エコキュートは環境性能が高く、経済性に優れているとして、オール電化住宅ではマストアイテムとなっています。電気料金が高騰している昨今、特にエコキュートの経済性の高さに注目が集まっており、導入事例が増えています。
しかし、エコキュートというと戸建て住宅のためのもので、マンションなど集合住宅は関係ないと思っている方は多いのではないでしょうか。当初は戸建て住宅向けの給湯設備でしたが、今ではマンションにも設置できるモデルが出揃っていますし、工法が確立しています。
そこで今回は、マンションにエコキュートの導入をお考えの方に向けて必要な情報を網羅していきたいと思います。
マンションでエコキュートは導入可能
冒頭でも述べたように、エコキュートはマンションにも導入可能です。最初に、「マンションにエコキュートを設置できるのって本当?」と思って当記事をお読みになっている方に向けて、マンションでのエコキュート設置についての概要をお伝えします。
実はマンションでもエコキュートは導入できる
当初は戸建て住宅向けに開発・販売されてきたエコキュートですが、今ではマンションなどの集合住宅にも設置が可能です。マンションのベランダやバルコニー、給湯器を設置するスペースなどに設置できるモデルが発売されていますし、マンションに設置するための工法も確立しています。
もちろんエコキュートが持つメリットもそのまま享受できるので、マンションにお住まいの方もエコキュートを検討する価値は高くなっています。
現在すでに浴室や台所用の給湯機が設置されているマンションの場合、その多くは一般の給湯器でしょう。これをエコキュートに交換することも可能で、マンションにエコキュートを設置する選択肢は以前よりはるかに広くなっています。
マンションでエコキュートを導入できる条件1:設置スペース
マンションは集合住宅なので、戸建て住宅のように「外壁」や「庭」といった部分がありません。そのため、エコキュートを設置する際には設置スペースがあるかどうかをしっかり確認する必要があります。
後述しますが、仮にスペースがあったとしても隣家と接している場所で騒音問題が起きそうな場合は不向きですし、共有部分に関わる設置となると権利問題もあるため、十分な調整が必要になると考えておいたほうが良いでしょう。
マンションでエコキュートを導入できる条件2:管理組合の許可
先ほど、マンションの共有部分について触れました。これはマンションなど共同住宅にある特有の事情で、エコキュートの設置場所や配管を通す場所が共有部分に関わる場合は、管理組合の許可が必要になるケースが大半です。
マンションの中でも居住者(区分所有者)が自由にしていいのは専有部分のみで、廊下やエントランスなどの共有部分は管理組合の承認が必要です。
ベランダやバルコニーは専有している部分ですが、実は共有部分扱いになっているマンションが多いため、エコキュートをこうした場所に設置する場合も事前に話を通しておく必要があるでしょう。
ちなみに、ベランダやバルコニーが専有部分ではないのは、非常時に避難路として使用する可能性があるからです。普段は専有しているスペースではありますが、特定の条件下では共有部分として使用されるため、エコキュートを設置するとしても避難路をふさぐような形で設置できないわけです。
マンションにエコキュートを導入するメリット
マンションにお住まいの方でエコキュートの導入を検討している場合、すでにメリットについてはある程度ご存じかと思います。しかしながらエコキュートには経済性や環境性能というよく言われているメリット以外にも多くのメリットがあります。
ここではそれを6つの項目で解説します。
経済性
エコキュートはヒートポンプと呼ばれる技術によってお湯を沸かします。ヒートポンプとは空気中にある熱を集め、それを高熱化することでお湯を沸かす仕組みのことで、すべて電気による発熱だけでお湯を沸かす給湯器よりもはるかに省エネです。
省エネ性能が高いだけに消費電力が少なく、高い電気代の節約効果を発揮します。
この「空気中の熱を集める」ということから、夏場はより省エネ性能が高くなります。理由は言うまでもなく、夏場は空気中に多くの熱があるため熱を集めやすく、水道水の水温も高いためお湯を沸かすのに使用する電力量が少なくなるからです。
