倉庫を所有している企業の場合、固定費削減や環境経営の一環として太陽光発電を始めてみるのもおすすめです。一般的に倉庫の屋根はビルの屋上より広い面積で、かつ遮蔽物の少ない環境です。そのため太陽光発電の設置に適しています。
そこで今回は、倉庫に太陽光発電を導入するメリットや注意点について詳しくご紹介します。電気料金高騰に悩んでいる方や倉庫を所有していてかつ脱炭素経営を検討している方は、参考にしてみてください。
倉庫に太陽光発電を導入する主なメリット
まずは、倉庫の屋根や周辺に太陽光発電を導入することで得られるメリットを確認していきましょう。
遮熱効果を期待できる
倉庫の屋根に太陽光パネルを取り付けた場合は、遮熱効果を高めることが可能です。遮熱とは、強い日差しによる室内の温度上昇を防いでくれる効果のことです。
多くの倉庫は、折板屋根という温度上昇しやすい構造の屋根が使われていて、夏場の室内温度70度超えといったケースも珍しくありません。また天井が高いため、空調設備で冷却しにくい傾向にあります。さらに周囲に建物や日光を遮る物のない場所に建てられていると場合は、温度上昇しやすい状況だと言えます。
そこで倉庫の屋根に太陽光パネルを設置すれば、発電による経済的メリットだけでなく、遮熱による熱中症リスクや製品への影響を抑えることが可能です。
太陽光パネルの遮熱効果は、夏場で10℃程度の表面温度低下、冬場で5℃程度の温度上昇が期待できます。
倉庫内の電気料金負担を削減
倉庫内でかかる電気料金の負担を削減できるのが、太陽光発電設置によって得られるメリットの1つです。
食品や製品の品質や安全性を維持するためには、倉庫内の温度を一定に維持・管理する必要があります。そのため、電気料金の値上げによって負担が増えたとしても、安易に空調や照明設備の使用頻度を抑えることは難しい状況です。
そこで太陽光発電で発電した電気を倉庫内に供給できれば、電気料金の負担を軽減させながら通常どおりの倉庫管理を継続できます。
太陽光発電の自家消費によって得られる電気料金削減効果は、日照時間や太陽光パネルの設置枚数、現時点の電気料金などによって変わります。特に完全自家消費型太陽光発電の場合は、年間で40%前後の電気料金削減効果を得られるケースもあるので、多くの企業にとってメリットの多い設備です。
脱炭素経営に役立つ
倉庫への太陽光発電設置および自家消費は、環境経営や脱炭素経営のアピールにもつなげることができるメリットの多い運用方法です。
海外や日本では、気候変動対策としてカーボンニュートラル、温室効果ガスの削減といった対策を実施しています。また、日本の場合は2050年のカーボンニュートラル達成という目標を掲げるなど、環境重視の社会という大きな流れが形成されつつある状況です。
太陽光発電を活用した事業活動は、CO2削減という環境対策につながり、取引先や消費者から評価されやすいといったメリットを得られます。
設置状況によっては税金の優遇措置を受けられる
中小企業や個人事業主の場合は、倉庫や敷地内への太陽光発電設置によって、税制優遇措置を受けられる場合があります。
中小企業経営強化税制は、太陽光発電システムを含む対象設備の初期費用に対して10%の税額控除、もしくは即時償却(設備購入年度に全額償却)を選べる支援制度です。
また中小企業投資促進税制の場合は、取得費用の30%にあたる特別償却もしくは7%の税額控除を受けられます。
そのほか、生産性向上特別措置法は、倉庫を含む事業に活用されている建築物への太陽光発電設置によって、固定資産税を3年間負担ゼロ、もしくは2分1という優遇措置を受けられるのが特長です。
このように倉庫と太陽光発電は、支援制度の受けやすさという点で良い相性だと言えます。
BCP対策に役立つ
倉庫への太陽光発電導入は、BCP対策としても役立つ側面があります。
BCP対策は、災害や紛争などといった非常事態が起こった場合に、自社の資産を可能な限り守りつつ、事業活動の再開と継続を目指した対策です。
特に日本の場合は地震が多く、震度7クラスの地震が起こる可能性もあります。そのため、いつインフラ設備の破損や停止といった非常事態が発生しても対応できるよう、BCP対策に関する検討、準備をおこなうことをおすすめします。
倉庫の屋根へ太陽光発電を設置しておけば、停電時でも速やかに空調設備や照明を復旧させることが可能です。また、データ保護に必要な設備にも電力供給できるため、データ消失や精密機器の破損といったリスクを抑えられます。
倉庫の屋根に太陽光発電を設置する場合の注意点
続いては、倉庫の屋根に太陽光発電を設置する場合の注意点について解説していきます。
建物の耐震基準によっては設置が難しい可能性
