太陽光と組み合わせて使う蓄電池とは?メリット、デメリットを紹介

太陽光と組み合わせて使う蓄電池とは?メリット、デメリットを紹介
目次

はじめに

「太陽光と蓄電池は一緒に設置したほうがいいの?」
「太陽光と蓄電池を一緒に設置することでメリットはあるの?」

太陽光を検討している場合や既に太陽光を搭載している場合、蓄電池も一緒に利用すべきか迷いますよね。

結論から言うと、これからは太陽光と蓄電池を一緒に利用することがおすすめです。

太陽光を取り巻く環境はここ数年で大きく変化しています。とくに、太陽光発電で得た電力の売電価格は下記のグラフのように大幅に下がっており、売電という方法からのシフトチェンジが求められています。

また、昨今災害が増えており、蓄電池があれば万が一のときのために電力を貯めておけるというのも注目されている理由の一つです。
しかし、蓄電池を搭載することで初期費用やランニングコストがかかるという側面もあるので、悩みや目的に合わせてじっくり検討する必要があります。

そこで、この記事では

◎太陽光と組み合わせて使える蓄電池の基礎知識
◎蓄電池と太陽光の組み合わせが注目されている4つの理由
◎蓄電池と太陽光を組み合わせるメリット・デメリット
◎蓄電池と太陽光の組み合わせが向いているケース
◎蓄電池の選び方

をまとめて解説します。この記事を読めば蓄電池と太陽光を組み合わせる必要性をが分かり、一緒に利用すべきか判断できるようになります。ぜひ、最後まで読んで自分に合った太陽光や蓄電池の利用方法を見つけてみましょう。

1.太陽光発電と組み合わせられる蓄電池の基礎知識

まずは、太陽光発電と組み合わせられる蓄電池とはどのようなものなのか、蓄電池の基礎知識を簡単にご紹介します。

1-1.太陽光と組み合わせて使える蓄電池とは

蓄電池とは、充電して繰り返し使える電池やバッテリーを指します。電気を貯めることを充電、電気を使うことを放電と言いますが、充電と放電を繰り返し行えるところが蓄電池の大きな特徴です。

蓄電池は二次電池とも呼ばれており、下記の表のようにスマートフォンのバッテリーや電気自動車の電池、そして太陽光と併せて使う家庭用蓄電池のバッテリーなどと一緒に分類されます。

電池の種類 特徴 製品
一次電池 放電のみしかできない ・アルカリ電池
・ボタン電池
二次電池 充電と放電を繰り返して、何度でも使える ・電気自動車のバッテリー
・スマートフォンのバッテリー
・家庭用蓄電池のバッテリー

蓄電地は充電と放電を繰り返すことはできますが永久に使えるわけではなく、充電回数を重ねることで蓄電容量は低下していくので寿命があることも把握しておきましょう。

1-2.蓄電池と太陽光を組み合わせるとできること

太陽光のみを設置している場合、電力を「すぐに使う」「電力会社などに売る」の2つしかできませんが、蓄電池と組み合わせることで「貯める」ことができるようになります。

太陽光発電で得た電力を貯められるようになると

・太陽光発電で余った電力を無駄にしない
・電力をよく使う時間帯に利用できる
・電力会社から電力を買うことが少なくなり電気代が節約できる
・環境負荷を減らせる
・災害時に貯めておいた電力を使用できる

という多くのメリットがあります。蓄電池を導入すれば、太陽光発電で得た電力をより有効活用できるようになるのです。

【蓄電池のメリットについて詳しく知りたい場合はこちらもチェック】 

蓄電池 メリットの記事

蓄電池とはどのようなものなのか把握できたところで、続いて太陽光と蓄電池の組み合わせが注目されている4つの理由をご紹介します。

2.今、太陽光と蓄電池の組み合わせが注目される4つの理由

近年、少しずつ注目されるようになった蓄電池。その背景には

・FIT制度を卒業する太陽光が増えている
・太陽光の電力売電価格が下がっている
・再エネ賦課金が年々値上がりしている
・災害に対する備えが必要になってきている

という4つの理由があります。なぜ蓄電池と関連しているのか詳しくご紹介します。

2-1.FIT制度を卒業する太陽光が増えている

資源エネルギー庁が実施している「固定買取価格制度(通称FIT制度)」とは、太陽光や風力など再生可能エネルギーを利用し発電した電気を一定期間定額で買い取ることを保証する制度です。

