近年、自然災害などによる大規模停電に備えるなどといった理由で、家庭用蓄電池の導入を進めているご家庭が増えています。蓄電池は、もともと産業用のバックアップ電源として利用されてきたものですが、東日本大震災を契機に、一般家庭でもその必要性が俄然注目されているのです。
さらに2019年11月には、太陽光発電における固定価格買取制度の保証期間が過ぎる一般家庭が出てきますので、現在の売電価格が大幅に下がってしまうと予測されています。これは、『2019年問題』などと言われているのですが、固定価格での買取期間が終了すると、買電価格よりも格段に安い売電価格となってしまうと予測されているのです。つまり、太陽光発電で作った電気は、売電するよりも自家消費する方が得することになるのです。
この場合、家庭用蓄電池を導入すれば、昼間に発電した電気を夜間に使えるようになるため、効率的な太陽光発電システムの活用が実現します。そのため、最近では家庭用蓄電池の注目度が上昇する一方なのです。
しかし、いざ蓄電池の導入を検討した場合には、どういった点に注目して蓄電池選びをすれば良いのか迷ってしまう…という声は少なくありません。そこで今回は、蓄電池の購入時におさえておきたいポイントをいくつかご紹介していきたいと思います。
蓄電池選びのポイントについて
近年、一般家庭でも導入が進んでいる蓄電池ですが、使用用途などによって選ぶ種類が異なります。さらに、蓄電池は、実に多くの製造販売メーカーから、さまざまな種類のものが販売されていますので、購入時にどれを選べば良いのか迷ってしまうことも少なくありません。
蓄電池の導入を検討している人の中には、どの蓄電池を選択しても「大差ないのでは?」と考えている方も少なくないかもしれませんが、蓄電池の性能や保証内容に関してはメーカーによって大きく違う場合があるのです。したがって、蓄電池を選ぶときには、以下のポイントを注意しましょう。
- 使用可能サイクル(寿命)
- 蓄電容量
- 定格出力
- 保証内容
それぞれのポイントをもう少し詳しくみていきましょう。
蓄電池選びはここを確認!
ここでは、蓄電池選びの際に注意しておきたい各ポイントについて詳細にご紹介していきます。
使用可能サイクル回数について
まず押さえておきたいポイントとしては、蓄電池の寿命を表す『サイクル回数※1』についてです。「蓄電池の耐用年数・製品寿命はどれくらい?修理と買い替え時期について」の記事でもご紹介しましたが、家庭用蓄電池にも種類があり、電池の種類によって寿命が異なるのです。
電池の種類による『サイクル回数』は下記のようになります。
鉛蓄電池 | 3150回 |
---|---|
ニッケル水素電池 | 2000回 |
リチウムイオン電池 | 3500回 |
NAS電池 | 4500回 |
※参考記事:蓄電池の耐用年数・製品寿命はどれくらい?修理と買い替え時期について
各蓄電池の寿命は、このサイクル回数がたたき台となります。しかし、蓄電池の寿命となるサイクル回数に関しては、製造メーカーによってその性能が大きく違ってくるのです。例として、いくつかのメーカーにおけるリチウムイオン電池のサイクル回数をご紹介しておきましょう。
メーカー | サイクル回数 | 定格容量 |
---|---|---|
Looop(LP-HNDB0040-0101) | 12,000回 | 4(kWh) |
SmartStarL(LL3098HOS) | 6000回 | 9.8(kWh) |
Omron(KP-BU98-B) | 8000回 | 6.5(kWh) |
nichicon(ESS-H1L1) | 6000回 | 12(kWh) |
上の表ように、定格容量の違いはあるにしても、たたき台となる数値を大きく上回り、さらにメーカーによってサイクル回数が大幅に違っているのがわかります。
蓄電池を長く使用したいと考えるのであれば、このサイクル回数に注目しておかなければいけません。特に、蓄電池の費用対効果を考えた場合には、サイクル回数が多いに越したことはありません。ちなみに、寿命を迎えた蓄電池は、蓄電容量の減少が症状として現れるのですが、どの程度減少するかもメーカーによって異なります。蓄電池購入の際には、寿命だけでなく、寿命後の劣化速度なども気にしておきましょう。
