太陽光発電投資は、不動産投資と異なり空室リスクはありません。しかし、いくつかのリスクを把握した上で計画的に準備を行わなければ失敗を招く可能性もあります。
そこで今回は太陽光発電投資の失敗につながる行動やリスク、デメリットについて分かりやすくご紹介します。太陽光発電投資のメリットしか確認していない方などは、参考にしてみてください。
太陽光発電投資における失敗とは?
まずは、太陽光発電投資における失敗事例についていくつか紹介していきます。
物件選びを間違って収益が伸びなかった
事前準備せず中古太陽光発電所を選んでしまったことで、想定通りに収益を得られないという場合があります。
太陽光発電投資の中には、既に設置されている中古太陽光発電所へ投資する方法があります。このような2012年や2013年など固定買取価格の高い年に設置された中古太陽光発電所は、高い利回りを期待できます。
しかし、周囲に木や建物などがあったり前オーナーが管理を怠っていたりしている物件を購入した場合、想定以下の発電・修繕費用の負担といった結果となることがあります。また、2019年や2020年など固定買取価格の安い中古太陽光発電所を選んでしまうと、高い売電収益を得るのは難しい状況です。
中古太陽光発電所の投資を検討している時は、各物件の詳しい状況を調べるのが大切です。
良い物件を購入できなかった
2012年や2014年など高い固定買取価格でFIT認定を受けた中古太陽光発電所、設備状況や立地条件の良い太陽光発電所は、多くの投資家が狙っている物件です。
そのため、早い段階で売り切れてしまう可能性があります。高い固定買取価格の中古太陽光発電所へ投資するには、迅速な行動と情報収集力も重要です。
自然災害を想定せず太陽光発電設備を設置
設置エリアの環境を調べず太陽光発電所を設置もしくは購入してしまうと、自然災害による破損や事故といった損害を受ける場合があります。
特に近年はゲリラ豪雨が各地で発生しており、土砂災害や河川氾濫といった被害も想定しなければいけません。
具体的には以下のような被害が考えられます。
- 台風で太陽パネルが吹き飛ぶ
- 暴風などで石などが太陽光パネルに直撃、割れる
- ゲリラ豪雨などで太陽光発電所が水没
- 地震によって地割れが発生し、土台から破損
- 積雪量に耐え切れず太陽光パネルが破損
- 塩害によって架台などが錆びる
太陽光発電所投資では地震や台風、その他水害や風災など自然災害リスクを想定しながら設置・購入しておきます。また積雪量や降雨量、災害ハザードマップの確認なども行うのが大切です。
節税対策をし忘れて大きな税負担となってしまった
太陽光発電投資の失敗として経費計上や節税対策をし忘れていたため、大きな税負担となってしまうケースが考えられます。
太陽光発電投資では、売電収入に対して所得税や固定資産税がかかります。太陽光発電設備を設置するための土地を取得した場合は、不動産取得税の負担も発生します。また、不動産取得税は、市街化区域内など評価額の高い土地であればあるほど、高く設定されます。
太陽光発電投資で黒字化を目指すためには、税負担と節税対策についても学習し、少しでも税負担を抑えられるよう節税対策を施すのが大切です。
初期不良を見逃していた
立地やシミュレーション、節税対策に問題がなくとも、初期不良による発電量低下で赤字となってしまう可能性はあります。このような初期不良の見逃しも、太陽光発電投資におけるミスや失敗といえます。
太陽光発電所の初期不良は、元々壊れているもしくは施工不良などといったパターンが考えられます。稼働1年目は特に発電量のチェック回数を増やしておきます。ただし、遠方に太陽光発電所を設置した場合は常時監視できません。
そこで遠隔監視システムを導入することで、自宅やオフィスなどに設置したモニタから発電量や異常を確認できます。
万が一異常が確認された場合は販売店や太陽光発電施工業者へ問い合わせし、修理や部品交換、点検を行ってもらいます。なお太陽光発電はメンテナンスフリーではありませんので、定期的な点検も重要です。
太陽光発電投資のデメリット
太陽光発電投資における失敗の多くは、事前に対策を施すことが可能です。中には、対策の難しい要素もあります。各デメリットを理解した上で検討を進めていくのが大切です。続いては、太陽光発電投資に関するデメリットを紹介します。
天候の影響で発電量が変動してしまう
太陽光発電は、火力発電や原子力発電と異なり、不安定な発電量というデメリットを抱えています。また、発電量をコントロールできません。
太陽光発電のエネルギー源「太陽光」は、日々日射量(水平面日射量)や日照時間が異なります。日射量の多い日照時間は正午前後で、日の出や日の入り近くの日射量は減少傾向です。
日射量は、直射日射量や散乱日射量など、いくつかの種類に分かれています。
直射日射量 | 直接地面に届いた太陽光 |
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散乱日射量 | 太陽光が雲の中で反射した光 |
水平面日射量 | 直射日射量と水平面日射量を足した現実的な日射量 |
日照時間 | 地面に対して垂直に届いた日射量が0.12kW/㎡以上となった時間 |
雨の日や雪の日、曇りといった天候では、晴れの日よりも低い発電量となってしまいます。たとえば日本海側は雨の多い地域もあり、太平洋側の地域と年間の日照時間に違いがあります。