下記のように10kW未満の太陽光は10年間、10kW以上搭載している太陽光は20年間一定額で買い取ってもらえるため、毎月収益が見込め太陽光設置費用や電気代などに充当できるようになっています。

固定買取価格制度の一定額買取期間
10kW未満 10年間
10kW以上 20年間

FIT制度が始まったのが2009年なので10年以上が経過した今、多くの住宅がFIT卒業時期を迎えています。資源エネルギー庁の「更なる再エネ拡大を実現するための エネルギー需給革新の推進」によると、2023年には165万件もの住宅がFIT卒となる予定です。

FIT買取が終わると今まで売電をしていた電力が余ってしまうので

・電力会社などとの自由契約で売電できるようにする
・自家消費に回す

という選択を迫られることに。次の項で詳しく紹介しますが電力の売電価格自体が値下がりを続けているため、自家消費ができるよう蓄電池を検討する人が増えています。

実際に株式会社グッドフェローズが実施した蓄電池に関するアンケートでは、46%もの人が「FIT卒業をきっかけに蓄積地を購入した」と回答しており、FIT制度が使えなくなることで蓄積地への関心が高まっていることが分かります。

参考:資源エネルギー庁「更なる再エネ拡大を実現するための エネルギー需給革新の推進」   株式会社グッドフェローズ「タイナビ蓄電池の利用に関するアンケート調査」   資源エネルギー庁「固定買取価格制度」

2-2.太陽光の電力売電価格が下がっている

太陽光の普及に伴い、電力の売電価格が年々値下がりしているのも蓄電池が注目される理由の一つです。
下記のグラフは10kW未満のFIT適用価格の推移を表していますが、8年間で半額になっていることが分かります。

参考:資源エネルギー庁「買取価格・期間等」
FIT適用期間のみでなく、FIT卒業後に適用となる売電価格の値下がりも続いています。

FIT買取が終了した後の太陽光発電の売電価格は電力会社やサービスにより多少上下はありますが、2019年の売電価格は下記のように九州電力が1kWhあたり7円、関西電力が8円、東北電力が9円、東京電力が8.5円と1kWhあたり10円を下回っています。

FIT卒後の1kWhあたり買取金額(2019年)
東京電力 8.5円
関西電力 8円
東北電力 9円
九州電力 7円

環境省が発表している東京都の年間予想発電量が1,134kWhなので、2020年よりFIT買取を申請すると年間24,000円程度、今年FIT卒をし全額売電をしても9,600円ほどしか収益が得られません。それなら自家消費をして、毎月の電気代を抑えたいと考える人が増えているのが現状です。

参考:西日本新聞「九電、買い取り単価7円 家庭発電の太陽光 FIT後方針」環境省「住宅用等太陽光発電の導入ポテンシャルの再推計」環境ビジネスオンライン「東京電力、「卒FIT電気の買取価格」は8.5円「仮想預かりプラン」も提供」

2-3.再エネ賦課金が年々値上がりしている

太陽光で発電した電力の買取価格の下落と併せて注目したいのが、電気代の高騰です。

1kWhあたりの電気代も2011年以降2019年までに約16%上昇していますが、それに加えて2012年より固定買取価格制度の一環として電気を使うすべての世帯に「再生可能エネルギー発電促進賦課金(通称再エネ賦課金)」の支払いが義務づけられました。

