太陽光発電システムの導入は、再生可能エネルギーへの移行を支えるとともに、個々のエネルギーコストを削減する大きなステップです。
しかしながら、太陽光発電設備を導入した後の10年間は、売電価格の変動、システムのメンテナンス、そして固定価格買取制度(FIT制度)の終了といった課題があります。
この記事では、それらの課題に対処するための効果的な対策と、太陽光発電システムの10年後の維持管理について解説します。
太陽光発電システムの寿命は?
太陽光発電システムは、そのコンポーネントにソーラーパネル、パワーコンディショナー、架台などが含まれます。その公式な耐用年数は17年と定められていますが、これは法定耐用年数であり、税法の会計基準を示すものに過ぎません。
法定耐用年数=「設備・機器の寿命」と思われる誤解がとても多いです。17年で太陽光発電システムの寿命がくるということではありませんので、その点は勘違いしないでくださいね。
実際には、20年以上、現役で稼働することも普通にあります。逆に10年や15年で寿命を迎えてしまうケースも珍しくありません。太陽光発電システムの持続性は、その運用とメンテナンスに大いに依存します。10年後のメンテナンスが太陽光発電システムの寿命を大きく左右する要素と言えます。
太陽光発電にメンテナンスが欠かせない理由とかかる費用
太陽光発電システムは、一度設置したらそれで終わりというものではありません。継続的なパフォーマンスを保つためには、定期的なメンテナンスが不可欠。
設置から10年や15年で寿命を迎える太陽光発電システムの大部分は、適切なメンテナンスを怠っているためです。メンテナンスを行うことで、システムの寿命を延ばし、最高の性能を維持することが可能になります。
一般的な住宅向けの太陽光発電システムのメンテナンス費用は、定期的な検査に約2万円、ソーラーパネルの清掃を含む総合的なメンテナンスには5〜10万円程度がかかると考えられます。
さらに、定期検査の結果からパワーコンディショナーやソーラーパネルの修理・交換が必要となった場合、これには数十万円単位の費用が発生する可能性もあります。
このため、適切な予算計画と一緒にメンテナンスの重要性を理解することが、長期的に見てコスト効率の良いシステムを保つために重要となります。
10年間で見る太陽光発電のメンテナンスの頻度とタイミング
家庭用太陽光発電システムを設置するとき、メンテナンスは法律により必須とされています。しかし、「何年ごとに定期点検を行うべきか」といった具体的な頻度はルール化されていません。
このため、それぞれの設置者が必要と判断したタイミングで定期点検、修理、交換を実施することが求められます。
一般的に、最低限の点検を行うべきタイミングとしては、システム設置後の1年目、メーカー保証期限が迫る9年目が挙げられます。この2つのタイミングでは、特に太陽光発電システムの機能と性能を確認し、必要に応じてメンテナンスを行うことが重要です。
また、出力が50kW以上の太陽光発電システムの場合、4年に一度の定期点検が義務づけられています。このような規定を参考に、住宅用太陽光発電システムでも、可能であれば4年ごとに定期点検を行うと良いでしょう。
太陽光発電は火災保険の保証対象になる?
太陽光発電システムを設置した場合、ソーラーパネルも基本的に火災保険の補償対象となります。ただし、いくつかの注意点があります。
- 建物所有者とソーラーパネルの所有者が異なる場合
- 屋根一体型ではなく、架台型のソーラーパネルを設置する場合
- ソーラーパネルが経年劣化で損傷した場合
これらの場合、ソーラーパネルが火災保険の補償対象にならない可能性があります。そのため、太陽光発電システムを設置する際は、必ず保険会社に確認しておきましょう。
建物と家財のどちらが補償対象になるのか
火災保険の補償対象は建物と家財に分けられます。ソーラーパネルは、多くの場合、建物の部分と見なされます。そのため、建物所有者が太陽光発電システムを設置した場合、ソーラーパネルは建物として火災保険の補償対象となります。
ただし、賃貸物件への入居者がソーラーパネルを自費で設置する場合など、建物所有者とソーラーパネルの所有者が異なる場合や、屋根一体型ではなく架台型のソーラーパネルを設置する場合などでは家財と見なされることもあります。
建物と家財のどちらが補償対象になるのかは、現在契約中あるいは今後契約予定の保険会社へ確認しておきましょう。
太陽光発電を設置するときは、必ず火災保険に加入する
太陽光発電システムは、万が一の火災や災害に備えて火災保険に加入しておくことが大切です。
火災保険に加入することで、太陽光発電システムの損害を補償してもらえます。太陽光発電システムを設置する際には、必ず火災保険に加入しましょう。
卒FITになると太陽光発電の売電価格が下がる3つの理由
太陽光発電システムを設置する際には、固定価格買取制度(FIT制度)を利用することが一般的です。
FIT制度とは、一定期間にわたって電気料金よりも高い価格で電力を買い取る制度です。この制度により、太陽光発電システムを設置した住宅や事業者は、売電収入を得ることができます。
FIT制度の買取期間は10年間。10年が経過すると「FIT制度の買取が満了する」と言う意味で「卒FIT」となり、市場価格で電力を売電することになります。市場価格はFIT制度の買取価格よりも低いため、卒FITすると売電収入が減少します。
なぜ卒FITすると売電価格が下がってしまうのか、その理由はいくつかあります。
