ変換したのち、分電盤を通じて各コンセントや電気機器へ供給できるようになります。
なお売電型の太陽光発電所であれば、電力量計を通じて電力会社に向けてへ送電(逆潮流)します。発電や送電状況は専用の端末から確認することが可能です。
太陽光発電所の運用には出力に応じた土地が必要
太陽光発電所は、発電設備を設置する土地が必要です。出力10kW未満の小規模な場合であれば、住宅やマンションの屋根に設置できます。設置の際は架台を屋根に取り付け、架台の上に太陽光パネルや各種機器の設置を行います。
出力10kW以上の太陽光発電所は、土地面積の広い場所へ設備を設置します。(土地付き太陽光発電・野立て太陽光発電・産業用太陽光発電)また、地面に設置するのが、出力10kW未満の太陽光発電と異なるポイントです。
出力1MWクラスのメガソーラーに関しては、1ha以上の敷地面積が必要となります。(1ha:野球場やサッカー場など)
太陽光発電所を所有するには
太陽光発電の基本的な仕組みを把握できたあとは、太陽光発電所を所有する方法について確認していきます。
新規太陽光発電所を建設
太陽光発電所は、新規で建設および設置できます。太陽光発電所を建設するにはまず土地を取得の必要があります。土地の取得については、太陽光発電の販売店や関連サービスで、太陽光発電向けの土地を探すことができます。
土地を取得した場合は太陽光発電施工業者へ相談し、土地の地盤調査や見積り、契約、造成・設置工事といった流れで設備を設置していきます。
太陽光発電所の新規設置は、任意の場所に設置できるというのが主なメリットです。
ただし、中古発電所よりも設置費用の負担は大きくなってしまいます。たとえば出力10kWの太陽光発電所は、設置費用400万円前後かかります。一方中古太陽光発電所の場合は、新規設置費用から数十万円~数百万円程度抑えられます。
新規で太陽光発電所を設置する場合は、事業計画や収支のバランスなどを慎重に見極めながら判断するのが大切です。
中古の太陽光発電所は新規設置より費用を抑えられる
太陽光発電所を所有している個人や法人の中には、維持費用やその他事情で売却しているケースがあります。
このような太陽光発電所を中古太陽光発電所と呼びます。
前述で触れたとおり中古太陽光発電所は、新規設備よりも安く購入できるのが主なメリットです。
また、新規設置とは異なり、土地を探したり設備の設置工事を依頼したりといった作業を省略できます。さらにFIT制度の申請手続きが済んでいてるため、各種手続きも比較的シンプルな内容です。
中古太陽光発電所は、設置年の固定買取価格を適用してもらえるため、高い売電収益を期待できるのも強みです。たとえば2015年に設置された太陽光発電所を2021年に中古として購入した場合は、2015年の固定買取価格が適用されます。
ただし、固定買取期間はFIT申請年を基準としているため、10年間や20年間固定価格で売電できない点に注意が必要です。
弊社サービスでは中古太陽光発電所(産業用、メガソーラー)の物件を、毎月100件ペースで更新しております。また、購入手続きや税務サポート、メンテナンスサポートなど幅広く対応いたします。
個別に無料セミナーを実施しておりますので、中古太陽光発電所の購入に関する疑問や悩みをお気軽にご相談いただけます。(オンライン可)
PPAを活用
近年では、太陽光発電所の購入・運用に関する新しいビジネスモデル「PPA」が出ています。
PPAは、PPA事業者から無償で太陽光発電を設置してもらい、発電した電力を一定期間購入するシステムです。契約期間終了後は、太陽光発電所を譲り受けることができます。
設置費用をかけずに太陽光発電所を利用・所有できるのは、2021年時点でPPAのみです。
しかし、PPAにも注意点があります。まず契約期間中に設備処分や部品交換を自由に行うことができません。さらにPPA事業者によって契約期間や譲渡条件が異なるため、あらかじめ契約内容を1つ1つ確認しておくのも重要です。
太陽光発電所の投資メリット
続いては、太陽光発電所の主な投資メリットについて分かりやすく紹介します。
売電収入を得られる
太陽光発電所の主なメリットは、売電収入を得られるという点です。
太陽光発電を含む再生可能エネルギーには、FIT制度が適用されています。FITとは、一定期間固定単価で、電力会社に売電可能な制度のことです。
