近年、光熱費の節約や災害時の備えとして、自宅での蓄電池導入を検討されている方が多く見られます。しかし、実際のところは「購入費用が高く手が出せない…」と悩み、諦めてしまうこともあるようです。
実は、蓄電池の導入には国や地方自治体から補助金が受けられることをご存じでしょうか。そこで今回は、よりお得かつ手軽に蓄電池を導入するためにはどのような補助金があるのか、条件はどのようなものなのか?について詳しくご紹介いたします。蓄電池導入をお考えの方はぜひ最後までご一読下さい。
家庭用蓄電池の補助金には、どんな制度がある?
それでは、家庭用蓄電池の補助金制度について早速ご紹介いたします。ここでご紹介するのは、「SII/環境共創イニシアチブ」と「地方自治体からの補助金」についてです。
災害時に活用可能な家庭用システム導入促進事業費補助金(SII/環境共創イニシアチブ)
蓄電池に関する2020年の国の補助金としては、一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)が2020年4月に追加公募した「災害時に活用可能な家庭用蓄電システム導入促進事業費補助金」があります。募集期間は2020年6月30日まででしたが、新型コロナウィルス感染症への対応によって募集期間が9月30日まで延長されています。
地方自治体からの補助金
地方自治体から独自に蓄電池の補助金が交付されている場合もあります。ただし、補助金制度の有無に関しては各地方自治体によって異なるため、全ての地域で補助金が受け取れるわけではありません。
設置する地域で補助金が交付されているかどうか知りたい方は、管轄の地方自治体にお問い合わせ下さい。
国(SII)と地方自治体の補助金は「併用」が可能
重要なポイントとしては「国(SII)と地方自治体の蓄電池補助金は併用できる」という点です。地方自治体の補助金が交付されている地域に設置予定の方は、SIIの補助金と併用することにより、よりお得に蓄電池を設置することが可能です。
ただし、どちらも補助金を交付できる数に限りがあります。早めの申請手続きがお勧めです。
SII補助金の対象となる蓄電池の条件は?
補助金制度を利用するには、対象となるには一定の条件をクリアしていなければなりません。そこで、ここでは補助金の対象となる条件について詳しくご紹介いたします。
補助金の対象となる条件
補助金の対象となる条件は次の通りです。
・10kw未満の家庭用太陽光発電を設置している人(既設者)またはこれから設置する人(新規設置者)
太陽光発電と蓄電池両方を設置することが補助金の対象条件となっています。災害で電力供給が途絶えてもライフラインを守り、非常事態を乗り越えるパワーを持つ設備の普及を促進するのが狙いです。
さらに、蓄電池の種類によって補助金額が異なります。蓄電池は「災害対応型」「ネットワーク型」「周波数制御型」に分けられますが、2020年度は「災害対応型」にのみ補助金制度が適用されることにも注意が必要です。他のタイプは対象外となりますので気を付けましょう。
補助金の対象「外」となる条件
補助金の対象外となる場合は、次の通りです。
・太陽光発電を設置していない方(新規設置者は対象内となることもある)
・太陽光発電を設置済みだが、容量が10kw以上の方
上記の補助金は、あくまで「太陽光発電」と「蓄電池」の両方を導入している場合のみ支給されます。片方だけ、あるいは容量が大きすぎると補助の対象外となります。
設備が高すぎると補助金がもらえないことにも注意
補助金の条件の1つに「設備費が目標価格を下回ること」というものがあります。これは「補助金の対象設備であっても、目標価格を下回らなければ補助を受けられない」という意味です。
では、目標価格はどの程度なのでしょうか?保証年数と2018年度目標価格・2019年度目標価格で見てい
きましょう。
10年 9.0万円 12.0万円
11年 9.9万円 13.2万円
12年 10.8万円 14.4万円
13年 11.7万円 15.6万円
14年 12.6万円 16.8万円
15年以上 13.5万円 18.0万円
この目標価格を下回らないと、補助金を受けられません。
例えば、保証年数が15年以上、8kWhの蓄電池があれば、2019年度目標価格は108万円です。蓄電池の価格が105万円であれば、2019年度の目標価格を達成したこととなり、補助額の対象になります。
この目標価格は、2018年・2019年のどちらでも構いません。2018年の目標価格を下回っていれば、補助金の半額を受け取れます。満額受け取りたい場合は、2019年度の目標価格を達成する必要があります。
SII補助金の申請は原則「早いもの勝ち」
SII補助金の公募は2回に分かれています。
二次公募期間:2020年10月1日~11月29日(12:00必着)
先着制なので、公募期間中でも予算が尽きれば補助金は受けられません。期間ギリギリまで検討するのではなく、スピーディーに対応や申請を行った方が補助金を受けられる可能性は高まります。
SII補助金の申請に必要な書類
SII補助金の申請に必要な書類は次の通りです。
提案書(様式2)
団体概要、直近の決算報告書等(経営基盤が判断できるもの)
実施体制及び事業・技術に関する事業部等の組織に関する説明
当該事業に関連した実績に関する説明書
補助事業の要件(補助対象設備、補助対象経費等)及びその審査に関する説明書
間接補助事業者の募集方法、申請方法及び採択方法に関する説明書
事業の効果の把握及び評価に関する説明書
本事業を実施するに当たっての計画書および財政計画書
申請の前にしっかり確認し、準備しましょう。
さらに使える補助金制度をご紹介!