- 太陽光発電システムの設置費用が下がっている
- 太陽光発電システムの普及率が高まっている
- 電力自由化により、電力会社間の競争が激化している
太陽光発電システムの設置費用は、技術の進歩や生産量の増加により、年々下がっています。また、太陽光発電システムの普及率が高まっているため、市場に供給される電力量が増えています。
さらに、電力自由化により、電力会社間の競争が激化しているため、電力会社はより低価格で電力を販売しようとしています。
これらの要因により、卒FITすると売電価格が下がってしまうわけですね。
卒FIT後も、太陽光発電システムは電気代を節約できるため、設置を検討する価値はあります。しかし、売電収入を期待して太陽光発電システムを設置する場合には、卒FIT後の売電価格を十分に考慮する必要があります。
設置から10年後に自家消費への切り替えが選択肢となる理由
太陽光発電システムを設置した場合、10年間は固定価格で電力を売電することができます。しかし、10年が経過すると、「卒FIT」となり、市場価格で電力を売電することになります。市場価格はFIT価格よりも低いため、卒FITすると売電収入が減少します。
例えば、2013年度のFIT価格は、10kW未満で38円、10kW以上で36円であったのに対し、2023年度は、10kW未満で16円、10kW以上で10円にまで下落しています。2024年度にはさらに下がるとも言われています。
引用:日本経済産業省「太陽光発電設備の固定価格買取制度(FIT)における買取価格(2003年)」
日本経済産業省「太陽光発電設備の固定価格買取制度(FIT)における買取価格(2023年)」
そのため、卒FIT後は、自家消費に切り替えたほうが経済的メリットが大きいといえます。自家消費とは、太陽光発電システムで発電した電気を自宅で使用することです。自家消費に切り替えることで、電気料金を節約することができます。
また、電気代高騰の影響を受ける心配もありません。電気代は、近年、年々上昇しています。しかし、自家消費に切り替えることで、電気代を削減することにつながります。
太陽光発電システムを設置した方は、卒FIT後に自家消費に切り替えることを検討することをおすすめします。
太陽光発電設置から10年後にとるべき2つの対策
太陽光発電システムを導入してから10年が経過して卒FITを迎えた場合、自家消費への切り替えが有利に働くためにはどのような対策を取るべきでしょうか。以下に特におすすめの2つの対策を示します。
蓄電池を活用する
余剰エネルギーを売電するだけでなく、蓄電池に貯めておくことも、エネルギーの有効利用策の一つです。
太陽光発電システムのみの場合、発電したタイミングでのみエネルギーを使用でき、夜間や天候が悪い時などは電力会社から電力を購入する必要があります。
しかし蓄電池を導入すれば、日中に発電したエネルギーを一時的に保存し、夜間などの必要な時に使用できます。これにより自家消費率を高めることが可能になります。
適切な電力会社との新たな契約
自家消費をするにしても、すべての発電量を自家で消費できない場合があります。その余剰電力を買い取ってもらうには、適切な電力会社と新たに契約を結ぶことが重要です。
一般的な電力事業者との契約を続けることも可能ですが、各電力会社で買取価格は異なります。したがって、新たに他の電力会社と契約を結ぶことで、より利益を増やすことができるかもしれません。
電力会社との新契約は、新設備の導入や交換といった追加コストが発生しないため、容易に実施できる対策の一つです。
太陽光発電と蓄電池の併用はメリットがたくさん
太陽光発電システムと蓄電池を併用することで、以下のようなメリットがあります。
- 電気代を節約できる
- 停電時の備えになる
- 災害時の備えになる
- 環境に貢献できる
電気代を節約できる
太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、日中に発電した電気を蓄電池にためておき、夜間に電気代を安くすることができます。また、大規模災害が発生し停電した場合でも、蓄電池から電力を供給することができます。
停電時の備えになる
大規模災害が発生し停電した場合でも、蓄電池から電力を供給することができます。これにより、照明やテレビ、冷蔵庫などの電力を継続して使用することができます。
災害時の備えになる
自然災害が発生した場合、停電や断水などの被害が発生する可能性があります。太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、停電や断水に備えることができます。
環境に貢献できる
太陽光発電は、太陽光エネルギーを直接電気に変換するシステムです。そのため、化石燃料を燃焼する必要がなく、環境に優しい発電方法です。
太陽光発電10年後の選択をどうするかの検討は必須です
太陽光発電システムは10年以上の耐用年数を持っていますが、その間に売電価格やFIT制度の変動に対応するための対策が必要となります。
特にFIT制度終了後、即ち卒FIT後は売電価格が下がるため、自家消費への切り替えが経済的メリットを提供します。
また、新しい電力会社との契約や蓄電池の導入も、自家消費を増やし、余剰電力をより有利に販売する方法として有効です。
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