太陽光発電事業を行なう際、隣地所有者から反対されたり近隣トラブルに発展したりといったリスクにも注意が必要です。しかし、どのような方法で対策を進めればいいのか、わからない方も多いかと思います。
そこで今回は、太陽光発電が隣地所有者に反対されないための対策、トラブル事例について詳しくご紹介します。太陽光発電を設置した方や運用管理方法について調べている方は、参考にしてみてください。
太陽光発電が隣地所有者や近隣住民に反対される理由
太陽光発電所の運用に対して隣地の所有者や近隣住民から反対される場合、主に「環境」「設備」「対応」の3点の問題が考えられます。まずは、太陽光発電所が反対される主な理由について紹介します。
住民説明会の際に適切な説明ができなかった
住民説明会で適切な説明および対応ができない場合、住民に不信感を持たせてしまうことになります。すると、太陽光発電所の周辺に住んでいる方や隣地所有者からの反対運動につながり、発電事業の継続に影響を与えてしまう可能性が大きくなります。
なお2024年4月から、FIT制度やFIP制度の認定を受ける事業者の中で、出力50kW以上の太陽光発電を設置する事業者に対して住民説明会の開催が義務化されます。また出力50kW未満の太陽光発電所(屋根設置型の住宅用太陽光発電以外)でも、周辺環境によっては住民説明会の開催が必要になります。
そのため、特にFIT・FIP制度を活用して太陽光発電事業を行なう予定の事業者は、住民説明会で住民の方達に信頼される資料の作成、説明を心がけましょう。
騒音や光に対して敏感な住人からの苦情
太陽光発電所設置後のクレームや反対運動には、騒音や光といったトラブルを原因としている場合もあります。
例えば、太陽光パネルの反射光が常に近隣の住宅に差し込んでしまうようでは、それらの家の生活に支障をきたしてしまいます。また太陽光発電所の隣地が畑や田んぼの場合、農作業している方に反射光が当たってしまうことも考えられます。
ほかにも、設置工事中の振動や音が原因で隣地所有者や周辺住民からクレームを受ける可能性もあり、注意の必要なポイントです。
環境破壊につながりかねないと認識されている
太陽光発電に対して、次世代エネルギーや停電時に役立つ設備といった良いイメージを持つ人がいる一方で、土砂災害などで被害を拡大させる、景観を悪化させる、環境破壊につながるといった悪いイメージもあるなど、太陽光発電への考え方は人によって異なります。
太陽光発電事業が環境破壊につながるものとして認識されてしまうと、クレームや反対運動が起こりやすいため、丁寧に説明を進めていき、理解を深めてもらうことが大切です。
太陽光発電の近隣トラブル事例
続いては、太陽光発電の近隣トラブルにつながりやすい要素を5つ紹介します。
パワーコンディショナの騒音トラブル
太陽光発電設備で動作音が聞こえやすいのは、パワーコンディショナです。そのため、その音が原因で隣地所有者とのトラブルにつながる可能性もあります。
動作中は、いわゆるモスキート音と呼ばれる「キーン」といったような音が聞こえてきます。また、パワーコンディショナを冷やすための冷却設備などの動作音が近隣住宅へ伝わる場合もあるため、注意しなければいけないポイントのひとつです。
施工時の騒音トラブル
太陽光発電所の基礎工事を行なう際には、多くの場合で杭打ちや重機の音、その他の作業音が発生します。また通常の施工であっても、音に敏感な住民がいるとクレームを受ける可能性があり、場合によっては工事の延期といった措置を取らざるを得ない場面が出てくるかもしれません。
このように、太陽光発電設備の施工中に発生する音は、住民トラブルにつながる可能性があります。太陽光発電事業を計画する際は、設置予定場所の環境を慎重に調べた上で検討することが大切です。
雑草が隣地に侵入してしまう
敷地内の雑草が隣地に侵入してしまうことで、トラブルになることも考えられます。そのため、設備の管理だけでなく敷地内の環境管理についても目を向ける必要があります。
特にメガソーラーといった広い敷地で太陽光発電事業を行なう場合、除草作業だけでも時間と手間がかかります。特に、人員不足などで頻繁に除草作業や敷地内の管理を進められないと、雑草が伸びすぎて隣地に侵入することもあります。
さらに、雑草の侵入による害獣や害虫といった二次被害が隣地の環境や農地へ大きな影響を与えるおそれもあり、訴訟を含むさまざまなリスクを招く原因にもなりかねません。
このような問題に発展させないためにも、雑草だけでなく敷地内のゴミなどが隣地に飛来しないよう、定期的な清掃や除草作業を欠かさないようにするのが大切です。
反射光トラブル
太陽光パネルの反射光が隣地で作業している方や住宅に当たってしまうと、光害トラブルとしてクレームを受けるかもしれません。
