脱炭素社会を目指し、蓄電池の共同購入事業を進めている自治体があります。共同購入事業は、特に蓄電池の導入費用で悩む方にメリットの多い支援制度です。しかし、どのような流れで申し込むのか、2023年度に実施されるのかわからないという方も多いかと思います。
そこで今回は、蓄電池の共同購入事業に関する特徴やメリット、注意点、2023年度の実施状況について詳しくご紹介します。蓄電池の導入を検討しているものの、費用負担に悩んでいる方や、家庭用蓄電池の支援制度を調べている方などは参考にしてみてください。
目次
蓄電池の共同購入事業とは何?
共同購入とは、複数の人で特定の商品を購入することです。多くの人が集まり同じ商品を数多く購入するため、価格を低く抑えられる仕組みです。
とくに蓄電池など高額製品の場合には、購入コストを削減できるメリットがあります。
また、温暖化対策に向けて蓄電池を普及させたい自治体などは、共同購入事業を行うことで拡大を促すことが可能になります。
蓄電池共同購入事業のメリット
環境問題への対策や高騰が続く電気料金削減、災害時の非常用電源として、太陽光発電や蓄電池の導入を検討している人が増加しています。導入にあたっての問題は、初期費用が高額なことです。
蓄電池共同購入事業を活用して蓄電池を購入すると、どのようなメリットがあるのかを詳しく紹介します。
安い価格で購入できる
蓄電池共同購入事業のいちばんのメリットは、個人で蓄電池を購入する場合と比べて、安い価格で購入できることです。
蓄電池の価格は普及が拡大する中で低くなってきていますが、いまだに高額な商品であることは間違いありません。
自治体が行う共同購入事業を活用することで、多くの市民がコストを抑えて蓄電池を導入できます。
自治体によっては太陽光発電とセットで導入可能
共同購入事業を行っている自治体によっては、「太陽光パネルのみ」「蓄電池のみ」「太陽光パネルと蓄電池のセット」など、購入プランが複数設けられている場合もあります。
日本が目標としている2050年のカーボンニュートラルを目指すためにも、再生可能エネルギーである太陽光発電の普及拡大とあわせて、より良く太陽光発電を活用できる蓄電池のセットでの導入が求められています。
しかし太陽光発電も蓄電池も高額であることから、同時に購入するには多額の費用が必要です。
自治体が行う太陽光発電と蓄電池のセットで導入が可能な共同購入事業は、購入を検討している市民にとってはメリットとなります。
事前に施工費用を確認できる
共同購入事業は、太陽光パネルや蓄電池の導入費用だけではなく、設備の施工費も含まれており、事前に金額を確認できます。
共同購入事業に参加登録していても、実際に購入するかどうかは最終見積りの確認後に判断しても問題ありません。
最終見積り金額は、事前に自宅の屋根など、設備の設置場所の確認を行った上で提示されるため、実際にかかる導入コストを知ることができるのもメリットとなっています。
施工保証までサポート
共同購入事業では、参加登録や設備の購入、設備の施工までトータルでサポートを受けることができます。自治体が行っている事業であるため、販売や施工を行う業者も一定の基準をクリアしている点も、安心して利用できるポイントです。
さらに、施工保証までサポートを受けられることも、共同購入事業を活用するメリットといえるでしょう。
蓄電池共同購入事業のデメリット
蓄電池共同購入事業を活用し、蓄電池や太陽光発電を導入することにはメリットが多くありますが、デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのか、具体的に解説します。
購入タイミングを自由に選択できない
個人で蓄電池などの設備を購入する場合には、自分にとって最適な時期に導入できます。
しかし共同購入の場合には、購入を検討している市民を数多く集めることが前提となっているため、導入する時期を独自の判断で行うことができず、購入タイミングを自由に選択できません。
自分にとって最適な時期に設備を導入したいと思っている人には、自由に選択できないことはデメリットとなるでしょう。
メーカーを自由に選択できない
共同購入事業のメリットは、多くの人が同じ商品を数多く購入することによるコストダウンです。
蓄電池には数多くのメーカーや製品がありますが、みんなで揃って同じ商品を購入する必要があります。
そのため、個人の希望でメーカーなどを選択することができません。
自宅の状況に合わせてメーカーや製品を比較して検討したい人や、独自にオプションなどを選択したい人にとってはデメリットとなります。
蓄電池の共同購入事業に関する事例
実際に行われてきた蓄電池の共同購入事業に関する事例について、具体的な内容や自治体を紹介します。
東京都
東京都では「太陽光発電及び蓄電池グループ購入促進事業」という共同購入事業を進めています。
目的は、2030年のカーボンハーフ達成および再生可能エネルギーの導入促進で、新築や既築住宅向けに太陽光発電や蓄電池の共同購入が展開されています。
公募対象者(実施事業者)は、同事業の運営を東京都と共同で実施できる法人です。都民は、公募事業者から太陽光発電や蓄電池の購入希望に関する申込手続きを行い、価格などを確認しながら施工を進めてもらいます。
今年度は2023年1月に公募対象者が選定されていて、購入受付については2023年4月以降の予定です。東京都に住んでいて蓄電池の購入を検討している方は、新規受付に関する情報を自治体HPなどから確認しておくことをおすすめします。
