近年では、万一の大規模停電に備えるためや、日々の光熱費削減効果を期待して家庭用蓄電池の導入を検討する方が増加しています。特に今年は、2009年に開始された再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の買取期間が終了する物件が約53万件にものぼり、その後も毎年約18万件が卒FITを迎える見込みとなっています。卒FITを迎えたご家庭では、売電価格が大幅に下落してしまい、太陽光発電で作った電気は売電するのではなく、自家消費したほうが断然お得になると言われています。
こういった状況もあり、長く産業用のバックアップ電源として活躍していた蓄電池が、一般住宅でも急速に普及が進んでいるのです。しかし、実際に家庭用蓄電池の導入を考えた場合には、設置工事費も含めて安いものでも100万円前後の初期費用が必要になってしまいますし、容量の大きな蓄電池となると200万円以上するようなものもあります。したがって、蓄電池の有用性は理解しつつも、イニシャルコストの面で導入を躊躇してしまう人も少なくないと思います。そのような場合には、初期費用なしでも蓄電池の導入が可能な、リース・レンタルサービスを使うことも選択肢にあがると思いますが、それでは購入した場合とリース・レンタルの場合はどちらがお得なのでしょうか?
今回は、蓄電池を購入する場合、リース・レンタルで導入する場合、それぞれのメリット・デメリットをご紹介します。
蓄電池のリース・レンタルサービスとは?
家庭用蓄電池は、リースやレンタルサービスで導入することも可能です。これは、毎月決められたレンタル料金を支払って家庭用蓄電池の導入が可能となるサービスで、最大のメリットはイニシャルコストがかからないということです。ただし、レンタルで導入する場合は10年間などと長期のレンタル契約が必要になります。
まずは、蓄電池のリース・レンタルサービスのメリットとデメリットを詳しくみていきましょう。
蓄電池リース・レンタルのメリット
まずはリース・レンタルで蓄電池を導入する場合のメリットからです。リース・レンタル最大のメリットは、なんといっても初期費用をかけることなく蓄電池の導入が出来るということです。
冒頭でもご紹介しましたが、通常、蓄電池を導入する場合には設置工事費用を含めて100万円以上はかかってしまいます。しかし、リース・レンタルで導入する場合には、この初期費用が発生しないのです。これは、月々支払う定額のレンタル料金の中に設置工事費用なども含まれているためで、レンタル料金の中にはメンテナンス費用や撤去時の廃棄費用などが含まれている場合も多いです。したがって、契約期間が終わって撤去する場合にも撤去費用などを請求されることはありません。
蓄電池は太陽光発電システムなどと同時に導入する家庭も多いのですが、その場合、両方の機器設備費や工事費を合わせるとかなり高額な費用がかかってしまいます。その場合でも、リース・レンタルであれば、初期にかかる負担を無くし、月々の定額レンタル料金だけで導入できるので、導入のハードルがかなり下がると思います。
蓄電池リース・レンタルのデメリット
それでは逆に、リース・レンタルで蓄電池を導入することにはどのようなデメリットがあるのでしょうか?
まずあげられるのが、10年間など長期のレンタル契約を結ぶことになりますので、何らかの問題で途中解約をしたいと思っても、期間中の解約だと違約金を支払わなければならない点です。さらに、10年、20年と続けてレンタルしていく場合には、最終的にレンタル料金の合算の方が購入費よりも高額になってしまうこともあります。レンタルで蓄電池を導入する場合には、将来的にどの程度のコストになるのか計算しておいた方が良いでしょう。
リース・レンタルで蓄電池を導入するときの最大のデメリットと言われるのは、自分で好きな機種を選ぶことができない…という点です。基本的に、リース・レンタルの場合は、蓄電池のメーカーや容量がレンタル会社指定の蓄電池の中から選ばなければならず、どの蓄電池でも導入できるという訳ではないのです。したがって、自分に最適と思われる機種や性能の蓄電池を見つけたとしても、それがレンタル対象製品でなければ選べないのです。また、いくら長年レンタル料金を支払ったとしても、その蓄電池が自分のものにはならないということもデメリットの一つとしてあげられるでしょう。
蓄電池を購入する場合も考えてみよう!
