お役立ちコラム

家を新築する時に太陽光発電を設置するか迷う…そんな方への処方箋

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これから家を新築しようとしている方のなかには、「太陽光発電を設置するべきか?」という部分で悩んでいる方が多いのではないでしょうか。特にこの記事をお読みになっている方のほとんどが「設置するかどうか迷う」とお感じではないかと思います。

メリットがとても多いことは分かっていても、導入費用は決して安くはありません。もし無理に設置して損をするようなこと、後悔するようなことがあっては、せっかく家を新築しても喜べません。

そこで当記事では新築時の太陽光発電設置についてどうしようか迷っている皆さんに向けて、判断材料としていただきたい情報を網羅したいと思います。

新築時に太陽光発電を導入するか迷う方のありがちな疑問、不安

新築時の太陽光発電設置について、人はなぜ迷うのでしょうか。ありがちなお悩みや迷いについて列挙してみました。おそらくほとんどの方が、これらのひとつ、もしくはいくつかに該当するのではないかと思います。

まずは、今の迷いを「見える化」していきましょう。

導入費用が高くて元が取れない?

太陽光発電の導入コストは、決して安いものではありません。少なくとも数百万円単位の出費になります。家を新築時にはただでさえお金がかかるのに、さらに太陽光発電の導入費用が上乗せされることになります。

それだけお金をかけて設置したものの、思っていた通りの売電収入にならず元が取れないのではないかと考えると、迷ってしまうのは無理もありません。

これはおそらく、新築時に限らず太陽光発電の導入を検討するも迷っている方のほぼすべてに該当するのではないでしょうか。

本当にシミュレーション通りになる?

太陽光発電を設置する際には、施工店・販売店による発電量や売電収入のシミュレーション提案があります。設置を検討している地域の日照量や設置する屋根の角度、向きなどから精密なシミュレーションが提示されるはずです。

能力の高い施工店ほどシミュレーションの精度は高いのですが、どれだけ精度が高くても未来のことを100%言い当てられる人はいません。果たしてシミュレーション通りになるのか?シミュレーションの通りになれば元も取れるし、元を取ったあとはすべて利益になるが…本当にそうなる?と疑問を抱いてしまうのは、決して珍しいことではありません。

近隣トラブルの原因にならない?

太陽光パネルは発電時に特に音を発することはなく、騒音問題が起きる可能性はほぼ皆無です。しかし、太陽光パネルの設置場所や角度によっては反射した光が「光害」になってしまい、近隣トラブルになる事例があります。

環境問題やエネルギー問題への意識の高さゆえに太陽光発電を導入する人は多いですが、地球環境どころか近隣の環境を悪化させてしまっては元も子もありません。太陽光発電のことを勉強している人ほど、この「光害」への懸念を持っている人が多いように見受けられます。

家庭用の太陽光発電では極めてまれなトラブルといってもよいと思いますが、それでもゼロではないところが迷いのもとになります。

家の外観が悪くならない?

太陽光発電を取り付けると、屋根に大きな太陽光パネルが「丸見え」の状態になります。これが外観を損ねると感じる人がいるので、太陽光発電の導入時には発電量のシミュレーションだけでなく外観のシミュレーションを気にする人も少なくありません。

しかしこの問題については、新築であれば解決できます。なぜなら、新築住宅で太陽光発電を取り付ける場合は、最初から太陽光パネルを取り付けることを前提に屋根も設計されているため、「取って付けた」ような感じにはなりません。むしろ家のデザインに溶け込むように太陽光パネルを設置できるように設計されているので、新築時に限っていえば起きにくい問題といえます。

後から設置しても遅くないのでは?

太陽光発電システムは、家の新築時だけでなく建てた後からでも取り付けることができます。これを、太陽光発電の後付けといいます。新築時には迷いを解決できないので、そうであれば家を建てた後に改めて検討するということで結論を先送りするわけです。

もちろん迷ったうえでの結論なので否定はしませんが、太陽光発電の後付けは太陽光パネルを取り付けることを前提としていない住宅に後から取り付けることになるため、「取って付けた」感が出てしまうことは否めません。また、太陽光パネルには重量があるので、屋根の構造によっては取り付けることができる太陽光パネルの数が限られてしまうこともあるでしょう。

やはり、新築時に検討をしているのであれば、その時に取り付けるか、もしくは新築時に取り付けないのであればそのまま取り付けないという選択をしたほうが合理的です。

施工した後のアフターサービスちゃんとやってくれる?

