太陽光発電には多くのメリットがあります。地球環境保護に役立つ、電気料金の削減ができるといったメリットは有名ですが、実は太陽光発電のメリットはこれだけではありません。太陽光発電に詳しい人たちから言わせると、太陽光発電のメリットをこれしか知らないのはもったいないとしか言いようがありません。
それでは、他にどんなメリットがあるのでしょうか?正しい使い方、賢い使い方を知ることで見えてくる太陽光発電の真の実力とは?
目次
太陽光発電の賢い使い方で得られるメリット3選
太陽光発電は使い方次第でとてもオトクになります。まずは、太陽光発電を正しい使い方で得られる3つのメリットをおさらいしておきましょう。これらのメリットはいずれも、一般的に語られているものです。
光熱費を大幅に削減できる
家庭用の太陽光発電システムは、いわば自宅発電所です。しかも発電のもとになる太陽光は無料で降り注ぐ無尽蔵のエネルギーです。電力会社から購入する電力の代わりに無料で作られる電力を利用できるのですから、電気料金の大幅な削減になるのは言うまでもありません。
これから太陽光発電の導入を検討する方のほとんどは、この経済的メリットに魅力を感じていることと思います。特に昨今は電気代の高騰が続いているので、電力会社から購入する量を減らせることには大きなメリットがあります。
地球環境保護に貢献できる
当初、太陽光発電は「夢の再生可能エネルギー」として登場しました。経済的メリットよりも化石燃料を使わずに発電ができる夢の次世代クリーンエネルギーだったのです。このことは太陽光発電が発明された当初から言われ続けてきたもので、初期段階で太陽光発電を導入した人の多くは地球環境保護への貢献、二酸化炭素排出の削減を目的としていました。
上記の光熱費のように直接的なメリットではありませんが、次世代の子どもたちに今の地球を受け継ぐという意味では大いに意義のあることと言えるでしょう。
災害時の非常用電源になる
3つ目のメリットは、2011年の東日本大震災を契機に強く意識されるようになったものです。それは、災害時に停電が発生しても太陽光発電システムが稼働できるのであれば昼間の明るい時間帯は自立運転モードで電力が使用可能になることです。そもそも電力の地産地消も太陽光発電が持つ役割のひとつなので、こうした非常時に備えて自立運転モードが用意されています。東日本大震災の被災地ではすでに太陽光発電を導入している家庭が少なくありませんでした。その家庭の中には自立運転モードで携帯電話の充電ができたという話もよく聞かれ、その電源を近隣の人たちにも開放したという素敵な話もあります。
日本が災害大国であることは疑いようがなく、今後どこで大きな災害が発生するか分かりません。その時に備えて太陽光発電の導入を検討している人も少なくないはずです。
太陽光発電の意外なメリット2選
誰もが意識する太陽光発電のメリットに続いて、ここでは意外なメリットについても紹介します。もちろん特別な使い方をする必要はなく、太陽光発電を導入すれば誰もが得られるメリットばかりです。これから太陽光発電を導入する方は、こうしたメリットもあることを知っておくとよいと思います。
屋根の断熱性が高くなる
屋根の上に太陽光パネルを取り付けると、屋根に直接太陽光が当たらなくなります。夏場の殺人的な暑さは近年社会問題にもなっています。暑さのせいで人が亡くなったり学校行事を中止や日程変更を余儀なくされるということを、数十年前の誰が想像したでしょうか。
もちろんこれだけ暑いと、屋根に当たる太陽光からの熱量も多くなるため、家の中が暑くなります。屋根の真下にある2階や3階といったスペースはエアコンの効きが悪くなり、それを補おうとするあまりに出力を上げ、電力使用量が増大します。
太陽光パネルはこの屋根を日陰にするため、高い断熱効果があることが分かっています。太陽光発電の普及が始まった時期には想定されていなかったメリットですが、今では断熱効果と発電によって光熱費をさらに節約することができるとして注目が集まっています。
自家消費モデルで電力の自給自足が完成する
太陽光発電の自家消費モデルをご存知でしょうか。太陽光発電と蓄電池を設置することで電力の完全自給自足を目指すのが、自家消費モデルの基本です。
元より太陽光発電は十分な日照量がある昼間しか発電をしないことが、最大のネックでした。そのため夜間や天気の悪い日は電力会社からの買電が必要になり、完全な自給自足はできていませんでした。とはいえ昼間に余った電力を売ることによって「実質的な自給自足」を目指すことはできるので、これまでは売電を組み合わせたモデルが一般的でした。
しかしながら、近年では電気料金が高騰しています。夜間や天気の悪い日だけでも電力を購入すると単価の高さゆえに電気代が高くなってしまいます。自家消費モデルは家庭用の蓄電池と併用するため、昼間に余った電力を蓄電池に貯めて夜間などに使うことができるわけです。これなら電力会社からの送電に頼ることなく、本当の意味での自給自足が完成します。
電気料金が高騰していることもあって、近年では太陽光発電の自家消費モデルを選ぶ家庭が増えています。
電気代は今後の高騰!知っておきたい太陽光発電の使い方
先ほどから何度か電気料金の高騰について触れてきました。円安やウクライナ戦争、そしてイスラエルとハマスの戦争などなど、原油高の要因はゴロゴロと転がっています。たとえこれらの問題が解決したとしてもインフレが進行していることに変わりはなく、エネルギー価格の高止まりは続くでしょう。
