太陽光パネルの竜巻被害リスクは?対策についても解説

太陽光パネルの竜巻被害リスクは?対策についても解説

太陽光発電事業において注意すべきトラブルのひとつが、竜巻被害です。とくに台風の発生数が多い9~10月頃は竜巻も発生しやすく、太陽光パネルへの影響も懸念されます。

本記事では、太陽光パネルが竜巻によってどのような被害を受けるのか、被害を受ける可能性がある時期と対策について詳しくご紹介します。竜巻や風による被害について知りたい方などは、参考にしてみてください。

竜巻による太陽光パネルの被害リスク

太陽光発電所は屋外に設置しなければいけないため、台風や雨風のほか、竜巻の影響も避けられません。竜巻に関しては年間約20件(2007~2023年、海上竜巻を除く)発生しており、さまざまな被害をもたらしています。まずは竜巻による太陽光パネルの被害リスクについて詳しく解説します。

出典:気象庁ホームページ(気象庁|年別の発生確認数)

風圧によるパネル表面のひび割れ、破損

竜巻による強い風は、太陽光パネル表面のひび割れやパネル・架台の破損につながるケースがあります。

太陽光発電所は、架台(太陽光パネルを設置するための土台)を地面に固定し、その上に太陽光パネルを敷き詰めるように設置されます。日光を効率的に受けられるように、太陽光パネルには傾斜もついています。

こうした構造は、太陽光パネルの下に入った風を逃がす場所がほとんどなく、風圧によってパネルがたわんだり、表面のひび割れにつながったりしやすいのです。

飛来物によるパネルの破損

竜巻を原因とする飛来物によって、太陽光パネルや周辺機器が破損してしまう事例もあります。

竜巻には、物を巻き上げたり建物を破壊したりするほどの威力があります。たとえば、JEF0(日本版改良藤田スケール:竜巻の威力を風速で区分したもの)の風速25~38m/sでも、窓ガラスの損壊やコンクリートブロックの破損、物置の横転といった被害をもたらす可能性があり、非常に危険です。

太陽光パネルは、一定の風圧や力に対して耐えられるよう設計されています。しかし、コンクリートブロックや木材などの重もさや大きさのある飛来物が直撃した場合、破損してしまう可能性があるのです。

竜巻によるパネルの飛散

竜巻の威力や風の入り方によっては、太陽光パネルの飛散を招く危険性もあります。

竜巻のほか、台風や暴風などでも同様ですが、架台の裏側から風圧がかかると、太陽光パネルの裏面(下側)から上に向かって力がかかります。これにより、パネルが架台から取れて飛散してしまう可能性があります。

また飛んでいこうとするパネルによって架台とパネルをつなぐ固定金具に大きな力がかかり、金具が歪んだり破損したりすることもあります。

架台ごと飛散・破損する可能性も

竜巻の規模によっては、架台ごと巻き上げられたり強い風で土台ごと歪んだりしてしまいます。

架台が折れ曲がる、基礎部分ごと引き抜かれてしまうといったケースも考えられるため、竜巻の発生リスクが高い地域では、土台や架台の強度を考慮して設置する必要があるでしょう。

突風による太陽光パネルの被害事例

アメリカなどに比べると日本での竜巻発生数、被害数は多くありません。しかし、竜巻によって太陽光パネルが損傷するケースも確認されています。ここからは、よりわかりやすく突風による太陽光パネルの被害事例を2例紹介します。

群馬県で突風による太陽光発電所の破損

2015年6月15日、群馬県前橋市鳥取町から伊勢崎市境上渕名で風速33~49m/s(F1スケール)の突風が吹き、約18kmの範囲にある建物や自動車、太陽光発電所などに大きな被害を与えました。

このケースでは竜巻と考えられる証言はありませんでしたが、異なる時間にダウンバーストも発生しています。ダウンバーストは、一方向に破壊的な気流が生じる現象で、太陽光パネルや住宅の一部、自動車などを吹き飛ばすほどの威力を持っています。

群馬県で発生した突風では、同地域に設置された太陽光発電所の架台ごと吹き飛ばされました。太陽光パネルが押しつぶされたり飛散したりする、大きな被害を被っています。

熊本県で風速35m以上の突風で設備が破損

2015年8月25日、熊本県荒尾市へ上陸した台風15号が、同県を含む九州北部を縦断しながら住宅やインフラなどへ大きな被害を与え、停電や断水、土砂災害も発生しました。

九州地方に設置された太陽光発電所には、風速35m以上の暴風によって杭が抜け、太陽光パネルや架台、ケーブルや周辺機器など、すべての機器・部材が吹き飛ばされたケースもあります。