施工店・販売店は検討時こそ丁寧に対応してくれているが、いざお金を支払ったあとは手のひらを返したようになってしまうのでは?というのは、多くの人が持っている懸念のひとつです。

実際にそのような対応をしてきた業者も存在していますし、販売後にその業者自体が倒産してしまって音信不通になったという事例もあります。こうした事例が、新築時に太陽光発電を取り付けてよいものかという迷いの元になっています。

これについては実績や技術力が十分な業者に依頼するしかリスクを回避する方法はないので、業者選びがとても重要になります。

迷っている方に知ってもらいたい太陽光発電のメリット3つ

現段階で新築の家に太陽光発電を取り付けるか迷って結論を出せないという方に、知っていただきたい3つのメリットを解説します。「地球環境の優しい」といった地球レベルのメリットもありますが、ここでは敢えて導入した人が直接得られるメリットに絞りました。

電気代高騰に強い

電気代の高騰が続いていることは、おそらくほぼすべての方が認識されていることでしょう。肌感覚で電気代が高くなっていることを認識しているものの、どれくらい高くなっているのかイマイチ分からないという方は、こちらのグラフをご覧ください。

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引用元:「1年半で約3,000円の値上がり!?電気代はなぜ上がっている?」(日本生命)

生命保険大手の日本生命が連載しているコラムで紹介された、各電力会社の電気料金推移グラフです。

もう、説明の必要はないでしょう。原子力発電所が稼働している西日本の電力会社は比較的緩やかですが、それ以外の電力会社では想像を超えるスピードで電気料金が上昇しています。ロシアによるウクライナへの侵略戦争によるエネルギー需給のひっ迫やインフレの進行など、理由はたくさんありますが、いずれも構造的なものです。つまり、今すぐ解決することは期待できないということです。

電気代の高騰に対抗するには、節電か電力の自給自足が効果的です。節電ももちろん有意義なことですが、今の生活を変えることなく電気代を抑制するには、電力を自給自足するのが一番です。太陽光発電は初期の導入費用こそかかりますが、以後はほぼ無料で電力が手に入ります。電気代が高くなればなるほど、自家発電の威力は増大します。

これは今後に向けて太陽光発電を導入する、最大のメリットです。

災害で停電しても電気を使用できる

日本は世界有数の地震大国です。それに加えて台風の襲来リスクもあるため、自然災害への備えが欠かせません。災害時に最も不便かつ危険なのが、停電です。電気が使えなくなることは、場合によっては人命にも関わるのが現代社会です。それだけでなく、スマホの充電ができないことで情報収集にも悪影響が及んだりと、この時代に電気を使えないことは重大なリスクです。

太陽光発電には、自立運転モードがあります。その場で発電された電力をその場で使うことができる機能のことです。この自立運転モードは東日本大震災の被災地でも大活躍をしました。電気があることで最低限の日常生活を維持し、また近隣の人たちにスマホ充電の電源を提供する人もいたので、こうした人たちは口々に「太陽光発電に救われた」と語っています。

これからも自然災害が発生し、停電になってしまうリスクは十分あります。そのリスクに備える意味で、太陽光発電は有効です。非常時に役立つこともメリットですが、平時にも「何かあった時でも最低限の電気は使える」と思えることが大きな安心感になります。

家の断熱性が向上して空調の効率が高くなる

近年の住宅は断熱性が高く、空調の効きがよくなっていると言われています。しかし、気候の変化はそれを上回っており、夏場の酷暑や冬場の極寒はいずれも人命にかかわるレベルです。

太陽光パネルは太陽光を吸収し、余分な光は表面のガラスが反射します。そのため太陽光パネルを取り付けていない屋根よりも断熱性が向上します。特に夏場の酷暑を引き起こす太陽光をうまく吸収してくれるため、冷房の効率が高くなります。冷房の電力消費量が多いことはご存じかと思いますが、それを発電で補いつつ空調の効率緒を高めてくれるので、ダブルの効果で電気代の節約効果が発揮されます。

太陽光発電のデメリット、注意点

次に、太陽光発電のデメリットについても解説します。これらのデメリットは太陽光発電の構造的な問題ですが、いずれも解決できるノウハウが確立しています。

気象条件によって発電量が左右される

太陽光発電は、太陽光パネルのなかにあるモジュールに太陽光が当たることによって光のエネルギーが電気エネルギーに変換されます。そのため、モジュールに光が当たらないと発電をしません。太陽光発電が夜間や悪天候の日に稼働しないのは、そのためです。