このように太陽光発電は、天候や設置地域の影響を受けるため、気象庁などのデータを確認しながら設置エリアを考えるのも大切です。太陽光パネルの設置角度を調整することで、効率よく太陽光を吸収できる場合があります。
売電単価は年々下落傾向
FIT制度で定められている売電単価(固定買取価格)は、年々下落傾向となっています。たとえば家庭用太陽光発電の売電単価は、2012年で42円/kWhですが2021年で19円/kWhまで下落しています。
ただし設置費用も年々下落傾向となっているので、初期費用回収および収支バランスを保つことは可能です。
経済産業省の調達価格等算定委員会で公開されている資料によると、家庭用太陽光発電の設置費用は、2012年46.5万円/kW、2020年29.8万円/kWと下落傾向で推移しています。
2021年に新規で太陽光発電を設置した場合、固定買取期間に初期費用の回収や売電収益の確保を目指すことは可能です。
より高い売電収益を目指す場合は、中古太陽光発電所も含めて検討するのもおすすめです。2012年や2013年などといった時期にFIT制度の申請を行った中古太陽光発電所は、高い売電単価を見込めます。
弊社とくとくファームでは、さまざまな中古太陽光発電所物件情報を発信およびサポートしております。まずはお気軽にご確認、お問い合わせください。
出力抑制の影響を受ける可能性がある
近年では、再生可能エネルギー設備の普及によって、電力の需給バランスが偏るケースも出ています。各大手電力会社では、電力の需給バランスを保つために出力抑制という制度を用いています。
出力抑制は、電力の需要に対して供給が上回った場合、再生可能エネルギーの買取を一時的に制限する制度です。つまり、出力抑制を実施された際は、太陽光発電で発電した電気を売電できない状態となります。
太陽光発電投資を始める時は、出力抑制の実施状況をこまめにチェックするのが基本です。出力抑制保険という保険では、同制度によって損失を受け、かつ一定条件を満たせば補償してもらえます。
太陽光発電投資はリスクが少ない?
太陽光発電投資には失敗やデメリット、リスクもあるものの、一方でメリットや対応策も存在します。最後に太陽光発電投資に関するリスクの対応策、導入メリットを紹介します。
2021年時点ではFIT制度によって長期間固定単価の売電が可能
2021年時点では、FIT制度を活用した売電を行うことが可能です。
家庭用太陽光発電では10年間、産業用太陽光発電は20年間固定単価で売電できるようになっています。さらに初期費用は年々下落傾向のため、固定買取期間に初期費用を回収可能です。
そして固定買取期間終了後は、一部電力会社や新電力へ売電できる可能性もあります。電力会社や新電力の中には、独自に定めた売電単価で買取を始めています。買取対応している電力会社が今後も存在していれば、引き続き売電できます。
仮に売電の難しい環境となった場合は、自家消費型へ切り替えることで引き続き稼働可能です。自家消費型については、次の項目で紹介します。
自家消費型へ切り替えることで長期的に運用可能
自家消費型太陽光発電とは、太陽光発電で発電した電気を売電せず、自宅や自身の所有する設備(工場、事務所、ビルなど)へ電力を供給する運用のことです。
自家消費型太陽光発電への切り替えによるメリットの1つは、FIT制度の影響を受けずに運用できる点です。発電した電気は売電しないため、FIT制度のルールや買取価格などと関係なく稼働を続けることができます。
他にも発電した電気の自家消費は、電気代削減効果につながります。自家消費型太陽光発電は、売電収入を得られない代わりに電気代削減によって、支出を減らすことが可能です。
このように太陽光発電投資のリスクでもあるFIT制度終了後の運用や変更などによる影響は、自家消費型太陽光発電で対応可能です。
災害時に非常用電源として使用できる
太陽光発電は、災害時に役立てることができるのも強みです。震度7クラスの地震やスーパー台風などといった規模の災害が発生した場合は、数日や数週間程度の停電も考えられます。
指定避難場所で避難生活を行う場合は、太陽光発電を活用する機会はありません。ただし、在宅避難を選択した場合は、自宅で電気を確保しなければいけない場面も出てきます。そこで太陽光発電があれば、以下のようにさまざまな場面で役立てることができます。
- 調理のために電気ポットやIHクッキングヒーターへ電源供給
- ラジオやテレビに電源供給し、災害や避難情報などについて情報収集を行う
- スマートフォンなどの充電に活用
また、事業者の場合は、企業活動を継続や復旧といったBCP対策へ役立てられます。BCP対策とは、災害時など緊急事態が発生した際に、可能な限り早期な復旧もしくは最低限の企業活動継続を行う計画や準備のことです。
太陽光発電投資のリスクを知ることで失敗を避けることも可能
太陽光発電投資には、リスクや注意点、デメリットなどがあります。天候によって発電量が変化する点や固定買取期間終了といったデメリットは、投資家側で対応できません。
しかし、設置費用の下落傾向や自家消費型太陽光発電への切り替え、非常用電源としての活用など、さまざまなメリットや対応策も存在します。また、中古太陽光発電所の購入によって、高い売電単価を見込めます。
これから太陽光発電投資を始める方は、リスクやデメリット、対応策を把握しておくのが大切です。
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