突風や竜巻、台風の風による吹き上げから太陽光パネルや架台を守るには、基礎に用いられる杭を長くしたり、太陽光パネルの固定や設置方法を工夫したりすることが大切です。

太陽光パネルが竜巻で破損する理由

竜巻によって破損してしまう主な理由は、その構造が風の影響を受けやすいためです。

この仕組みは先述した通りで、架台および太陽光パネルの裏面に風が入ってしまうと、吹き上げられてしまうからです。変換効率を求め、ぎっしりとパネルを敷き詰めると、風の逃げ場がなくなってしまい、一体が吹き飛ばされやすくなります。

また、地盤がゆるい土地では、大きな力がかかることで杭の耐力が不足することもあります。

土地や気候に合わせて、設置場所や風圧荷重などの対策を考慮に入れましょう。風速が2倍になると風圧は4倍へ増えることもあります。竜巻による被害規模の大きさやリスクを認識した上で、適切な対策を進めていきましょう。

竜巻による太陽光パネル破損の損失を抑えるには

最後は、竜巻による太陽光パネルの破損や設備の損壊を抑える方法やポイントを詳しく解説します。

施工業者へ設計や規格を確認

竜巻をはじめとした災害リスクの高い気候で太陽光発電事業を営む場合は、設計や部材の規格について施工業者とよく確認しましょう。

太陽光発電にはJIS規格(Japanese Industrial Standards:日本の産業製品に関する統一された国家規格)が定められており、「JIS C 8990」に沿って耐風圧2,400Paへ耐えられるよう設計されています。風速に直すと62m/sまで耐えられる設計で、日本版改良藤田スケールのJFE2(53~66m/s:下から3番目の区分)に相当する竜巻であればしのげる可能性があります。JFE2の竜巻は、鉄筋コンクリート製の電柱が倒壊したり木造住宅の変形を起こしたりするレベルです。

ただし、実際はさまざまな条件が重なることで、風速30m/s台でも破損するケースもあります。

竜巻や暴風のリスクが高い場所に太陽光発電を設置している・設置する予定の方は、施工業者へ設計や規格を確認した上で、基礎部分の杭を長くしてもらうなど、防災対策について相談してみるのがおすすめです。

メーカー保証と保険の補償内容を確認

竜巻による被害を完全に抑えることは難しいため、太陽光発電関連の保険で損失に備えておきましょう。

メーカー保証に付帯されているものは、主に製造時の不具合や経年劣化による故障を対象にした無償修理・交換サービスです。自然災害による不具合や故障を対象にした保証サービスは一般的に付帯されていないため、別途自分で保険を探す必要があります。

太陽光発電事業に適した保険として活用されているのは、企業総合保険や動産総合保険、施設賠償責任保険、休業損害補償保険などとされています。保険へ加入していない企業は、災害対策と合わせて企業総合保険などを比較検討してみるのが大切です。

O&Mサービスへ災害対策を含めてサポートを依頼

本格的な災害対策を進めるなら、太陽光発電事業について深く理解しているプロへ相談しなくてはなりません。どこに相談すればよいか迷う方もいらっしゃると思いますが、O&Mサービスへ相談してみるのも一つの手です。

O&Mサービスは、太陽光発電の運用管理と保守点検を専門とするサービスの総称で、遠隔監視や緊急時の駆けつけサポート、修理交換など運用に関するあらゆる作業をカバーしてくれます。中には、災害対策や災害発生後の復旧作業までサポートしてくれるケースもあるため、竜巻・突風対策を進めたい場合も相談できるでしょう。

太陽光パネルは竜巻によって破損する可能性あり!事前の対策が重要

太陽光パネルは、竜巻やダウンバースト、暴風によって破損する可能性があります。損害を少しでも抑えるためには、設置予定場所、または現状の設備等を確認し、被害リスクを把握して対策しなければなりません。

施工業者へ太陽光発電所の設計や規格を確認したり、O&Mサービスへ災害対策について相談してたりしてみてください。

太陽光発電所の竜巻被害について心配な方は、今回の記事を参考にしながらとくとくサービスで対策を進めてみてはいかがでしょうか。

とくとくサービスは産業用太陽光発電専門のO&Mサービスで、目視や電気点検をはじめとした定期点検、遠隔監視サービス、緊急時の駆けつけサービス、レポート報告など、運用管理や点検に関するあらゆるサポートを行っております。

さらに、独自の災害対策・復旧サポートサービスがあるので、火災や水害・風災から設備を守るためのサポート、破損後の撤去・交換設置もまとめて依頼できます。少しでも気になった方は、お電話やメールよりお気軽にご相談ください。

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