太陽光発電の発電量は、太陽光パネルの設置角度や性能だけでなく、設置場所の気候や環境にも左右されます。これから土地付き太陽光発電の運用を検討している方の中には、設置に向いている地域や注意点について分からず悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、太陽光発電に向いている地域や設置に向いている地域の特徴について詳しくご紹介します。土地付き太陽光発電を検討している方や中古太陽光発電を検討している方は、参考にしてみてください。
太陽光発電に向いている地域とは?
太陽光発電に向いている地域を探す時は、内陸や太平洋側、日本海側など細かく分けて比較および確認するのが大切です。
まずは、太陽光発電に向いている地域を確認していきます。
太陽光発電に向いている地域は内陸や太平洋型
年間発電量の多い都道府県は、主に山梨県や長野県などの内陸の地域、徳島県や静岡県など太平洋側の地域です。特に山梨県と長野県は、他の地域よりも10%以上年間発電量の多い傾向なので、太陽光発電に向いています。
一方、北の地域で日本海側は、山梨県や長野県よりも年間発電量10%~20%程度少ない傾向です。太陽光パネルの選定や設置角度などの工夫で、発電効率を上げる必要があります。
なお、北海道の一部地域などには、太陽光発電に向いている地域もあります。夏場の気温上昇を抑えられる場所や梅雨の短いもしくはない場所は一定の発電量を見込めるため、太陽光発電投資において注目しておくべき地域です。
年間発電量を伸ばしたい時は、単に南の地域という点に着目せず、日本海側と太平洋側の日照時間、夏場の気温、梅雨の期間など細かいポイントを確認しておくのが大切です。
日照時間の長い地域
日照時間の長い主な地域は以下の通りです。
- 山梨県
- 愛知県
- 長野県
- 埼玉県
- 和歌山県
- 群馬県
一方、日照時間の短い地域は以下の通りです。
- 秋田県
- 山形県
- 青森県
- 鳥取県
- 島根県
台風や梅雨の影響が少ない地域、降雪量の少ない地域などは、平均日照時間の長い地域です。ただし、日照時間の長い全ての地域で発電量を確保できるわけではありません。
年間発電量を増やすには、日照時間の他、気温上昇の抑えられている地域に太陽光パネルを設置する必要があります。太陽光パネルの表面温度が60度や80度など高温になればなるほど、熱損失の増大および発電ロスにつながります。
そのため、太陽光発電に向いている地域を探す時は、日照時間と夏場の気温にも注目です。
太陽光発電に向いている地域の条件
太陽光発電に向いている地域を確認したあとは、太陽光発電に適した土地の条件を把握しておきます。
太陽光発電に向いている地域の条件は複数あるので、時間をかけて土地の比較検討を進めていくのが大切です。
敷地面積の広い土地
敷地面積の広い土地は、太陽光発電の設置に重要なポイントです。
産業用太陽光発電の太陽光パネルを設置するには、出力1kWにつき10~15㎡程度の敷地面積が必要です。つまり出力10kWでは100~150㎡、50kWで500~750㎡、100kWで1,000~1,500㎡程度の敷地面積のある土地から比較検討します。
また、出力50kW以上の太陽光発電を導入したい時は、キュービクルの設置も可能か確認しておくのが大切です。
平地が多い
一般的に平地や段差の少ない土地は、太陽光発電の設置運用に向いています。
平地での太陽光発電設置では、造成工事の手間を省略できます。
一方、山林や斜面のある土地を購入した場合は、山を切り開いたり斜面を平地にしたりするための造成工事を依頼しなければいけません。また、造成工事費用の負担がかかるため、コスト面でも太陽光発電に向いている土地とはいえません。
太陽光発電に向いている土地を探す時は、なるべく平地から調べるのがおすすめです。
日当たり良好な土地
日当たり良好な土地は、太陽光発電に向いています。
