エコキュートとは何? メリット・デメリット徹底解説

エコキュートとは何? メリット・デメリット徹底解説

自然環境への影響やコスト面を考慮して、省エネルギーの給湯器「エコキュート」を設置する家庭が増えています。このような現状を受けて、「自分の家でもエコキュートを設置してみたい」と興味を持つ人もいるのではないでしょうか。設置を検討するなら、事前にエコキュートの貯湯の仕組みや費用などを知っておくことも大切です。この記事を読むことで、エコキュートの特徴やメリット・デメリット、選び方などの理解を深めてください。

エコキュートの基礎知識

まずはじめに、エコキュートの特徴や仕組み、価格など、導入を検討するときに知っておきたい基礎知識について解説します。

特徴・仕組み

エコキュートとは、「ヒートポンプ技術」を活用して、空気中の熱でお湯を沸かす電気温水器のことをいいます。ヒートポンプは、空気中の熱を吸収して圧縮し移動可能にする技術で、エアコンなどにも使用されているものです。また、「夜間電力」を使用して水を温め、貯湯タンク内にお湯を貯めておくことで、いつでもお湯を出せる仕組みになっています。ちなみに「夜間電力」とは、一般的な電気料金のプランではなく夜間の電気料金が安く設定されているプランのことを言います。

費用

エコキュートの初期費用について、一般的な相場をは以下の通り。

初期費用は「本体費用」「電気工事費用」「水道工事費用」に分けられます。

エコキュート本体価格の費用は、3〜5人向けのものであれば60万円〜100万円程度が相場です。エコキュート設置のための工事費用は、電気工事と水道工事の両方が必要で10万円以上はかかります。設置費用は、設置する場所のスペースやメーカー、貯湯タンクのサイズなどによっても変わってくるので、複数の専門業者に見積りを依頼し、信頼できる業者を選びましょう。

エコキュートのメリット・デメリット

エコキュートの導入を検討するなら、メリット・デメリットの両面を知っておくことが大切です。電気代はどうか、ガス給湯器との比較、お湯の量に配慮するポイントなど、詳しく把握しておきましょう。

大きなメリットは電気代が安くなること

エコキュートは、ガスよりも割安な夜間電力を使用してお湯を沸かす仕組みなので、電気代を抑えることができ、月々の光熱費の節約につながります。

例えば、ガス給湯器では、一般的に家族2人で光熱費が年間約55000円かかるとされています。エコキュートを導入すると、年間約22000円まで料金が下がるので、約33000円お得になるというシミュレーション結果もあるほど。電気料金プランによっても節約額が異なるので、導入前のシミュレーションを欠かさず行ってくださいね。

また、ガスや石油を燃やさないヒートポンプ技術による「空気の熱」でお湯を沸かすため、CO2排出量が少なく、環境にも優しいというメリットもあります。貯湯タンクにお湯が溜まっていれば、自然災害などで断水になったときでもお湯を使用することができるので安心です。

考えられるデメリット

お湯切れ

貯湯タンクに溜まっていたお湯がなくなってしまうと水しか出てこなくなり、一度お湯切れになると次にお湯を沸かすまで時間がかかります。エコキュートを使用する際は、お湯の量をしっかり管理しなければなりません。エコキュートが自動で管理する機能を持っていると、こうしたデメリットへの対処ができるので楽になります。例えば、学習機能を使用して湯量を決める「おまかせモード」といった、その日に使用する湯量に合わせて設定が切り替わる機能があります。

また、貯湯タンクの湯量が少なくなると自動で沸き増しをする「自動沸き増し機能」がついている製品もあります。機器の機能はチェックしておくことをお忘れなく。

夜間の運転音

エコキュートは夜中に稼働させるため、ヒートポンプから出る運転音により、近隣と騒音トラブルになる可能性もあります。運転音は40デシベル程度と静かな図書館内と同じくらいですが、わずかな音でも時間帯によっては不快に感じる人もいます。設置前には、近隣との距離感を意識して設置場所を工夫する、防音シートをヒートポンプユニットに貼るといった対策をしておきましょう。

設置スペース

設置の際には、屋外に機器を置くスペースを確保しておかなければなりません。製品によっても違ってきますが、一般的なタンクユニットのスペースの目安としては、幅が約900mm前後、奥行300mm前後です。ヒートポンプユニットは、幅500mm前後、奥行600mm前後になります。

使い方によっては電気代が高くなる

エコキュートを使用する場合、深夜帯に電気料金が安くなる電気料金プランを契約します。しかし、日中の電気料金は高くなってしまうので、日中家にいる時間が長かったり、日中に貯湯タンクの沸き増しを行ったりする家庭では電気料金が高くなってしまうという懸念があります。

