FIT制度適用期間終了後の売電契約はどうなる?

FIT制度適用期間終了後の売電契約はどうなる?

FIT制度の承認を受けた場合太陽光発電は、10年間もしくは20年間固定買取価格で売電し続けられます。固定買取期間終了後は、どのように運用するのか分からない方もいるのではないでしょうか。FIT制度適用期間終了後は、売電契約について新たに検討する必要があります。
そこで今回は、太陽光発電の固定買取期間終了後の売電契約や注意点について詳しくご紹介します。固定買取期間終了後の運用方法を模索している方や各電力会社のサービス状況を知りたい方などは、参考にしてみてください。

固定買取期間終了後は売電契約できる?

太陽光発電投資で重要なFIT制度は、出力10kW未満で10年間、10kW以上で20年間適用されます。適用期間終了後は、売電契約することが可能です。しかし、注意点もあるため、基本的なポイントを押さえておくのも大切です。
まずは、固定期間終了後の売電契約について確認していきます。

2021年時点では引き続き売電可能な環境

2021年時点では、固定機期間終了後も売電契約を結んだり切り替えたりすることが可能な環境です。
FIT制度の前身となる余剰電力買取制度は、2009年にスタートした制度です。固定買取期間10年間と定められていたため、2009年に太陽光発電を設置した方は、2019年をもって固定買取期間終了となりました。
一時期、売電契約を継続できないといった噂(2019年問題)も出ましたが、2020年以降も売電契約を継続したり切り替えたりできています。
売電契約を続けたい場合は、太陽光発電の売電契約プランを提供している電力会社と契約する必要があります。たとえば、東京電力では、出力10kW未満の太陽光発電設備を所有している方に向けて、電力買取および売電収入付きプランを提供しています。

5年後10年後の状況は予測が難しい

2021年時点で各電力会社は、固定買取期間終了後の設備管理者向けに売電契約を提供しています。しかし、5年、10年、15年後の太陽光発電および売電契約を取り巻く環境は、予測の難しい状況です。
政府では、再生可能エネルギーの規制および運用方針について、都度修正しながら管理運用しています。過去には、出力10kW以上の一部設備について全量買取を禁止したり自家消費要件を設定したりと、運用ルールを大きく変えていることもありました。
そのため、今後も売電契約や契約単価、契約条件などの規制や変更などについて想定しておくのが大切です。これから太陽光発電投資を始める時は、固定買取期間終了後の売電契約を検討しつつ、他の出口戦略について計画を作成しておくのが大切です。

各電力会社の売電契約状況

2021年時点で売電契約を結べることを理解したあとは、各電力会社の方針やプランについて確認していきます。
大手電力会社は、太陽光発電の電力買取プランを提供しているので、複数の選択肢を検討できます。

大手電力会社10社はFIT制度終了後も売電契約可能

大手電力会社10社は、固定買取期間終了後の設備で発電された電気の買取プランを提供しています。
以下に各電力会社のプランを紹介します。

電力会社 固定買取期間終了後のプラン
北海道電力 シンプル買取:1kWhにつき9.00円
電気お預かりサービス:発電した電気を電力会社へ預けて、預けた分を任意のタイミングで利用できる
東京電力 再エネ買取標準プラン:1kWhにつき8.50円
再エネおあずかりプラン:発電した電気を電力会社へ預けて、自家消費分に充当できる
北陸電力 あんしん年間定額プラン:余剰電力量に応じた買取金額を受け取るプラン
・出力2.0kW以上3.5kW未満、年間発電量600kWh以上:年間15,000円
・出力3.5kW以上5.0kW未満、年間発電量600kWh以上:年間25,000円
・出力5.0kW以上、年間発電量1,400kWh以上:年間35,000円
わくわく電気預かりプラン:発電した電気を電力会社へ預けて、預けた分を任意のタイミングで利用できる
中部電力 シンプルプラン:1kWhにつき7.00円
プレミアムプラン(翌月の電気料金に充当):1kWhにつき8.00円
Amazonギフト券プラン(Amazonギフト券として受け取る):1kWhにつき8.10円
WAONプラン:1kWhにつき7.00円(翌月の電気料金へ充当)、1kWhにつき2ポイント(WAONポイントとして付与)
再エネスマートプラン:1kWhにつき7.00~12.00円(翌月、電気を使用した時間帯に応じて単価が変わる)
関西電力 買取:1kWhにつき8.00円
中国電力 買取プラン:1kWhにつき7.15円
お預かりプラン(発電した電力を夜間使用分へ充当):1kWhにつき8.15~9.15円
ゆめかプラン:1kWhにつき7.15円、電子マネーゆめか1kWhにつき1.00円
WAONプラン:1kWhにつき7.15円、電子マネーWAON1kWhにつき1.00円
四国電力 買取:1kWhにつき8.00円
九州電力 買取:1kWhにつき7.00円
再エネお預かりサービス:発電した電気を電力会社へ預けて、預けた分を任意のタイミングで利用できる
沖縄電力 買取:1kWhにつき7.70円、ポイント付き

