太陽光発電は、非常に丈夫で故障が少ない設備だといわれています。だからといって、メンテナンスをしなくていい…というものではありません。定期的なメンテナンスや保守、点検を行ってこそ、太陽光発電システムを最大限に生かして発電効率を上げ、電気代の節約につながっていくのです。
そこで気になるのがどのようにメンテナンスをすれば良いのか?ということです。メンテナンスに関しては専門業者に依頼するのが一番おすすめではありますが、しっかり業者を見極めないと、余計なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
そこで今回は太陽光発電のメンテナンスを専門業者に依頼する際、どのように選び、見極めれば良いのか、どんな資格を取得している専門業者が良いのか等について、詳しくご紹介していきます。ぜひ最後までご一読下さい。
なぜ「セルフメンテナンスは危ない」と言われているのか?
太陽光発電システムにおいて、パネルの清掃や部品の交換といったメンテナンスをご自身で行う「セルフメンテナンス」は非常に危ないことです。そのため、専門業者にメンテナンスを依頼することがおすすめいたします。しかし、それは一体、どういった理由からなのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
配線ケーブル等不用意に触れると危険な部位がある
太陽光発電システムは様々な電気設備の複合体です。電気系統を扱う作業がメンテナンスに含まれます。配線ケーブルも多く、不用意に触ると感電や事故を引き起こす危険性があります。電気系統はできるだけ触らず、プロに見てもらうことをおすすめします。
パネルのセルフメンテナンスを行おうとして落下する事故も
近年では、地上に太陽光発電システムを設置する方も増えていますが、やはり主力は「屋根の上」です。太陽光パネルは基本的に高所に設置して太陽の光を受け止めようと設置されるため、ほぼ確実にはしごの上り下り等が必要になります。全く上った経験のない方が屋根に上るとバランスを崩して落下してしまうという重大な事故につながってしまいます。「簡単そうで難しい」のが屋根の上での作業です。こちらも無理せず専門業者に依頼した方が安心です。
誤った知識でのセルフメンテナンスは発電量の低下につながる
太陽光発電システムでメンテナンスが必要不可欠とされる理由は「経年劣化」によって太陽光パネルの発電効率が低下するためです。
データでは、太陽光パネルのメンテナンスを適切にしなかった場合、設置後10年を経過すると平均で発電効率は95~97%に、20年後には80~85%まで落ち込みます。
この経年劣化をなるべく抑え、効率の良い発電を続けるためにも、正しい知識で専門業者にメンテナンスを依頼するのは非常に重要なのです。
太陽光発電システムを良好に保つための「有資格者」一覧
太陽光発電システムの効率を下げることなく、良好に保つために必要な「資格」にはどのようなものがあるのでしょうか。多くの資格がある中で「これを取得している技術者は信頼できる」といった資格をご紹介していきます。
メーカー施工IDを持った有資格者
太陽光発電システムを販売しているメーカーが与える資格です。メーカーそれぞれの特徴をとらえた専門の資格を持っているため、専門性も非常に高い部類に入ります。メーカーさえ一致していれば、安心でメンテナンスを依頼できます。
PV施工技術者
一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)が認証する資格です。「この資格がないとメンテナンスができない」というわけではありませんが、事業者・技術者双方に安心と自信を与えてくれる資格です。
太陽光メンテナンス技士・技士補
一般社団法人太陽光発電安全保安協会(JPMA)が提供する資格です。協会が認定した資格校で訓練を受け、試験を受けて合格すると取得することができます。
PIA技術認定
太陽光発電検査協会(PIA)が発行する資格です。講習と研修、テキスト、実習により太陽光発電所の保守管理を適切に行う技術を身につけます。この資格を持っている技術者も安心だといわれています。
信頼できるメンテナンス業者を選ぶには?4つのポイント
メンテナンスを依頼する業者は、信頼できるところがいいですよね。では、「信頼できるメンテナンス業者」にはどのような特徴があるのでしょうか。わかりやすいポイントをご紹介していきます。
ポイント1.メンテナンス内容は太陽光発電に合っているか?
数多くの業者が太陽光発電システムのメンテナンスサービスを提供していますが、提供されているメンテナンスの内容は業者ごとに大きく異なります。そのため、各業者のサービスをチェックして、自分の発電所に合っているかどうかを判断する必要があります。太陽光発電のメンテナンス内容は、大きく分けて5つの項目があります。
・駆け付け対応
・パネル洗浄
・雑草対策
・遠隔監視
もし、パネルやパワーコンディショナーのメンテナンスを定期点検で行ってくれる場合にはメンテナンスとして別に契約する必要はありません。
メンテナンス内容が重複してしまうと費用を無駄に支払うことになってしまいますので、メンテナンス内容やメーカー保証についてもしっかりと確認しておく必要があります。
ポイント2.技術や知識、経験は豊富か?
「依頼しようとしている業者が安全かどうか」は、業者の「施工体制」で見極められます。業者の中には、社内に施工部門を持たないケースがあるからです。
また、施工部門があってもその施工会社自体に施工のノウハウがないため、細かいところまで工事を監督できず、使用後に雨漏りや配線トラブル等の不具合が生まれるリスクが高まります。
次のようなことは必ず確認しておくことをおすすめいたします。
・工事部材が揃っていること
・工事後のイメージを事前に見せてくれること
上記のような業者は、技術や知識、経験が豊富で信頼できる業者だといえるでしょう。
ポイント3.費用は見合っているか?
メンテナンス業者を選ぶ際に、いくらぐらいのプランを契約するのかも選び方のポイントです。というのも、メンテナンス費用が高ければ高いほど初期費用の回収期間が延びてしまい、マイナスになってしまう可能性があるからです。
ただし、メンテナンスを「行わない」のはさらなるマイナスになります。発電効率の低下が最も初期費用を回収できず、マイナスになってしまうことを覚えておいて下さい。
ポイント4.有資格者はいるか?
業者を選ぶ際、重要視していただきたいのは「有資格者かどうか」です。太陽光のメンテナンスには民間が認定している資格がいくつかあり、代表的なものでは一般社団法人太陽光発電安全保安協会(JPMA)の「太陽光発電メンテナンス技士」「太陽光発電メンテナンス技士補」があります。
また、メンテナンス専門の資格ではないものの、太陽光発電協会(JPEA)の「PV施工技術者」も、太陽光発電システム全体に精通した資格で、知識やスキルが高いと判断できるでしょう。
さらに、メーカーによっては「メーカー施工ID」を持った有資格者の点検を推奨しています。資格を持っている=知識のある技術者ですので、このような資格を持った業者にメンテナンスを依頼すると安心できます。
まとめ:有資格者にメンテナンスを依頼して安全・快適に活用しよう
太陽光発電は、元々故障しにくい性質があります。そのため「メンテナンスフリー」という間違った言葉が一人歩きをしてしまい「太陽光発電システムは一度導入したらメンテナンス不要」という認識になってしまいました。
実際にはメンテナンスを行わないのは、多くのデメリットがあります。そのデメリットを解消するために、しっかりとした保守点検を行うことで長期間に渡る効率的な発電を続けられます。資格を持つ専門業者に依頼し、定期的にメンテナンスを依頼して安全・快適に活用できるように運用していきましょう。