自家消費型太陽光発電を導入した場合、電気料金の削減効果を期待できます。しかし、設置費用が、いくらかかるのか分からず導入をためらっている方も多いかと思います。
そこで今回は自家消費型太陽光発電を導入する際の費用や維持管理費用について詳しくご紹介いたします。自家消費型太陽光発電に魅力を感じている方や自家消費型太陽光発電で脱炭素経営を始めてみたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
自家消費型太陽光発電の導入にかかる費用とは?
自家消費型太陽光発電の初期費用について理解したい時は、まず初期費用の内訳を確認しておくことをおすすめします。それでは、自家消費型太陽光発電の導入時にかかる費用の内訳を確認していきましょう。
太陽光発電の設備費用
自家消費型太陽光発電の初期費用には、設備費用が含まれています。設備費用は、太陽光パネルなどの本体価格を指しています。
- 太陽光パネル
- パワーコンディショナ
- 接続箱
- ケーブル
- 発電量などを確認するためのモニタ
- 架台
さらに完全自家消費型太陽光発電の場合は、いわゆる「自家消費システム」という設備も必要です。
自家消費型の中でも完全自家消費型太陽光発電は、発電した全ての電気を自社で消費していく事業者向けのシステムです。消費電力を超える発電を行ってしまうと、一時的に発電停止回路を作動させてしまいます。指定時間後に復旧されるものの、発電ロスにつながります。
自家消費システムを導入した場合は、消費電力(負荷)に沿って発電量を自動制御してもらえるので、ロスを最小限に抑えられます。
太陽光発電の設置工事に関する費用
自家消費型にかぎらず太陽光発電システムを設置する場合は、施工費用といった本体価格以外の費用も支払います。
施工費用には、人件費をはじめ仮設足場、機器の運送費、クレーンのレンタル費用、作業費が含まれています。ただし、具体的な費用項目は施工業者によって異なるため、見積もりを1つずつ丁寧に確認しておくのが大切です。
自家消費型太陽光発電の費用相場
初期費用の内訳について把握したあとは、初期費用相場について確認していきましょう。今回は、経済産業省の調達価格等算定委員会で作成公開されている、令和4年度以降の調達価格等に関する意見という資料をもとに相場を紹介します。
住宅用太陽光発電など小規模な設備の場合
住宅用太陽光発電といった出力10kW未満の小規模な自家消費型太陽光発電システムを導入する場合は、1kWあたり25.9 万円と想定されています。(2022年度のシステム費用)
一般的な住宅用太陽光発電システムの出力は4kW~8kW程度なので、104万円~207万円の初期費用といえます。
FIT制度の始まった2012年度の初期費用は1kWあたり46.5万円で、2分の1近く安くなっていることが分かります。
なお、設置費用のうちほとんどは、太陽光パネルや架台、パワーコンディショナといった設備費用で占められています。施工費用については、全体の1~2割程度です。
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf)
工場やオフィスビルなど中規模以上の場所に設置する場合
出力10kW以上の中規模以上といえる自家消費型太陽光発電を導入する場合は、1kWあたり10万円台の水準で想定されています。(2023年度のシステム費用)
自家消費要件の適用される出力10kW以上50kW未満の太陽光発電は、1kWあたり17.8 万円のシステム費用です。また、出力50kW以上の太陽光発電は、1kWあたり11.7 万円と出力50kW未満の太陽光発電システムより5万円以上安い水準です。
太陽光パネルの工事費用は枚数の増加に伴い抑えられるため、出力の大きさに比例して安くなっています。
特に出力50kW前後の設備規模で計画を立てている方は、出力と初期費用の関係を考慮しながら検討してみるのが大切です。
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf)
自家消費型太陽光発電の導入後は維持管理費用がかかる!