ここでは、ご紹介いたしました補助金制度以外の補助金についてご紹介いたします。補助金の数はいくつかございますので、一度ご自身で探してみることをおすすめいたします。それでは、さらに使える補助金制度をご紹介いたします。
ZEH補助金(省エネ住宅+太陽光発電)
ZEHで「ゼッチ」と読みます。ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスを意味し、住宅で消費するエネルギーを減らして自家発電システム等でエネルギーを創出することにより、空調・給湯・証明・換気にかかるエネルギー収支のプラスマイナスゼロを目指す、というものです。
ZEH補助金は、一定の基準を満たしてZEHと認められた住宅に対し、新築・建売購入・リフォーム時に補助金が受けられます。
具体的には、以下のような住宅にZEH補助金が適用されます。
・省エネ性能の高い住宅を建築する(エコキュート等)
・太陽光発電等で自家消費型の電力を創出する
2018年度のZEH補助金は70万円/戸でした。蓄電システムを導入する場合には、容量1kWhあたり3万円を加算します。さらに、補助対象経費の3分の1または30万円のうち、どちらか低い金額が上限です。ただし、ZEH補助金は要件を満たせば誰でも必ず受けられるわけではありません。
実際には先着順や公募等によって選ばれるため、補助金を受けられるかどうか確認しておきましょう。
電気自動車及びそれに伴う充電設備の補助金
この補助金は「CEV(Clean Energy Vehicle)補助金」と呼ばれ、電気自動車やプラグインハイブリッド車といった「次世代型自動車」を対象にした補助金制度です。具体的な金額は車種や型式・グレードによって異なりますので、欲しい車がある方はあらかじめチェックしておくといいでしょう。
車本体だけではなく、電気自動車に必要な充電設備や工事費も補助金の対象となります。これは、「充電インフラ補助金(電気自動車・プラグインハイブリッド車の充電インフラ整備事業補助金)」という名称です。
これら補助金の確認や対象車両に該当するか・申請・審査の進捗確認は「一般社団法人次世代自動車振興センター(http://www.cev-pc.or.jp/)」で行えます。
VPP補助金
VPPは「バーチャルパワープラント」の略称で、家庭の蓄電池や小規模な発電システムを取りまとめ、電力需要を管理するシステムを制御する仕組みです。複数の小規模発電システムや設備を1つにまとめて機能させることから「仮想発電所」とも呼ばれます。ただし、VPPの実証実験に参加することが前提
です。こちらも補助金が受けられますので、一度確認してみるといいでしょう。
賢く蓄電池を取り入れるためにやるべきことは?
ここまで、蓄電池にはどのような補助金があるのかについて詳しくご紹介してきました。しかし、補助金だけで決めてしまうのは早計だと考えられます。次のようなことを考慮して蓄電池を導入検討をしましょう。
・購入・設置費用を計算する
・太陽光発電と同時に設置する際にかかる費用も計算しておく
まとめ:補助金を使って蓄電池を購入すればお得になる
蓄電池は、まさに「次世代の電力供給源」ともいえる設備です。しかし、初期投資が高い、運用方法がわからない等の様々な悩みもあるかもしれません。
まずは、どのような補助金が受けられるか確認してみましょう。国だけではなく、地方自治体からの支援や組み合わせて使える補助金も多くあります。補助金を使うことによって、金銭的な負担がグッと減っていくのを感じるでしょう。ぜひ、補助金を上手に使って、お得な蓄電池の購入を検討してみて下さい。