蓄電池をリースやレンタルで導入することのメリットやデメリットは分かっていただけましたね。その一方で、蓄電池を購入する場合はどのようなメリットとデメリットが考えられるのでしょうか?
蓄電池を購入する場合のメリット
まず購入する場合のメリットとしては、長期間レンタルすることを考えた場合、購入したほうが総額のコストが下がるということが考えられます。さらに、家庭用蓄電池は国が普及推進していることもあり、現在非常に豊富な補助金制度が使えるというのも大きなメリットです。補助金は、国が作っている制度と地方自治体などが運営しているものがあり、併用することも可能となるため、上手に補助金制度を利用すればかなり導入にかかるコストを下げることが出来るのです。
また、リース・レンタルでは難しい、自分の生活スタイルなどを考えて、最適な機種・性能の蓄電池を選ぶことが出来るというのも大きなメリットです。最近では、メーカー保証期間が15年などと非常に長いもの販売されていますので、ニーズに合わせて保証面、蓄電容量の大きさなど、最適な蓄電池を選ぶことが可能です。
つまり、蓄電池を購入して導入する場合は、総額が安くつく可能性が高い、ライフスタイルに合わせて蓄電池を選択することが出来るということがメリットでしょう。
蓄電池を購入する場合のデメリット
それでは、蓄電池を購入する場合のデメリットもご紹介しておきましょう。いうまでもありませんが、蓄電池を購入して導入する場合のデメリットは、イニシャルコストがかかるということです。上でもご紹介していますが、家庭用蓄電池を導入する場合には、本体価格の他に設置工事や電気工事などの施工費用も掛かりますので、初期費用が高額になってしまうのです。一般的な家庭用蓄電池の相場は、80~160万円程度が相場といわれていますので、蓄電池の導入を検討した場合には、100万円以上の出費を覚悟しなければいけません。
ただし、販売会社によってはローン契約で導入できる場合もありますので、その場合は月々の支払いになります。
蓄電池を購入 or リース・レンタルだとどっちがお得?自分に最適な導入方法を選びましょう
それでは最後に、家庭用蓄電池を導入する場合、リース・レンタルと購入ではどちらの方法が良いのか簡単に解説しておきましょう。もちろん、一概にどちらの方法が良いとは言えませんので、以下で紹介するポイントを参考に、「自分ならどっちが良いか?」を検討してみてください。
リース・レンタルが合う人
まずはリース・レンタルでの蓄電池導入が適していると考えられる方からです。
- 蓄電池導入の際に、初期費用をとにかく抑えたいと考えている方
- 不測の事態を考えて、家庭の貯蓄を減らしたくない方
- まとまったお金がすぐに用意できない方
- レンタル対象となる機器が自分に最適だと思える方
こういった方はリース・レンタルで導入することを考えてみても良いと思います。
しかし、蓄電池のリース・レンタルはリース・レンタル料金を払い続けても、自分の物にならないので注意しましょう。
購入が合う人
一方で、蓄電池は購入して導入するのが適している方はどのような人でしょうか。
- 導入する蓄電池の機種や性能を自分で自由に選びたい方
- 契約期間によって行動や選択肢を縛られたくないと考える方
- 蓄電池を長く利用しようと考えている方(総額が安くなる場合が多いため)
- レンタル対象となる機種が自分のライフスタイルに合うものが無い方
購入する場合は、蓄電池の機種を絞られることもなく、自分で自由に選ぶことが出来ます。補助金などを利用すれば、総額をかなり抑えることができるのも購入のメリットとなります。
まとめ
今回は、家庭用蓄電池の導入を考えた場合、購入とリース・レンタルではどのような違いがあるのかについてご紹介しました。この記事でもご紹介したように、蓄電池は、設置工事費用も含めると100万円以上の買い物となるため、誰でも気軽に購入できるような設備とは言えないでしょう。もちろん、一概にどちらの方がお得だと断定はできませんので、自分のライフスタイルや使用期間などをよく考えて、最終的にどの方法が最もお得になるのかを検討する必要があるでしょう。
特に、リース・レンタルの場合は、レンタル対象となる機種が絞られてしまうことが多いため、導入してみると自分のライフスタイルに合わなかった…なんてことも考えられます。蓄電池は、蓄電容量や備わっている機能に違いがありますので、それぞれの機種の特徴も良く調べて導入するのがオススメです。