このことは太陽光発電の構造上の弱点ですが、近年では太陽光発電とセットで蓄電池を導入するモデルが一般的になっており、好天時に蓄えられた電力を夜間や悪天候時に使用することで電力の自給自足がより完璧に近くなります。

このモデルは自家消費モデルといわれており、余剰電力を売らずに蓄電池に貯めて使用したほうが売電収入よりも高騰している電気代の削減になることが期待されています。

実はメンテナンスフリーではない

太陽光発電は特にモーターなどが動いているわけではないので、静かに黙々と発電をします。そのため機器類のメンテナンスが不要であるかのように思われがちですが、実際はそうではありません。

特に注意したいのが、太陽光パネル表面の汚れです。鳥の糞や落ち葉などが付着していると発電能力が低下してしまうので、定期的な清掃や異物の除去をしておくことをおすすめします。また、パワーコンディショナーなどの関連機器には寿命があるので、寿命が来たら新しいものに交換して発電能力を保つようにしましょう。

太陽光発電のこうしたメンテナンスはO&Mサービスと呼ばれ、少しのお金を負担することで丸投げが可能です。太陽光発電の能力を最大化するためにも、利用を検討したいサービスです。

元を取るまでに時間がかかる

太陽光発電は大きな利益を生むものではなく、売電収入をコツコツと積み重ねて10年前後で元を取るのが一般的なモデルです。多額の投資をしたことで早期の回収を願いたいたくなるのは人情ですが、すぐに元が取れるものではないことを留意しておいてください。

ただし、近年の電気代高騰を受けて自家消費モデルで運用すると実質的な投資回収の時期がどんどん早まっています。電気代の高騰が続くことを前提にすると、予想以上に早く元が取れると感じるでしょう。

新築住宅に太陽光発電が義務化される件について

東京都が新築する建物に対して太陽光発電の設置を義務付ける決定をした、というニュースが報道されました。新築の家に太陽光発電を検討している方の多くは、このニュースに関心をお持ちではないかと思います。

この「義務化」とはどんな制度なのか、この流れが今後全国に波及するのかについて解説します。

東京都の新築建物への太陽光発電設置義務化条例

一大電力消費地としての責任を果たすとの目的から、東京都では2025年4月から新築の建物に太陽光発電設置を義務付ける条例がスタートします。賛否を巻き起こした条例ですが、すでに可決しているので、導入が確定しています。

ただし、既存の住宅に太陽光発電の設置を義務付けるものではありませんし、北向きの建物など太陽光発電の効果があまり期待できない建物については義務化の対象外です。

もちろん、義務化するだけで東京都が何もしてくれないわけではありません。対象の建物には補助金が用意されているので、東京都に家を新築する予定のある方で太陽光発電の設置を検討している方にとっては、メリットのほうが大きいと思います。

東京都以外にも同様の動き

新築建物の太陽光発電義務化については東京都ばかりが注目されていますが、同様の動きは他の自治体にも見られます。

京都府では東京都よりも早く太陽光発電設置義務化の方針を打ち出しており、2020年4月からすでに義務化が始まっています。2021年には条例が改正されて対象となる建物の条件を拡大しており、それと同時に無料で太陽光発電を導入できるスキームが用意されています。

神奈川県川崎市でも同様の条例制定が進められており、おそらく東京都に近い内容の制度になるのではないかといわれています。

今後、義務化の流れが起きる可能性が高い

東京都、京都府、そして川崎市。まだ新築建物への太陽光発電設置を義務付けている自治体は少数ですが、この動きが今後他の自治体に波及する可能性は大いにあります。特に大都市圏の自治体では早期に制度が整備される可能性があるので、家の新築が今すぐではない方は、こうした制度が始まることを受けて補助金などをオトクに活用するのもひとつの考え方です。

まとめ

「新築する家に太陽光発電を設置するか迷う」という方に向けて、その迷いの原因を「見える化」した上で、導入するメリットとデメリットについて解説しました。最終的にはご自身で判断されることですが、現在の社会情勢や今後に向けた動きを考慮すると、やはり導入したほうがメリットが大きいと結論づけたいと思います。

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