太陽光発電投資は、国の制度を活用しながら売電収入を得られるのが特長です。しかし初めて検討する方は、今から太陽光発電投資で利益を出せるのか、どのような点に注意すべきかわからず悩んでいるのではないでしょうか。
そこで今回は、太陽光発電投資の特徴やメリット・デメリットについて詳しくご紹介します。太陽光発電事業を検討している方や、太陽光発電投資に関心を持ち始めた方は参考にしてみてください。
そもそも太陽光発電投資とは何か?
太陽光発電投資は、太陽光発電所で発電した電気を電力会社へ売却して、売電収入を得る運用方法の1つです。主な特徴は、FIT制度を活用して固定単価による売電を行える点です。
国で管理しているFIT制度(固定買取価格制度)には、再生可能エネルギー由来の発電設備で発電した電気の買取に関するルールが定められています。
太陽光発電の場合は、10年間もしくは20年間固定価格で売電できます。たとえば出力10kW以上の産業用太陽光発電であれば、価格は20年間変わりません。
一定期間、固定価格で売電できるのは、太陽光発電投資の強みです。
太陽光発電投資と住宅用太陽光発電の違い
一般的に太陽光発電投資は、出力10kW以上の地上設置型や屋根設置型太陽光発電による売電を指します。地上設置型太陽光発電は、地面に設置された産業用太陽光発電のことです。屋根設置型太陽光発電は、ビルの屋上や工場・倉庫などに設置します。
一方、住宅用太陽光発電は出力10kW未満の太陽光発電設備を指し、一般的には自宅の屋根やカーポートに太陽光パネルを設置します。
発電した電気は自宅内のコンセントやエコキュートなどで自家消費し、余った電気を売電するため、電気代の削減が主な目的と言えます。
しかし太陽光発電投資は、収益を確保することを目的とした運用方法です。また地上設置型太陽光発電を検討する場合は、別途土地の購入と造成工事を進める必要性も出てきます。
太陽光発電投資に関心を持っている方は、住宅用太陽光発電とは根本的な目的が違うことを理解しておきましょう。
太陽光発電投資と他の投資の違い
太陽光発電投資の意味を確認したあとは、株式投資や不動産投資との違いについて説明します。
株式投資との違い
太陽光発電投資と株式投資の主な違いは、価格変動です。
株式投資は、売買による利益「キャピタルゲイン」と配当金収入「インカムゲイン」を得られます。ただし株価は変動しやすく、ハイリターン・ハイリスクな側面があります。また、キャピタルゲインの配当金を年間100万円得るには、少なくとも数千万円単位のまとまった資金が必要です。
太陽光発電投資は、運用後の設備売却によってキャピタルゲインを得られます。また、インカムゲインと言える売電収入を得ることが可能です。さらにFIT認定を受ければ買取価格は20年間固定なので、年間の収支や初期費用の回収期間、手元に残る収益を予測しやすいのが強みです。
また太陽光発電所はセカンダリー市場での需要が高いため、購入後5年や10年経過しても一定の価格で売却できます。
太陽光発電投資は、ミドルリスクミドルリターンと言えます。
不動産投資との違い
太陽光発電投資と不動産投資の大きな違いは、収入の安定性です。
不動産投資の場合、毎月継続的に一定の家賃収入を得られます。しかし、入居者の退去によって家賃収入が0円の期間が生まれてしまう可能性もありますし、新たな入居者を募集しなければ家賃収入を得られません。
一方、太陽光発電のエネルギー源といえる太陽光は、半永久的に存在し続けます。そのため、売電収入がゼロになるリスクは皆無に等しいと言えます。
また、過去の気象データから日照時間を予測できるため、年間の発電量と収支を正確に計算することが可能です。
つまり太陽光発電投資は、不動産投資と比較して長期的に収入を得やすいと言えます。
太陽光発電投資のメリット
続いては、太陽光発電投資のメリットについてわかりやすく紹介していきます。
売電で継続的に収益を得られる
前半でも触れたように、太陽光発電投資はFIT制度を活用しながら継続的に売電収入を得られます。
太陽光発電の表面利回りは10%前後で推移しているので、10~15年程度で初期費用を回収することが可能です。初期費用1,000万円の場合は、年間100万円前後の売電収入が期待できる計算です。
不動産投資の場合は、空室や建物の資産価値が下落するリスクがあります。一定の単価で収入を得たいという方は、太陽光発電投資を検討してみるのがおすすめです。
ソーラーローンによって費用負担を分散
