ペロブスカイト太陽電池とは何?強みや課題について解説!

ペロブスカイト太陽電池とは何?強みや課題について解説!

太陽光発電に搭載されている太陽電池は、大学や企業によって日々研究・改良されています。中でもペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽光電池と異なり発電効率といった点で強みのある新しい半導体です。

そこで今回は、ペロブスカイト太陽電池の特徴や強み、課題、研究の進捗状況について詳しくご紹介します。太陽光発電の発電効率を向上させたい方や太陽光発電の最新情報を知りたい方などは、参考にしてみてください。

ペロブスカイト太陽電池の仕組み

ペロブスカイト太陽電池は、従来の太陽電池と異なる半導体で作られた新しい太陽電池です。全量自家消費型太陽光発電で効率よく電気料金を削減するには、太陽電池の性能も重要なポイントになるため、ペロブスカイト太陽電池について把握しておきましょう。

それでは、ペロブスカイト太陽電池の仕組みや特長についてわかりやすく紹介していきます。

ペロブスカイト半導体という新しい半導体で構成された太陽電池

ペロブスカイト太陽電池とは、従来の単結晶型シリコンや多結晶シリコンとは異なる、ペロブスカイト半導体という新材料を用いた太陽電池のことです。

最初に開発したのは、桐蔭横浜大学の宮坂力(つとむ)特任教授で、ノーベル賞候補に挙げられている実績も豊富な方です。

ペロブスカイト太陽電池が画期的な理由の1つは、シリコン結晶系と異なる性質と強みを持っているためです。シリコン結晶系はガラスの成分でもあり、硬い素材であることから、薄く軟らかく加工するのが容易ではありません。

一方、ペロブスカイトは、膜のように薄く加工できるだけでなく、紙のように曲げることも可能であり、なおかつ太陽電池としての機能も保持します。

そのため、従来品より軽量の太陽光パネルを製造できる可能性に期待が寄せられています。

ペロブスカイト半導体の開発経緯

ペロブスカイト太陽電池には、ペロブスカイト化合物で構成された半導体が組み込まれています。

ペロブスカイト化合物の研究は2005年に始まり、NH3CH3PbI3というペロブスカイト結晶を元に、セルとして機能させるための薄膜構造の形成が行われました。

また、正極や負極といった太陽電池に必要な部分を、ペロブスカイト化合物へ塗布および積層構造にするための開発・改良が進められ、2022年時点で試作型の太陽電池が製造されています。

最近では、印刷によりペロブスカイト太陽電池を作り出すことができるようになり、プラスチック基板へ取り付ける薄型太陽電池も考えられている状況です。

近い将来、極薄型のペロブスカイト太陽光パネルや小型太陽電池などが、市場に普及するようになるかもしれません。

ペロブスカイト太陽電池のメリット

ペロブスカイト太陽電池は、60年以上使用されてきた結晶シリコン系の太陽電池とは異なるメリットを持っていて、なおかつ今後の太陽光発電業界において主力製品として並ぶ可能性があります。

これから太陽光発電所の導入を検討している方や既に導入している方も、ペロブスカイト太陽電池のメリットについて確認しておきましょう。

レアメタル不要で製造可能

ペロブスカイト太陽電池はレアメタルを用いずに製造できるため、量産しやすいだけでなく、原材料の調達不足といった問題も起こりにくいというメリットがあります。

レアメタルとは、産出量の少ない希少金属のことです。

2022年、市場で流通・普及している結晶系シリコンの太陽電池は、レアメタルがなければ製造できません。そのため、原材料不足による太陽光パネルの製造数減少、各国の原材料調達に関する対立といった問題も懸念されます。

一方、ペロブスカイト太陽電池は化合物系の半導体で構成されているので、一般的な化学物質を組み合わせながら製造・量産できます。

製造コストを抑えられる

結晶系シリコンの太陽電池より製造コストを抑えられるのも、ペロブスカイト太陽電池の優れた部分といえます。

結晶系シリコンの太陽電池は、世界的な脱炭素化の流れもあり、各国で需要の高い製品です。しかし、産出量の少ないレアメタルがなければ製造できないだけでなく、複雑な製造工程や大量の電力を消費しながら加工するため、原材料価格は年々値上がりしています。

特にこれから太陽光発電事業の成長や長期的な設備運用を考えている企業にとっては、太陽光パネルの購入・交換コストの負担増加にもつながります。

ペロブスカイト太陽電池は結晶シリコン系太陽電池と異なり、高温加工や複雑な製造加工も不要です。そのため、高額な製造設備を導入することなく量産でき、消費電力量の削減といったメリットも得られます。

さまざまな形状で設計製造できる

ペロブスカイト太陽電池は、さまざまな形状で設計・製造可能な性質を持ち合わせています。

シリコン系の太陽電池の場合は、薄く製造すればするほど太陽光の吸収率が低下してしまいます。また、ガラスを主成分とした半導体なので、シートのように曲げられません。

ペロブスカイト太陽電池は、通常の製造工程で薄く製造できるほか、太陽光の吸収率も下がりません。そのため従来のような太陽光パネルだけでなく、建物の屋上や壁面に薄い太陽光シートを貼り付けたり曲面の多い設備や建物に取り付けたりすることも可能です。

ペロブスカイト太陽電池のデメリット

続いては、ペロブスカイト太陽電池のデメリットについて確認していきましょう。

不安定な結晶構造

ペロブスカイト太陽電池の実用化に時間がかかっている理由の1つは、結晶構造が不安定なことです。

ペロブスカイト半導体は、酸素などの分子による影響を受けやすく、かつ熱によって変化しやすい性質もあります。このような影響を受けた場合、太陽光の吸収率低下につながり、実用化には難しい状況です。

太陽光パネルの表面温度は、夏場に70~80℃程度まで上昇してしまうこともあります。少なくとも熱に対して強い性質を持つことが、実用性という点で重要といえるでしょう。

少量ではあるが鉛を使用

ペロブスカイト太陽電池は少量の鉛を使用するため、環境負荷という点でデメリットになります。

鉛が土壌に流出してしまうと、汚染による環境への影響も出てきます。また河川や海の汚染につながるリスクもあります。

ただし今後の研究開発によっては、鉛不使用のペロブスカイト太陽電池が製造される可能性もあり、それに期待されています。

ペロブスカイト太陽電池の実用化はいつ?

