系統用蓄電池は発電所や電力系統などに直接接続されている設備のことです。電力の需給に合わせて蓄電・放電することで収益を得る新たなビジネスとして注目されています。しかし他の発電事業同様、設置には土地が必要です。
今回は、注目の系統用蓄電池に向いている土地の条件や土地貸付、事業への参入メリットについて詳しくご紹介します。系統用蓄電池に関心を持っている方や系統用蓄電池向きの土地を探している方などは、ぜひ参考にしてみてください。
系統用蓄電池に合った土地の条件
系統用蓄電池の設置を進めていくときは、運用に適した土地を取得しておく必要があります。主に注目すべきポイントは、敷地面積と土地の区分、周辺環境の3点です。それでは、系統用蓄電池に適した土地の条件を詳しく解説します。
100坪以上の敷地面積
系統用蓄電池事業を始める際は、少なくとも100坪以上(約330㎡)の敷地面積を持つ土地がなければ運用できません。
系統用蓄電池における最低取引単価は、定格出力50kW以上とされています。50kW程度の小規模な系統用蓄電池を設置する際は、100~200坪以上の敷地面積を持つ土地が必要です。
電力の取引量を増やすためには、その分蓄電池の容量を用意しなければならないため、さらい土地が必要となります。100坪以上の敷地面積があるかどうかは、系統用蓄電池事業を始めるうえで最低限の取引が可能となるラインです。
たとえば蓄電容量2,000kWh以上の大規模な系統用蓄電池を導入する場合は、約300坪以上(1,000㎡以上)の敷地面積が必要です。
敷地の周辺に電力系統(送電線など)がある
敷地周辺の電力系統(送電線、電柱など)の確認も必要です。
系統用蓄電池事業では、蓄電池を再生可能エネルギー発電設備や電力系統と直接接続して、電力の送電や売買を行います。つまり、設置予定の敷地周辺に電力系統が必要なのです。高圧の系統用蓄電池であれば電柱、特別高圧の場合は66KVもしくは154KVの連系鉄塔(送配電網と変電設備を組み合わせたもの)が必要となります。
電力系統には容量があるため、空いているかどうかの確認も重要です。空き容量とは、どれだけ電気を流すことができるか示したものですが、地域・電力系統によって容量の上限があり、あらかじめ申請手続きを行い、枠を確保しておかなければなりません。
立地の良い場所はすでに普及した太陽光発電所が設置されていることも多く、系統用蓄電池の新規設置は、この点をクリアした土地を探すのが難しいといわれています。
設備が搬入しやすい環境
部材や設備を搬入しやすい環境かどうかも重要です。系統用蓄電池を設置するためには、現地へ資材や設備機器、施工に必要な部材などを搬入しなければいけません。
また、各資材の搬入にはトラックやクレーンなどが必要とされています。設置場所の前の道幅は12mほど必要です。重機による運搬が難しい環境は、系統用蓄電池の設置工事が厳しい可能性もあります。
周辺に民家がない
騒音を含むさまざまなトラブルを避けるためには、周辺に民家のない土地を選ぶことが大切です。
系統用蓄電池の設置工事に伴う騒音、パワーコンディショナの動作音に関するトラブルを引き起こしてしまう恐れもあります。系統用蓄電池は夜中に稼働することもあるため、配慮が必要です。地元住民とのトラブルは、訴訟や事業中止といったリスクにつながりかねません。隣地や半径50m以内に民家のない土地だと安心でしょう。
系統用蓄電池向きの土地を見つけたあとにチェックすべき項目
系統用蓄電池に適した土地を見つけたあとは、収益性と安全性もチェックしましょう。それぞれ解説します。
安全性を確保できるか調査を実施する
系統用蓄電池の土地選定は、安全性を確保できるかどうかといった調査も必要です。自然災害による故障リスクと二次被害リスクの2つの視点から確認しましょう。