各電力会社の買取単価は、1khWにつき8.00円前後で設定されています。FIT制度の固定買取価格と比較すると、半額程度まで抑えられているのが特徴です。
そのため、メンテナンス費用などの維持管理費用を電力買取でカバーできるか、事前に計算しておくのが重要です。
売電契約プランの豊富な電力会社は中部電力や中国電力で、電子マネーとの併用プランなどオリジナリティあふれるサービスとなっています。一方、関西電力や北海道電力などは、ポイントなどの付帯サービスなしというシンプルなプランです。
なお、電力会社によって管轄エリアが異なります。

新電力の中にも売電契約可能なケースがある

電力自由化以降に設立された新電力の中には、出力10kW未満の太陽光発電で発電された電気を買い取っている電力会社もあります。
大手電力会社のプランでは物足りないと感じる時は、新電力のプランを検討してみるのも大切です。
以下に新電力の売電契約プランを数種類紹介します。

電力会社 固定買取期間終了後のプラン
ENEOS 買取:余剰電力の買取プラン
・北海道電力エリア:1kWhにつき11.00円
・東北電力エリア:1kWhにつき11.00円
・東京電力エリア:1kWhにつき11.00円
・中部電力エリア:1kWhにつき10.00円
・北陸電力エリア:1kWhにつき10.00円
・関西電力エリア:1kWhにつき10.00円
・中国電力エリア:1kWhにつき10.00円
・四国電力エリア:1kWhにつき10.00円
・九州電力エリア:1kWhにつき8.00円
まちエネ 買取:余剰電力の買取プラン
・東北電力エリア:1kWhにつき9.50円
・東京電力エリア:1kWhにつき9.00円
・中部電力エリア:1kWhにつき7.50円
・関西電力エリア:1kWhにつき8.50円
・四国電力エリア:1kWhにつき7.50円
NTTスマイルエナジー エコめがね卒FITPlus:余剰電力の買取プラン
・東日本プラン:1kWhにつき9.30円
・西日本プラン:1kWhにつき8.40円
・九州プラン:1kWhにつき7.20円
Looop電気 Looop FIT:余剰電力の買取プラン
・北海道、東北、東京電力エリア:1kWhにつき8.00円
・中部、北陸、関西、中国、四国、九州電力エリア:1kWhにつき7.00円
丸紅新電力 SHARPプラン:1kWhにつき最大14.00円(指定の蓄電池を設置する必要あり)
地域応援プラン:電力を買い取ってもらったのちポイントを獲得、貯まったポイントで特産品と交換

新電力の特徴は、大手電力会社よりも高い売電単価を提供している場合もあるといった点です。また、特産品との交換プランなど、より独自性の高いプランもあり、さまざまなプランを比較してみたい方に嬉しい内容です。
新電力は、大手電力会社と同じく管轄エリアが設定されているので、対応エリアに居住しているか確認しておく必要もあります。

売電契約を継続する際の注意点

続いては、売電契約をし直す、切り替える時の注意点について解説していきます。

固定買取価格よりも安くなる可能性

大手電力会社や新電力会社が提示している売電契約プランは、FIT制度の固定買取価格よりも安い価格帯で設定されている傾向です。そのため、2021年もしくは5年後、10年後にFIT制度の適用期間終了する方は、固定買取価格よりも安い価格帯を前提とした売電契約を想定しておきます。
大手電力会社の売電単価は、1kWhにつき8.00円前後と固定買取価格よりも半額程度まで下げられています。また、売電単価の高い新電力でも1kWhにつき11.00円前後と、固定買取価格の7割程度に抑えられています。
これから太陽光発電を始める方や既に設置している方は、売電契約の継続や切り替えによって得られる売電収入と維持管理費用のバランスを確認してみるのも重要です。もし、売電収入でカバーしきれない場合は、どのような方法で費用を負担していくのか早めに計画を作成してみます。

