皆さんは、普段の生活の中で地震や台風などの自然災害対策について意識したことがあるでしょうか?最近ではテレビなどの大手メディアでも、頻繁に家庭で行うべき災害対策について特集することもあり、災害への何らかの備えが必要だということは誰もが頭の片隅にあると思います。しかし、実際に家庭で災害対策を進めようと考えた時には「どこから始めれば良いのか?」「そもそも何をすれば良いのか?」と根本的な部分がわからず、なかなか手を付けられていない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、諸外国と比較しても、地震や台風などの自然災害が非常に多いと言われる日本で、一般家庭で進めておくべき自然災害対策をまとめて行きたいと思います。ちなみにこの記事でご紹介する災害対策の一部は、首相官邸が公表している『災害に対するご家庭での備え』を参考にしています。
参考:首相官邸『災害に対するご家庭での備え』
家庭で必要と言われる自然災害への備えは?
それでは、一般家庭で必要と言われている自然災害への備えについて、いくつかの項目に分けてご紹介していきましょう。皆さんもご存知のように、日本は災害大国などと呼ばれるほど自然災害の発生数が多い国です。台風に関しては、季節の風物詩のように扱われており、夏の終わりから秋口にかけて複数の台風が必ずといって良いほど日本に上陸します。さらに、地震に関しても、国内で発見されているだけでも約2000の活断層があると言われており、『いつ・どこで』大規模地震が発生してもおかしくないと言えるのです。
さらに最近では、夏場の集中豪雨が増加しており、河川の氾濫による洪水被害なども全国各地で発生しています。それでは、こういった自然災害から家族の安全を守るためには、どのような備えが必要になるのでしょうか?以下で見ていきましょう。
家具の固定や配置の工夫
まずは、住宅内の対策からです。過去の巨大地震の事を考えてみても、災害後には家の中がめちゃくちゃになっていたという映像は皆さんも見たことがあるでしょう。阪神・淡路大震災や東日本大震災、熊本地震などでは、倒れてきた家具の下敷きになって大けがをしたり、倒れた家具がドアを塞いでしまい避難が遅れてしまったなどと言った事例が多く報告されています。
したがって、地震に備えるためには、どれだけ大きくて重い家具でも「地震の力には耐えられない」ということを認識して、しっかりと転倒防止対策をしておくのが重要になります。
住宅内の家具にできる災害対策
- 大型家具は、地震によって転倒しないようしっかりと固定する
- 人が寝ている周辺には背の高い家具を置かない
- 万一家具が倒れても出入り口をふさがないよう、配置を工夫する
- 就寝時は、手の届くところに懐中電灯・スリッパ・ホイッスルなどを備えておく
食料・飲料の備蓄
大規模な地震や台風が発生した場合、電気・ガス・水道などのライフラインが全てストップしてしまう可能性があります。したがって、普段から災害に備えて保存のきく食料や飲料水を備蓄しておくことが重要です。また、災害時にはIHクッキングヒーターやガスコンロが使えなくなる可能性もありますので、カセットコンロなどの日常生活に必要な消耗品も準備しておきましょう。
食料・飲料水の備蓄について
- 食料・・・最低限3日分の食料を備蓄(乾パン・板チョコ・缶詰など日持ちするもの)
- 飲料水・・・3日分(1人1日3リットルが目安)
- 日用品・・・トイレットペーパー、ティッシュペーパー・マッチ、ろうそく・カセットコンロなど
※大規模災害時には、上記の備蓄だけでは足りない場合もあります。昨年関東地方を襲った大型台風では、千葉県全域に長期間の停電被害をもたらせたのは皆さんの記憶にも新しいことでしょう。したがって、大規模災害にも備えるのであれば、1週間分の備蓄が望ましいと言われています。
非常用持ち出しバッグの準備
災害後には、自宅が被災してしまい、安全な避難所で避難生活を送らなければならない場合も考えられます。避難所には、ある程度の備蓄が用意されていますが、多くの人が集まる場合、災害直後に物資が不足することも珍しくありません。したがって、非常時に持ち出すべきものを予め入れて、すぐに持ち出せるような非常用持ち出しバッグを準備しておきましょう。最近では、ネット通販などで必要なものが入れられた状態で販売されていますし、そういった物を購入するのも良いかもしれません。
非常用持ち出しバッグの中身について
- 飲料水、食料品(カップめん、缶詰、ビスケット、チョコレートなど)