これは再生可能エネルギーを買い取って活用するためにかかる費用を賄うことが目的で、毎月の電気代にプラスして請求されています。

実は下記のグラフのように年々再エネ賦課金の支払い額が増えており、電気代を高騰させているのです。一般家庭のおおよその月額負担額は2019年時点で885円となり、2012年の約13.4倍にのぼっています。

2020年度は1kWh当たりの再エネ賦課金額は2.98円とさらに増加し、今後も増えていく見込みです。

太陽光発電の買取価格が下がっており電気代も上昇している中で、各家庭で作った電力は家庭内で消費していく自家消費というサイクルなら電気代を抑えられ賢い選択なのではという声が増えています。

参考:環境ビジネスオンライン「2020年度のFIT買取価格を決定 再エネ賦課金の負担額はいくら増える?」資源エネルギー庁:「2019—日本が抱えているエネルギー問題」

2-4.自然災害が増えて災害時の備えを意識する人が増えた

2019年だけを振り返ってみると地震や大雨、台風による災害が全国各地で起こり、重要なライフラインである電気が使えないという事態が発生。

いつ起こるか分からない自然災害に備え、太陽光発電で得た電力を貯めておける蓄電池の必要性を感じる人が増えています。株式会社グッドフェローズが実施した蓄電池に関するアンケートでは、実際に蓄電池を購入した人の78%が非常用電源としての利用に期待していることが分かりました。


参考:株式会社グッドフェローズ「タイナビ蓄電池の利用に関するアンケート調査」
深刻な災害が増加しているという背景も、蓄電池が注目を集めている理由の一つです。

3.太陽光と蓄電池を合わせて使う3つのメリット

実際に、太陽光と蓄電池を一緒に使うことでどのようなメリットがあるのでしょうか?ここでは、知っておきたい3つのメリットをご紹介します。

3-1.ライフスタイルに合わせて賢く自家消費できる

第1章でも説明したように太陽光のみを設置している場合「使う」「売る」の2つしかできませんが、蓄電池を組み合わせることで「貯める」ことができるようになります。

昼間に貯めた電力を夜に利用するなどライフスタイルに合わせて賢く使えるため、電気代の節約や省エネにつながるところが大きなメリットです。

例えば、下記の図のように日が差している日中は太陽光で作った電力を使い、余った分を蓄電池に充電します。日が暮れて太陽光で電力が作れなくなったら、蓄電池に貯めておいた電力の出番。それでも電力が足りないときに、初めて電力会社から電力を購入します。


このように、ライフスタイルに合わせて「貯める」「使う」「売る」を上手く使い分けることで、月々の電気代を削減しエコなエネルギーで生活できるようになります。

【ライフスタイルに合わせて「完全自家消費」「余剰売電」が選べる】 

太陽光と蓄電池を組み合わせるときには、「完全自家消費」「余剰売電」の2パターンから選択できます。せっかく太陽光で作った電力を無駄のない形で活用できるのも、蓄電池の活用があるからできる技です。

・完全自家消費
売電はしないで太陽光で作られたすべての電力を自宅や自社で使う方法。家や会社にいる時間が長い場合や太陽光パネル積載量が少ない場合におすすめ。

・余剰売電
自家消費をして余った分を電力会社に買い取ってもらえる方法。家や会社にいる時間が少なく、電力が余ってしまう人におすすめ。

3-2.災害時に役立つ

太陽光と蓄電池を組み合わせれば、いつ起こるか分からない災害時にも役立ちます。太陽光には停電時に使える「自立運転モード」を備えている商品がありますが、太陽光に日が当たる時間帯にしか電力が使えません。

