農地を相続したものの、農業をしない方やさまざまな都合から農業をやめる方は、農地の扱いに悩んでいるのではないでしょうか?農地は、他の土地と異なりさまざまな規制が定められていて、売却しにくい側面もあります。しかし、太陽光発電用地として売却できる可能性があるので、売却に伴う手続きや規制・メリットなどについて確認してみることをおすすめします。
そこで今回は、農地を太陽光発電用地として売却できるかどうか、方法やメリット、注意点について詳しくご紹介します。農地を手放したい方や農地を太陽光発電用地として売却する方法について気になる方は、参考にしてみてください。
太陽光発電用地についておさらい!
太陽光発電用地は、太陽光発電に適した土地全般を指しています。住宅街から離れた耕作放棄地や空き地などが、太陽光発電用地として選ばれています。
詳細については当サイトの以下コラム記事で解説しています。用地について確認しておきたい方は、ぜひこちらの記事もご確認ください。
農地を太陽光発電用地として売却することは可能!
農地は、太陽光発電用地として売却手続きを進められます。周囲に建物がない・平地・日当たりがいいといった条件であれば、太陽光発電用地として需要のある土地です。さらに農地転用手続きをして審査に通過できた場合は、太陽光発電用地として売却できます。
農地を相続・贈与したものの利用予定がない方や、農業をやめる際に農地を手放したい方は、太陽光発電用地として売却を検討してみるのもいいでしょう。
農地の売却相場は?
農地の売却相場は、地域によって異なります。全国農業会議所で公開されているデータなどでは、全国平均で10a(アール)あたり118万2,000円です。
特に売却価格の安い地域は北海道で、10aあたり24万7,000円です。反対に価格の高い地域は、近畿地方や東海地方で、それぞれ196万8,000円、228万3,000円という相場です。
1aの面積は100㎡なので、10aなら1,000㎡という単位として表記できます。1,000㎡の農地に設置可能な太陽光発電は、出力100kW前後です。
太陽光発電市場で取引されている設備は、小規模なもので50kW程度です。そのため、5aあたりの農地でも一定の需要を見込めますし、数10万円以上の売却益を期待できます。
農地の売却が難しい理由
太陽光発電用地として売却可能な農地ですが、実際はすぐに売却できない事情もあります。続いては、農地の売却が難しい理由を解説していきます。
地目を変更しなければ他の用途に活用できない
農地を太陽光発電用地として売却するには、地目を変更しておく必要があります。土地には、宅地や山林などといった地目が定められています。地目は法律で決められた項目のため、自由に変更できません。
特に農地は、他の項目と異なり別の用途で用いることを制限された土地です。太陽光発電用地として売却するには、地目を農地から別の地目へ変更する必要があります。
地目の変更手続きに関しては、農地転用という手続きで進められます。ただし、審査が設けられているため、農地から別の地目へ変更できない場合もあります。そのため、農地は太陽光発電用地や住宅用地としてすぐに売却できません。
不動産投資に向いていない立地
農地を太陽光発電用地以外の用途で売却しようとする際は、買い手がつかない可能性もあります。
田んぼや畑は一般的に地盤の弱い状況なので、土を入れ替えたり地盤改良工事をおこなったりするのも重要です。また駅から離れた位置にある農地は、買物や通勤に不便といった理由から敬遠される場合もあります。
農地の売却自体は可能ですが、不動産投資に向いていない土地と言えます。
農地が太陽光発電用地に向いている理由
取り扱いの難しい農地ですが、それでも太陽光発電用地に向いていると言える理由はあります。続いては、農地が太陽光発電用地に向いている理由をわかりやすく紹介していきます。
郊外の場所であればあるほど太陽光発電を設置しやすい
住宅地や都市部から離れた郊外にある農地は、太陽光発電の設置しやすい土地といえます。周辺に建物がない・少ない土地は、太陽光発電用地に向いている条件に含まれています。
太陽光発電投資の利益は、日光をどれだけ取り込めるかで大きく変わります。そのため、郊外にある畑や田んぼなどは、都市部の土地と比較して発電効率という点で強みのある土地です。
郊外に農地を所有している方は、特に太陽光発電用地として売却を検討してみてはいかがでしょうか。
ソーラーシェアリングとしても活用可能
