ここ数年、電気を貯めておける「蓄電池」には非常に注目が集まっています。災害に対する備えの他にも、上手く利用することで日々の電気代を安く抑えることができます。
今回は、蓄電池で電気代を節約するために使える「深夜電力」や料金プランの選び方、「蓄電池を導入しても元が取れない」といわれている理由まで、詳しくご紹介していきます。
蓄電池のメリットやデメリット、賢い使い方を知ることで、上手く使いこなせるようになるでしょう。ぜひ最後までご一読いただき、参考にしてみて下さい。
電池を導入したら「深夜電力」を活用しよう!
蓄電池を導入する際、一緒に検討していただきたいのが「深夜電力の利用」です。あまり知られていませんが、深夜の電気料金は日中の電気料金よりも安く、蓄電池の充電には非常に適しています。
深夜電力について、詳しくご紹介していきます。
1.深夜電力は日中よりどうして安いの?その仕組み
電力使用量は、多くの人が活動する昼間に大きく増え、深夜には少なくなります。この使用量に応じて、電力会社は出力を調整しているものの、細かく調整はできません。
基本的には昼間の使用量に合わせているため、消費量の少ない夜間には電力が余ってしまいます。そのため、できる限り電気の使用量が昼間に集中しないよう、余裕のある夜間に使ってもらうための対策として、深夜の電気を安く設定した料金プランを用意しています。
電気料金は1つしかないと思われがちですが、多くの電力会社はライフスタイルに合わせて複数用意されています。使い方に合わせてサービスを選ぶようにすると、電気料金の節約になります。
深夜電力を効率的に貯めるには?
電気代の安い深夜電力を効率的に蓄電池に貯め、日中使用するには「電力プランの変更」をするのが、最も簡単な方法です。
例えば関西電力の場合、「はぴeタイムR」や「eスマート10」といったプランを選択すると、電気代がグッと安くなります。「はぴeタイムR」は23時~翌朝7時まで、「eスマート10」は22時~翌朝8時までの電気料金が安価に設定されています。
蓄電池を充電し日中に利用する際には、料金プランの見直しをしてみましょう。
深夜電力×蓄電池で、電気代はどのくらい削減できる?
深夜電力を上手く活用することで、電気料金を節約できることがおわかりいただけたと思います。では、深夜電力と蓄電池を利用することで、電気代はどの程度削減できるのでしょうか?
金額を具体的に記載しながら、わかりやすくご紹介します。
1.深夜と日中の電気料金を比較してみよう
蓄電池を導入すると、どの程度電気代がお得になるのでしょうか?具体的な例を挙げてみます。
平均的な4人家族(父・母・子ども2人)の電力量の平均は、昼間15kWh、夜間5kWhです。
蓄電池の容量も平均的な5kWhとして計算していきましょう。
蓄電池を使用しない場合の1日当たりの電気料金は約600円です。蓄電池を使用して夜間に充電し、昼間に使用することで約530円になります。
1日当たり70円の差で、蓄電池の寿命を10年と考えると、年間で約2万5000円、10年間で約25万5000円の電気代節約が可能となります。
2.深夜の電気を貯めると「ピークカット」に!
蓄電池を使って昼間の電力使用量を下げると、電力使用量の「ピークカット」が可能です。ピークカットとは昼夜の電気料金の差額に加えて、日中に使われる電力使用のピーク時に電気の使用を蓄電池で行うことにより、基本料金の引き下げになる効果のことを指します。
さらに、電力使用量を監視・制御できるHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)と組み合わせることで、蓄電池からの供給電力量に合わせて照明やエアコンを調整できます。
電力会社から購入する量を最小限に抑えることができるピークカットは、現時点で最も進んだ節電対策といえるでしょう。
3.太陽光発電×蓄電池でさらにお得に!
2019年10月、消費税が8%から10%に上がったことは記憶にまだ新しく残っている方も多いでしょう。各電力会社でも、この消費税増税と共に電気料金を値上げしました。
平均的な上昇額は月100円程ですが、電気代が増えれば増えるほど増税の影響が出てきます。電気は生活に欠かせないライフラインですから、電気代の値上げは家計に響くはずです。
しかし、太陽光発電と蓄電池を合わせて設置することで、電力会社から電気を買わずに貯めた電気を使えます。電気代の高い日中は太陽光発電と蓄電池に充電した電気をつかうことで、電気代を節約できます。
「蓄電池を導入しても元が取れない」ウワサの理由は?
非常に注目を集めている蓄電池ですが、「導入しても元が取れない」「導入費用が高く逆に損をする」といった説もあります。
これは、蓄電池そのものがまだ高額であることが原因です。蓄電池をゼロから導入すると補助金を使っても100万以上の費用がかかります。蓄電池の寿命は10年程ということもあり、永久に使える訳ではないのもデメリットとしてあげられます。
100万円の蓄電池を10年使った場合は、1年あたり10万円、1ヶ月あたり8500円ほどの費用がかかる計算となりますが、電気代の削減は2000円~3000円程度です。
15年で計算しても1ヶ月あたり5500円ほどの費用がかかるため、初期費用の回収が難しい計算となります。
とはいっても、蓄電池の性能は日進月歩で上がり、今後も価格競争等で価格は下がると予想されています。また、あくまでも防災や予備といった用途で使う方が多いため、単純に費用対効果だけでは判断できない部分もあるようです。
蓄電池を導入するとお得な家庭は?
蓄電池を導入することで電気代を節約したい場合には、ある程度の「条件」があります。では、蓄電池を導入するとお得になる家庭のパターンには、どのようなものがあるのでしょうか?
2つの条件と共にご紹介していきます。
1.オール電化で蓄電池のみを導入する家庭
太陽光発電は使わず、蓄電池のみを導入する場合でも電気料金の削減は可能です。電気料金の安い夜間に充電し、昼間は太陽光が動き、家の自家消費をします。蓄電池が放電するのは太陽光が動いていない朝、夕方、深夜になります。
近年では電気を売電する料金が下がってしまっているため、こちらの方が電気の節約効果としては高くなります。
2.オール電化ではないが蓄電池を導入する家庭
節約効果としては、このパターンが最も高いといわれています。電気料金の割引がない分、日中と夜間の電気代の差分が最も大きくなりお得です。
世帯数や使用量にもよりますが年間で約30,000円の節約効果が見込める事例もあります。
まとめ:節電や災害時の備えに蓄電池はオススメ
蓄電池はまだ誕生して歴史が浅く、2017年頃から各メーカーが開発を始めました。そのため、初期費用や蓄電量など、問題や課題は多くあります。
しかし、近年の日本で頻発している災害に対する備えとしては、蓄電池は非常に有効な方法です。また、長い目で見れば電気代の節約や環境への配慮にも繋がります。
災害やトラブルにおける停電で、電気が変わらず使えるのは非常に心強い要素といえるでしょう。
必要に応じて、蓄電池や太陽光発電の導入を検討してみるといいかもしれませんね。