参考「太陽光発電及び蓄電池グループ購入促進事業 事業実施者の公募についてからの引用」
神奈川県
全国初の取り組みとして、神奈川県では令和元年度から太陽光発電の共同購入事業を実施しています。また令和3年からは、蓄電池についての共同購入事業も追加しています。
共同購入事業の対象者は、県民や県内で事業を営む法人で、公募期間中に申し込み手続きを行うと、通常より安く購入および施工ができます。また対象のプランは、太陽光発電や蓄電池単体、太陽光発電と蓄電池のセットの3種類があります。
共同購入事業で設置可能な太陽光発電は、出力10kW未満の住宅用です。過去のプランでは、太陽光発電単体の購入で一般的な費用より26%も安く提供されました。また、太陽光発電と蓄電池のセット、蓄電池単体では21%程度安く購入できました。
2023年3月時点で、新規購入受付はありません。神奈川県に住む個人や法人の方は、定期的に自治体HPを確認しましょう。
大阪府
大阪府は大阪市と共同で「おおさかスマートエネルギーセンター」を設置し、再生可能エネルギーの普及拡大や省エネルギーの推進に向けて、さまざまな事業を実施しています。
同プロジェクトの共同購入支援事業では、太陽光発電単体のほか、蓄電池単体、太陽光発電と蓄電池のセットを安く購入できます。大阪府全域の住人が対象で、共同購入事業の中でも特に対象地域の広いプロジェクトといえます。
過去の支援事業では、4.5kWの太陽光発電を24.7%、6.5kWhの蓄電池を33.0%オフで設置できたケースがありました。
なお2023年3月時点では、新たな購入受付は行われていません。大阪府にお住まいの方は、定期的に大阪府や大阪市の自治体HPを確認してみましょう。
宮城県仙台市
仙台市は住宅のエネルギー地産地消推進という目標を掲げていて、太陽光発電設備や蓄電池の共同購入事業を続けています。
他の共同購入事業と同じく、太陽光発電単体、太陽光発電と蓄電池、蓄電池単体の導入費用を抑えられるのが強みです。過去の割引率例は、蓄電容量6.5kWhの蓄電池単体で17.6%、太陽光発電と蓄電池のセットで20.4%。太陽光発電単体で23.6%でした。
また共同購入事業で購入可能な家庭用蓄電池には、単機能型だけでなくハイブリッド型も含まれています。ハイブリッド型のパワーコンディショナで効率よく自家消費したい方には、メリットがあります。
購入受付については、2023年4月以降に予定されています。仙台市に住んでいる方で太陽光発電や蓄電池の購入を検討している方は、新規受付に関する情報を自治体HPなどから確認しておきましょう。
参考「太陽光発電設備等共同購入事業(令和5年度施工事業者の募集をしています)」
蓄電池を比較検討したい時は量販店がおすすめ!
蓄電池にはさまざまなメーカーや機器の種類があります。導入には高額な費用がかかることから、希望の条件にあった適切な設備を比較検討したいと考えている場合には、量販店がおすすめです。
さまざまな蓄電池を選択できる
量販店では多くのメーカーの製品を扱っていることから、それぞれの特徴やメリット・デメリットを公平に聞くことができます。
また、実績の多い販売店であれば、専門の担当者にメーカーや機器のタイプ、容量など自宅にあった最適な製品についても直接相談ができるので、比較検討する上でも参考になるでしょう。
大量仕入れされている場合は価格が抑えられている
共同購入事業と同じように、量販店では同一の製品を数多く仕入れることもあるため、そのような場合では値下げ交渉も可能です。
とくに大型量販店は、店同士の価格競争などもあることから、製品の購入価格が抑えられている傾向があります。
そのため、施工会社やハウスメーカーなどよりも安い価格で購入できるかもしれません。
実績豊富な施工販売店は施工の質も高い
蓄電池や太陽光の導入には、専門的な知識が必要不可欠です。それが担当者に十分に備わっていない場合には、適切な製品の選択や設置ができないばかりでなく、使用を開始した後にトラブルが起こる可能性もあります。
実績が豊富な施工販売店であれば、多くのメーカーや製品にも精通しており、さらに販売から施工までを一貫して手掛けているため、製品選びや設備の設置、設置後のアフターケアまでトータルで任せることができます。
蓄電池共同購入事業は費用を抑えたい時に役立つ!
多くの自治体が行っている蓄電池共同購入事業では、太陽光発電や蓄電池の購入希望者を広く集め、一括して製品を購入することで安い価格で導入することができます。
太陽光発電や蓄電池の導入には初期費用が多くかかるため、この事業を上手に活用すれば、出費を抑えることができるでしょう。
しかし蓄電池共同購入事業では、導入時期を選択できない、太陽光発電や蓄電池のメーカーや製品を自由に選ぶことができないといったデメリットもあります。
高騰する電気料金の削減や自然災害時などの非常用電源として太陽光発電や蓄電池の導入を検討している方で、自宅の状況に合った適切なメーカーや製品を比較し、検討したいと思っている場合には、施工販売店の方がおすすめです。
とくとくショップでは、いろいろなメーカーの蓄電池を取り扱っていますので、お客様の条件に最適な蓄電池の提案を行うことができます。太陽光発電や蓄電池の導入を検討されている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。