旧耐震基準などで耐久性に問題のある倉庫には、太陽光発電を設置できない可能性があります。
1981年6月1日以前に建てられた建物は、旧耐震基準に沿って設計されています。太陽光発電の設置は、新耐震基準をクリアした建物である必要があるので、状況によっては設置できない可能性もあります。
また屋根の形状や立地条件の関係から、収支バランスを維持できない場合もあるため、実績豊富な業者へ設計・見積もりの相談するのがいいでしょう。
設置時に初期費用がかかる
太陽光発電の導入時には、太陽光パネルや架台・パワーコンディショナといった設備と設置工事のための費用がかかります。
費用負担を避けながら環境経営をしたい企業にとっては、デメリットと言えるポイントです。しかし、太陽光発電向けの低金利なソーラーローンがあるので、一括払いでなくとも太陽光発電の導入を進められます。
また、初期費用の回収期間は15~20年間で、保証期間内に回収を完了させられます。
ランニングコストが発生
太陽光発電の管理運用には、ランニングコストがかかります。
太陽光発電のランニングコストとは、太陽光パネルや架台などの設備・周辺機器に関する点検や修理、部品交換、清掃や洗浄といった作業にかかる費用のことです。
経済産業省の「令和4年度以降の調達価格等に関する意見」という資料では、保守点検にかかる費用は出力1kWあたり5,000円と計算されています。
これは、出力100kWの太陽光発電を倉庫の屋根に設置した場合、年間50万円程度のランニングコストがかかるということです。
太陽光発電事業を始める場合は、ランニングコストの予算を確保できるか試算した上で検討してみてはいかがでしょうか。
和上ホールディングスでは、自家消費型太陽光発電の設計施工、保守の他、補助金制度の申請代行、ランニングコストを抑えるためのアフターフォローを含め、一括でサポートいたします。
出口戦略を策定しておかなければ後から負担がかかる
太陽光発電を導入する場合は、出口戦略の策定が大切です。
太陽光発電は経年劣化していくため、設置から30~40年までに出口戦略を策定しなければ、故障や事故といったリスクにつながります。
そのため、太陽光発電設備の撤去時期や撤去にかかる費用の計算、リサイクルなど、さまざまな点から出口戦略を考えておきましょう。
倉庫に太陽光発電を設置する場合に利用可能な補助金制度
倉庫に太陽光発電を設置する場合は、補助金制度を受けられるか確認してみるのがおすすめです。補助金制度を受けることができれば、初期費用を抑えられますし、費用回収の期間を短縮できます。
例えば東京都運営の「地産地消型再エネ増強プロジェクト」は、中小企業や社会福祉法人などが対象の補助金制度です。太陽光発電を含む再生可能エネルギー設備が対象で、初期費用の3分の2以内であれば補助金を交付してもらえます。(上限1億円)
他にも国や自治体独自の補助金制度が実施されているので、太陽光発電施工業者へ制度の実施状況や内容を調査してもらったり、申請代行してもらったりしてみてはいかがでしょうか。
倉庫への太陽光発電設置事例
横浜冷凍株式会社では、2006年に伊勢原物流センターへ太陽光発電を設置し、その後も複数の物流センターへの太陽光発電導入を継続しています。
2014年に建てられた夢洲物流センターは、業界最大級の太陽光発電設備が設置され、自家消費による電気料金削減およびCO2削減効果について期待されています。
なお、横浜冷凍株式会社で公開されている情報によると、2021年9月期のCO2削減量は2,220トン、1,493世帯分の電力を発電している状況です。
このように、倉庫への太陽光発電設置は国内企業でも導入されている運用方法であり、環境経営の1つです。
倉庫を所有している企業は太陽光発電でコスト削減を目指してみよう!
倉庫の屋根に太陽光発電を設置した場合、自家消費によって倉庫内の照明や空調などの電気料金を削減できます。また、自家消費によるCO2削減が、環境経営および企業価値アップにつながります。
太陽光発電の設置方法について調べている方や倉庫の維持管理コストに悩む方は、今回の記事を参考に倉庫への太陽光発電設置を検討してみてはいかがでしょうか?
和上ホールディングスでは、工場やビルの他、倉庫への全量自家消費型太陽光発電設置に関するサポートに対応しているサービスです。
15,000棟もの施工実績から、初期費用を抑えるための設計やプランニング、設置後の電気料金削減効果を伸ばすための運用保守、効率的な発電を行うための設置工事など、さまざまなノウハウを蓄積しております。
倉庫の維持管理コストに悩む方や自家消費型太陽光発電の設置にかかわるあらゆるサポートを受けたい方は、問い合わせフォームやお電話からお気軽にご相談ください。