蓄電池を無駄なく導入するには?蓄電池導入のメリット・デメリットも一緒に解説

蓄電池を無駄なく導入するには?蓄電池導入のメリット・デメリットも一緒に解説

私たちの日常生活において電気は不可欠な役割を果たしています。電気を使って照明を灯し、電子機器を動かし、暖房や冷房を利用し、交通手段を稼働させるために、私たちは絶え間ない電力供給に依存しています。

しかし、この依存は同時に私たちの地球環境に大きな影響を与えており、持続可能な未来を築くためにはエネルギーの効率的な利用が求められています。

蓄電池は、このエネルギー効率の向上に大いに貢献できる技術の一つです。蓄電池は、電気エネルギーを貯めておき、必要な時に放出する装置です。再生可能エネルギーの効果的な利用や電力需要のピークカット、非常時のバックアップ電源として広く活用されています。

しかしながら、蓄電池を導入する際には注意が必要であり、無駄を減らすための戦略が求められます。

この記事では、蓄電池に焦点を当て、その導入におけるデメリットとメリット、そして効率的な利用方法に至るまで、幅広い情報を提供します。蓄電池の無駄を最小限にし、エネルギーの未来をより持続可能なものにするための手助けとなることを期待しています。

蓄電池の基本

蓄電池は、エネルギーを貯蔵し、必要なときに放出することができる装置です。この技術は、再生可能エネルギーの有効活用やエネルギーの効率向上において重要な役割を果たしています。蓄電池の基本を理解することは、その効果的な運用に欠かせません。

蓄電池の仕組み

蓄電池は、化学反応を利用して電気エネルギーを蓄える装置です。一般的な蓄電池の内部には、正極と負極、そして電解質と呼ばれる物質が含まれています。充電中、正極から電子が負極に移動し、同時に電解質を通じて化学反応が起こります。このプロセスによって電気エネルギーが蓄えられます。放電時には、蓄えられた電気エネルギーが取り出され、外部回路に供給されます。

蓄電池の寿命とメンテナンス

蓄電池の寿命は、適切な取り扱いとメンテナンスに大きく依存します。過充電や過放電を避け、適切な温度範囲内で保管することが重要です。また、定期的な点検とバッテリーの健康状態のモニタリングも寿命を延ばすために重要です。

蓄電池はエネルギーの貯蔵と供給を可能にし、再生可能エネルギーの普及に大いに寄与しています。しかし、蓄電池の効率的な利用には注意が必要であり、次のセクションでは蓄電池の無駄の原因について掘り下げてみましょう。

蓄電池の無駄の原因

蓄電池は、エネルギーを効率的に貯蔵し、必要なときに供給するための重要な技術ですが、その効率はまだ完璧ではありません。蓄電池の無駄の原因を理解することは、効率的な運用のために不可欠です。以下では、蓄電池の無駄の主要な原因について探究していきましょう。

1. 充放電の損失

蓄電池は、充電と放電の過程でエネルギーの一部を損失します。この損失は、化学反応の非完全性や電流の抵抗によって生じます。特に、高い充電および放電速度では損失が増加し、効率が低下します。したがって、適切な充電および放電速度を選択することが重要です。

2. 環境要因による無駄

蓄電池は、温度や湿度などの環境要因に敏感です。極端な温度変化や高温、低温状態では効率が低下し、蓄電池の寿命が短縮されることがあります。したがって、適切な温度管理が必要です。また、湿度が高い場合、腐食や絶縁体の劣化が進行し、蓄電池の性能に悪影響を及ぼす可能性があります。

3. 自己放電

蓄電池は、充電されていない状態でも徐々にエネルギーを失います。この現象は「自己放電」と呼ばれ、留置時にエネルギーの無駄を引き起こします。自己放電率は蓄電池の種類によって異なりますが、長期間の保管時には注意が必要です。再充電が必要な場合、自己放電によって貯蔵エネルギーが失われる可能性があります。

4. 循環寿命

蓄電池は使用サイクル数に制限があり、ある一定の充放電サイクル数を超えると性能が劣化し、最終的には寿命を迎えます。この循環寿命には製品ごとに違いがあり、正確な寿命を予測することは難しいですが、劣化に伴うエネルギーの無駄を考慮に入れる必要があります。