- 貴重品(預金通帳、印鑑、現金、健康保険証など)
- 救急用品(ばんそうこう、包帯、消毒液、常備薬など)
- ヘルメット、防災ずきん、マスク、軍手
- 懐中電灯、携帯ラジオ、予備電池、携帯電話の充電器
- 衣類、下着、毛布、タオル
- 洗面用具、使い捨てカイロ、ウェットティッシュ、携帯トイレ
※避難の際に乳幼児も一緒の場合、ミルク・紙おむつ・ほ乳瓶などを忘れないように用意しましょう。避難所では、授乳やおむつ変えができるスペースが用意されていますが、乳幼児が必要とする備品が備蓄されていることは少ないのです。したがって、各家庭で必要なものを用意して避難してください。
ご家族同士の安否確認方法
地震は『いつ・どこで』発生するか分かりませんので、ご家族が別々の場所にいる時に被災してしまうということも考えられます。したがって、日ごろから災害時にどのような手段で安否確認するのか、災害後の集合場所などを家族で話し合っておきましょう。ちなみに、大規模災害が発生した場合には、携帯電話の回線がつながりにくくなりますので、なかなか家族の安否確認ができないとなってしまうことも珍しくありません。こういった場合には、以下のようなサービスが便利ですので、ぜひ覚えておきましょう。
災害時の連絡方法について
- 災害用伝言ダイヤル
局番なしの「171」をコールすると、伝言を録音でき、自分の電話番号を知っている人に伝言を残すことができます。この災害用ダイヤルは、一般加入電話や公衆電話、携帯・PHSなどで利用できます。 - 災害用伝言板
携帯電話やPHSを使って利用できる災害用の伝言板です。この伝言板は、インターネットを利用して、文字情報を登録でき、自分の電話番号を知っている人が情報の閲覧ができるサービスです。
住んでいる地域の災害リスクと避難経路を確認
台風などであれば、数週間前から進路予測や規模が報道されますので、事前に安全な場所に避難することも可能です。しかし、地震のように突然発生する自然災害でも、慌てずに避難できるよう、普段から備えておく必要があるのです。
自治体のホームページや国土交通省などでは、地域の災害リスクを示したハザードマップを公表していますので、現在住んでいる地域でどのような災害が発生するリスクがあるのか予め確認しておくべきでしょう。また、災害発生時に、安全に避難できるよう、お住まいから近い避難場所やそこまでの避難経路もしっかりと確認しておかなければいけません。
災害時の電力確保を考えましょう!
ここまでは、家庭で備えておきたい災害対策についてご紹介してきました。意外と考えておかなければならないことも多く、少しびっくりしたという方も多いのではないでしょうか?
しかし、日本に住んでいる限り、地震や台風などの自然災害への備えは決して無視できるようなことではないのです。そこで近年注目されているのが、災害後にライフラインがストップしたとしても、家庭で使用する電力を自分たちで確保できるように備えを行うことです。大規模な地震や台風が発生した際には、広範囲にわたって長期的な停電被害が出てしまうことも珍しくありません。多くの家電製品に頼っている私たちの生活は、停電の発生で一気に崩れてしまうことになり、普通の生活すらままならなくなってしまうのです。
そのため、東日本大震災を経験した日本では、『太陽光発電+家庭用蓄電池』という体制を作ることで、災害による停電でも家族の安全を守ろうという動きになっているのです。太陽光発電は、家庭で使用する電気を自家発電することで、大きな電気代削減効果を得られると人気の住宅設備です。さらに、災害時の停電を考えてみた場合、電力会社からの電力供給がとまったとしても、太陽光発電設備で電力を作ることができるようになるのです。そして、ここに家庭用蓄電池を連携させることで、太陽光発電だけでは不可能な夜間の電力確保も可能となるのです。
太陽光発電は、太陽光エネルギーを電力に変換する設備ですので、日射のない夜間や悪天候時には発電することができません。しかし、蓄電池を導入していれば、昼間に発電した電気を溜めておき、それを夜間の生活に使用できるようになるのです。つまり、災害による大規模停電が発生したとしても、多くの家電製品を利用することができ、家族の安全な生活を維持できるわけです。
もちろん、こういった住宅設備の導入には、それなりのコストがかかってしまいます。しかし、さまざまな自然災害が頻発する日本に住むと考えた場合、家族の安全を守ってくれる設備となりますので、必要なコストと考えられるのではないでしょうか。