ペロブスカイト太陽電池は2025年に実用化されるという話もありますが、研究開発の進捗状況によります。

そのため、実用化は最短で2025年、遅いと5年以上かかると予測されています。

ペロブスカイト太陽電池の実用化まで待ってしまうと、脱炭素経営を進められません。カーボンニュートラルや脱炭素経営は、世界的な流れであり国の目標です。

企業は、今から既存の太陽光パネルを用いながら非FIT型太陽光発電を導入し、全量自家消費を進めていくのが大切です。

結晶系シリコンの太陽光パネルは、改良と普及によって年々1~3万円ずつ安くなっています。たとえばパネル1枚あたりの価格は、安いタイプで16万円台というケースもあります。

なお、弊社和上ホールディングスでは、全量自家消費型太陽光発電の企画設計、施工保守だけでなく、設備の選定まで総合的にサポートいたします。太陽光パネルの価格が気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

ペロブスカイト太陽電池の販売へ向けた企業や団体の動き

ペロブスカイト太陽電池の実用化に向け、いくつかの企業や団体では日々研究開発・改良を進めています。

そこで最後は、ペロブスカイト太陽電池の実用化へ向けた企業や団体の動きについて紹介していきます。

東芝ではフィルム型の太陽電池研究が進む

2021年9月、東芝ではフィルム型ペロブスカイト太陽電池の新しい成膜法(フィルムに太陽電池を塗布する)を開発し、なおかつ703㎠という大型サイズで発電機能を維持することに成功しました。

また同社では、2023年度までにペロブスカイト太陽電池の研究開発段階を完了させ、2025年の実用化という目標を掲げています。

独自技術のこの成膜法は「メニスカス塗布」という方法で、ワンステップで均一な加工を行えるのが特徴です。これにより高速で塗布ができるため、1分あたり6mの加工が可能です。

リコーとJAXA共同で開発

事務機器や光学機器メーカーとして有名なリコーは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)と共同でペロブスカイト太陽電池の開発を続けています。

JAXAは、人工衛星に搭載する太陽電池の研究開発を行っています。そこで、製造コストが安価で柔軟な設計も可能、さらに印刷のように製造できるペロブスカイト太陽電池に目を付け、ペロブスカイト太陽電池研究の第一人者でもある宮坂氏とつながりを持つリコーと共同研究を2018年から始めたと言う経緯があります。

JAXAの研究が進めば、リコー経由で民生品に応用される可能性があり、また太陽光発電投資を検討している企業にとってもメリットのある状況です。

中国の南京工業大学でコア技術製造に成功

中国の南京工業大学では、2022年11月にペロブスカイト太陽電池の印刷に関する重要な技術の開発に成功しました。

同大学で採用している印刷方法はスクリーン印刷技術です。スクリーン印刷技術とは、インクを転写させる部分に穴が開いた板をセッティングし、貫通穴からインクを流し込む印刷方法のことです。

ペロブスカイト太陽電池の印刷に必要なインクは、空気中で安定した保存が難しい性質があります。南京工業大学は研究開発を重ね、15㎠の板に均一に印刷できる技術を確立させました。

今後は、インクを安定した状態で保存しながら、50㎠サイズの印刷を目指しています。

ペロブスカイト太陽電池なら変換効率30%台も夢じゃない!

ペロブスカイト太陽電池は、ペロブスカイト化合物を用いた新しい半導体です。シリコン半導体と異なり、シートのように薄いタイプの太陽光パネルを製造できるのが大きな特徴です。また製造コストが安価で、発電効率22%程度と高効率を維持できます。

ただし、現時点ではまだ実用化されていないため、脱炭素経営や太陽光発電事業を始めるには、既存の太陽光パネルを導入するしかありません。結晶系シリコンやCIS太陽光パネルは、発電効率20%前後を維持し、なおかつ1枚あたり10~20万円台の安価な価格で販売されています。

太陽光発電で自社の固定費を削減したい方や太陽光発電事業に関心を持っている方は、今回の記事を参考にしながら全量自家消費型太陽光発電のサービスを検討してみてはいかがでしょうか。

弊社和上ホールディングスでは、発電した電気を全て自社で活用可能な全量自家消費型太陽光発電の企画作成~保守運用までサポートしています。また、お客様のご要望に合わせて、太陽光パネルやパワーコンディショナのメーカー、型番、性能なども比較検討いたします。

全量自家消費型太陽光発電は、年間10%や40%と電気料金を削減できますし、2022年に導入すれば即時償却などといった経費負担の軽減策を講じられます。また、CSR活動に役立ちます。

少しでも気になる方は、この機会にぜひご相談ください。専任の担当者が、全量自家消費型太陽光発電に関するあらゆる疑問にお応えいたします。

自家消費型太陽光発電のお見積り・ご相談はこちら

自家消費型太陽光発電 専門サイト

自家消費型太陽光発電 専門サイトまずはお気軽にご相談ください。

お急ぎの方はお電話ください。

自家消費カテゴリの最新記事