これらの無駄の原因を理解することで、蓄電池の効率を最適化し、再生可能エネルギーの有効活用を促進することが可能です。次に、蓄電池を導入する際のデメリットとメリットについて詳しく探究してみましょう。

蓄電池を導入するデメリット

蓄電池導入の経済的な回収には10年以上かかる現実

家庭用蓄電池を採用することで電気料金を節約できますが、率直に言って、現時点では太陽光発電のように10年程度で元を取ることができるかという質問に対しては「NO」のケースの方が多いです。

具体的な理由は後で説明しますが、一般的に、主要な定置型蓄電池システムの導入コストが100万円以上かかるため、単に蓄電池だけで初期投資を回収するのは難しいのが現実です。

経済的な利益を実現するためには、比較的低コストな蓄電池と太陽光発電の組み合わせが必要であり、売電価格が低い地域に限定される可能性が高いでしょう。

蓄電池は「電気の保険」と考えてみよう

ただし、現時点で住宅用の固定蓄電池を採用する理由は、単純に元を取ることが難しいから諦める、というのではなく、むしろ「突然の災害や停電に備える保険」と「少額の節約」の側面が主要な要因となります。

また、太陽光発電に関しては、「必ず元を取らなければならない」というアプローチが通常のものとされていますが、本来、住宅設備機器は、例えばキッチンやドアのように「元を取るために設置する」というものではなく、その役割や価値に基づいて選択されるべきです。

初期費用が高い

蓄電池の導入には高い初期投資が必要です。このため、蓄電池を導入するには十分な資金が必要であり、投資回収に時間がかかることがあります。

また、定置型蓄電池には

太陽光発電と停電時にもうまく連携できる「ハイブリッド型」と太陽光発電システムから独立している「単機能型」の2種類が存在しており、太陽光で発電した電気を有効に使える「ハイブリッド型」の方が高額となります。

そのため、価格だけでなくご自身や家族の電気の使い方をよく考えて蓄電池を選択する必要があります。

フル充電でも使い方によっては半日~1日しかもたない

蓄電池には、容量に制限があるため、「5kWh」や「10kWh」などの容量までしか電力を貯蓄することができません。そのため、非常事態や停電時に蓄電池を最大限に充電しておいても、実際に家電を使用できる時間は蓄電池の容量に依存します。

例えば、3kWh(3,000Wh)の蓄電池を持っている場合、単純計算では以下のような時間、家電を稼働させることができます。

  • LED照明(40W)なら約75時間
  • テレビ(150W)なら約20時間
  • エアコン(700W)なら約4.2時間

ただし、各家電の稼働可能時間は、その家電の消費電力(ワット数)に応じて変動します。

ただ、太陽光発電システムが併設されている場合、日中は太陽光発電の電気を蓄電できますので、停電の不安から必要以上に大容量の蓄電池を選択しないように気を付けましょう。

設置スペースが必要になる

蓄電池システムは一定のスペースを必要とします。大規模な蓄電池を導入する場合、設置スペースの確保や建設コストが課題となることがあります。住宅用の蓄電池も、設置スペースを確保する必要がありますが、一部のモデルはコンパクトで設置が比較的容易です。

また蓄電池本体のサイズだけでなく、メーカーそれぞれで蓄電池の周囲から何cmはモノを置かないでください、という離隔距離が設定されている場合がありますので、設置の際は工事業者と事前にしっかり確認しましょう。

蓄電池を導入するメリット

卒FITの人には大きなメリットが

蓄電池を導入すると、固定価格買取制度(FIT)による10年間の売電期間が終了した人に大きなメリットが期待できます。

一つは自家消費の増加です。FIT期間中に発電した余った電力を蓄電池に貯め、夜間や雨の日など発電量が少ないときに利用できます。これにより、電力会社への依存度を低下させ、電気料金の節約が期待できます。

また、非常時への備えも重要です。停電時に蓄電池から電力を供給できるため、生活の安全性が向上します。これは災害時や緊急事態において非常に有用です。

「ダブル発電」で売電量を増やせる

蓄電池と太陽光発電の組み合わせにより、夜間の低コスト電力を蓄え、昼間の家庭内電力需要を蓄電池から供給することで、太陽光発電の売電量を増やす「ダブル発電」が可能になります。

ただし、2018年度以前に太陽光発電を設置した場合、ダブル発電によって売電価格が低下したり、売電価格が大幅に見直される可能性があるため、設置前に設置業者と詳細に相談することが重要です。