蓄電池があれば余った電力を貯めておけるため悪天候のときや夜間電力として活用でき、ライフラインを維持できます。

例えば、5.5kWhの蓄電池を搭載している場合、下記の図のように合計430Wの家電をおおよそ12時間稼働させることが可能です。


冷蔵庫や室内の電気、テレビやスマートフォンの充電など、災害時に最低限使いたい電力を継続して利用できるところも蓄電池と太陽光を組み合わせるからこそできることです。

参考:一般社団法人太陽光発電協会「住宅用太陽光発電システム 停電時の自立運転について」

3-3.電力を自給自足でき環境負荷を減らせる

太陽光に蓄電池をプラスすることで日照時間に左右されず、自宅に安定した発電システムを持てるようになります。運用次第では電力会社に頼らずクリーンなエネルギーを使い電力を自給自足できるようになり、日本の大きな課題となっているエネルギー自給率アップに繋がります。

下記の表のように日本は外国と比べるとエネルギー自給率が極端に低く、アメリカの92.6%やイギリスの68.2%と大差をつけてわずか9.2%しかエネルギーを自給自足することができていません。


出典:資源エネルギー庁:「2019—日本が抱えているエネルギー問題」

そのため、FIT制度などの施策を投じて国全体でエコなエネルギーへの転換を図っているのです。2030年までには25%のエネルギー自給率を目指しているため、環境負荷の少ないエネルギーは今度より注目されていくでしょう。

太陽光と蓄電池を組み合わせれば経済的な利益だけでなく、環境に優しいエネルギーで暮らせるようになります。

4.蓄電池と太陽光を組み合わせるデメリット

蓄電池と太陽光を組み合わせるときに知っておきたいデメリットとして

・初期費用やランニングコストがかかる
・蓄電池の置き場所を確保しなければならない

という2つが挙げられます。具体的にはどのようなところがデメリットとなるのか具体的にみてみましょう。

4-1.初期費用やランニングコストがかかる

蓄電池を設置しようとすると太陽光の費用にプラスし初期費用がかかります。蓄電池のサイズやメーカー、機能にもよりますが、おおよそ100万~200万ほどプラスになるので負担が増えてしまうところがデメリットです。

初期費用とともにチェックしたいのが、ランニングコストです。蓄電池と太陽光どちらも一度設置をすれば永久不滅に使えるわけではありません。下記のように平均的な寿命があり、蓄電池の場合は電池の種類によって6年~17年ほどで性能が低下することが多いです。

設備名 寿命
太陽光 パワーコンディショナー 10~15年程度
太陽光パネル 20年以上
蓄電池 リチウムイオン電池式 約6~10年
鉛蓄電池 約17年
ニッケル水素電池 約5~7年
NAS電池 約15年

もちろん、設備の買い替えのみではなく、定期的にメンテナンス費用も必要です。太陽光の初期費用にプラスし、蓄電池の費用やランニングコストもかかることを念頭に置いておくといいでしょう。

【蓄電池の寿命についてもっと詳しく知りたい場合はこちらもチェック】 

蓄電池の耐用年数・製品寿命はどれくらい?修理と買い替え時期について

4-2.蓄電池を設置するスペースが必要

蓄電池を設置したいと考えたときに見落としがちなのが、蓄電池を設置するスペースです。蓄電池には室外タイプと室内タイプがあり、メーカーや蓄電量によってサイズは大きく異なります。

とくに、室外他プはエアコンの室外機程度の重さや大きさがある場合が多いので、置き場所が確保できないと設置できません。

また、室内外どちらのタイプも点検をしたり配線などの安全性を確保したりするために離隔距離が設定されています。離隔距離も含めると広めのスペースが必要となる場合があり、どのような場所でも簡単に設置できるとは言い難いところです。

実際に蓄電池を購入しなかった人の理由として、下記のグラフのように設置スペースの問題が意外と多いことが分かります。

出典:株式会社三菱総合研究所「定置用蓄電池の普及拡大及びアグリゲーションサービスへの活用に関する調査」
太陽光で得た電力を充分に貯蓄できる蓄電池を選ぼうとすると、スペース確保が必要だということも知っておきましょう。