電気代に関するデメリットを避けるには、電気料金プランを変更する際にじっくりと検討し、電気代が高い時間と安い時間を家族と共有するのがおすすめです。また、エコキュートのなかにはピークカット機能を搭載しているモデルがあります。この機能を使うと、電気代が高くなる時間帯に自動で沸き増しするのを防げるため、電気代の抑止が可能です。エコキュートに最適なのは昼の価格が高い電気料金プランですが、ライフスタイルの都合がつかないときは昼間に太陽光で発電した0円の電気を使うこともおすすめです。

停電時はお湯を沸かせない

エコキュートは電気と空気の熱でお湯を沸かすため、停電時にお湯を沸かすことはできません。停電しても、貯湯タンクに入っているお湯が入っていれば使えますが、追い焚きなどの機能を利用できないのはデメリットと言えますね。また、停電時はエコキュートの温度調整ができなくなるので、蛇口から出てくるお湯は高温の状態です。普段の感覚で使用すると火傷をするおそれがあることは注意が必要です。

オール電化のデメリット

補足として、エコキュートの導入によるメリット・デメリットは、オール電化のメリット・デメリットと一緒に考える必要があります。まず、ガス給湯器がエコキュートに、ガスコンロがIHクッキングヒーターにそれぞれ置き換わるので、オール電化では電気代が間違いなく高くなります。エコキュートの導入によって光熱費が下がるとされているのは、ガス給湯器よりも効率良くお湯を沸かせるうえに、沸かしたお湯を貯めておけることが要因です。しかし、もともとガスの使用量が少ない家庭では光熱費が下がらない可能性もあるので、そこはしっかり考慮しましょう。

オール電化家庭は停電の備えが大切

停電時には家電が使えないため調理ができません。真冬の停電時は暖房も使えなくなります。とても便利なように感じるオール電化ですが、それは停電への備えが十分にあってこそ。しかし、オール電化のデメリットは太陽光発電と蓄電池でカバーできます。太陽光発電でつくった電気を蓄電池に貯めておくことで、停電時でも普段通りの生活が可能です。

エコキュートを選ぶときに意識したい3つのポイント

エコキュートを選ぶときに意識しておきたいポイントが3つあります。最適なタンクの容量や機能、製品の大きさといった大切なポイントを押さえて、各家庭に合ったエコキュートを導入しましょう。

タンクの容量

1つ目のポイントは、貯湯タンクの容量。エコキュートは、家族の人数などに合わせて最適な容量のものを選ぶことが大切です。湯切れを防ぐためにも、想定される湯量よりも少し大きめのタンクを選ぶことをおすすめします。具体的な貯湯タンク容量の目安については、以下の表を参考にしてください。

容量 家族人数 お湯の使用量 電気代(年間)
550L 5〜7人 湯はり1回、シャワー7回、洗い物など 約50000円
460L 4〜5人 湯はり1回、シャワー5回、洗い物など 約40000円
370L 3〜4人 湯はり1回、シャワー4回、洗い物など 約30000円
300L 2〜3人 湯はり1回、シャワー3回、洗い物など 約27000円
180L 1〜2人 湯はり1回、シャワー2回、洗い物など 約23000円

機能

2つ目のポイントは、エコキュートの機能について、各家庭の日常生活の状況をもとに、どのような機能が必要なのかを知っておくことです。エコキュートには、追い焚きや自動で足し湯を行うなどさまざまな機能が搭載されているものがあります。例えば、家族それぞれがお風呂に入る時間に開きがある場合は、追い焚き機能が必要になるでしょう。また、家族の人数が多く足し湯が必要になることが多いなら、自動で足し湯を行う機能がある製品を選ぶと便利ですね。

大きさ・形状

3つ目のポイントは、エコキュートの大きさ・形状です。タンクの形状や本体の大きさによっては、予定していたスペースには設置できない可能性もでてきます。事前に設置スペースの寸法を確認し、設置可能なタイプのものを選びましょう。

目安としては、小型だと奥行が430mm、幅が44mmで済むタンクがあるので、スペースに合う製品も見つけやすいのではないでしょうか。大型タンクになると、幅が600〜700mm、奥行が700〜800mmくらいです。

エコキュートは光熱費の節約に!太陽光発電も検討してみよう

エコキュートを導入することで、光熱費の削減や災害への備えなどさまざまなメリットが得られることがおわかりいただけたかと思います。

また、エコキュートを選ぶときには、家族の人数やお湯の使い方などに合わせて、適切な容量や機能が搭載されたものを選ぶことも大切です。エコキュートに太陽光発電もセットで活用すれば、さらに電気代を安く抑えられます。

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