非常時でも電気が使用できる

家庭用蓄電池を導入すれば、停電時や非常時でも蓄電池にためた電気を使用できるので、家電も使うことができます。

蓄電池には「全負荷型」と「特定負荷型」の2つのタイプがあり、それぞれ停電時の電力供給の働きが異なります。

電気代を節約可能

「時間帯別契約」を利用している場合、家庭用蓄電池を採用することで、夜間に電力を効率的に活用し、電気代を削減できます。

このアプローチは、安価な深夜電力を受けるオール電化プランを利用し、その電力を蓄電池に貯める方法を取ります。そして、朝や夕方、あるいは雨の日などの需要が高い時間帯に蓄えた電力を放出し、電力会社からの購入量を削減するというものです。

ダブル発電(押し上げの有無)のメリットはほぼ無い?

ダブル発電、すなわち太陽光発電と蓄電池の組み合わせにおいて、押し上げの有無についてはメリットの存在について考える価値があります。一般的に言えば、ダブル発電にはいくつかのメリットがある一方で、それが必ずしも適用できるわけではありません。

ダブル発電とは?

「太陽光発電システムのみ」で運用していたご家庭では、昼間に5kWの電力を生成していました。このうち、家庭内での電力消費が2kWであり、残りの3kWを電力会社に売却していました。

しかし、ここに「住宅用蓄電池」を組み合わせることで、家庭内での電力需要2kWを蓄電池からまかなえるようになり、太陽光発電システムで発電した5kWの電力をすべて電力会社に売却できるようになります。

これが、ダブル発電のメカニズムです。

メリットがある場合

蓄電池を導入し、太陽光発電と組み合わせる場合、いくつかの重要なメリットが存在します。第一に、エネルギーの最適な利用が挙げられます。夜間や曇りの日に発電した電力を蓄え、昼間や晴れた日に家庭内で使用することで、自家消費率を向上させることができ、電力会社からの電力購入を減少させることが期待できます。これにより、電気料金の節約が実現します。また、蓄電池は停電時に非常用電源として機能し、生活の安全性を保つ役割を果たします。

メリットがほぼない場合

一方で、ダブル発電のメリットがほぼない場合も存在します。これは主に売電価格の影響に関係しています。押し上げ機能がある場合、余剰電力を売電することが難しくなり、売電収入が制限されることがあります。FIT制度や売電価格の政策変更によって、ダブル発電の経済的なメリットが大幅に低下することがあります。また、押し上げ機能を導入するには追加の設備やコストがかかり、それが売電収入の増加を上回る場合、押し上げ機能の導入は経済的に合理的でないことがあります。

結論として、ダブル発電のメリットの有無は具体的な条件に左右されます。押し上げ機能の導入を検討する際には、電力市場の動向や設備コスト、売電価格の変化などを十分に考慮し、メリットがあるかどうかを検討することが重要です。

これから太陽光発電+蓄電池の両方新設する場合

太陽光発電システムと蓄電池の新設を検討している方々にとって、売電価格にはダブル発電の有無に関係ない点を指摘しましょう。なぜなら、売電単価が変化しない理由は、電力会社が損をしないためです。

先に触れた経済的な側面を考えると、売電価格が24円である場合、結局のところ、電力を24円で売る量を増やすよりも、30円や38円といった高単価の電力を購入しない方が経済的に有利です。

現在、太陽光発電や蓄電池のトレンドは、「売電で利益を上げる」のではなく、「高額な電力購入を削減し、自己消費を増やす」方向に向かっています。したがって、蓄電池の購入を考える際には、押し上げ機能を特に選ぶ必要はありません。実際、押し上げ機能を提供するメーカーも限られており、この方向性を理解し、ダブル発電を必要としないことを評価しています。

基本的に、主要な蓄電池メーカーは売電価格に影響を与えず、環境への配慮を重視する「グリーンモード(環境優先モード)」での運用が最も経済的な効果をもたらすことを覚えておいてください。

2018年度以前に太陽光発電を設置済みで、蓄電池のみを後付け設置する場合

2018年度以前に太陽光発電を設置している場合、後から蓄電池を追加することはお勧めしません。なぜなら、これにはいくつかの理由があります。まず、太陽光発電を設置した時点での売電価格が基準となり、蓄電池の追加によって売電価格が低下する可能性があるためです。これにより、売電収入が制限され、蓄電池の導入費用を回収するまでの時間が長くなります。さらに、後付け設置は設備コストがかかり、技術整合性の問題を引き起こす可能性があります。そのため、太陽光発電と蓄電池を統合的に計画し、同時に設置することが、経済的にも技術的にも有利です。

経済効果が高くないのに蓄電池を付けるのはナゼ?