【蓄電池が設置できない地域もある】 

沿岸部にお住まいの場合、塩分により電気設備がダメージを受ける恐れがあるため設置できる蓄電池が制限される場合や設置自体ができない場合があります。

下記の図の「重塩害地域」と「塩害地域」当てはまる場合は、蓄電池の設置が可能かどうかを事前にチェックしてみてください。


参考:各地域における塩害地域の目安

5.蓄電池と太陽光の組み合わせが向いている3つのケース

太陽光と蓄電池を組み合わせるメリットやデメリット、蓄電池が注目される理由からこの組み合わせが向いているのは、

・FIT制度での固定買取が終了を迎える人
・電気代を安く抑えたい人
・環境に考慮した生活を送りたい人

だと言えるでしょう。それぞれどのようなところが向いているのか、詳しくご紹介します。

5-1.FIT制度での固定買取が終了を迎える人

第2章でご紹介したようにFIT制度を利用した優遇価格での電力買取が終了を迎える場合、そのまま同じ量の電力買取を継続しても大幅に利益が減少してしまいます。

下記の表は2012年よりFIT制度を利用しており、FIT制度終了後も同じ量の電力を売電するといくらになのか算出したものです。売電価格は約5倍もの差が出てしまうため、このまま売電を継続することが得策ではないことが分かるでしょう。

年間1,000kWhを売電できた場合(東京都在住)
  1kWhあたりの売電価格 年間売電価格
FIT制度適用時(2012年開始) 42円 42,000円
FIT制度終了後 8.5円 8,500円

FIT制度の終了を機に蓄電池を導入し

・余剰電力を全て売電するのではなく、貯めておけるようにする。
・今まで売電した電力を自家消費に回せるようにする。

といった電力の使い方をするほうが無駄なく利用できます。

【向いている人】 

・もうすぐFIT制度での電力買取が終了する< ・FIT制度終了後の電力の使い方に悩んでいる

5-2.電気代を安く抑えたい人

「家にいる時間が長いから、電気代が高くなってしまう」「オール電化なので、電気代がかさんでしまう」など、電気代を少しでも安くしたい人にとっても太陽光と蓄電池の組み合わせはおすすめです。

蓄電池を併用すれば電気の使用量が多くなる時間に貯めておいた電力を使えるため、1日を通じて太陽光で得た電力を使えます。

電力会社より購入する電気量も少なくなるのでプランの見直しも実施でき、毎月の電気代を削減できるように。生活の質を維持しながら、電気代を見直したい人は太陽光と蓄電池の併用を検討してみましょう。

【向いている人】 

・オール電化で毎月の電気代が気になる
・家にいる時間が多い
・毎月の電気代を安く抑えたい

5-3.環境に考慮した生活を送りたい人

環境への負荷軽減が大きな課題となっている昨今、環境に優しい生活を送りたいと考えている人にとっても太陽光と蓄電池の組み合わせは向いています。

蓄電池があれば太陽光から得たエコなエネルギーを効率よく自家消費に充てることが可能。 4kWの太陽光から得た電力を1年間使用することで、火力発電で使う石油を約908リットルも削減できます。

また、太陽光を売電するするだけでなく自宅で使うようになると「どれくらい発電できているのかな?」「今、蓄電池に貯めた電力を使っているんだ」などと、自然と電力に関する意識が変わり省エネを心がけられるようになります。

必要なエネルギーを自分で賄えるようにしたいと考えている人にとっても、検討してみる価値があるでしょう。

参考:一般社団法人太陽光発電協会「太陽光発電のメリット」

【向いている人】 

・環境に配慮した生活を送りたい
・必要なエネルギーを自分で賄ってみたい
・省エネを心がけた生活に変えていきたい

6.知っておきたい蓄電池の選び方

ここからは、実際に蓄電池を検討するときに役立つ選び方をご紹介します。蓄電池を後付けする際のチェックポイントも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

6-1蓄電池の素材を確認する

第1章で蓄電池には寿命があることに触れましたが、蓄電池の寿命は素材により左右されます。現在、蓄電池の素材は下記の表の4つが主流となっており、中でも家庭用蓄電池はリチウムイオン電池が最も多く用いられています。