太陽光発電の場合は、出力10kW未満で10年間、10kW以上で20年間固定単価で売電できます。そのため、収支を見通しやすいというメリットを得られます。
固定買取価格は年々下落傾向していますが、中古太陽光発電所を購入することによって高い固定買取価格での売電も行えます。2021年から太陽光発電の売電収入を得たい場合は、中古太陽光発電所を含めた運用計画を検討するのがおすすめです。
企業価値アップを期待できる
法人が太陽光発電所を設置する場合は、企業価値アップも期待できます。
近年、国内外で環境を重視した事業活動に注目が集まっています。たとえば、ESG投資もその1つです。
環境活動や環境に関する事業を手掛けている企業への投資は、ESG投資と呼びます。(ESGのE:環境・Environment)他にもSDGsに再生可能エネルギーに関する環境目標があります。また、事業活動に必要な再生可能エネルギーで自給することを目標としたRE100へ、参加できる可能性もあります。
このようにさまざまな環境目標があり、どれも環境保護・企業価値と関係のある内容です。
太陽光発電所を設置、運用している企業はESG投資の対象となる可能性もありますし、社会的にも信用アップにつながります。
自家消費型であれば課税所得削減
自家消費型太陽光発電への切り替えは、電気代削減に加えて課税所得の削減を期待できます。法人が自家消費型太陽光発電を運用する場合は、発電設備を減価償却資産として経費に計上できるようになります。さらに太陽光発電所は、法定耐用年数17年間です。
つまり発電設備の購入費用は17年間経費として計上できるため、一定期間課税所得を削減できます。課税所得の負担を抑えたい法人にとっては、特にメリットのある内容です。
遊休地を有効活用できる
太陽光発電所は、遊休地を活用できるのも強みです。不動産投資の場合は周辺環境も考慮しなければいけないため、森林の近くや駅から遠いエリアで始めるのは難しい状況となっています。
一方太陽光発電所は地盤や平地、日射量などいくつかの条件を満たせば、交通の利便性が悪い場所でも問題なく設置運用可能です。さらに1ha規模の遊休地を所有している事業者の場合は、メガソーラーも検討できます。
非常用電源として役立つ
太陽光発電所は、災害やその他要因で停電した際に非常用電源として役立ちます。近年、日本では地震や台風、ゲリラ豪雨など、さまざまな災害に見舞われています。
そして、災害状況によっては、停電してしまう可能性があります。停電時には発電機の購入も大切です。しかし、数日や1週間などの長期間の停電時は、非常用発電機で対応しきれないケースも考えられます。
太陽光発電所は日中であれば毎日発電できますし、蓄電池との併用で夜間に電力供給することも可能です。電気を使用できれば、ラジオなどで災害や避難情報を収集できます。出力の大きな設備であれば、照明や冷蔵庫、洗濯機なども稼働できます。
災害対策として太陽光発電所の導入を検討してみるのもおすすめです。
各太陽光発電所を一覧で確認する方法
宮崎県えびの発電所やシャープ苫東の森太陽光発電所など、稼働中の太陽光発電所や発電事業者は、資源エネルギー庁の「発電事業に係る届け出義務について」の「発電事業者一覧」ページや、エレクトリカル・ジャパンの発電所データベースなどから確認することが可能です。
太陽光発電所の場所や発電量を確認することで、設置場所と発電効率の関係について整理できます。
太陽光発電所は将来性のある投資
太陽光発電所は、太陽光を半導体素子で電気に変換し、その電気をパワーコンディショナで交流に変換・供給する設備です。二酸化炭素を排出せずに発電可能な点以外にも、売電収入や課税所得削減、遊休地の活用など、さまざまなメリットを得られます。
太陽光発電所を設置する方法は、新規設置と中古設備の購入、PPAの3種類に分かれています。中でも中古太陽光発電所は、土地の選定や設置工事などといった工程を省略できます。また、2020年以前にFIT申請された中古太陽光発電所は、2021年に新規設置するより高い固定買取価格を見込めます。
太陽光発電所に関心を持っている方などは、今回の記事も参考に中古太陽光発電所の導入も含めて検討してみてはいかがでしょうか。
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