農地は、ソーラーシェアリングとして活用可能な土地です。ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電システム)は、農業をしながら太陽光発電の継続が可能な運用方法で、農地の地目を変更せずに進められます。
太陽光発電の架台は一般的なタイプと異なり、1m以上の長いパイプが使用されています。また、農地の上に高さのある架台を設置し、太陽光パネル同士を密着させないように設置することで、農地にも日光が差し込みます。
農業を継続できるだけでなく自家消費や売電によって電気代削減や副収入を得られるため、専業農家や兼業農家の方におすすめの方法です。
さらに農地の一時転用という地目を変更させない簡易的な手続きをおこなえば、ソーラーシェアリングを始められるのもメリットといえます。
ソーラーシェアリングについては、当サイトで解説しています。気になる方は是非こちらの記事も参考にしてみてください。
農地を太陽光発電として売却する際の注意点
ここからは、農地を太陽光発電用地として売却する際に注意しておくべきポイントを解説します。
太陽光発電事業者へ売却するには農地転用手続きが必要
農地を太陽光発電投資家や事業者へ売却するには、農地転用手続きを進めておく必要があります。
農地の転用手続きせずに売却および他の用途へ用いた場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金という罰則を受けます。また、FIT制度の承認取り消しといったペナルティを受けるため、太陽光発電事業者から訴えられる可能性があります。
そのため、農地の転用手続きを進めるのは、必須の作業です。農地転用可能な農地は、以下の通りです。
市街化区域内の農地 | 指定書類の届出で農地転用ができる |
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第2種農地(市街化が見込まれる区域内にある農地) | 第2種農地の周辺でも事業の達成が可能な場合は、農地転用の許可は下りない場合もある |
第3種農地(市街化が進んでいる区域内にある農地) | 指定書類の提出により、原則転用の許可が下りる土地 |
農地転用手続きは、各自治体管轄の農業委員会で受け付けています。窓口では、まず農地の種別に関する調査が2週間程度かけておこなわれます。
農地転用可能な土地とみなされれば、土地の登記事項証明書、位置図、公図の写しなど、指定の書類を準備します。書類提出後の審査に通過できれば、農地を転用および売却することが可能です。
農地転用後も売却までに時間がかかる
農地転用手続きを無事進めた後に気を付けるべき点は、売却に時間がかかるということです。住宅などの一般的な不動産売買では、売買契約から引き渡しまで1ヵ月程度の期間がかかります。
一方、太陽光発電用地として農地を売却する場合、農地転用手続きの審査待ちに加え、太陽光発電事業者による確認作業が伴います。
太陽光発電事業者は行政に対して太陽光発電事業の申請などをおこない、なおかつ許可を受けなければ土地の売買契約を進められません。そのため、農地の売却には、1ヵ月以上の期間が必要です。
農地転用および太陽光発電用地としての売却を検討している方は、早めに準備を進めるのが大切です。
停止条件付売買の場合はトラブルに注意
契約内容に停止条件付売買が含まれている場合、売却トラブルに注意しましょう。停止条件付売買とは、ある条件が達成するまで売買契約を停止できる契約条件のことです。
農地の売却には時間がかかる上、さらに停止条件付売買で契約手続きをストップさせられてしまうと、1年以上待たなければいけない可能性もあります。また、条件が満たされないと契約がキャンセルされるため、リスクの高い契約内容です。
太陽光発電事業者へ土地を売却する時は、仲介業者を通じて手続きを進めるのが重要です。
農地を太陽光発電用地として売却するには農地転用が必要!
農地を太陽光発電用地として売却するには、まず農地転用可能か確認し、可能であれば転用許可を受けるために農業委員会へ必要書類を提出します。太陽光発電に特化した仲介業者へ土地の調査や募集を依頼するのが、トラブルを避ける上で重要なポイントです。
農地を相続・贈与されたものの扱いに困っている方や農地を有効活用していきたい方は、今回の記事を参考に太陽光発電用地として売却を検討してみてはいかがでしょうか?
弊社とくとくファームでは、中古太陽光発電所や太陽光発電用地の売買仲介業務をおこなっております。農地の売却に関するご相談も受け付けているので、ぜひお気軽にお問合せください。
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