売電契約終了を想定しておく

各電力会社が提供している売電契約プランは、企業の都合や政府の制度変更などで終了する可能性もあります。また、売電契約という制度が継続したとしても個別のプランは、企業側の都合により売電単価変更もしくは終了してしまうケースもあります。
FIT制度の適用期間終了後に売電契約を結ぶ場合は、プランの切り替えや売電以外の運用を含めて検討してみるのが大切です。
2021年時点では、大手電力会社や新電力で売電契約プランを提供しているので、新規契約および切り替えやすい環境です。

売電価格の高い電力会社を比較

売電を継続する時は、なるべく売電単価の高い電力会社との契約を検討してみるのがおすすめです。
前段で紹介したように各電力会社の提示している売電単価は、異なる状況です。そのため、売電単価の高いプランもしくは、付加価値の高いプランを探すのが大切です。
付加価値の高いプラントは、たとえばポイントサービス付きプランやギフト券のプレゼント、電子マネーに活用可能なポイント付きプランなどのことです。付加価値の高いプランは、一部大手電力会社でも提供しています。
売電契約を比較する時は、大手電力会社と新電力どちらも確認してみてはいかがでしょうか。

売電契約継続以外の選択肢

売電契約の継続によるデメリットは、売電単価下落による赤字リスクです。また、売電単価やプランは、変更されたり廃止されたりする可能性もあります。
そこで、売電契約以外の出口戦略について考えてみます。

自家消費型太陽光発電へ切り替える

売電を行わずに設備を稼働したい場合は、自家消費型太陽光発電がおすすめです。自家消費型太陽光発電は、発電した電気を売電せず、全て自宅や自社で消費する運用方法を指します。
主なメリットは、売電契約プランの変更や売電に関する制度変更の影響を受けずに稼働し続けられる点です。売電を継続する場合は、売電に関する規制や制度変更などに対応しなければいけません。
他にも自家消費が太陽光発電は、電気代削減効果を伸ばせるメリットも得られます。また、電気代を削減することによって余ったお金は、維持管理費用や貯蓄などへ充てることが可能です。
自家消費型太陽光発電へ切り替えるには、太陽光発電施工業者へ回路やその他切り替え工事を依頼する必要があります。また、効率よく運用するには、蓄電池の導入も重要です。

太陽光発電所を売却する

太陽光発電の運用自体を一旦取りやめたい時は、設備の売却がおすすめです。
住宅用太陽光発電の場合は、太陽光パネルなどの部品を売却することが可能です。さらに土地付き太陽光発電は、設備そのものを売却できます。土地付き太陽光発電は、数百万円以上の売却益を見込めるのが住宅用太陽光発電との大きな違いです。
太陽光発電所を売却する時は、実績豊富、適正価格で売却してもらえる業者へ相談するのが重要です。
創業28年の弊社サービスとくとくファームは、15,000件以上の売買仲介実績を持つ太陽光発電専門の仲介サポートサービスです。Web掲載料や仲介手数料0円で相談可能なので、まずは電話、Webフォームよりお問い合わせください。

太陽光発電所を撤去

太陽光発電の売却が難しい状況であれば、解体撤去という方法も考えられます。太陽光発電の撤去は、太陽光発電設備の撤去実績を持つ解体業者で対応してもらえます。
撤去費用は、太陽光パネルの枚数などによって変わるものの、100万円単位でかかるのが一般的です。なお、10kW以上の事業用太陽光発電は、撤去費用の積立が義務化されています。
撤去に一定の費用負担がかかるので、まず自家消費や売却、貸し出しなどを検討してみるのもおすすめです。太陽光発電所の売却では、数百万円の売却益を得られますし、売却益を太陽光発電を含む投資へ新たに活用できます。

売電契約の継続以外についても考えておくのがベター

FIT制度の適用期間終了後は、固定買取価格で売電できません。しかし、大手電力会社10社や新電力の一部では、卒FITの方向けに売電契約プランを提供しています。
つまり、2021年時点では、FIT制度の適用期間終了後も引き続き売電し続けられます。売電単価は、固定買取価格と比較して半額もしくは7割程度の価格です。そのため、設備の維持管理費用が、売電収入を上回る可能性もあります。
卒FIT後は、売電契約の継続や切り替えだけでなく、設備の売却などを含めて複数の選択肢を用意しておくのがおすすめです。
これから太陽光発電の導入を検討している方や卒FITの近い方は、今回の記事を参考に売電契約の比較検討をしてみてはいかがでしょうか。

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