電気代は今後、高くなることはあっても安くなる可能性は低く、何らかの対策が必要です。そこでおすすめしたいのが、電気代の節約を目的とした太陽光発電の使い方です。
電気代はこれからも安くはならない
電気代が安くなることが期待できない以上、自衛するしかありません。太陽光発電がない家庭だと節電以外にこれといった自衛手段はありませんが、太陽光発電があると話は大きく変わります。
太陽光発電がある家庭の節電では、とにかく電気料金の単価が高い時間帯はできるだけ電力を購入せず、太陽光発電でまかなうのが基本です。そのためにはオール電化と併用して深夜電力を活動することも視野に入れるべきですし、電力使用のピークカットを意識する必要もあります。オール電化とピークカットについては、次章で後述します。
自家消費モデルが最大の電気代高騰対策になる
先ほど解説した自家消費モデルも、電気代高騰対策として有効です。家庭レベルでできる対策としては最も強力な対策と言っても過言ではありません。もし太陽光発電とオール電化、そして蓄電池を組み合わせることで完全自給自足を実現できたら、今後どれだけ電気料金が高くなってもその影響を全く受けないことになります。
これも後述しますが、このように完全自給自足を達成した家庭でEV(電気自動車)を導入してそれも自給自足できたとしたら、クルマの燃料費も完全に無料になります。
さすがにそこまでは夢のような話だと感じるかもしれませんが、実際にそのようなモデルを実現している家庭はすでにあります。
メリットを最大化する太陽光発電の正しい使い方
最後に太陽光発電の使い方を工夫することでメリットを最大化する方法について解説します。ここでいうメリットは電気代という経済的メリットに絞ったもので、「太陽光発電でトクしたい」という方にとってとても重要な情報です。
導入はオール電化と併せて
太陽光発電を導入するのであれば、迷わずオール電化も併用にするべきです。今ではほとんどの人が太陽光発電とオール電化をセットのように捉えていると思いますが、以前はそうではありませんでした。特に後付けの場合はすでにガスと併用している住宅も多かったため、太陽光発電とガスが共存しているというケースも多々ありました。今でも後付けで太陽光発電を導入した家庭ではガスを併用しているところは多いのではないでしょうか。
しかし、これから太陽光発電を導入するのであればオール電化をセットとして考えるのが正解です。理由はいくつかありますが、最大の理由は電気代の節約です。
オール電化の料金プランは昼間の電気料金が高くなり、夜間は大幅に安くなるように設計されています。それだとオトクではないと感じるかもしれませんが、ここで威力を発揮するのが太陽光発電です。昼間は電気料金が高いかもしれませんが、その時間帯は太陽光発電で電力をまかない、太陽光がない時間帯は安い電力を利用できるというわけです。
天気の悪い日は太陽光発電が稼働できませんが、その時に役立つのがエコキュートです。オール電化住宅で導入される一般的な湯沸かし器で、ヒートポンプという自然界にある熱を使ってお湯を沸かす仕組みになっています。またお湯は電気料金の安い夜間に作られるため、太陽光発電が稼働していない日であっても安い時間帯に作ったお湯を使えるというわけです。
これ以外にもオール電化のメリットはたくさんあるので、太陽光発電を導入する際にはオール電化を併用するのが正しい使い方といえます。
電力使用のピークカット
電力使用のピークカットとは、最も使用量が多くなる時間帯の使用量を減らすという考え方です。一般的に電気料金は朝から昼間にかけて使用量が多くなります。特に夏場はエアコンを使用するため、多くの家庭で電力使用量のピークが昼間にやってきます。
ここでひとつ、電気料金の決まり方について知っておきたいことがあります。電気料金は使えば使うほど高くなるということをご存知でしょうか。他の商品であればたくさん買うほど安くなるものですが、電気料金は逆です。多く使うほど単価が高くなるため、電力使用量のピークとなる「山」の部分を低くすることが節約につながります。
太陽光発電は昼間の電力使用量ピークを抑えるのに有効ですし、それ以外にもこまめに電源を切る、エアコンの使用を抑えるといったように、日々の生活で心がけるだけでもピークカットできる方法はたくさんあります。少し意識するだけでも大きく変わるので、太陽光発電と併せて電力の正しい使い方として覚えておきましょう。
V2Hでスマートハウス化
V2Hというのは、EV(電気自動車)を蓄電池のように使用する住宅のことです。蓄電池があると自家消費モデルを確立できることはすでに解説したとおりで、EVをその蓄電池代わりに使うというのがV2Hです。
もちろんそのEVは日々のクルマとして使用することができますし、非常時にはEVに貯められている電力を非常用電源として使用することもできます。
本格的な電気料金節約を考えるのであれば、V2Hも含めた太陽光発電を導入するのが理想的な使い方です。
まとめ
太陽光発電をただ漠然と導入するのではなく、正しい使い方、賢い使い方を知ることで光熱費の削減効果がまるで違うことを解説してきました。電気代が今後さらに上昇していくと生活への影響は必至ですが、太陽光発電の正しい使い方を知っておくことで生活防衛が可能になります。
不安定な時代に向けて「電気代破産」を防ぐためにも、太陽光発電や蓄電池、オール電化といったさまざまな機器との組み合わせを検討し、正しい使い方を知ることが大切です。