環境性能
省エネであるということは、それだけ発電所への負担を軽減することになるため、発電に伴うCO2排出を削減できる効果が期待できます。エコキュートの名称にもなっている「エコ」というのはヒートポンプ技術によって空気中の熱を有効利用することや、エネルギー使用量の削減によって環境負荷を軽減する効果が期待できることに由来しています。
オール電化マンションとの高い親和性
エコキュートは通常、オール電化住宅に設置されます。IHクッキングヒーターとエコキュートをセットで導入することが多く、それによって調理と入浴などを家電に代替できます。
近年では最初からガスを導入しないオール電化マンションが増えています。オール電化マンションでは給湯器もエコキュートを使うことが前提になるため、設置場所や配管などにおいてもエコキュートを設置しやすい設計になっています。
マンションのように設備が充実している近代的な集合住宅こそ、エコキュートがふわさしいといえます。
「火」によるリスクの軽減
エコキュートを含むオール電化住宅(マンション)では、お湯をわかしたり調理をしたりする際に「火」を使いません。火があることで火災の原因になる一定のリスクがあるわけですが、オール電化だとこのリスクが軽減されます。
だからといってガス給湯器が危険というわけではありませんが、火を使わないことで安心感が高まるのは、実際にエコキュートやオール電化を導入している人からよく聞かれる声です。
タンク内のお湯が停電や災害対策になる
エコキュートを導入すると、タンク内に大量のお湯が常時貯められます。災害などによって停電が発生してもタンク内は高い保温性によってお湯が保存されるため、これを生活に使うことができます。停電が長期化してお湯が冷めたとしても生活用水として使用できるため、家庭内に大きな貯水タンク(しかも保温機能付き)があることは、安心につながります。
多くのエコキュートは一定の耐震性能を備えており、例えばダイキン社のエコキュートは震度7相当に耐えられる構造になっています。そのため地震によるダメージを回避できる可能性が高く、災害時に威力を発揮してくれるでしょう。
補助金を利用できる可能性がある
エコキュートはその名のとおり環境性能があるため、国や自治体からの補助金を受けられる可能性があります。国による大々的な補助金制度は2024年時点ですでに終了していますが、自治体のなかにはエコキュートに対して補助金をだいしているところがあります。
また、エコキュートの有用性は国も認めているため、予算編成によっては国の補助金が別の形で復活する可能性もあります。
マンションでエコキュートを導入する注意点
マンションにエコキュートを導入する際に知っておくべき注意点をまとめました。安全かつ円滑に稼働させるために、これらの注意点があることを知っておいてください。
騒音問題への対策
エコキュートをマンションに導入する際の注意点として1つ目に挙げられるのは、騒音対策です。エコキュート自体がそれほど大きな音を出すわけではありませんが、家庭内のエネルギーをオール電化にすると、エコキュートは電気代の安い深夜にお湯を沸かします。昼間であればあまり気にならない音であっても、深夜となると話は別です。
エコキュートから発せされる騒音は、低周波音と呼ばれる音に分類されます。低周波音は人間の話し声や鳥のさえずり、虫の音などに近い音です(環境省の「よくわかる低周波音」より)。さらに低い音は人によっては聞こえないため、低周波音による騒音は感じ方に個人差があります。
最初からエコキュートなどの給湯器を設置する設計になっているマンションであれば防音対策も施されているのですが、そうでない場合は騒音が伝わりやすい場所に設置する可能性もあるでしょう。
過去には訴訟にまで発展した事例もあるため、マンションなどの集合住宅でエコキュートを設置する場合は十分な騒音への意識と対策が必要です。
ベランダ、バルコニーの耐荷重
給湯器の設置場所が確保されていないマンションにエコキュートを設置する場合、ベランダやバルコニーに設置するケースが大半です。こうした場所にエコキュートを設置する前に注意したいのが、耐荷重です。