日本は、台風や豪雨、暴風、地震など災害の多いです。系統用蓄電池の土地を選定する際は、どのような災害リスクが存在するのか、ハザードマップなどの資料から水没の危険性を調べたり、地盤調査が必要となったりします。
また、火災や土砂災害などが発生した際、周辺の民家や商業施設などにどの程度影響が出るのかも確認が必要です。万が一、第三者や第三者の土地・建物などへ被害を与えてしまうと、損害賠償責任が発生します。対策と合わせて検討しましょう。
収益性を確保できるか計算する
これまでにお伝えした通り、系統用蓄電池の土地には多くの制約があります。土地の状況によっては、さまざまな追加費用が必要となる可能性もあるのです。
- 地盤強化のための造成工事
- 送電線からの距離が遠く、工事費がかさむ
- 騒音対策の工事
など
造成工事や設置工事、安全対策、工事費負担金(電力系統への接続、電柱や電線の設置など)など、さまざまな工事や手続きにコストがかかります。土地の条件確認が甘いと、想定よりも工事費用が必要となることもあるため、調査段階で綿密な確認が必要です。
系統用蓄電池向けの土地貸付とは
系統用蓄電池事業を始める際、土地を借りることができないか悩んでいる企業もいることでしょう。ここからは、系統用蓄電池向けに行われている土地貸付や系統連系までの流れを解説します。
自社で探さず借りる「土地貸付」
系統用蓄電池向けの土地貸付とは、事業者の所有している土地を一定期間借りられるサービスのことです。土地貸付サービスを利用すれば、系統用蓄電池に適した土地をスムーズに見つけられるでしょう。
たとえば、四国電力では、系統用蓄電池向けの土地貸付公募が実施されています。
落札した企業は、四国電力の所有している土地の一部を借りて、系統用蓄電池の設置することが可能です。北陸電力でも同様のサービスがあり、電力系統への接続を行いやすい土地を借りられます。
いずれのサービスも電力会社との系統連系を行いやすい土地といった強みがあり、自社で系統用蓄電池に適した土地を探す場合と比較して、事業を進めやすいといえます。これからこうした土地貸付サービスが増える可能性もあるため、興味のある事業者はこまめに情報収集するとよいでしょう。
系統連系までの流れ
四国電力で実施されている土地貸付は、入札方式で行われています。直近では、2024年6月14日~9月13日まで受付が実施されました。土地については、四国電力の変電所内の一部を一定期間利用することが可能です。
募集から系統連系までの流れについては、以下の通りです。
- 公募開始に合わせて応募受付を行う
- 落札者の選定、確定
- 接続検討の申し込み手続きと回答
- 接続契約の申し込み手続き
- 連系の承諾
- 土地の貸借に関する契約手続き、工事費負担金の入金
- 系統連系に関する工事開始
- 系統連系
電力会社で実施されている系統用蓄電池向けの土地貸付は、基本的に上記の流れで行われています。接続契約とは、送配電網と接続して電力を送電するために必要な手続きのことです。系統連系は、送配電網と接続している状態を指しています。
系統蓄電池の土地取得費用
系統用蓄電池向けの土地取得費用については、敷地面積によって大きく変わります。
土地の大まかな価値を知りたいときは、以下のような方法から確認できます。
- 過去の取引事例を国土交通省の不動産情報ライブラリで調べる
- 国税庁から公表されている相続税路線価×0.8で計算する
- 地価公示から確認する
- 固定資産税評価額から計算する
- 不動産サイトの掲載情報
たとえば、山林の場合は、1坪(約3.3㎡)あたり300円~15,000円程度で購入できる場合があります。つまり、小規模な系統用蓄電池を設置できる200坪で考えた場合、約6万円~300万円で土地を取得することが可能です。また、600坪の土地を取得する際は、18万円~900万円程度の予算で取得できる場合もあります。
