蓄電池の耐用年数・製品寿命はどれくらい?修理と買い替え時期について

蓄電池の耐用年数・製品寿命はどれくらい?修理と買い替え時期について

近年、太陽光発電との併用を考えられた家庭用蓄電池が開発され、大きな注目を浴びています。元々、自然災害があった際など、バックアップ電源として産業用に用いられていた蓄電池ですが、東日本大震災を契機に一般住宅での非常用電源として蓄電池の必要性が注目を浴びているのです。

しかし、いざ家庭用蓄電池の導入を検討した場合には、「蓄電池とはどの程度持つのだろうか?」という寿命の心配や、「どうすれば長持ちするのだろう?」といった運用上の不安を抱く人も少なくないと耳にします。
そこでこの記事では、一般的な家庭用蓄電池の製品寿命や買い替え時期の見極めについて解説していきたいと思います。ただし、一口に蓄電池といっても、さまざまな仕様のものが存在しており、種類によって充放電の仕組みやスペックが違ってきます。そして、その種類によって蓄電池の寿命が異なりますので、種類による違いにも簡単に触れておきます。

蓄電池の種類と耐用年数・製品寿命について

ここではまず、現在家庭用蓄電池として使用されている主な種類とその寿命についてご紹介します。コンビニなどでも売られている一般的な乾電池でも、「アルカリ電池」や「リチウム電池」などと種類が存在するように、蓄電池にも以下のようにさまざまな種類があります。

  • 鉛蓄電池
  • ニッケル水素電池
  • リチウムイオン電池
  • NAS電池

蓄電池の寿命は、こういった電池の種類によって異なるものなのですが、他にも使用する環境や状況、保守条件など、さまざまな要因に左右されるのです。

蓄電池の耐用年数と寿命を表す表記について

蓄電池の寿命は、電池の種類だけでなく、それぞれのご家庭による使用環境によっても違うとご紹介しましたね。そのため、蓄電池の寿命を表す際には『サイクル回数』や『使用期間』など、用いられる単位が複数あるのです。

『サイクル回数』とは、充電から放電までを1サイクルとして、蓄電池が「何回このサイクルを繰り返すことが可能なのか?」ということで寿命を表す単位となります。『使用期間』は、その言葉通り、「蓄電池が何年使用することが可能なのか?」というものです。

ここでおさえておきたいポイントは、「1サイクルの定義」についてです。蓄電池は、用途の特性上、放電と充電を繰り返すものですが、1サイクルというのは、「極限まで放電し、充電量が0%になったところから満タンまで充電して、さらにその電気を0%まで放電しきるまで」のことを指しています。つまり、バックアップ電源として用いられる蓄電池など、特定条件下のみでしか放電せず、頻繁に充放電を繰り返さない想定の場合は、サイクル期間を考えるのではなく、使用期間でその寿命を見るのが一般的です。

補足
蓄電池の寿命を表す数値は、販売メーカーによって目安が設定されています。しかし、販売メーカーが公表するこういった寿命の数値は、あくまでもメーカーによる想定数値となるため、使用する環境や保守条件によって数値ほど持たないことも珍しくありません。つまり、メーカーの想定数値と同等、もしくはそれ以上の寿命を求めるのであれば、メーカーが指定する使用条件を守って適切に運用する必要があります。

各蓄電池の耐用年数・寿命の目安

それでは、一般的な蓄電池の寿命目安をご紹介しておきましょう。ここで紹介する寿命は、経済産業省の「蓄電池戦略プロジェクトチーム」によって以前に発表された資料「蓄電池戦略」をもとにしています。

鉛蓄電池 17年(3150回)
ニッケル水素電池 5年~7年(2000回)
リチウムイオン電池 6~10年(3500回)
NAS電池 15年(4500回)