実際、過去には訴訟問題に発展した事例もあります。
2015年、姫路市に設置された約1MWのメガソーラーを原因とした反射光トラブルでは、被害を受けた男性と太陽光発電事業者の間で訴訟が起きました。男性は、反射光による熱中症被害を訴えたものの、提訴から2年後の2017年に取り下げられました。
このケースでは、太陽光発電の開発企業は賠償責任を負わずに済みましたが、訴訟による手続きや訴訟後のトラブル対策などで負担がかかっていることを理解しておきましょう。
景観の悪化
太陽光発電所の設置が景観の悪化につながると受け止められ、クレームや反対運動といったリスクにつながる場合もあり得ます。
冒頭でも触れたように、近隣住民や隣地所有者との溝を埋めるためには、施工前の住民説明会を含む丁寧な説明とコミュニケーションを重ねていくことが重要になります。また景観の悪化リスクに関して説明を求められた場合に備えて、どのように対策を施していくのか、景観の悪化につながらない理由などを事前にまとめておくようにしましょう。
自然災害による太陽光発電のトラブルも
ここからは、自然災害による太陽光発電事業関連のトラブルについて解説していきます。
飛散したパネルが隣地などに入ってしまう
災害により太陽光パネルや架台、周辺機器などが破損し、隣地に飛散してしまうと、多くの場合でトラブルが発生します。
特に、台風や暴風などで架台と太陽光パネルをつなぐ固定金具が破損により外れてしてしまった場合、パネルが周辺に散乱するおそれがあります。また設備の耐風圧を超える暴風が発生すると、パネルだけでなく架台や周辺機器も飛散しかねません。これらが隣地や周辺にまで飛散した場合は、損害賠償にまで発展することもあるため注意が必要です。
暴風や強風といった風の強い地域、台風被害の大きな地域に太陽光発電事業を展開・検討している企業は、損害賠償リスクへの備えや耐風圧の高い設備の導入も含めて対策をしておきましょう。
土砂崩れによって設備全体が敷地外に流出
山間部への太陽光発電所の設置は、豪雨による土砂崩れで基礎ごと敷地外に流出してしまう可能性があることも想定しておきましょう。
例えば、2021年に起きた熊本県の豪雨では、南関町に建設されていたメガソーラーの土砂流出によって、周辺の農地に大きな被害を与えました。
このような土砂災害による太陽光発電所の破損は、発電事業の一時停止と復旧費用の負担、隣地や周辺地域への損害賠償などの損害や出費につながります。
太陽光発電事業の計画を立てる際は、周辺の土砂災害リスクや防災対策の必要性についても調査分析しておくことが大切です。
太陽光発電事業を隣地所有者などから反対されないようにするには
太陽光発電事業と近隣住民からの反対に関するリスクを理解した後は、隣地所有者などから反対されないために、どのような点に気を付けて運用していけばよいのかについて確認していきましょう。
丁寧に説明を行ない納得してもらう
住民説明会を開催して丁寧かつわかりやすく説明を行ない、住民に納得してもらうのが、太陽光発電事業を反対されないために重要なポイントの1つです。
隣地所有者や周辺住民の中には、騒音や光害、太陽光パネルの飛散や故障による有害物質の流出リスクなど、さまざまな点について不安を抱いている方も多いでしょう。
そこで、住民説明会の場でこれらの疑問や質問にに対して納得してもらえる説明や回答ができれば、クレームや反対運動のリスクを抑えることができます。
隣地が住宅地ではない場所をなるべく探す
隣地所有者や近隣住民とのトラブルを避けるには、太陽光発電用地の選定段階で慎重に周辺環境を調べておきましょう。
設置予定場所の隣地が、住宅や農地に面していない土地や人・車両が少ない道路などの環境であれば、隣地所有者からのクレームやパネル飛散などによるトラブルといったリスクを軽減できます。
故障や事故が起きないよう定期的なメンテナンスを行う
定期的な点検修理と遠隔監視を徹底することで、自社のメンテナンス不良や管理不備による故障・事故の発生を防ぐことができます。
例えば、敷地内の除草作業や定期的な清掃の実施は、雑草の侵入および害獣や害虫による二次被害を回避できます。また、遠隔監視システムや防犯カメラなどで敷地や設備を常時管理していれば、太陽光パネルやパワーコンディショナの故障による火災などを未然に防げるでしょう。
なお、メンテナンス作業や修理交換は、国家資格を取得した専門業者でなければ対応できません。そのため太陽光発電事業を行なう企業は、管理運用に特化したサービスを調べる必要があります。
災害対策を行なう
災害対策は、隣地所有者や近隣住民からのクレーム、損害賠償リスクを抑える上でも重要なポイントです。