太陽光発電の初期費用は、出力100kW程度で2,000万~3,000万円程度とされています。一括で負担するには高い金額と言えますが、ソーラーローンを活用すれば分割払いで導入できます。
なお、ソーラーローンは太陽光発電向けの融資で、低金利といった特徴があります。
弊社とくとくファームでは、ソーラーローンをはじめとした融資に関するサポートも行っているので、融資先にお悩みの方もぜひお気軽にご相談ください。
運用管理を施工販売業者やO&M業者に任せられる
太陽光発電の施工や保守点検は、専門の知識や技術・機器を所有し、なおかつ資格取得者の在籍している業者でなければ対応できません。そのため施工販売業者やO&M業者に運用管理を一任すれば、メンテナンスや修理交換に関する手間を最小限に抑えることが可能です。
さらに保証プランや保険に加入することで、災害などによる故障や修理交換費用を保険金でカバーできます。
経済状況に左右されない
株式投資は時期によって人気の銘柄が変わりますし、景気や経済政策・為替相場の影響も受けます。また不動産投資の場合も、景気や周辺の開発状況によって資産価値が大きく変わります。
一方、太陽光発電の売電収入は、これらの条件に左右されることはありません。また周辺にマンションや住宅などが建築されない土地であればあるほど、影による影響を抑えられるため発電しやすい環境だと言えます。
脱炭素経営を取引先や消費者へアピールできる
企業の場合は、太陽光発電投資による二酸化炭素排出量削減効果をベースに脱炭素経営をアピールできます。
気候変動問題や政府の脱炭素に関する政策によって、投資家や企業は脱炭素経営や環境活動に力を入れているかどうかを投資や取引の指標として活用し始めました。
太陽光発電投資は、売電収入を得られるだけでなく二酸化炭素排出量の削減効果という点でもメリットのある発電設備です。年間の二酸化炭素排出削減量を数値として記録し、消費者や企業などへ公開すれば、信頼性や企業価値の向上につながります。
太陽光発電投資のデメリット
続いては、太陽光発電投資のデメリットについて確認していきましょう。
FIT期間終了後の出口戦略が難しい
FIT制度における固定買取期間は以下のとおりですが、FIT期間終了後に引き続き売電できるかどうかは、2023年時点ではわかっていません。
- 出力10kW未満:10年間
- 出力10kW以上:20年間
FIT制度がスタートしたのは2012年なので、出力10kW未満の住宅用太陽光発電なら2023年時点で卒FITを迎えているケースもあります。しかし電力会社が住宅用太陽光発電の売電プランを提供しているため、今のところ卒FIT後でも売電できます。
一方で、出力10kW以上の産業用太陽光発電は、2012年にFIT認定を受けた設備でもまだ卒FITを迎えていない状況です。そのため、その後どうなるかは不明です。
太陽光発電投資を検討する時は、20年後の出口戦略を考えておく必要があります。なお、出口戦略の方法については、後半で紹介します。
災害などによる故障リスク
日本は地震大国であり、震度6や7クラスの強い揺れによる被害を受けやすい土地です。地震以外にも台風やゲリラ雷雨、豪雪、熱波といったさまざまな災害や気象による影響を受けやすく、太陽光発電設備の故障につながることもあります。
そのため、設置場所の気候や災害リスクを確認しておくことが重要です。
ただし、太陽光発電の販売店は自然災害補償を提供しているので、設備の修理や交換、撤去費用などを補償してくれます。
出力制御の影響を受ける可能性がある
出力制御の影響を受ける可能性があるのは、太陽光発電投資のデメリットと言えます。
電力会社では電力の需要と供給のバランスを維持するため、発電所からの電力買取を一時停止することがあります。このような措置を出力制御と呼びます。
太陽光発電のオーナーからすると、出力制御は売電収入低下につながる重要な問題です。
このリスクを避けるには、出力制御の行われていない・少ない地域で太陽光発電投資を始めたり、蓄電池を併用したりすることが求められます。蓄電池があれば、売電できずに余った電気を貯めておくことが可能です。
他にも、出力抑制保険などで損失をカバーできる場合もあります。
一定の発電量を維持することが難しい
太陽光発電は、常時一定の発電量を保てません。そのため、売電収入は時間帯や季節・天候によって変動します。たとえば雨の日や曇りの日は、晴れの日の10分の1や3分の1といった水準にまで低下しやすい状況です。