おそらく給湯器の設置場所が確保されていないマンションの場合、ベランダやバルコニーにエコキュートなどの機器を設置することも想定していないでしょう。エアコンの室外機が設置されている場合は、さらに重い機器を設置することにベランダやバルコニーが耐えられるかをチェックする必要があります。
エコキュート本体の重さに耐えられたとしても、エコキュートな内部に大量の水を貯め込むことから、その重さも考慮しなければなりません。あまり容量の大きなエコキュートだと耐荷重の問題で設置できない可能性もあるので、管理組合や施工店と十分相談した上で機器の選定をしましょう。
配管のスペース、構成
エコキュートは本体を置くことができればそれでOKというわけではありません。水道管や電源コンセントとの接続が必要なので、それらを含めた設置場所の検討が必要です。
既存の給湯がガスの場合
ガス給湯器が設置されていてそれをエコキュートに交換する場合も、やはりスペースの問題を考慮する必要があります。というのも、ガス給湯器は小型のものが多く、それと同じ場所にエコキュートを設置するとなると難しいケースが多いからです。
特に小型のガス給湯器を壁に設置している場合、それと同じ方法でエコキュートを設置するのは難しいでしょう。もちろん施工店はそういったケースを多く経験しているはずなので、ガス給湯器からの交換を希望する場合は事前に相談してみてください。
転倒防止措置
エコキュートは大きな機器で、音だけではなく振動も発生します。そのため機器が転倒するリスクがあります。
現在販売されている各社のエコキュートは制震機能がついているため、正しく設置すればエコキュートの振動だけで倒れる可能性はほぼありません。しかしながら地震など外的な揺れによって転倒してしまうリスクは残るので、設置工事をする際には十分な転倒対策をしておくことをおすすめします。
最大の課題、騒音問題への対策
先ほどマンションにエコキュートを設置する際の注意点として、騒音対策を挙げました。訴訟にまで発展してしまうリスクを秘めている問題なので、有効な対策について知っておきましょう。
音に加えて振動も要注意
音は空気の振動によって伝わるもので、それが隣家に日常的に伝わってしまうのが騒音問題です。そして、エコキュート本体の揺れが振動となって隣家などに伝わってしまう問題もあります。
低周波音なのでそれほど目立つ騒音ではありませんし、近年では騒音対策が充実しているエコキュートも多くなっているので以前ほど問題になる可能性は低くなっていますが、やはり深夜の低周波音は響きやすく、それが毎日となると隣家にストレスを与えてしまう可能性は否定できません。
設置場所の工夫
エコキュートの騒音対策として1つ目に重視したいのが、設置場所の工夫です。ベランダやバルコニーに設置する場合、隣家に近い、もしくは隣家に接しているような場所に設置してしまうと騒音問題のリスクが高くなります。
そうではなく、隣家から一定の距離を置いて設置するのがセオリーです。また、隣家の寝室は深夜に隣人が過ごす場所なので、そこに近い場所にエコキュートを設置しないようにするのも一定の効果があります。
距離を置いても壁伝いに音が伝わっていくこともあるため、エコキュートや配管などを壁から少し話すのも有効な対策としてよく用いられています。
制振材、防音シートの設置
エコキュート運転時の振動そのものが隣家に伝わってしまうだけでなく、振動発生時に音も発生します。こうした問題を回避するには、そもそも揺れが起きないようにすることが有効です。
エコキュートを設置する際には防振ゴムや防音シートを設置し、可能な限り揺れや音が漏れないようにしましょう。
近年では優れた性能を持つ騒音・防振アイテムがあるので、販売店に提案を求めるのもよいでしょう。ここで有効な提案が得られるかどうかは販売店選びの判断材料にもなります。
まとめ
マンションにエコキュートを設置することで得られるメリットや注意点について解説しました。特に注意したいのは、エコキュートの設置を前提とした設計になっていないマンションでの設置です。騒音や振動などの問題は訴訟にまで発展したこともあるため、管理組合や販売店と十分な相談をした上で設置を進めることをおすすめします。
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