上の表からも、使用する蓄電池によって、それぞれの寿命がかなり違うことがわかります。
ちなみに、寿命を迎えた蓄電池は全く使えなくなってしまうと思うかもしれませんが、そうではありません。蓄電池が寿命を迎えた、寿命が近づいたといった場合には、蓄電容量の減少という変化が見られます。一般的に、寿命を迎えた蓄電池は、70%程度まで蓄電容量が減少すると言われていますが、メーカーによっては寿命後も90%程度の高い蓄電容量を維持するものもあります。この部分は、蓄電池を購入する場合に、おさえておくと安心できるポイントだと思います。

ただし、寿命を過ぎた蓄電池は、時間とともに確実に蓄電容量が減少していきますので、半永久的に利用できる蓄電池は、現状存在していないということを理解して、買い替えの準備を進めておくのがオススメです。

参考:経済産業省『蓄電池戦略』

各蓄電池の寿命の特性について

それでは最後に、一般的な家庭用蓄電池の種類ごとの寿命特性について簡単にご紹介しておきます。

鉛蓄電池の寿命特性

鉛蓄電池は、自動車のバッテリーや非常用バックアップ電源として長く利用され続けている蓄電池です。
鉛蓄電池は、サイクル回数で3150回、使用期間に換算して17年と寿命が非常に長いのが特徴です。一般的に、充放電の回数が寿命に影響を及ぼすと言われる蓄電池ですが、この鉛蓄電池に関しては、充放電の回数が劣化に影響することが無いという特徴を持っています。ただし、過放電によって著しい性能劣化を引き起こすため、蓄電容量の維持に注意する必要があります。

スペック通りの使用寿命を維持するためには、「過放電を行わない」「使用後はすぐに充電する」ということに注意しましょう。

ニッケル水素電池の寿命特性

近年、リチウムイオン電池の登場で活躍の場所が減っているニッケル水素電池ですが、現在でも乾電池タイプの蓄電池を始めとして、「ハイブリットカーのバッテリー」「モノレールの蓄電設備」などで利用されています。

この蓄電池は、サイクル回数2000回、使用期間に換算して5~7年と蓄電池の中でも最も寿命が短いものです。さらに、高温環境下での使用や大電流充電による電池温度上昇など、外的要因によって寿命が短くなりますので、メーカー目安通りの寿命を維持するためには、最も手間がかかると考えておきましょう。

リチウムイオン電池の寿命特性

リチウムイオン電池は、携帯電話などのモバイル機器の蓄電池として利用されるなど、私たちの生活に欠かせないものとなっています。さらに、現在でも大容量化や寿命の長期化に向けた開発が進んでいますし、需要拡大による市場価格の低下も期待でき、今後最も注目されている蓄電池といっても良いでしょう。
一般的に、リチウムイオン電池の寿命は、サイクル回数4000回、使用期間換算で10年程度が目安となるのですが、販売メーカーによる誤差も大きいので注意しましょう。

リチウムイオン電池もニッケル水素電池同様、使用環境や充放電によって著しく劣化する恐れがあります。そのため、メーカー公表のスペックを維持するためには、適切な使用方法を守らなければいけません。ただし、リチウムイオン電池の場合は、メーカー側が蓄電容量の長期保証(一般的に10年間)を設けていることがほとんどです。そのため、保証期間内に一定基準の蓄電容量を下回った場合には、蓄電池の電池モジュールなどを交換してもらえることになります。したがって、このタイプの蓄電池を購入する場合には、補償内容の詳細がどうなっているのかもしっかりと確認して導入しましょう。

まとめ

今回は、蓄電池の種類や使用環境による製品の寿命について解説してきました。近年、太陽光発電をより効率的に活用できるなどといった理由で、家庭用蓄電池を導入する方が増加しています。しかし、家庭用蓄電池を導入する場合には、設置工事費用を含めると100万円を超えるコストが必要になってしまいますので、なるべく寿命をのばして長く利用したいと誰もが考えることでしょう。
この記事でもご紹介したように、蓄電池の寿命は、その種類や製品のメーカーによって寿命が変わるだけでなく、ご家庭での使用環境、使用方法などによってかなりの差が出てしまうものです。できるだけ長く同じ蓄電池を利用したいと考えるのであれば、メーカーが推奨する適切な利用方法を守ることや、定期的な保守点検などを進めるようにしましょう。

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