リチウムイオン電池はスマートフォンやパソコンのバッテリーにも使われており汎用性が広く、比較的寿命が長いところが特徴です。

  寿命の目安 サイクル回数の目安 特徴
リチウムイオン電池 約6~10年 4,000回 ・家庭用蓄電池に多く使われている
・スマートフォンやパソコンバッテリーにも使われており、小型軽量
鉛蓄電池 約17年 3,150回 ・古くから産業用設備の非常用電源として使われている
・鉛が使われているので大きくて重い
ニッケル水素電池 約5~7年 2,000回 ・充電と放電の速度が速い
・電気自動車のバッテリーに多い
NAS電池 約15年 4,500回 ・大容量の充電が可能
・産業用蓄電池に使われている

蓄電池が寿命を迎えるとすぐに使えなくなるわけではなく、性能が低下し蓄電量が落ちたり充電に時間がかかったりします。

蓄電池を購入してから長い間正常な状態で使うためにも、購入時に蓄電池の素材を確認してみるのがおすすめです。

【サイクル回数も併せてチェックを】 

蓄電池のサイクル回数も、蓄電池の寿命を左右するポイントです。サイクル回数とは、蓄電池の充電が0%になったところで満タンまで充電する「放電」と「充電」をワンセットにした場合、どれだけ繰り返せるかを示した目安回数のこと。

サイクル回数が多ければ多いほど繰り返し使えるため、寿命が長くなると捉えることができます。蓄電池のパンフレットなどにサイクル回数を記載している商品もあるので、どれくらい使えるのかの目安にしてみてください。

6-2.最低限必要な蓄電池容量を把握する

家庭用蓄電池は、停電時などいざという時に必要な家電を稼働させられる容量かどうかを基準に選ぶことが多いです。

蓄電池の容量を示す「kWh(キロワットアワー)」は、1時間に消費する電力を示しています。例えば、「5kWh」の蓄電池なら、1時間に5kWの電力が使える蓄電池となります。

どの程度の容量が自分に最適か確かめたい場合は、室内にある主な家電をチェックしてみましょう。主な家電の消費電力は下記のとおりです。(より正確に知りたい場合は、家電の説明書を参考にするのがおすすめです。)

電化製品 消費電力
白熱灯 100w
パソコン 35~80W
テレビ 50~250W
エアコン 600~1500W
冷蔵庫 100~260W
スマートフォンの充電 15W
電気ストーブ 500~1000W
洗濯機 500W

参考:産業機器株式会社
停電時に冷蔵庫(100W)とスマートフォンの充電(15W)、テレビの電源(100W)を確保したい場合、合計で215Wが必要です。5kWの蓄電池を購入したとすると、

5,000W(1kW=1,000W)÷215W=約23

となり、いざというときに必要な家電を約23時間稼働できます。このように、事前に最低限必要な電力を把握しておくことで容量選びに失敗しにくくなります。

ちなみに、家庭用蓄電池では一般家庭の重要な家電を稼働させられる5~7kWhを選ぶケースが多いので参考にしてみてください。

6-3.蓄電池を後付けする場合は「ハイブリット型」か「単一機能型」か選択する

既に太陽光と搭載している場合でも、蓄電池を後付けすることが可能です。蓄電池を後付けする方法として、「ハイブリット型」もしくは「単一機能型」から選べます。

6-3-1.コストを抑えたいなら「単一機能型」

単一機能型とは、太陽光と蓄電池にそれぞれ1つずつパワーコンディショナーを設置する方法です。従来設備をそのまま活かせるため、コストを抑えられるところが特徴。

一方で、パワーコンディショナーを2つ設置しなければならないため、2つのパワーコンディショナーを設置するスペースが必要です。

また、いくつものパワーコンディショナーを通すことで電力のロスが起きてしまうところもデメリットだと言えるでしょう。

太陽光発電の設備が新しくまだまだ使えるという場合や蓄電池を追加する費用を抑えたい場合におすすめです。

6-3-2.省スペース・電力ロスをなくしたいなら「ハイブリット型」

ハイブリット型は、太陽光と蓄電池のコンディショナーを1つにできるところが大きな魅力です。省スペースで設置できるのはもちろん、、シンプルな配線に切り替えられるので電力ロスが少なくて済みます。

