太陽光発電のブレーカーが落ちる原因と対策についてわかりやすく解説!

太陽光発電のブレーカーが落ちる原因と対策についてわかりやすく解説!

太陽光発電事業を展開している方の中には、何らかの原因で頻繁にブレーカーが落ちてしまい悩んでいる方もいるのではないでしょうか?頻繁にブレーカーが落ちてしまうと発電量の低下につながるほか、故障の可能性も考えられます。

そこで今回は、太陽光発電のブレーカーがよく落ちる場合の原因や対処法、対策について詳しくご紹介します。太陽光発電のブレーカーが落ちやすくて悩んでいる方や、太陽光発電のブレーカーに関する仕組みや落ちる原因がわからない方などは、参考にしてみてください。

太陽光発電のブレーカーが落ちる主な原因

太陽光発電のブレーカーが落ちる主な原因

ブレーカーとは、電気回路を自動的に遮断する装置のことです。

太陽光発電設備の稼働には、専用のブレーカーが必要になります。太陽光パネルに日光が当たり発電することによって得られた電力は直流電源であるため、一度パワーコンディショナーを通じて一般的に使用されている交流電力に変換します。

この交流電力は太陽光専用の分電盤に送られ、そこを経由して建物の使用箇所に電力を供給し、売電する際には余剰電力を電力会社の送電網へ送ります。太陽光発電用のブレーカー(ここでは、太陽光ブレーカーと言います)は、この分電盤内に収められています。

ブレーカーの種類

ブレーカーにはアンペアブレーカー、漏電遮断器、配線用遮断器などの種類があります。アンペアブレーカーはあらかじめ設定された以上の量の電気が流れたときに、電気の供給をストップして回路を遮断するものです。

漏電遮断器は、接続されている電気配線や供給先の電気設備内で漏電が発生すると、自動的に電気を切断して漏電による火災、感電事故を防ぎます。

配線用遮断器は、分電盤から各所に電気を送る際にグループ分けされた回路ごとの安全を守る、いわゆる「子ブレーカー」です。

漏電によりブレーカーが落ちる場合

太陽光発電設備内の電気配線や電気設備内で漏電が起きている場合は、漏電遮断器が落ちる可能性が高くなります。

同時に大元の太陽光ブレーカーも落ちますので、太陽光発電設備のどこかで発生している漏電が解消されるまではブレーカーを上げてはいけません。

ブレーカーの容量が合っていない状態

太陽光発電設備においても、あらかじめ使用する電気の容量が決められています。ブレーカーで設定された容量を超えた電気を一度に使用すると、アンペアブレーカーが落ちることになります。

また、パワーコンディショナーから流れる電流に対し、太陽光ブレーカーの容量が小さい場合も落ちます。

発電設備の設計で基本となる事ですが、ブレーカー容量は十分に検討しておく必要があります。

ブレーカーは高温多湿で落ちやすくなる

太陽光ブレーカーを収めている分電盤内の温度が上昇すると、ブレーカーが誤作動を起こし、落ちることがあります。他にも湿度が上昇した場合も漏電リスクを感知し、ブレーカーが落ちることがあるでしょう。

野立ての太陽光発電設備では分電盤が屋外に取り付けられていることが多いため、高温多湿を避けるための通風対策や空調設備の設置などを検討する必要があります。

落雷によるブレーカー遮断

落雷により保護回路が働き、ブレーカーが落ちることもあります。これは、落雷等により発生した過電流、過電圧が電線を介して系統電力へ逆流し、それが悪影響を及ぼさないための措置です。

落雷の種類には「直撃雷」「誘導雷」「逆流雷」の3つがあります。

直撃雷とは、雷が対象物(建造物・電柱・電線・通信線・避雷針・アンテナ・人体等)に直撃することです。太陽光パネルへの直接の落雷は事例が非常に少なく、それほど心配する必要はありません。

問題となるのは誘導雷と逆流雷です。

誘導雷とは、樹木や近隣の建物への直撃雷により、電線ケーブル等に誘導されるものを言います。誘導雷による過電圧や過電流を「雷サージ」と言い、電気機器の破損のほとんどは、この誘導雷による雷サージによるものです。

逆流雷とは、建物や大地への落雷により対地電圧が上昇することによって、接地(アース)の電極棒を介して逆流してくる過電圧や過電流のことを指します。

地絡過電圧継電器(OVGR)の働きによる遮断

地絡過電圧継電器(OVGR)とは、地面に電気が流れて過電圧や過電流が発生する地絡事故が起こった場合に回路を保護する継電器で、太陽光システムには必須のものです。

地絡過電圧継電器(OVGR)を設置していないと、地絡事故が起きたときに電線に過電流が流れ、系統電力の送電線の損傷や断線などを引き起こす可能性があります。最悪の場合は変電所の遮断器が落ちて周辺一帯が停電となり、広範囲を巻き込んだ大規模な障害を引き起こす可能性があります。