ただし、年間や月間の日照時間や日射量は過去の天候データから確認できますし、蓄電池の併用でカバーできます。
産業用蓄電池には、充電優先や時間帯に合わせた充放電などの多彩な機能が搭載されています。
さらに太陽光パネルの変換効率は年々改良されているので、効率的に発電を進められます。
運用時に周辺住民や自治体との合意が大切
太陽光発電投資のために土地を選定・購入する際は、周辺住民や自治体との合意、環境へ配慮した活動が求められます。
一部の悪質な業者は、景観を損ねたり土砂災害などのリスクへつながったりしても、地元住民の理解を得ずにメガソーラーや太陽光発電の開発を進めています。
また自治体によっては、災害リスクの高い場所への設置を防ぐため、規制条例を設けていることもあります。
太陽光発電投資を始める場合は、規制条例に含まれない土地の選定や、地元住民の反発を和らげるための丁寧な説明なども必要です。
廃棄等費用積立制度の負担がかかる
FIT認定やFIP認定を受けた太陽光発電は、廃棄等費用積立制度の対象設備です。これは太陽光発電所の廃棄費用を積み立てるために創設された国の制度で、2022年7月にスタートしました。売電収入から積立費用分が毎月差し引かれるため、収益の減少といったデメリットにつながります。(※FIP制度については後半で紹介します)
積立期間は、固定買取期間の終了年の10年前からと定められており、また積立額はFIT認定年度によって変わるのが特徴です。たとえば2020年度にFIT認定を受けている場合は、発電量1kWhにつき毎月0.66円(出力50kW以上250kW未満)です。
このようにFIT制度を活用した太陽光発電投資は、負担のかかる制度に対応する必要があります。ただし、将来かかる解体撤去費用を自動的に積み立てられる点は、メリットとして捉えることもできます。
2023年から新規の太陽光発電設置は厳しい?
2023年から太陽光発電所を新規で設置する時は、固定買取価格の傾向と全量買取ルールについて把握した上で判断する必要があります。
ここからは、太陽光発電所の新規設置に関する注意点を紹介していきます。
固定買取価格が下落傾向で更新されている
太陽光発電投資で重要な固定買取価格は、年々下落傾向で更新されています。
固定買取価格は認定を受けた年度によって変わり、たとえば2012年では1kWhあたり40円でした。(出力10kW以上)
ところが2023年の場合は、出力10kW以上50kW未満で1kWhあたり10円です。2012年と比較した場合、1kWhあたり30円も下落しています。
もちろん太陽光発電の初期費用はその時よりも安くなっています。ただし、固定買取価格のように4分の1程度まで値下がりしておらず、その分費用回収期間が延びたり収益率の低下につながったりする可能性もあります。
設置費用より固定買取価格の値下がり幅が大きいため、新規設置で売電収入を伸ばすのは難しい状況といえます。
全量買取のルールが厳しくなっている
全量買取とは、発電した電気を全て電力会社へ売却できるルールのことです。これまで出力10kW以上の太陽光発電も対象設備に含まれていました。
しかし2020年度にルールが変更され、出力10kW以上50kW未満の太陽光発電を新規に設置する場合は、余剰買取(自家消費後に余った電気のみ売電可能)方式しか選択できなくなりました。
つまり2023年から新規設置で全量買取を選択するには、出力50kW以上でなければいけないということです。
小規模な太陽光発電投資を検討している方にとっては、デメリットと言えるでしょう。
出力によってはFIP制度へ移行してしまうことも
2023年から太陽光発電投資を始める場合は、FIP制度へ移行しなければいけない場合もあります。
FIP制度は、電力市場の価格に沿って売電を行う制度で、補助収入があるもののインバランスリスクなどがあります。(インバランス:発電や需要予測に対して実際の発電量や需要とのズレを電力会社へ支払う制度)
なお、2023年6月時点でFIT制度の対象は、出力500kW未満の設備のみです。また出力250kW以上500kW未満の太陽光発電を導入する時は、FIT制度とFIP制度どちらも選択することが可能です。
特に出力500kW以上の太陽光発電で国の支援制度を活用する場合は、FIP制度しか選択できません。
出力500kW以上の太陽光発電を導入したい方は、次の項目で紹介する中古太陽光発電所を検討してみてください。
2023年から太陽光発電で失敗しないようにするには?