※サイクル回数とは
極限まで放電し、充電量が0%になったところから満タンまで充電して、さらにその電気を0%まで放電しきるまでのこと
蓄電容量について
次は『蓄電容量』についてです。蓄電池は、種類やメーカーによって蓄電容量が異なりますので、自分の使用用途を考えて「十分な蓄電容量スペックを持っているのか?」などをきちんと確認しなければいけません。導入した蓄電池が、使用する電力に応じていない場合には、頻繁な充電が必要になりますので、サイクル回数が増加して寿命が早くなってしまいます。
ちなみに、蓄電池というものは、基本的に規格の蓄電容量をいっぱいまで使用することはできません。これは、下記の表のように、どのメーカーでも同様ですので注意が必要です。蓄電容量だけを見て蓄電池を選んでしまうと、利用時には容量不足で困ってしまう…なんてこともありますので、『実質容量』もよく確認しましょう。
メーカー | 蓄電容量 | 実質容量 |
---|---|---|
Looop(LP-HNDB0040-0101) | 5.6(kWh) | 不明 |
SmartStarL(LL3098HOS) | 9.8(kWh) | 8.8(kWh) |
Omron(KP-BU98-B) | 9.8(kWh) | 8.8(kWh) |
nichicon(ESS-H1L1) | 12(kWh) | 10.3(kWh) |
定格出力について
次は『定格出力』についてです。定格出力とは、蓄電された電力を「一度にどれくらい出力できるのか?」を表す数値となります。
当然ですが、家庭内ではさまざまな電化製品を同時に利用することになりますので、それらの機器を動かすために必要な電力を出力できる蓄電池を選択しなければ意味がありません。カーバッテリーやモバイル機器に内蔵されている蓄電池については、予め必要に応じた定格出力を持つ蓄電池が利用されています。しかし、家庭用蓄電池となると、それぞれのご家庭によって必要な定格出力が異なるため、自分で「常時どれくらいの消費電力になるのか?」を考えて蓄電池選びをしなければいけません。
蓄電池選びの際には、併用する可能性がある家電を考えて、その消費電力の最大値を計算して、それに応じた定格出力スペックの蓄電池を探しましょう。
保証内容について
最後は、蓄電池の『保証内容』がどうなっているかというポイントです。
この部分に関しては、改めてご紹介する必要がないほど、皆さん気にするポイントとなることでしょう。家庭用蓄電池は、10年を超える長期利用が想定となる機器ですし、設置工事費を含めると100万円を超えるコストがかかるものですので、保証期間だけでなく保証してもらえる詳細な内容まできちんと確認しておくことがオススメです。できるだけ「安い価格のものが…」などと考えがちですが、安さよりもきちんと保証内容を重視した方が、結果的に安くつくということも多いです。
というのも、一般的な家庭用蓄電池は10年保証がついているのが当たり前なのですが、その保証内容については製造販売メーカーによって違いがあるのです。したがって、蓄電池選びの際には、メーカーごとの保障内容の違いにも着目して比較検討する必要があります。
まとめ
今回は、家庭用蓄電池を選ぶ際に、注意しておきたいポイントをいくつかご紹介してきました。近年では、自然災害時のバックアップ電源としてだけでなく、太陽光発電システムをより効率的に利用するため、蓄電池の導入を検討している方が非常に増加しています。
多くの方は、大手メーカーの蓄電池を購入しておけば安心と考えるかもしれませんが、製造販売メーカーによって開発の着眼点などが異なるため、何も考えずに購入してしまうと後悔してしまう可能性も少なくありません。したがって、家庭用蓄電池を選ぶ際には、ご家庭の使用用途などをよく考えて、複数のメーカーが販売する蓄電池を比較検討するのがオススメです。
最近では、蓄電池の注目度の高さから、非常に多くのメーカーから蓄電池が販売されていますので、どうしても自分に最適な蓄電池が分からない…などということもあるでしょう。そんな時には、お気軽に弊社までお問い合わせください!