ただし、系統用蓄電池を運用するためには、土地取得費だけでなく設備の購入費用、造成工事や設置工事費用、系統連系に関する諸費用などがかかります。系統用蓄電池システムの初期費用は、経済産業省の「系統用・再エネ併設蓄電システムのコスト面・収益面での課題整理」によると1kWhあたり6.2万円です。
また、電力系統に空きがなければ関連設備の建設も必要です。系統用蓄電池事業を計画する際は、土地取得費以外のさまざまなコストを検討しなければならないため、経験豊富な業者と相談しながら進めると安心でしょう。
出典:「系統用・再エネ併設蓄電システムのコスト面・収益面での課題整理」(経済産業省)
系統用蓄電池の土地選定や導入は専門業者への相談がおすすめ
系統用蓄電池に適した土地を探すためには、多岐にわたる条件を考慮する必要があります。とくに初めて系統用蓄電池を導入する事業者にとっては、負担の大きな作業でしょう。最後は、専門業者へ相談することで得られるメリットについて紹介します。
土地の選定を含めて相談できる
系統用蓄電池に関する専門業者なら、土地の選定も含めて相談することが可能です。
前半で解説したように系統用蓄電池に適した土地を探す際には、一定の敷地面積を確保できるかどうかに加えて、市街化調整区域以外といった点や電力系統の有無、周辺環境など、さまざまな項目を満たしているか確認しなければなりません。
経験豊富な専門の施工販売業者へ相談すれば、系統用蓄電池に適した土地を提示してくれるため、土地選定にかかる時間やコストを大幅に削減することが可能です。
土地の造成工事から設置工事まで対応してくれる
系統用蓄電池の施工販売業者では、土地の選定だけでなく造成工事から設備の搬入、設置工事まで一括対応してもらえます。
系統用蓄電池事業は、土地を購入しただけで始められるものではありません。地盤の強化を含む造成工事や接続契約、資材の搬入や基礎工事、設備の設置工事などを、土地購入後に進めてもらう必要があります。
そのため、事業を始めたい場合は、系統用蓄電池の施工実績が豊富な専門業者へ依頼するのが大切です。中でも自社で資材調達や設計、設置工事を行っている施工販売業者は下請けに依頼していないため、コストの負担を軽減できるほか、スムーズに施工を進めてもらえるでしょう。
アグリゲーターを紹介してくれる
系統用蓄電池の専門業者へ相談した場合は、設備の設置や系統連系だけでなく、アグリゲーターの紹介やサポートまで対応してくれます。
アグリゲーター(特定卸供給事業者)とは、各需要家(電気を使用する個人、企業)のエネルギーリソース(系統用蓄電池など)をまとめて調整してくれる事業者のことです。系統用蓄電池による電力の売買は、アグリゲーターに依頼する必要があります。自分で選定する手間が省けるため、時間短縮にもつながるでしょう。
系統用蓄電池事業の土地は多岐にわたる条件をクリアする必要がある!
系統用蓄電池事業を始める際は、最低でも100坪以上の土地が必要です。土地の状態、資材の搬入経路、周辺環境なども確認しなければならず、多くの条件をクリアする土地を見つけなければなりません。
系統用蓄電池事業に関心を持っている方や系統用蓄電池に適した土地を探している方は、今回の記事を参考にしながら和上ホールディングスへ相談してみてはいかがでしょうか。
和上ホールディングスでは、系統用蓄電池の用地選定から造成工事、系統用蓄電池の設置から各種申請手続き、保守メンテナンス、補助金制度の申請、アグリゲーターの紹介まで一括サポートしております。
ご相談いただいたあとは、電力容量や土地の面積などをヒアリングし、図面や見積もりを作成いたします。収支のシミュレーションなどにご理解いただいたうえで契約いただくため、納得のいく事業を行えるでしょう。系統用蓄電池事業に関心を持っている方は、お電話やメールよりお気軽にご相談ください。