単純な経済効果が薄い現在でも、蓄電池が普及してきている理由は、主に以下の3つです。

「もしも」の停電時・非常時に蓄電池を使うため

2022年時点で蓄電池を購入する最も大きな理由は、停電・非常時でも電気を使えるようにするためです。「平常時とあまり変わらない生活を送れる」というのは、家族を守るうえで「お金に替え難い大きな安心」になるでしょう。

近年、気象異常や自然災害が増加しており、電力供給が不安定な状況が発生することがあります。蓄電池は、そのような状況に備え、自宅や事業所の基本的な電力供給を維持する非常用電源として機能します。これにより、安全性や生活の維持に寄与し、人々は安心感を得ることができます。

太陽光の売電期間が終了するため(卒FIT)

太陽光発電による売電収入が期間限定のFIT制度であるため、売電期間が終了する「卒FIT」に直面するオーナーが増えています。FIT制度において、固定価格で電力を売ることができた期間が終了すると、売電収入が大幅に減少します。このため、オーナーは太陽光発電からの収益を維持するために、自己消費率を高めるために蓄電池を導入することが選択肢として浮上しています。

電気代の継続的な上昇から「エネルギーの自給自足」

電気代は知らないうちに上昇している事実をご存知でしょうか。

電気代が継続的に上昇している現状から、多くの人々が「エネルギーの自給自足」を追求しています。蓄電池を導入することで、昼間に太陽光発電で生成された電力を蓄え、夜間やピーク時に自家消費することができます。これにより、電力会社からの電力購入を削減し、電気代の節約が可能です。

売電期間の満了により、創った電気を電力会社に売る「売電」という役目を終えた太陽光発電は、今後は創った電気を家庭内で消費する「自家消費型」へシフトしていくことが主流になり、電力会社から電気を購入する量を極力なくす「エネルギーの自給自足」生活で、賢く災害にも強い家にすることができます。

まとめ

蓄電池の導入には初期費用がかかり、その中でも70万円近くといった高額のコストが発生します。しかし、この70万円のマイナスは、今後圧縮されていく可能性が高いと言えます。

まず、蓄電池の技術は急速に進化しており、効率の向上や製造コストの削減が進んでいます。これにより、同じ価格でより高性能な蓄電池が提供される可能性があり、初期費用の圧縮が期待されます。

さらに、政府や地方自治体などが再生可能エネルギーの普及を促進するための支援策を提供しています。補助金や税制優遇措置を活用することで、蓄電池の導入費用を削減することができます。これらの支援策が今後も拡充される可能性が高いため、蓄電池導入の経済的ハードルが低くなるでしょう。

また、エネルギー市場の変化も蓄電池の価値を高めています。需給バランスの調整やピークカットなど、蓄電池の提供するサービスが評価され、その対価として収益を得る機会が増加しています。

つまり、蓄電池の初期費用に対する70万円のマイナスは、技術革新、政府支援、エネルギー市場の変化などにより、今後圧縮されていく可能性が高いのです。蓄電池の導入を検討する際には、将来の収益性とコスト削減の可能性を考慮することが重要です。

また、一番導入理由として多いのが「災害停電対策」です。

仮に10年間で70万円の赤字としても、年間7万円での1日あたり約200円で、災害停電への保険と考えれば、そこまで高くないのではないでしょうか?

そして新築では、太陽光発電とのセットで約16年で元が取れる計算となり、災害対策も兼ねていることも考えると損ではないケースも増えてきます。

弊社和上ホールディングスでは、蓄電池はもちろん全量自家消費型太陽光発電の設計から部材調達、施工・保守運用まで一括サポートしています。累計15,000棟の実績によって培われた技術とノウハウがあるので、設置予定場所や予算に合ったプランをご提案いたします。

少しでも気になった方は、この機会にお電話やWebフォームよりお気軽にご相談ください。

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