太陽光発電の遠隔監視システムとは?機能や種類、価格について解説

太陽光発電の遠隔監視システムとは?機能や種類、価格について解説

メガソーラーを含め太陽光発電を運用していくには、遠隔監視システムを活用した監視が必要です。しかし、どのような機能があるのか、何を選べばいいのかわからず購入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、太陽光発電の遠隔監視システムに関する特徴と種類、選び方について詳しく解説します。遠隔監視システムについて知らない方や太陽光発電の導入を決めた方などは、参考にしてみてください。

太陽光発電の遠隔監視システムとは?

太陽光発電における遠隔監視システムとは、発電量や太陽光発電所の設備状況を常時監視して、異常発生時に通知してくれるサポートシステムのことです。

さまざまなメーカーが遠隔監視システムを販売しており、後付けによる設置・運用も可能です。

一般的には、インターネット通信で太陽光発電所と遠隔監視システム、管理者のパソコンを接続します。太陽光パネルやパワーコンディショナの稼働状況を遠隔監視システムで24時間常に測定し、何か異常が発生すればメールにて管理者のパソコンへ通知してもらえる仕組みです。

管理者自ら太陽光発電所へ赴かなくとも早期に設備異常を確認できるのが、遠隔監視システムの大きな導入メリットといえます。

遠隔監視システムが必要とされる背景

太陽光発電事業は、基本的に10年や20年といった長期間の運用が前提です。

しかし、太陽光発電所の運用中にはさまざまなリスクが生じるため、遠隔監視システムで早期に異常を検知しなければ、発電量低下や発電停止、漏電や火災といった大きな損失を招いてしまう可能性があります。

太陽光発電所に関する主なリスクは、以下のとおりです。

  • 野生動物にケーブルをかじられて漏電、発電量低下
  • 飛来物で太陽光パネルが破損し発電停止や発電量低下
  • 鳥のフンなどで太陽光パネルが汚れてしまい発電量低下
  • 発電所周辺の木々が成長もしくは折れて、パネルの影になる
  • パワーコンディショナやケーブル、パネルなどの盗難、破壊・破損

特に遠隔地で太陽光発電所を設置する場合は人の目が届きにくくなるため、上記のようなトラブルに気付きにくいと言えます。遠隔監視システムは、リスク対策、収益低下軽減といった点で欠かせないシステムのひとつです。

遠隔監視システムは主に2種類

続いては、遠隔監視システムの計測方法についてわかりやすく解説します。

CTセンサーを用いた計測

遠隔監視システムには、CTセンサーを用いたタイプがあります。

簡単に説明すると交流電流を測定できるのが、大きな特徴です。

設置の際は配線ケーブルに遠隔監視システムを接続し、パワーコンディショナから電力系統へ送電する際の電流値を常時測定します。電流値の異常(発電量の異常)が発生した場合は、インターネット経由で通知してくれます。

電流値の異常のみを検知する方式なので、システムの異常検知のみで原因を特定できません。そのため、異常発生後に現地へ赴いて、原因の調査を行なう必要があります。

ただし次に紹介する方式より安価で、後付け対応が可能であり、さらにメーカー問わず設置できるため、予算や設置しやすさ重視の事業者にとって導入しやすい遠隔監視システムです。

パワコンとの通信によって計測

近年、主流とされている遠隔監視システムは、パワーコンディショナとの通信によるデータ分析を進められるタイプです。

大きな特徴は、発電量の増減や異常だけでなく、パワーコンディショナの稼働状況、そのほか細かな情報も取得できるという点です。そのため、CTセンサー式よりもデータ分析しやすく、原因の把握をスピーディに行なえます。

しかし、同方式の遠隔監視システムに対応しているパワーコンディショナは限られるため、あらかじめ設置可能か専門業者に調べてもらう必要があります。また、パワーコンディショナが故障した場合は、データ取得もストップしてしまう点に注意しましょう。

遠隔監視システムの価格は?