ここからは、2023年から太陽光発電を始める際に失敗しない・注意すべきポイントを紹介します。
中古太陽光発電所を購入する
おすすめは、中古太陽光発電所の購入です。中古太陽光発電所は、既に稼働されたことのある太陽光発電設備を指します。主な導入メリットは、以下のとおりです。
- 固定買取価格が新規設置より高い
- 発電や売電実績から正確な収支予測が可能
- 購入後すぐに稼働が可能
FIT認定を受けた中古太陽光発電を購入した場合、FIT認定年の固定買取価格で売電を始められます。たとえば、2012年に認定を受けた発電所を購入すると、その年度の単価になります。
ただし固定買取期間は、20年間から稼働済みの期間が差し引かれます。そのため初期費用と利回り、回収期間を1つずつ丁寧に計算しておく必要があります。
弊社とくとくファームは、これまで15,000件もの中古太陽光発電物件に関する売買仲介を担当してきました。専任のアドバイザーがヒアリングを実施し、お客様に合った物件情報の提案、現地調査、売り手との交渉と契約手続きを含め、一括対応いたします。
これから太陽光発電投資を始める方は、お気軽にお問い合わせください。
自家消費型太陽光発電へシフト
法人の場合は、自家消費型太陽光発電を視野に入れながら検討してみることも大切です。
新規設置を選択した場合は、固定買取価格が低いというデメリットがあります。また、出力50kW未満は全量買取できませんし、自家消費率30%維持などの条件も含まれています。
自社オフィスや工場など消費電力の大きな施設を所有していれば、自家消費率30%以上を維持できますし、発電した電気を全て自家消費に回すことが可能です。
それでも電気が余る場合は、蓄電池との併用により電力損失を可能な限り抑えられます。
ただし、一般的に個人では全量自家消費型太陽光発電を導入しても自家消費し切ることが難しいため、中古太陽光発電の設置をおすすめします。
特に中古太陽光発電が太陽光発電投資に合う理由
前段で触れたように、中古太陽光発電は収益などさまざまな面でメリットの多い設備と言えます。しかしその強みがよくわからない方もいるかもしれません。
最後は、2023年からの太陽光発電投資で中古太陽光発電を選ぶべき理由を詳しく解説します。
高い固定買取価格で売電可能
中古太陽光発電は、新たにFIT認定を受けて太陽光発電を設置する場合と比較して、売電収益を伸ばしやすい選択と言えます。
前半で紹介したように、FIT制度の固定買取価格は年々下落し続けており、なおかつ毎月の売電収入から廃棄費用の積み立て分が差し引かれます。
しかし2014年や2015年といった高い固定買取価格でFIT認定を受けた中古太陽光発電を購入すれば、高い単価で売電を始めることが可能です。また利回りの改善は、費用回収期間の短縮および手元に残る利益の増加につながります。
過去の発電実績などでシミュレーション可能
中古太陽光発電物件を比較検討する際は、過去の発電実績や修理交換状況を確認できますし、実績値からシミュレーションできるため、年間の収支や費用回収期間などの精度を高めることが可能です。
初期費用の返済負担を気にしている方や費用回収期間を正確に分析したい方などは、中古太陽光発電の方が合っていると言えます。
2019年以前の物件なら2020年度以降の規制を受けることなく売電可能
2019年以前の物件は、出力10kW以上50kW未満でも地域活用要件や自家消費といった規制を受けることなく売電を始められます。
特に低圧太陽光発電物件を検討している方は、メリットの大きなポイントです。
弊社とくとくファームでは、2019年以前にFIT認定を受けた太陽光発電物件も多数取り扱っています。出力10kW以上50kW未満の太陽光発電を求めている方も、ぜひご相談ください。
2023年から太陽光発電投資を始めるなら中古物件の購入がおすすめ!
太陽光発電投資とは、発電した電気を電力会社へ売却し、収入を得る運用方法のことです。2023年から太陽光発電投資を始めるなら、固定買取価格の下落傾向や全量買取ルールの変更などの点を踏まえ、中古太陽光発電所を購入するのがおすすめです。
太陽光発電の売電収入に関心を持っている方や太陽光発電事業を検討している方は、今回の記事を参考に太陽光発電投資を検討してみてはいかがでしょうか?
弊社とくとくファームでは、中古太陽光発電所の売買仲介サービスを提供しています。中古太陽光発電物件を全国から集めていて、売電価格20円以上の高単価物件も多数取り扱っています。
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