例えば、積雪量の多い地域で太陽光発電事業を始める場合は、耐荷重に特化した太陽光パネルや架台を用いたり、除雪作業に対応したサービスを利用したりしましょう。また、耐風圧の高い太陽光パネルや架台は、台風や暴風による飛散や破損リスクを軽減することが可能です。
ほかにも洪水や冠水による被害を抑えるのであれば、あらかじめ浸水リスクの低い場所を太陽光発電用地として選定したり、架台の高さを調整できるか施工業者に相談したりしてみるのも大切です。
賠償責任保険へ加入しておく
太陽光発電事業を始める場合は、賠償責任保険への加入も検討しておきましょう。
賠償責任保険とは、太陽光発電の飛散などによって第三者や敷地外の建物・設備へ損害を与えた際に発生する賠償責任を補償してもらえる保険のことです。
太陽光パネルやパワーコンディショナの飛散、設備全体の流出といった事故は、どの太陽光発電所でも想定されます。そこで賠償責任保険へ加入しておけば、損害賠償による負担を保険でカバーすることができるので安心です。
なお、賠償責任保険はさまざまな保険会社で取り扱われています。保険料や保険金の目安、補償範囲、オプションの内容などを比較しながら検討しましょう。
太陽光発電の適切な管理は実績豊富なO&Mサービスへ依頼するのがおすすめ
太陽光発電所の適切な管理を行なうには、実績豊富なO&Mサービスへ依頼するのがおすすめです。
太陽光発電専門のO&Mサービスは、太陽光発電所の監視や緊急時の駆けつけサービスと修理交換、定期メンテナンスなどといった運用におけるサポートを行なってもらえます。
最後は、O&Mサービスの特長について解説します。
太陽光発電設備から敷地内の管理まで一括対応
太陽光発電のO&Mサービスは、太陽光発電設備から敷地内の管理まで一括で対応しています。そのため、自社の管理業務に関する負担を減らせるのが大きなメリットと言えます。
例えば、以下のような管理業務を行なってもらえます。
- 遠隔監視システム、カメラによる設備状況の監視
- 発電量などの監視
- 敷地内の清掃や除草作業
万が一設備や発電量に異常が発生した場合は、太陽光発電所まで駆けつけた後、異常の原因を突き止めたり修理交換を行ったりしてくれます。
定期メンテナンスや修理交換に対応
O&Mサービスは、日々の管理業務だけでなく定期メンテナンスや太陽光パネルをはじめとした各種機器の修理交換にも対応してくれるのが特長です。
太陽光パネルやパワーコンディショナ、配線類、接続箱など各機器や部品は、メンテナンスフリーではありません。例えば太陽光パネルは、長期的な稼働によって少しずつ変換効率が低下します。またパネルの一部が影で覆われてしまうと、ホットスポット現象による発熱および発電量の低下につながります。
O&Mサービスの定期メンテナンスパックは、太陽光パネルをはじめとした各種機器の外観チェックから機械点検、電気点検まで含まれています。また点検結果はレポートにまとめてもらえるので、詳細な内容を確認することが可能です。
災害対策にも対応してくれる
O&Mサービスによっては、防災や災害発生後の復旧活動まで総合的にサポートしてくれます。
太陽光発電所の運用には、豪雨などによる浸水、地震による破損、台風や暴風によるパネルの飛散といったリスクが伴います。災害対策に関しても、専門知識を持ったO&Mサービスへ依頼すれば、どのような災害リスクがあるのか分析してもらえるだけでなく、固定部品の締め付けチェックや漏電の確認など、さまざまな観点から対策を進めてもらえます。
また、復旧作業に対応しているO&Mサービスであれば、災害発生後に破損した太陽光発電所の撤去作業から新品の部品や機器の調達、設置サービスまでサポートしてくれます。
太陽光発電が隣地所有者から反対されないようプロに管理を依頼しよう
太陽光発電事業を運用するのに際し、隣地所有者や近隣住民から反対される可能性もあります。少しでもリスクを抑えるためには、周辺に農地や住宅地の少ない土地を選択したり、第三者に被害を与えないよう設備点検や敷地の適切な管理を継続したりするのが大切です。
太陽光発電事業を始める予定で運用管理サービスを探している方や実績豊富な太陽光発電事業のO&Mサービスへ切り替えたい方は、今回の記事を参考にしながらとくとくサービスを検討してみてはいかがでしょうか。
とくとくサービスは、太陽光発電所専門のO&Mサービスとして定期メンテナンスをはじめ、太陽光パネルの防汚コーティング、除草・防草作業、緊急時の駆けつけ対応まで行なっています。
また、防災対策の他に災害発生後の設備復旧、近隣の草刈りクレームにも対応しているので、少しでも気になった方はお電話やWebフォームから、ぜひお気軽にご相談ください。