周辺に山や森林、ビルや住宅などのある地域は、日差しが遮られやすく発電効率に影響を受ける可能性もあります。一方、障害物の少ない地域では、太陽光パネルに影が作られにくく、なおかつ発電効率を高められます。
土地を調べる時は、現地調査を実施して周辺環境を確認してみるのが大切です。
塩害リスクの少ない土地
塩害リスクの少ない土地は、太陽光発電に向いています。
海に近い地域では、潮風による塩害を受ける可能性があります。太陽光パネルや架台、配線などさまざまな部品や機器は、塩害によって錆びや腐食といった被害を受けてしまいます。
塩害を受けにくい内陸部を調べるのが、太陽光発電に向いている地域を探す上で重要なポイントです。
太陽光発電設置予定地域の近くに電柱が設置されている
電柱が設置されている地域は、コスト面で太陽光発電に向いています。
太陽光発電で発電した電気を電力会社へ売電するには、敷地内に電柱を設置し、電線で設備と敷地外の電柱を接続する必要があります。
しかし、電柱の設置や電線の購入は初期費用の負担増加につながるため、なるべく電柱設置済みの地域から比較してみるのもおすすめです。
地盤の強い土地
地盤の強い土地は、災害リスクに備えやすく、太陽光発電の設置にも適しています。
太陽光発電の稼働期間は設備状況や運用者の方針によって変わるものの、一般的に20年~30年程度です。大きな地震は、いつどこで発生してもおかしくありません。さらに豪雨災害や台風に関しては、地震よりも短いスパンで起こります。
そのため、太陽光発電は、台風や地震の被害に遭う可能性があります。
地盤の強い土地に設置していれば、地震の揺れによる被害を抑えたり土砂災害リスクを低減したりできる場合があります。
津波や氾濫など水害リスクの低い土地
災害ハザードマップで水害リスクの低い土地や水害の少ない土地は、太陽光発電を設置しやすい地域の1つです。
豪雨による河川の氾濫や地震や海底火山の噴火による津波被害は、いつ起きるか分かりません。また、過去に水害を受けている地域や水害リスクの高い地域は、設備の浸水による破損、津波で基礎ごと海に流されたり破壊されたりする可能性があります。
災害リスクを減らすには、水害リスクの少ない地域を調べておく必要があります。水害のリスクは、各自治体のハザードマップで確認することが可能です。また、過去の水害は、自治体HPなどでまとめられている場合もあります。
積雪量の少ない土地
太陽光パネルや架台の中には、積雪に耐えられるよう強化されたタイプもあります。
一方で豪雪に耐えられず太陽光パネルが割れたり設備全体がゆがんだりしてしまう事例もあるため、なるべく積雪量の少ない土地を探すことをおすすめします。
北海道や東北、北陸に設置された太陽光発電は、2021年1月~2月の豪雪で架台や太陽光パネルの破損といった被害を受けました。
太陽光パネルの設置角度は、30度~40度程度まで傾けておくと雪が落ちやすくなります。しかし、短時間に大量の積雪を記録してしまうと、パネルから雪が落ちる前に積もってしまい破損してしまいます。
数m単位の積雪を記録している土地に太陽光発電を設置する場合は、積雪による破損リスクを想定した上で対策を立てる必要があります。
夏場でも涼しい日がある
夏場でも涼しい土地は、比較的太陽光発電に向いている地域です。
一般的に太陽光パネルは高温に弱いため、気温上昇によって発電効率低下を招いてしまいます。結晶系の太陽光パネルは1度上昇で0.4%低下しますし、アモルファス系では1度につき0.2%低下することもあります。
なお、パネルの表面温度は、気温から30〜40度足した温度です。気温40度の場所に太陽光パネルを設置すると、表面温度80度程度まで上昇してしまいます。
夏場に涼しい土地を見つけた時は、太陽光発電に向いている地域として認識しておくのも大切です。
設置規制のない地域
自治体の設置規制に該当しない地域は、太陽光発電向きですしトラブルのリスクも避けられます。