自家消費型太陽光発電の費用について考えるときは、維持管理費用を把握しておく必要があります。続いては、維持管理費用の内訳や相場について紹介していきます。
施工会社へ保守点検費用を支払う
自家消費型にかぎらず太陽光発電を運用していく場合、メンテナンスを実施しなくてはいけません。そのため、保守点検の専門業者へ定期的に費用を支払います。
メンテナンスを含む維持管理費用(部品交換や種類含む)は、1kWあたり4,000円~5,000円の相場です。出力100kWの全量自家消費型太陽光発電を導入した場合は、年間の維持管理費用40万円~50万円ということです。
メンテナンスのみの費用は、1回につき3万円程度とされています。
太陽光発電設備は、10年15年と稼働しているうちに劣化していきます。また、劣化を放置していると火災などの事故につながる可能性があるため、毎年保守点検してもらう必要があります。
さらに出力50kW以上の太陽光発電設備を所有する時は、法定点検が義務化されています。
出典:経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/shingikai/santeii/pdf/20220204_1.pdf)
太陽光パネルや設備周辺の清掃にかかるコスト
太陽光パネルなど各種機器、設備周辺を定期的に清掃すると、その分清掃費用がかかります。清掃費用については、住宅用太陽光発電クラスの小規模な設備なら5万円程度、中規模以上なら太陽光パネル1枚あたり1,000円程度です。
太陽光パネルが汚れてしまうと発電効率に影響してしまうため、定期的に洗浄しなければいけません。また、ケーブルやパワーコンディショナの汚れやさびなどは故障や火災につながるため、定期的に清掃もしくは交換する必要があります。
さらに野立て太陽光発電(地面に設置するタイプの太陽光発電)を所有している時は、設備周辺の雑草を取り除いたり、いのししなどの侵入を防ぐフェンスを設置したりといった作業も必要です。
運用時にかかる課税負担
太陽光発電設備は償却資産の一種なので、固定資産税を毎年負担していく必要があります。
ただし、固定資産税の対象としてみなされる資産は、あくまで事業用の設備です。住宅用太陽光発電の場合は、固定資産税の対象外とされています。(※店舗兼住宅の場合は負担する場合あり)
計算方法は以下の通りです。
- 初年度の評価額:太陽光発電の初期費用×(1-減価率 ÷ 2)
- 2年目以降の評価額:前年度の評価額×(1-減価率)
- 固定資産税=評価額×税率
なお、固定資産税の金額は、耐用年数や導入目的によって変わります。
火災保険などの各種保険料
火災保険や動産総合保険といった保険へ加入した場合、それぞれの保険料負担が発生します。
太陽光発電のメーカー保証は、製造時の不良に関する補償といった限定的な内容で、自然災害や飛来物による破損に対する被害に関しては補償対象外とされています。そのため、太陽光発電設備を導入する時は、別途火災保険や動産総合保険の加入を検討するのが大切です。
自家消費型太陽光発電の初期費用を抑える方法
最後は、自家消費型太陽光発電の初期費用を抑えながら導入する方法について解説していきます。
設計・施工力のある業者へ相談する
自家消費型太陽光発電の設計・施工力に強みを持つ専門業者へ相談するのが、初期費用を抑えながら設置していく上で重要なポイントです。
一般的な販売店や施工業者は、住宅用太陽光発電、売電型の野立て太陽光発電や屋根設置型太陽光発電に関する施工に対応しているものの、全量自家消費に対応していない場合があります。
そのため、自家消費型太陽光発電を設置したい時は、全量自家消費のノウハウを持っていて、なおかつ設計から施工、保守点検まで対応している業者へ相談するのがおすすめです。
弊社和上ホールディングスは、創業から30年、15,000棟を超える施工・サポート実績を持っています。さらに自社でも太陽光発電所を所有しているので、運用に関するノウハウも蓄積しております。全量自家消費型太陽光発電が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。
中小企業経営強化税制を活用する
中小企業経営強化税制を活用した場合、経費計上に関する優遇措置によって税負担の軽減を期待することが可能です。
具体的には、即時償却と税額控除という2つの優遇措置のうち、1つを選択できます。
即時償却は、太陽光発電設備を経費として計上する際、購入年度に全額償却できるのが特徴です。設備の購入年度にかかる税負担を抑えられるのが、メリットといえます。
一方、税額控除は、設備費用の7%もしくは10%を控除として活用でき、課税負担の軽減につながります。
対象事業者は、中小企業経営強化税制の詳細について確認してみましょう。当サイトでは、申請の流れや制度の詳細について解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
※内部リンク:中小企業経営強化税制の記事
PPAモデルを利用
初期費用0円で自家消費型太陽光発電を設置できるのは、PPAモデルというサービスです。
PPA事業者が所有している太陽光発電設備を、自社の屋根や土地に無償で設置してもらえます。また、保守点検などの維持管理費用も負担してもらえるので、一般的な設置方法より負担の少ない方法です。
ただし、毎月サービス利用料もしくは自家消費分の電気料金をPPA事業者へ支払う必要があります。主に脱炭素経営やBCP対策として自家消費型太陽光発電を設置したい企業は、メリットを感じられるサービスです。
ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業を活用
「ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業」を活用した場合は、自家消費型太陽光発電や蓄電池の導入費用を一部補助してもらえる国の補助金制度です。
企業や個人事業主などが申請可能な制度で、設置費に対して定額10万円、出力1kWにつき4万円の補助金を交付してもらえます。また、オンサイトPPAモデルの自家消費型太陽光発電を設置する場合は、1kWにつき5万円の補助金を受けられるのが特長です。(オンサイト:送配電網を使用せずに設置運用可能、なおかつPPAモデルの太陽光発電。)
自家消費型太陽光発電の導入費用は補助金制度などで抑えられる!
自家消費型太陽光発電の初期費用は、住宅用太陽光発電なら1kWにつき25万円程度、出力10kW以上なら1kWにつき11万円もしくは17万円程度です。また、維持管理費用は、1kWにつき5,000円程度で、いずれも年々安くなりつつあります。
環境経営の一環として自家消費型太陽光発電を検討している方や自家消費型太陽光発電について関心を持っている方は、今回の記事を参考に自家消費型太陽光発電を検討してみてはいかがでしょうか?
弊社和上ホールディングスでは、事業者向けに完全自家消費型太陽光発電の企画から設計、施工、設置後の運用保守まで一括サポートしております。さらに初期費用の負担を抑えたいという場合には、和上PPAプランをご活用いただくことで、初期費用・ランニングコストの負担を抑えながら自家消費を始められます。
屋根設置や野立て型など、さまざまな設置方法に対応しているので、気になる方はお気軽にご相談ください。