雨による短絡

雨天時に太陽光パネルや電子機器、電線ケーブルが直接濡れてしまうと、水を介して短絡(ショート)してしまい、漏電を引き起こすことがあります。剝き出しになった回路や電線がある非常に危険な状態ですが、特定の条件下でしか発生しないため、根本的な原因を追求せずに見過ごされがちです。

施工不良

稀なケースではありますが、設置工事時の施工不良によりブレーカーが落ちる場合もあります。

施工側の都合によるブレーカーの勝手な改造や接続不良のほか、施工要領書を読まないことによる地絡過電圧継電器(OVGR)とパワーコンディショナーの接続間違いなどが事例として報告されています。

接続間違いがあると、ブレーカー本来の機能が作動せず、重大事故を防げません。

太陽光発電設備の設置工事は施工実績が豊富で信頼できる業者に依頼しましょう。

ブレーカーが落ちた場合の対処法

ブレーカーが落ちた場合の対処法

ブレーカーが落ちたとしても、安易にブレーカーを戻さないことが重要です。

ブレーカーが落ちたということは、設備に何らかの不具合があることを意味しています。そのため、原因を特定し、それを解決してからブレーカーを戻してください。さもないと、システムの故障を発生させる可能性があります。

ブレーカーが落ちたら、まずは周辺状況から要因を推測しましょう。原因が明らかであれば、専門業者による点検の前に一部を復旧することも可能ですが、その場合でもブレーカーを復旧する手順が重要です。

まず、アンペアブレーカー、漏電遮断器、配線用遮断器のスイッチを全てオフにします。続いてブレーカーを戻していきますが、順番は①アンペアブレーカー②漏電遮断器③配線用遮断器(落ちた原因の回路は落としたまま)、です。

ただし、電気工事の有資格者による点検は必要ですので、速やかに業者に依頼しましょう。

太陽光発電のブレーカーが頻繁に落ちる場合

太陽光発電のブレーカーが頻繁に落ちる場合

太陽光発電のブレーカーが落ちると、当然発電が停止してしまい、日中であれば発電の大きな機会損失となってしまいます。頻繁にブレーカーが落ちる場合は、その原因を早期に追求し解決する必要があります。

ブレーカーが落ちる時間や状況を記録

原因を究明するために、ブレーカーが落ちたタイミングを記録するようにしましょう。そのタイミングの天候や気温、湿度などの気象条件も併せて記録しておくとより効果的です。

時間帯や気象条件が複数一致する場合は、そこに手がかりがある可能性が高くなります。

時間帯であれば過電流・過電圧、気象条件であれば短絡などの要因です。

風通しのいい状態にしておく

頻繁に落ちるブレーカーが収められている分電盤が屋外に設置されている場合は、直射日光により分電盤内の温度が上昇することが原因によるブレーカーの誤作動が考えられます。

日除けなどを設置して、直射日光が当たらないように工夫してみましょう。

ブレーカーの設置場所は、設計段階でよく検討しておく必要があります。

可能であれば屋内に設置して高温にならないようにするのが理想的ですが、野立てのソーラーパネルでは屋外に設置せざるを得ない場合も多々あります。

その場合でも直射日光が当たらないようにして、急激な温度変化が発生しないように設置位置や方角の配慮が必要です。北側で通風の良い場所に設置すると効果的です。風通しが良い位置であれば、ブレーカーの急激な温度上昇があったときにも温度が下がりやすくなり、高湿度による漏電も防げます。

設置位置の制約があり、どうしても直射日光を避けられないようなケースでは、パワーコンディショナーと同様に冷却ファンを取り付けると良いでしょう。

O&M業者へ状況を相談

ブレーカーが落ちた場合の太陽光発電設備の点検は、O&M業者へ依頼しましょう。

O&MはOperation & Maintenance(オペレーション&メンテナンス)の略で、太陽光発電設備の運用と保守・修繕を専門に行うサービスです。

一般の電気業者では太陽光発電の特性を理解していないことも多く、原因の究明や対応に時間が掛かるケースもあります。そのため、専門的知識のある太陽光専門のO&M業者に依頼するのが無難でしょう。

太陽光発電のブレーカーが落ちるときはすぐに確認!

太陽光発電のブレーカーが落ちるときはすぐに確認!

ここまで、太陽光発電設備のブレーカーが落ちる原因とその解決策について解説しました。

ブレーカーが落ちると、せっかく発電していても送電ができず、大きな機会損失となってしまいます。

ブレーカーを上げて一時的に再稼働したとしても、根本の原因が究明できていないと再発し、最悪の場合は漏電事故や火災を引き起こしてしまう可能性もあります。

ブレーカーが落ちた場合は、太陽光発電設備のメンテナンスを専門に行う業者にすぐに確認してもらうようにしましょう。

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