太陽光発電所を設置するには、大量の太陽光パネルが必要です。以前と比べると単価が格段に安くなったことで大規模な発電施設を設置するためのコストも以前と比べるととても安くなり、このことも太陽光発電投資を後押ししてきた部分があります。
しかし、2020年の秋頃から太陽光パネルの高騰が起きており、太陽光発電所の設置にもその影響が出ていることをご存じでしょうか。その直前の2020年夏頃と比べると、W単価で5年程度の価格上昇が起きたとささやかれており、この価格上昇がメガソーラークラスになるとかなり大きなコスト増になることは言うまでもありません。
この最大の原因は、太陽光パネルを製造するための材料コストが高騰していることです。太陽光パネルにはシリコンやガラスが大量に使用されていますが、このシリコンとガラスの両方で材料価格の高騰が起きています。こうした材料の多くはご多分に漏れず中国で製造されているものが多いのですが、中国では2020年の夏に大手シリコンメーカーの工場火災がありました。半導体の工場で火災が起きたことで供給不安が起きたことは記憶に新しいところですが、中国ではシリコンで同じことが起きていたのです。
それともうひとつ、ガラスについても価格上昇が続いています。こちらも中国で製造されているものが大半ですが、中国の当局が環境負荷の軽減を理由にガラス製品の工場新設を規制していることが供給不安を招いたとの説があります。こちらのほうが価格高騰の影響が深刻で、ガラスは太陽光パネル以外にも広く用いられているため、住宅建設費などにも影響が出ています。
住宅建設といえば、2021年のトレンドとして「ウッドショック」が挙げられます。コロナショックからの回復によってアメリカで住宅着工件数が急増、木材の需要が急増したことで投資家からの先物買いも殺到し、木材の価格高騰が起きました。木材はアメリカやカナダで生産される量が多くを占めますが、当のアメリカやカナダで木材の高騰と供給不足が起きたため、日本になかなか入ってこないことから住宅建設の工期遅れが頻発しました。
それに加えて、中国では空前の太陽光発電ブームが起きているといいます。意外といっては失礼ですが、中国は国家的なプロジェクトとして環境問題への積極的な取り組みを進めており、太陽光発電の推進もこれに含まれます。
日本とは桁の違う開発規模となる中国で、各地に大量のメガソーラーが誕生したら、ただでさえ供給不足になりつつある太陽光パネルの材料が必要となり、価格上昇が起きるのは自明の理です。まさにウッドショックと似たような現象が起きているとも考えられ、日本の太陽光発電投資への影響をしっかり精査する必要があります。
既存の太陽光発電所に対する需要が増してくる可能性もあるので、売却をお考えの発電所オーナーにとっては、絶好の売り時がやってくるかもしれません。