遠隔監視システムの各メーカーでは、オープン価格のみしか公開していない状況です。(オープン価格:小売業者が自由に設定する価格)

そのため、平均的な価格は、実際に見積もりを行なった上で比較する必要があります。また見積りを検討する際は、相見積もりを取って比較するのがおすすめです。

相見積もりは、2社以上の業者に同時に見積り作成を依頼し、まとめて比較を行なう検討方法です。平均的な価格を割り出せますし、丁寧に見積りを作成しているメーカーを見つけられるのが、相見積もりの主なメリットと言えます。

太陽光発電の遠隔監視システムを選ぶポイント8つ

遠隔監視システムにはさまざまな種類が存在するので、性能面や操作性といった点を比較した上で自社に合ったタイプを選びましょう。

それでは、遠隔監視システムを選ぶ際に押さえておくべきポイントを8つ紹介します。

測定誤差が小さいかどうか確認

機能面を比較する際は、まず測定誤差の小さい遠隔監視システムから選びましょう。

遠隔監視システムに搭載されている発電量の測定機能には、誤差が生じます。例えば、実際の発電量は100kWhでも、遠隔監視システム側では99kWhといった数値で測定されてしまう状態を測定誤差と呼びます。

特に初期型では、数10%の大きな測定誤差が発生するケースもありました。

一般的には2%前後の測定誤差なら、太陽光発電の運用およびデータ分析において支障をきたさない範囲と言えます。

操作性がいいシステムを選ぶ

操作性のいい遠隔監視システムから選ぶのが、作業効率をアップさせる上でも重要なポイントです。

遠隔監視システムの画面が複雑な構成では、発電量を確認するだけでも一苦労です。また、エラーの通知があった際に確認できず、早期対応の難しい状況へ陥ってしまう可能性もあります。

そのため遠隔監視システムを選ぶ際は、各メーカーサイトからデモ画面や仕様を確認したり、見積りの際に管理画面の仕様について質問したりしてみるのが大切です。

なるべくスマートフォンに対応しているタイプを検討

なるべくスマートフォンに対応している遠隔監視システムを候補に入れるのが、おすすめです。

スマートフォン対応の遠隔監視システムを導入すれば、社外にいてもすぐにエラーやその他通知を確認できるだけでなく、スマートフォン対応の管理画面なら見やすく操作しやすいと言えます。

また、メーカーではスマートフォンアプリ対応の遠隔監視システムを提供しているので、プッシュ通知から設備状況を確認したり、アプリから簡単に各種操作を進めたりすることが可能です。

測定データの保存期間が長いタイプから検討すべき

遠隔監視システムを選ぶ際は、測定データの保存期間についても注目しましょう。

発電量やその他詳細なデータは、測定後にさまざまな形式で保存されます。また、保存されたデータはダウンロードできるので、自社で保管することが可能です。

過去のデータを分析すれば、発電効率が低下しているか・トラブルの発生率が上昇しているかどうか把握でき、太陽光発電所の修理交換に適したタイミングを図れます。

ただし、遠隔監視システム内でのデータ保存期間は製品によって異なります。中には、一定期間経過すると消去されてしまう場合があるため、定期的にダウンロードしなければデータを長期間保管できない点に注意しましょう。

測定データの消去リスクを避けるには、なるべく保存期間の長い遠隔監視システムから選ぶ必要があります。

異常発生時の通知基準におかしい部分がないか確認

遠隔監視システムのエラー通知に関する基準は、メーカー・製品によって異なります。比較検討する際は、通知基準におかしい部分がないか・実用的かどうか確認した上で判断しましょう。

例えば、発電量の急激な低下・パワーコンディショナの稼働停止といった場合にエラーを検知しない遠隔監視システムは実用的ではないため、避けた方がいいと言えます。

レスポンス速度の速いシステムを選ぶ

レスポンス速度の早い遠隔監視システムを選ぶのが、業務効率をアップさせるポイントのひとつです。

遠隔監視システム内の管理画面をスムーズに操作できるかどうかは、レスポンス速度が関わってきます。レスポンス速度とは、サーバの応答速度やページの読み込みに関する速度を指します。

レスポンス速度の早い遠隔監視システムなら、管理画面内のページを瞬時に切り替えられまるほか、データのダウンロードもスムーズに進められます。

実績や評判の多いシステムから検討

遠隔監視システムの実用性を調べる時は、カタログスペックだけでなく実績や評判を確認してみるのがおすすめです。

多数の利用者がいる遠隔監視システムであれば、サービス終了リスクが低い可能性があります。また、口コミや評判なども見つけやすく、カタログスペックでは判断できない要素を確認することが可能です。

