地球環境保護に資する再生エネルギーの大本命として脚光を浴び続けてきた太陽光発電ですが、そんな「環境の優等生」がここにきて公害問題を起こしていることが明らかになっています。
公害といっても騒音や排気ガスなどが出るわけではありません。公害問題が指摘されているメガソーラーで散見されるのは、発電所を造成するために山を切り開いた結果、土砂が崩落したら流出することで下流の川や用水路などが濁ってしまうといったケースです。
山林には保水機能といって、降った雨水を貯めこむ吸水力があります。太陽光パネルを設置するためにそこにあった木々を伐採し、吸水力が低下したことによって土砂の流出が起きやすくなる、というわけです。また、ある発電所の事例では山に棲み処を失ったのか、イノシシなどの野生動物が山を下りてきて人里で見かけることが多くなったこともあるようです。イノシシであっても危険はありますし、これがクマだったとすると、別の意味でも被害が発生する恐れがあります。
このように既存の公害という概念とは違う、新たな環境問題であるところも太陽光発電らしいといえるかもしれません。
セカンダリー市場において取引されている太陽光発電所に投資をする場合、こうした公害問題を起こしている発電所をいかに見極めて投資対象から外すかは大きな課題です。売電収入や自己託送による自家消費などのビジネスモデルを構築するために発電所を購入したのに、その発電所がお荷物になってしまうのは論外です。
こうした「問題のある発電所」を見極めるには、まず環境関連や太陽光発電関連のニュースに敏感であることが重要です。先ほどご紹介した事例についてもネットニュースなどで大々的に報じられ、一部マスコミの紙面にも報じられたので、ニュースに敏感になっていれば知りうる情報です。
それ以外にも、ネット上にある環境関連、太陽光発電関連のニュースメディアサイトなどを巡回しておくことを習慣づけるのも有効です。メディアによっては新たなニュースが配信されたら通知をしてくれるサービスもあるので、こうしたサービスも利用しつつニュースに敏感になることは発電所の見極め以外にもメリットがあると思います。
そしてもうひとつ重要なのが、現地調査です。太陽光発電投資はポケットマネーでできるものではなく、場合によっては銀行融資を活用することもあるでしょう。これは不動産投資と同じ感覚ですが、不動産を購入しようとしている人が現地で物件の確認をしないということはないでしょう。それと同様に、投資案件として太陽光発電所を検討するのであれば、現地に赴いてどんな状況にあるのかを見極めることも大切です。
もちろん現地を見ただけですべてが分かるわけではありませんが、光害(太陽光パネルから反射した光が周辺に悪影響を与える問題)が発生している場合は周辺住民が何らかの意思表示をしているかもしれないので、現地を自分の目で確認しておくことで多くの気づきがあるかもしれません。