また、単一機能型では使えない「放電と充電が同時にできる」というところもポイントです。例えば、日中に太陽光から得た電力を使いつつ余った分は蓄電に回すという使い方ができます。

デメリットとしては単一機能型より価格が高く、既に設置している太陽光用のコンディショナーが使えなくなるところでしょう。利便性を求める場合や、蓄電池の設置スペースが限られている場合におすすめです。

【どのような蓄電池があるのか知りたい人はこちらもチェック】 

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7.蓄電池を購入するときに使いたい補助金一覧


第4章で「蓄電池を導入する場合は初期費用がかかる」とお伝えしましたが、実は初期費用を少しでも抑えられるよう蓄電池の購入時に使える補助金が設けられています。

補助金には国や地方公共団体が実施しているものがあり、申請要件や補助金額が大きく異なります。毎年内容や実施団体が異なるため、蓄電池を購入をするときには下記よりチェックしてみてください。

8.太陽光と蓄電池のことで迷ったらお気軽にご相談ください

家庭用蓄電池と太陽光を合わせて検討する場合は、ご利用環境や目的に合わせて検討すべきことが多くあります。

「太陽光と蓄電池を併せて検討した場合いくらくらいになるの?」「今の家に太陽光と蓄電池を搭載するとどれくらい自家消費できる?」「FIT卒が迫っていて相談したい」など個別のケースにお答えできますので、ぜひお気軽にお尋ねください。

9.まとめ

いかがでしたか?
蓄電池と太陽光を組み合わせて使うメリットやデメリットが把握でき、蓄電池と太陽光を組み合わせて使用すべきか判断できたかと思います。

最後に、この記事の内容をまとめてみると

◎蓄電池とは、充電して繰り返し使える電池やバッテリーのこと

◎太陽光と蓄電池を組み合わせることで「売電する」「電力を使用する」「貯める」という3つのことができるようになる

◎今、蓄電池が注目されている理由は次の4つ

1)FIT制度(固定買取価格制度)を卒業する太陽光が増えている
2)太陽光の電力売電価格が年々下がっている
3)再エネルギーの買取制度を支える再エネ賦課金が年々値上がりしているため、電気代が高くなっている
4)災害が増えており、いざという時の備えが必要になってきている

◎蓄電池と太陽光を組み合わせて使うメリットは次の3つ

1)ライフスタイルに合わせて放電と蓄電を使い分け、賢く自家消費できる
2)災害時に必要最低限の家電を稼働させられる
3)電力を自給自足できるようになるので、環境負荷が減らせる

◎蓄電池と太陽光を組み合わせるデメリットは次の2つ

1)太陽光のみの使用と比べて、初期費用やランニングコストがかかる
(購入時に助成金が利用できれば、初期費用が抑えられる)
2)蓄電池の置き場所を確保しなければならない

◎蓄電池と太陽光の組み合わせが向いているのは次の3つのケース

1)FIT制度による固定価格での電力買取が終了を迎える人
2)今より電気代を安くしたい人
3)環境負荷の少ない生活を送りたい人

◎蓄電池を選ぶときのポイントは次の3つ

1)蓄電池の素材やサイクル回数をチェックする
2)災害時に最低限利用できる容量の蓄電池を選ぶ
3)蓄電池の後付けをする場合は「単一機能型」か「ハイブリッド型」か選択をする

この記事をもとに、太陽光や蓄電池を組み合わせた快適な生活ができるようになることを願っています。

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