各自治体では太陽光発電設置による土砂災害リスクや周辺住民からの苦情などといった問題を抑えるため、設置規制に関する条例を制定しているケースもあります。たとえば、岡山県や兵庫県では、設置規制区域に関する条例を提案もしくは制定したりしています。
そして、農地など設備設置ができない土地を購入した場合は、農地転用手続きが必要です。
手続きの手間やトラブルを回避するには、事前に設置規制の対象地域かどうか確認しておきます。
太陽光発電に向いている地域でも季節差で状況は変わる
最後は、季節ごとの発電効率や傾向について確認していきます。
春から夏は多くの地域で一定の発電量を確保できる
一般的に春は、どの地域でも一定の発電量を確保できます。
晴れの日が続きやすく気温10度~20度台の3月~5月は、発電効率という点で太陽光発電に適した季節です。
梅雨の過ぎた7月中旬頃~9月中旬頃は、地域によって春よりも多くの発電量を確保できる場合があります。冒頭で紹介した長野県や山梨県、群馬県など年間発電量の多い地域は、夏場でも効率よく発電および売電することが可能です。
たとえば、気温40度超えの地域などでは、太陽光パネルの表面温度上昇によって発電損失を招いてしまいます。また、パワーコンディショナは、太陽光パネルと同じく熱による変換効率低下の可能性があります。
水を使用した冷却効果は限定的で、なおかつ水道料金や散水設備の設置費用負担で赤字のリスクもあります。そのため、夏場の発電効率低下に対しては、遮熱塗装や過積載などといった対策を検討してみるのもおすすめです。
梅雨による日照時間の減少
5月下旬頃~7月上旬頃は梅雨のため、日照時間の減少しやすい時期です。そのため、春や初夏よりも発電量は減少しやすい傾向です。
なお、曇りの日は、晴れの日に対して50%程度の発電量を見込めます。散乱日射量という間接的な太陽光が降り注がれるため、曇っていても発電できます。
一方、北海道など梅雨のない地域では、5月や7月と6月の発電量に大きな差はありません。毎月一定の電気代削減効果を求めている時は、梅雨の影響を受けにくい地域で太陽光発電を始めてみるのも大切です。
秋は一定の発電量を確保できるが比較的短期間にとどまる
9月~10月中旬頃は、3月~5月頃と同程度の発電量を期待できます。また、10月下旬~11月の発電量は、日照時間や天候の関係で減少していくのが主な特徴です。
地域によっては、気温の関係から夏場より発電効率が上がる場合もあります。ただし、発電効率の高い期間は短いため、過積載などでカバーするのもおすすめです。
豪雪地帯でも発電量を確保できる地域はある
一般的に12月~2月の発電量は、春や夏場より減少してしまいます。ただし、晴れの日や曇りの日はあるので、積雪のある地域でも発電量を確保することが可能です。
太陽光パネル全体に雪が積もっている時や氷で覆われている時は、晴れの日でも発電できません。そのため、太陽光発電業者へ定期的な清掃や雪下ろしを依頼するのが大切です。
なお、積雪量の多い北日本の太平洋側や北海道などは、冬に発電量を伸ばしにくい一方、夏場に高い発電効率を記録する場合があります。
太陽光発電用地を探す時は、各季節の特徴から年間の発電量を計算してみるのが大切です。
日本には太陽光発電に向いている地域がある!
日本には、太陽光発電に向いている地域が多数存在します。太平洋側や内陸部などは、日照時間や気温の関係から高い発電効率を見込めます。また、雪の降りやすい地域でも夏の気温上昇が抑えられていれば、黒字化もしくは一定の電気代削減効果を期待できます。
太陽光発電に向いている地域を調べている方や土地探しの注意点を知りたい方は、今回の記事を参考に太陽光発電用の土地探しを検討してみてはいかがでしょうか。
なお、仕事や家事などで土地探しの時間を確保できない時や土地探しの手間を省きたい時は、中古太陽光発電を検討してみるのがおすすめです。
中古太陽光発電所は、いわゆる土地付き太陽光発電でなおかつ発電実績などの実績値を確認できるのも魅力の1つです。
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