ただし、口コミや評判は主観的な内容が多いので、鵜呑みにせずに参考程度にとらえるようにしましょう。

4G回線対応か確認

遠隔監視システムの通信方式が、4G回線に対応しているかどうか確認しておきましょう。

太陽光発電の遠隔監視システムは、3G回線のみに対応しているケースもあります。3G回線(3rd Generation)は通信規格の名称で、大手キャリア3社から提供されています。しかし通信会社は、4Gや5G回線の普及に伴い3G回線のサービスを終了させる方向で動いていて、2022年3月にauが3G回線のサービスを終了しました。

ソフトバンクやNTT docomoも2024年、2026年に3G回線のサービスを終了させる予定なので、4G回線対応の遠隔監視システムを導入する必要があります。

以下記事では、遠隔監視システムの回線切り替えに関する内容を詳しく解説しているので、こちらも参考にしてみてください。

太陽光発電には遠隔監視システムに加えて遠隔監視サービスの活用も必要

太陽光発電の円滑な運用を目指すなら、遠隔監視システムの導入だけでなくO&Mサービスの遠隔監視サービスの活用も検討してみるのが大切です。

ここでは、O&Mサービスおよび遠隔監視サービスの特長について解説します。

24時間太陽光発電所を管理してもらえる

O&Mサービスの遠隔監視サービスでは、24時間365日遠隔で太陽光発電所の設備状態や発電量、設備周辺の状態を監視・管理してくれます。太陽光発電のO&Mサービスとは、保守点検や運用管理全般をサポートしてもらえる専門サービスのことです。

遠隔監視システムの役割は、あくまで発電量の測定や設備状態の電気的な異常の検知です。サービスによっては、異常発生時の駆けつけサービスも提供されているケースがあるものの、あくまで自社の作業員・管理者で管理画面から発電量などを確認します。

一方、O&Mサービスの遠隔監視サービスは、遠隔で専門スタッフによる発電量をはじめとした各種設備機器の監視を行ってもらえるのが特長です。さらに、遠隔監視システムのIDを共有すれば、同システムの管理業務にも対応してもらえます。

トラブル発生時の駆けつけサービスを受けられる

O&Mサービスの強みといえば、トラブル発生時の駆けつけサービスです。

発電量が急に低下したりエラーを検知したりした場合は、専門スタッフが駆けつけて設備の点検や修理などを行なってくれます。また、第三者による破損や盗難による被害の発生時にも駆けつけてくれるので、都度太陽光発電の専門業者を選定する手間を省略することができます。

劣化や事故、災害による復旧・修理にも対応

設備の経年劣化による破損、事故のほか、自然災害で被害を受けた場合は、破損した設備の撤去作業や復旧、修理交換まで一括サポートしてもらえます。

日本は台風や地震といった災害の多い国なので、いつ災害による被害を受けてもおかしくありません。また太陽光発電所は、耐風圧や耐荷重といった点で強化されているものの、それでも破損してしまう場合があります。

さらに、破損した太陽光パネルから漏電している可能性もあるので、近づけないようにロープを張るだけでもリスクのある状況です。

O&Mサービスは専門資格を取得したスタッフが在籍しているので、破損した設備の解体撤去から設備の復旧作業までフォローしてくれます。また、平時には、風災や火災、水害といった災害の対策や発電所周辺のチェックも進めてもらえるので、減災を目指す上でもメリットのあるサービスです。

太陽光発電の管理には遠隔監視システムとO&Mサービスが必須!

太陽光発電所の管理や異常の早期発見には、遠隔監視システムとO&Mサービスの導入が必要です。遠隔監視システムは、発電量の低下といった異常を検知し、パソコンやスマートフォンに通知してくれます。

またパワーコンディショナとの通信対応型なら、パワーコンディショナに関する異常検知までカバーされます。

太陽光発電所のリスクを少しでも軽減させたい方やメガソーラーの管理に手間がかかっている方などは、遠隔監視システムだけでなくO&Mサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

とくとくサービスでは、保守点検から修理交換、緊急時の駆けつけサービス、防災対策など多彩なサービスでお客様の太陽光発電所を管理します。また、リパワリングなど発電量を増やすために欠かせない改修工事にも対応しているので、老朽化などで悩んでいる方にもおすすめです。

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